議会での質問・討論(詳細)
2017年3月8日

■教育委員会(かわじ民夫)

子どもに寄りそう教育現場を目指して、教職員の負担軽減を

かわじ議員:日本共産党を代表し質問します。
まず、教育の基本姿勢についてです。
福島原発避難生徒のいじめ問題に関って、再三、子どもに寄りそっていくといわれました。そのためには、教職員が余裕をもって子どもたちに向き合える環境、特に少人数学級の推進や教職員の負担軽減が重要です。
そこで、昨年11月24日、指定都市市長会が国に対し「教職員定数の改善・充実に関する指定都市市長会要請」を行いました。この要請について、副市長の所見を伺います。

柏崎副市長:指定都市市長会では、複雑化多様化する学校現場の実情や、学校及び教職員が果たす役割の増大について、繰り返し訴えてきましたけど、国における財政制度等審議会では、教職員を削減すべきとの考え方が示されたということがありました。そういう中で、現場を預かる基礎自治体として、改めて教職員定数の改善充実を要望したところでございます。
これによって、通級により指導や日本語指導に関する教職員定数の改善が図られたところです。義務教育段階における教育水準の維持向上を図ることは、国の責務であり財源確保などについて、引き続き強く国に要望していきます。

かわじ議員:また、同11月7日には、指定都市教育委員・教育長協議会は子どもの教育環境改善に向け「教職員定数に関する緊急要望」を行いました。教育長の所見を伺います。

岡田教育長:指定都市教育委員・教育長協議会としましても、いじめ等の学校教育上の課題等に適切に対応するために、また、基礎学力の向上と習熟度別など、個に応じたきめ細かな指導を実現するために教職員配置の充実改善が不可欠であるとして国に要望してきました。より一層の教育の充実のためにも、引き続き他の政令市と連携をして国に要望していきます。

かわじ議員:いずれの要請、要望の内容は、県費負担教職員の政令市移管にともなう権限を活かして、本市独自でも追求し、教育環境改善に取組むべきです。改めて教育長の見解を伺います。

岡田教育長:限られた予算の中でしっかりと対応していけるように工夫をしていきます。

本市独自で教員加配をし、児童支援専任教諭の学級担任兼務を無くすべき

かわじ議員:次は、暴力行為やいじめ等についてです。

教職員が、余裕をもち、子どもと向き合うには負担軽減も重要です。
この間、教育委員会が実施した児童生徒の「暴力行為」「いじめ」「長期欠席」等の調査の内容と結果について、説明してください。

伊藤健康教育人権教育担当部長:平成27年度の児童生徒の問題行動と生徒指導上の諸問題に関する調査、いわゆる「問題行動調査」といわれているものですが、そこでは、そこでは暴力行為が3,906件で対前年度比5.6%増、いじめの認知件数は1,852件で対前年度比24.3%減、不登校児童生徒は3,367人で対前年度比9.7%減となっています。

かわじ議員:2015年度は、小学生の暴力が増えており、更に特定の児童・生徒の繰り返し行為も増えています。現場の実態を掴んでいるのか伺います。

伊藤健康教育人権教育担当部長:統計数字を分析して、そのように把握しています。

かわじ議員:子どもと向き合う時間を確保するには、現場の対応する教職員の配置が重要です。それでは、児童支援専任教諭の配置の効果はどうか、伺います。

伊藤健康教育人権教育担当部長:児童支援専任教諭は、特別支援教育コーディネーターを兼務しており、配置を必要とする児童への支援体制を築くにあたって、職員の中心的な役割を果たし、問題行動が生じた場合に担任が一人で抱え込むことなく、組織的に対応できるなどの効果をあげています。
さらに、幼稚園、保育園、中学校、警察や区役所などの関係機関との連携強化が図られ、子ども達を見守り、組織的に支援する体制の確立にもつながっています。

かわじ議員:児童支援専任教諭は、いじめや不登校等に対応する専任の教諭です。学級担任の兼務はないですね。確認です。

伊藤健康教育人権教育担当部長:制度上、学級担任については、児童専任は原則として持たないということになっています。ただ、実際の運用の場面では、例えば学級担任が病気休養や育児休養に入っている場合に、担任を担う先生がいないために児童支援専任がその役割を担うということがあるということも聞いております。

かわじ議員:子どもとしっかり向き合えるよう、本市独自の加配をし、専任教諭の兼務は止めるべきと思いますが、伺います。

岡田教育長:今回、県費移管に伴いまして、できるだけの専任体制をとろうということで、一部完全専任ということで増やしましたけれども、人材確保の問題もありまして、順次、学校の状況に応じてということになります。

過労死ラインを超える教職員の多忙化実態の解消へ真剣な対応を

かわじ議員:次は、教職員の多忙化への対応についてです。
2017年度予算案では職員室業務アシスタントの配置の拡充は、18校分から30校分になっただけで、不十分です。
教育委員会が2013年度に実施した「教職員の業務に関する実態と意向の調査」報告書では、「勤務時間内で45分間の休憩が取れているか」の問いに「全く取れていない」が56.2%、ほとんどとれていないが26.8%、合計で83%です。どのようにとらえているのか、伺います。

