生活困窮高齢者、一人ひとりの命に向き合う市政としての取り組みを
みわ議員:日本共産党のみわ智恵美です。党を代表して質問をいたします。
生活困窮者の自立支援施策として、無料低額宿泊所があります。いわゆる貧困ビジネスと呼ばれ、利用者と生活保護費が食い物にされた経過があります。市としてこの施設へのかかわり、運営の質の向上に向けた指導はどのようになっているでしょうか。
本吉生活福祉部長:こうした施設の指導でございますけれども、居室の個室化と床面積などを定めている国のガイドラインに加えて、本市は独自に苦情受付体制の整備、居室への窓の設置などを事業者に求めるガイドラインを作って利用者の権利擁護や
住環境の向上に取り組んでいます。さらに施設が所在する区の生活支援課と定期的に実施する実施指導監査などを通してガイドライン遵守の徹底を図っております。
みわ議員:それでは、利用者がこの施設を利用するきっかけについて伺います。
本吉生活福祉部長:利用のきっかけといたしましては、市内の比較的大勢の市民から目に付きやすい駅前やバス停などに公共掲示板の町の広告版というものが掲示されております。そこにありますチラシを元に利用者本人が直接施設に利用を申し込む事例が最も多く、これが全体の約52%になっております。また、区役所から施設の利用を依頼する事例や事業者がホームレスの方に声かけをして利用につながる事例もございます。
みわ議員:病院の退院後に帰る家が無く、ケースワーカーなどによって紹介されることもあるのではないでしょうか。伺います。
本吉生活福祉部長:そういったケースにつきましても、現在も入所者の内に少数でございますけれども、いらっしゃることについては把握しております。
みわ議員:そういう中で大変生活保護受給者の利用が多いと思いますが、それは何人で、全体の何割、年齢構成や男女比など、伺います。
本吉生活福祉部長:2016年12月末時点での市内の利用者数は1317人でございます。その内生活保護受けている方は、1208人で全体の9割を超えています。また、利用者の内、65歳以上の高齢者は約4割、60歳から64歳と50歳代の方の利用がどちらも約2割となっております。なお、利用者の98%以上を男性が占めています。
みわ議員:そういう中で中々高齢の方もいらっしゃるということで、長年利用されている方もいらっしゃると思いますが、利用期間について伺います。
本吉生活福祉部長:利用期間というものは私ども、統計としては取っておりませんけれども、施設がオープンして以来入所している方ですので10年以上利用している方もいれば、短期間で退所される方もいらっしゃいます。また、無料低額宿泊所から他の無料低額宿泊所に移る方も結構いらっしゃいます。
みわ議員:3月の初めに、さいたま地裁で、生活保護費を搾取していたとして、この宿泊施設の経営者に保護費の返還を命ずる判決が出されました。先ほど示されましたように多くの生活保護受給者が利用されています。この施設でも、生活保護ケースワーカーの支援がされていることが先ほど紹介されましたが、定員が126名、122名などあります。大変、多数の方がいらっしゃる施設がありますが、きちんと支援や見守りができているのでしょうか。
本吉生活福祉部長:担当のケースワーカーは定期的に訪問をおこなっております。その上で利用者の要望やニーズに応じまして、就労支援をおこなって必要な方であれば、区の就労支援専門員につなげています。また転居につきましても転居ができるような方につきましては、転居支援をおこなっております。
みわ議員:今、転居支援もしておりますと言われましたけど、10年以上も入所の方もいらっしゃるということです。そこで昨年末、東京都と千葉県の無料低額宿泊所で、年間150人もの方が亡くなっていたことが毎日新聞の報道で明らかになっております。横浜市内の施設では死亡退所数を調べているのでしょうか。
本吉生活福祉部長:直近の2015年度におきましては、市内45施設で20人の方が利用中に亡くなっております。
みわ議員:市内に45施設あります。ガイドラインには横浜市外より連れて来ないとされています。生活保護で利用している方々への支援のあり方についてですが、住居の移転も指導しているということですけれども、お一人おひとりを横浜市民としての安心できる自立的な暮らしを実現するための支援というのが、一層必要だと思います。今20人という死亡を言われましたけれども本当にお一人おひとりついての対応が必要だと思っております。今後の支援の進め方について伺います。
鯉渕健康福祉局長:無料低額宿泊施設は、私どもは一時的な住まいの場所と位置づけておりまして、しかしながら中には長期間利用している方もいるのが実態でございます。今後も利用者の希望や状態に応じて転居支援などを進めるとともに施設の運営状況踏まえて本市のガイドラインの改定を図りまして、一層の質の向上を確保するなど利用者支援を両面から進めてまいりたいと考えております。
みわ議員:一層の質の向上というところに大変期待をいたします。お一人おひとりの命に向き合う取り組みをしっかり進めるよう求めます。
子どもから高齢者までの全世代のつながりを実感できる住宅施策の実現を
