横浜市南部病院のような地域中核病院は住民の期待も大きいので市の支援の拡充を
みわ議員:日本共産党のみわ 智恵美です。党を代表し質問いたします。
港南区港南台には、地域中核病院である横浜市南部病院がありますが、南部病院が果たしている役割を確認いたします。
田中医療局副局長:南部病院は高度な医療機能を確保するために、本市が方面別に整備をしてきた地域中核病院の第一号です。具体的には二次救急拠点病院として、広く救急医療に対応しているほか、小児科医師を集約し救急車を24時間365日受け入れる小児救急拠点病院、産婦人科医を厚く配置し産科救急やハイリスク妊婦に対応する産科拠点病院、小児がんに関する医療の充実や質の向上を図るための横浜市小児がん連携病院などの政策的医療に主に港南区、磯子区、栄区といった南部方面の地域医療に貢献しております。
みわ議員:産科拠点病院、小児救急拠点病院はどのような役割なのか確認いたします。
田中医療局副局長:小児救急拠点病院ですけれども役割としては小児緊急患者の受け入れ体制を確保するために、救急車の24時間365日の受け入れや深夜帯、これは手薄になりますけれども、ほかの医療機関も深夜帯の救急車以外のいわゆるウォークインの患者様にも対応しております。それから産科拠点病院につきましては、産科医師を10人以上配置して、ハイリスク妊婦の受け入れや医師2名の当直により周産期救急の受け入れの強化、それから産婦人科医師が過重な勤務とならないような良好な労働環境の中で、質の高い産科医療を実施して頂きます。
みわ議員:大変重要な役割を果たして期待されるところなのですけれども、現在の南部病院、その医療を実施するために横浜市としてはどういう支援がされているのでしょうか。
田中医療局副局長:南部病院の整備時ですが、病院用地の無償貸付のほか、病院建設工事の2分の1、設計管理費の全額、医療機器等医療機器整備費の4分の3の補助と整備にあたり金融機関等から借り入れた資金の利子に対する補助等を行っております。現在の南部病院の支援といたしましては、病院用地を引き続き無償貸付をしているほか、他の医療機関と同様の条件となりますけれども小児救急拠点病院、産科拠点病院等に対する補助を行っております。
みわ議員:現在はそういう支援がされているということですけれども、再整備が検討されております。再整備にあたっても、横浜市からの財政的な支援などが行われる予定でしょうか。
城医療局局長:再整備にあたってですが、その再整備に対する支援ついては今後病院と話しあって行きたいというふうに考えております。それから運営上、産科とか小児科、こういった運営上の支援については他の病院と同様に今後も継続していくことになると思います。
みわ議員:本当にこの病院の果たしている役割が大きいので、再整備後も引き継がれるように、ただ今ご答弁も頂きましたので、本当に住民の期待が大きいので頑張って頂きたいと思います。
産科拠点病院に8割の女性医師の確保は良いこと、引き続き勤務環境の充実を
みわ議員:次にこの横浜市南部病院や横浜労災病院、横浜市民病院の3病院は産科拠点病院を担っております。先ほど、産科拠点病院では、産科の医師を10人以上配置しているということが説明されましたけれども、産科の医師の確保は全国的に厳しく大きな課題です、横浜市としてはこの10人以上の医師の確保などについてどういう対策が行われているのでしょうか。
城医療局局長:全国的には産科の医師はなり手が少なくて確保が難しいと言われております。横浜市では産科拠点病院に医師を多数、厚く配置するということで若手医師にとっては多様な症例を経験できる、あるいは育児をしながら働きやすい勤務環境が提供できるということで、医師に働きやすい環境を整備するということをやっております。ちなみに横浜市市内に勤務する産婦人科医師は一時期減少しましたけれども、H18年度以降は増加をしておりまして、26年度までに1.2倍323人になっております。
みわ議員:支援が行われているということですけれども、今の3つの病院におきまして、産科医師における女性医師、大変働きやすい環境も支援しているということでしたけれども、どのような配置になっていますか。何人で、どういう割合でしょうか。
城医療局局長:H28年4月現在で、産科拠点病院に勤務する産婦人科医師のうち女性の医師の数は横浜労災病院では10人中8人、市民病院では13人中10人、済生会横浜市南部病院では11人中8人でございます。
みわ議員:8割近いと思います。患者の側からも産科における女性医師への期待は大きいものがありますので、たくさんの女性医師を確保できていることは素晴らしいと思います。2014年の厚生労働省の調査によりますと医師全体での女性の割合は20.4%ですが、29歳以下でみますと34.8%が女性医師です。若い層の女性の進出に本当に目を見張るものがあるわけですけれども、出産や子育てで、医学部卒業時にはほぼ100%だった就業率が、11年後76%に下がっています。35歳までに4分の1に近い女性医師が職を離れている状況も報告されています。せっかく産科医師を選択されて来られた方々が希望や生きがいを持って女性医師がワークライフバランスを保って働き続けることができるように横浜市としてはどのような方針を持って取り組んでいるのか伺います。