小倉教育政策推進等担当部長:教職員の業務実態は、なかなか厳しいものがございます。小学校においては給食の指導、中学校においては、昼食時間の生徒の様子の確認など一定時間継続して休憩をとることが難しい状態にあります。副校長においても、退勤時間が遅く、休日出勤も多いという状況になっておりまして、業務多忙と考えています。

かわじ議員:「退勤時間は何時頃か」との問いに、ほぼ終業時刻が1.5%、20時台が21.8%、21時台が10.1%です。22時台が3.2%で、20時以降の人は全体の36%です。勤務日の平均時間外業務時間は約3時間、月84時間です。それも手当なしです。
過労死ラインを越え、ブラックそのものです。ひどい実態と思いませんか。市として先生の働くルールの確立が不可欠です。見解を伺います。

岡田教育長:平成25年に行いました、実態調査から具体的な先生方の多忙の様子がしっかりと伺えました。
今、色々な改善の検討をしていますけれど、そういう中で工夫できること、そして教育委員会の方で対応できることは、順次がんばって実施しております。

かわじ議員:また「業務検討改善の機会がない」と応えた人が45.6%です。組織として、問題解決の体制があるのか、伺います。

小倉教育政策推進等担当部長:教員一人ひとりの、時間にゆとりがなく、業務改善に関する検討の時間をとりにくい状況があると考えています。調査の結果を受けて、学校現場における業務改善が進むように小学校、中学校の校長先生が区ごとに集まる学校経営推進会議の場で、業務改善をテーマに情報交換していただいております。
会議では、各学校から多くの取組み事例が報告されており、学校現場で業務改善を組織として取組む体制はできていると考えています。

かわじ議員:調査では、負担感の業務として「調査・報告」「会議・打ち合わせ」「保護者対応」「成績処理」「学校事務文書」の順となっています。調査・報告が多いのは、教育委員会事務局自身の問題です。どうとらえているのか、また業務軽減に関して、報告書をどのように活用しているのか、伺います。

小倉教育政策推進等担当部長:学校に対して調査依頼を行う際には、まず必要な調査かどうかを精査し、実践する場合には調査方法の改善や内容の見直しを図ることで、件数の削減と事務の効率化に取組んでいます。学校からの回答については、教育委員会や各学校で教育施策の検討や検証等に活かしております。

かわじ議員:調査、報告は最小限にすべきと思われますがどうか、再度伺います。

小倉教育政策推進等担当部長:そのように考えております。平成27年度にいては、4.3%削減をすることができました。

かわじ議員:各区の学校経営推進会議での意見交換で、教職員の負担軽減は何が改善されたか、伺います。

小倉教育政策推進等担当部長:学校現場の負担軽減の実践例をまとめました「教職員負担軽減ハンドブック」などを紹介しながら、各学校における負担軽減の取組み状況や、取組みを進めていく上での課題について意見交換を行ってきました。校長は他校の取組みについて、情報共有を図れることから各学校が負担軽減に取組むきっかけとなり、教職員の多忙な状況を改善していく意識の調整にもつながっています。

かわじ議員:2013年度の多忙化の実態調査から3年が経過しました。これまで取り組んできた施策の効果や学校現場の評価はどうか、伺います。

岡田教育長:学校長からは、業務の効率化だけでなく、仕事の進め方や働き方の改善、教職員の負担感の軽減にも効果が表れていると聞いています。

かわじ議員:文科省は、昨年6月に「学校現場における業務の適正化に向けて」との通知を発出し、業務改善にむけた措置をとることを示しています。その具体化をどうしたのか、伺います。

岡田教育長:本市の学校の状況を見ながら、国の示したことも具体的に入れながら改善に取組んでいます。

かわじ議員:1月20日から、厚労省が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定し、通知しました。そこには「自己申告により把握した労働時間が、実際の労働時間に合致か否かの実態調査をすること」とあります。この通知に沿った具体化はどうするか、教育長に伺います。

岡田教育長:学校現場の有りよう、そして今、教職員達が苦労している内容などは、把握しておりますので、1つずつ実際に合った改善方法を検討していきたいと考えています。

かわじ議員:横浜市は、他都市より授業時間が長くなる横浜版学習指導要領があります。学校現場の声、意見に耳を傾け、業務改善に真剣な対応を強く求めておきます。

少人数学級の拡大否定は、子どもの向きあう教育姿勢の欠如だ

かわじ議員:少人数学級について伺います。
教師が子どもに寄り添い、しっかりと向き合える時間を確保するには、少人数学級の推進が重要です。県費負担教職員が市費移管となり、横浜市の考え方で教職員配置が可能となりました。
そこで、現在実施している1.2年生と同様に、小学校3年生を、35人学級とした場合の必要経費で、人件費予算額はいくらになるのか、伺います。

魚屋教職員人事部長:小学3年生で、35人以下学級を実施した場合、小学3年生の児童数から割り出すと、約100人の教員増が見込まれ、人件費としては約6億1,000万円が必要となります。

かわじ議員:わが党の「市独自で教員を加配すべき」との問いに「財源に限りがある」「人件費や財源確保などに様々な課題がある」との答弁です。
これは初めから少人数学級の拡大を否定した答弁であり、真に子どもに向き合い、子どもたちの力を引き出す教育姿勢の欠如と言わざるをえません。本市の予算規模からすれば財源確保は可能なはずです。一学年の35人学級に必要な予算は6億1,000万円との答弁でした。
2015年度における、35人以下学級の小学2年から、40人学級の小学3年の進級では、89校で学級数が減少し、一クラスの児童数は平均で26.5人から37人へと増加です。児童の教育環境の低下を直視すべきです。
市教育委員会は、少人数学級の効果として「きめ細かな指導が可能となる」「授業参加がより積極化される」「教員と児童生徒間の緊密化が期待できる」としています。
移管を機に千葉市は35人学級を小学4年まで拡充、新潟市は32人以下学級を小学4年まで拡充すると聞いています。本市はどのように35人学級を推進するのか、伺います。

岡田教育長:学級規模の引き下げにつきましては、繰り返しになって申し訳ございませんが、人材の確保、毎年の人件費の財源確保など様々な課題があります。そのため、一律に学級編成を少人数化するのではなく、個々の学校や児童生徒の実情に対応しながら教育の質を向上できる教職員配置を推進していきます。35人以下学級は、引き続き国に対し拡充の要望等を行っていきます。

かわじ議員:教育委員会自身、少人数学級を大きく評価しているわけですから、市移管になったこの機に、ぜひそれを推進して頂きたいと思います。

就学援助を必要としている世帯へ中学校入学前に入学準備金の支給を

かわじ議員:次は就学援助についてです
本市の認定基準は生活保護基準の1.0倍です。基準を上げない理由は「所得限度額が政令指定都市の平均より高い」とのことです。
しかし、現実を直視すれば、額面では他の自治体より低い状況です。4人世帯の基準額比較で本市は344万円ですが、鎌倉市は430万円、藤沢市が376万円、大和市362万円と当局から聞いています。
子ども達の義務教育の保障において、生活保護基準の所得の線引きでは、貧困家庭の切り捨てになると思います。他の自治体のように、1.1倍以上に引き上げるべきですが、見解を伺います。

岡田教育長:教育の期間均等の理念に基づき、経済的な理由により、就学が困難な児童生徒の就学奨励を目的として、児童生徒の保護者に対して、学用品費、修学旅行費等の必要な援助を行っています。修学援助の認定基準につきましては、前年度の本市生活保護基準をもとに算出し、毎年行われます横浜市就学奨励対策審議会での答申を経て決定しています。平成25年の国の生活保護基準見直しによる影響に配慮して、平成26年度以降、認定基準を据え置いております。

かわじ議員:入学準備金支給は、所得確定後の申請で7月になっています。中学生になったら「野球部に入りたい」と言っていた子どもの保護者は「子どもに入部をあきらめてもらいつらかった」との話を聞きました。悲しいことです。海老名市や大和市のように6年生時の収入基準を認定すれば、前倒しは可能と思うが、伺います。

岡田教育長:就学援助については、6月に前年度の課税状況が確定した後に、認定審査を行っておりますので、現行では入学前に支給することは困難です。他都市の状況も調査して、引き続き迅速な支給に努めていきます。

かわじ議員:この事業を保護者にどう周知しているのか、伺います。

奥田国際教育等担当部長:就学援助制度については、入学時及び進級時に学校を通じて全校児童生徒に就学援助生徒に「お知らせ」を配布しています。また横浜市教育委員会のホームページや広報よこはまへ掲載するなど制度の周知に努めているところです。

かわじ議員:学校では申請しづらいとも聞きます。教育委員会や区役所でもできるようにすべきと思いますが、伺います。

奥田国際教育等担当部長:現行の制度では、やはり学校に実際に届けていただくことで、子ども達の様子を確認しながら審査認定を行っているところでございますので、当面学校での受付を基本に考えていきたいと思っています。

かわじ議員:昨年11月の審議会議事録では、委員から「教員が制度を理解してない部分があり、転入児童・生徒の保護者に伝わっていない」との意見が出されています。委員からの意見です。学校の先生が就学援助の制度を理解するための研修等、手立てが必要だと思います。いかがですか。

奥田国際教育等担当部長:就学援助の事務手続きを行う学校事務職員を対象にした事務研修を毎年実施しているところです。ただ、教員の方にはそういった研修はございませんが、児童生徒へ就学援助のお知らせを配布する際、必要におうじて学校事務職員から個々の教員に説明を行っているところです。

かわじ議員:子どもの貧困化が増大しています。より子どもに寄りそうことができるようにすることが、子どもや家庭の状況が分かる筈です。ぜひこの就学援助についても改善を強く求めます。


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