城医療局局長:ワークライフバランスは女性医師だけではなく、男性医師にも必要だと思いますが、産婦人科医師は他の診療科に比べ女性の割合高くて、ご指摘の通り年齢的にも結婚や出産に配慮した勤務環境づくりが必要であると考えています。産科拠点病院は、先ほどご答弁差し上げました通り、10人以上配置することで、当直業務の軽減だとか、あるいは子どもの急病時の休暇取得、こういったものも対応しやすい勤務環境を提供できていると思います。産科拠点病院以外でも分娩を扱う病院や診療所の産婦人科医師が子育てや介護により当直が出来ないと、こういった場合には非常勤医師の雇用経費を補助しておりまして、ワークライフバランスに配慮した勤務環境の提供を進めているところでございます。
みわ議員:ありがとうございます。しっかりと期待に応えて頑張って頂きたいと思います。
新しい市民病院は患者にも働く人にも自治体病院としての意識とあるべき姿で
みわ議員:次に市民病院について伺います。市民病院は、高度急性期・急性期医療を中心とした先進的な医療サービスを提供する病院として新しく整備されようとしています。私も市民病院を見に行きまして分娩台が2つ並んであいだをカーテンが仕切られているのを見まして、これは早くやってほしいと思ったところでしたけれども、救急病棟、NICUなどでベッド数を増やすことが予定されていますが、ベッド数についての再編計画を確認いたします。
城病院経営副本部長:新病院では、新生児の集中治療室であるNICUを現行の6床から9床へ、新生児の治療回復室であるGCUを6床から12床へ、救命救急病床を20床から28床へ、緩和ケア病床を20床から25床としております。合計しますと特別な病床全体では、現在の92床から114床となりまして22床の増床となります。一般病棟については、現行558床を536床としますが、全体病床は650床を維持いたします。
みわ議員:そうなると充実は一方でするわけですけれども、一般病床が50床近く減少するということで、患者の治療環境に悪影響はないのか伺います。
城病院経営副本部長:新病院における全体の病床数は現病院と同じ650床を予定しておりますが、高度急性期・急性期医療高度病院として今後想定される医療需要のために救命救急病床やNICUなどの特別な病床の割合を増加させたものでございます。一方で一般病床については、身体への侵襲の少ない治療法など医療技術の進歩により、この間入院期間が短縮する傾向にありますので、全体としては十分な対応が可能で質の高い医療を提供できるというふうに考えています。
みわ議員:それでは今後の入院患者数についての予想や収支についてどのように考えているのか伺います。
城病院経営副本部長:入院患者数については、延べ21万2000人程度を想定しておりまして、現在と比較をいたしますと1万人、5%の増を見込んでおります。これは高齢化の進展に伴いまして、患者の増加が想定されることに加えまして個室を増やすことや、現在の6床室を4床室にすることによりベッドの運用が有効利用が可能となるということでございます。また入院収入については医療の高度化に伴いまして、入院単価が現行の6万6,000円から7万4,000円程度に上昇すると見込んで算出しております。こうした医療を実施した場合の薬品費や人件費の費用の増も見込んだ上で、健全な経営を持続できるものと考えています。
みわ議員:国の医療が、どんどん悪くなっていく中で、私が感じるのは患者の入院期間を短くするとか、働く皆さんにとっては、忙しい病院をつくっていると感じます。地域医療を担う自治体病院である市民病院で、患者さんの入院単価アップ、それから入院日数の縮減、出来高払いの入院前の検査などで、非常に収入に目を向けた病院経営になっているのではないかと実感するところなのですが、患者さんに寄り添う医療の現場のやりがいを奪っていないか、職場にストレスを持ち込むやり方ではないかと心配になりますが、伺います。
高橋病院経営本部長:公立病院ということを強く意識しまして、地域包括ケアシステム構築を支援するなど、市の地域医療全体の質の向上に貢献することを通じまして、市民の安全安心を守る医療の最後の砦としての役割を果たしてまいりたいと思います。
みわ議員:市民のための最後の砦というふうに言われたのですけれども、今、新病院をつくるために、患者・市民に負担増を押し付けていないか、職場には成果主義の導入ということにはなっていないか、心配です。グランドなどの整備までもこの新病院の経費に入っております。この辺を外すことであったり、市からの繰入金を増やすなど、政策的医療を今おっしゃった、そういうものを安心してできるなど診療報酬の点数にばかりに意識を向ける方向にすべきでないかと思いますが伺います。
城病院経営副本部長:市民病院は先程も本部長からお答えしましたとおり、公立病院としてしっかり地域医療に貢献していくことが使命だと考えております。更にはそこで働く職員についても、働きやすい環境を整えていく、ストレスなどが溜まらないような様々な工夫、実際には超勤時間の削減とか、あるいは相談をするリエゾンの看護師の配置だとかトレーニングパートナーが必ず付く仕組みなど色々な工夫をしているところでございます。そうした中でしっかりと市民の期待に応えていくためには、健全な経営も必要だと考えていますので、役割と経営の両立を図っていきたいと考えています。
みわ議員:新病院建設が、働く方々に過度なストレスが掛からないようにと考えます。視点としては自治体病院として意識してということを、持って行きたいと思います。そういう中で働きやすい職場環境を努めていくということですけれども、新しい病院では高度な救急医療が増えることで、医師や看護師の増員が必要ですが、確保は準備されているのでしょうか。
城病院経営副本部長:新病院における様々な機能に対応する人材の確保は、基本的には施設基準に定められているものを充足していかなければいけないと思っていますが、採用については、今後開院までに整えていくということになります。
みわ議員:ベテランの看護師や医師などがきちんと、いるということが非常に患者さんからも信頼される病院になります。働く人からも選ばれる病院になるというのは信頼が大切だと思うのですけれど、そういう中で市立病院の中の取り組みの中で、「人材の確保・育成・働きやすい職場環境づくり」のところで、先程も他の委員からの質問に答えられましたけれど、「病棟における看護師の2交代制勤務を拡大します」としていますが、働くみなさんとの合意はとられているのでしょうか。
城病院経営副本部長:現在まで3交代制と一部、最長16時間の2交代制を試行して、こうしたことは全部組合と職員団体と協議しながやってきたのですが、今年度から拘束時間を最長13時間程度に抑えた変則2交代制の試行を始めておりまして、このことについても組合と協議の上で解消しているところでございます。
みわ議員:新しい病院についてはどうでしょうか。
城病院経営副本部長:新しい病院の具体的な勤務環境については、基本的には先ほど職員数については施設基準に基づいて配置することになりますし、勤務時間や雇用形態についても医療機能と個々の職員のライフステージに合わせた勤務時間、雇用形態など働きやすい勤務体制となるように、検討を進めていきたいと考えています。
みわ議員:いずれにしても病院職員の声をしっかり聞いて取り組んで頂きたいと思います。12時間と13時間の2交代を考えていると伺いましたけれども、やはり長い勤務時間なので休憩時間は足を伸ばしてゆっくりできるような環境整備が新病院ではされるのでしょうか。
城病院経営副本部長:それぞれの病棟のナースステーションには、休憩室を配置しているところでございまして、そういった環境の改善にも配慮して進めております。
みわ議員:休憩をするのにテーブルと机だけ、というのではなく足を伸ばせるような環境にして頂きたいと思います。看護師業務の厳しい実態は了解されていると思いますけれども、どのような環境整備が必要なのかを働いている方々の声を反映するということを求めたいと思います。そういう声を生かしていくということが本当に大事だと思いますけれども、看護師については月10回の夜勤の常態化、業務量の偏りなどを経営本部は把握していると思います。月8回以上の夜勤を行わない、超過勤務をさせないことなど、医師や看護師が健康で生き生きと患者さんに対応できるよう、健康職場づくりをどう進めていくのか、決意を伺います。
高橋病院経営本部長:今年度も看護業務の見直しなどによりまして、超勤時間につきましては市民病院では前年度に比べて、約7%削減し、月平均17.7時間になりました。また、メンタルヘルスの取り組みとしましては、先ほども副本部長からお答えいたしましたように、リエゾン精神専門看護師の配置、研修制度の充実、PNSと言われますパートナーシップナーシングシステム順次導入などを考えております。来年度以降も職員が健康で働きやすい職場となるように、職場環境の整備や勤務体制の検討などを進めてまいります。
みわ議員:新しい市民病院では、災害対策機能として、「大規模災害時においても、病院機能を最大7日間維持できる設備を導入します」としています。大変市民にとって期待されるところですが、働く皆さん、今本当に改善をしていこうと言われましたけれども、働く皆さんも大変強い使命感を持って職務にあたっていらっしゃることは承知しておりますので、こういう中で人員体制がギリギリでは、不測の事態に対応できないのではないかという心配があります。市民病院が経営的に安定することは必要ですが、それ以上に、医療の専門性を生かした保健・福祉をつなぐ病院としての機能を、さらに発展させることが大切だと考えます。市民病院が新しくなるにあたって、地域医療を守る自治体病院の果たす役割について、市として、どう考えているのか副市長に伺い質問終わります。
柏崎副市長:市民病院は、本当に地域医療のリーディングホスピタルということになるわけでございますので、そういう意味で市民の皆さまが必要とする医療を適切に提供すると共に、災害時医療の拠点として、役割をしっかり発揮していく必要があります。そうしまして患者、職員からも選ばれ信頼される病院ということが期待されているわけでございます。その意味では医療の質のさらなる向上に向けた取り組みを推進すること、ハード面のも当然ですけれども職員にとっても働きやすい職場となること、そしてそう言ったことが経営的にも安定して進められていくためには、やはり健全な経営ということが必要になりますので、そういうことを全体として位置づけとしていくように取り組んでまいりたいと思います。