みわ議員:次に、よこはま多世代・地域交流型住宅について伺いますが、まず、横浜市高齢者居住安定確保計画を建築局と健康福祉局の両局で策定する理由について伺います。
細川高齢健康福祉部長:高齢者の居住の安定確保に向けては、身体や所得などの状況に応じた住まいや医療福祉サービス等が提供されるよう、住宅政策と福祉政策が一体となって取り組む必要があります。そのため2012年度にスタートした第一期計画から建築、健康福祉局、両局で共同で3年ごとに計画を策定しています。
みわ議員:よこはま多世代地域交流型住宅を整備するというのが、この中でおこなわれているわけですが、その目的について伺います。
細川高齢健康福祉部長:高齢者の方が介護が必要になっても、子育て世代などと共に住み慣れた地域で安心して住み続けられる賃貸住宅の供給を目的としています。そのため生活の基盤となる住まいの要素として多世代居住に加え、医療介護サービスの拠点などが身近にあり、地域との交流機能を兼ね備えた住宅というようにしております。
みわ議員:一般的なサービス付き高齢者住宅では、非課税の一人所帯でも、最低でも食費が入ると18万円は必要ですが、今回、市が進めているココファン横浜鶴見は、最低料金で14万7,320円と伺っています。これでも中々負担が重いなと思うわけですけれども、公有地を使っての事業の、今後について伺います。
細川高齢健康福祉部長:単身高齢者の急増が見込まれるなど、高齢化が進む中で多様の住まいの選択肢を提供することは地域包括ケアに必要なことというように考えております。横浜多世代地域交流型住宅を公有地を活用した整備やその他にも民有地の住宅を認定することなども含めまして、住まいの選択肢の1つとして今後も着実に供給推進を図ってまいります。
みわ議員:ところで今、点でしかない問題なのですけれども、今後も取り組んでいくということの中では、今多くの市営住宅では老朽化や住民の高齢化などに対応できる取り組みが求められています。ですから、市営住宅の建て替えなどを早めて、市営住宅の土地を利用して、建築局と健康福祉局とのコラボで進められています、この事業を拡大しさらなる低い利用料などで入所できることは、市民の願いにかなう事業だと考えますが見解を伺います。
細川高齢健康福祉部長:高齢者に対し多様な住まいを確保していくということは、地域包括ケアシステム推進の上で重要なことと認識しておりますので、このような多世代交流型の住宅、公有地も民有地も含めて引き続き推進していきたいと思っております。
みわ議員:子どもから高齢者までの全世代の「つながり」ということを言われました。これを実感できる市民の安心生活の実現という、この事業が、市営住宅なども活用して、今お約束して頂いた方向で、所得に関係なく入所できるよう要望いたします。
市営住宅で身近な生活支援、見守り支援、住民活動の支援を
みわ議員:次に、高齢者用市営住宅等生活援助員派遣事業(LSA)について伺います。
細川高齢健康福祉部長:高齢者用市営住宅、派遣事業につきましては生活援助員を派遣いたしまして入居者の方に対する生活相談および安否確認を行うと共に個別に設置された緊急通報システムによりまして、緊急時の連絡ができて、警備員が対応するようになっております。入居者の方には月額で400円程度のご負担を頂いております。
みわ議員:その制度、限られた施設でなく一般の2,300所帯ある市営ひかりが丘住宅に導入されることになった経緯等について伺います。
細川高齢健康福祉部長:市営ひかりが丘住宅では、高齢化が大幅に進行し親族から支援を受けられない単身世帯、障害のある方等を多く居住をしております。また、地域活動が縮小し身近な生活支援の充実、住民活動の支援が必要となっていました。
そこで2014年度から、地域プラザを拠点に国がモデル事業を実施し、個別訪問調査による実態把握をおこないました。調査の結果、市営ひかりが丘住宅おいてはモデル事業終了後も引き続き見守り相談の場を継続して実施していく必要があると考えたために、2016年度から本事業を導入いたしました。
みわ議員:限られたシニアリブインとかシルバーハウス以外で、こういう一般のところでモデル事業で全所帯訪問での調査で取り組むことになったということですが、具体的な今されている取り組みについて伺いますが、その中で訪問対象の方は介護保険の認定などを受けていらっしゃるのかどうかも合わせて伺います。
細川高齢健康福祉部長:対象の方ですが、市営ひかりが丘において対象としておりますのは、第一号被保険者、65歳以上の高齢者の方と二号被保険者の内の要介護要支援の認定を受けている方々が基本的に対象ということになってございます。なお、この間モデル実施をして来た中で2016年度で本事業に登録していた世帯、114世帯ございますが、そのうち介護保険につながったケースは、12件でございました。
みわ議員:介護保険なども申請主義でされているものが、こういうアウトリーチでつながったというのは大変教訓的だと思います。市営ひかりが丘住宅では、死後3日以上経って発見された、いわゆる孤独死の方が、2014年は8件、2015年は9件、そしてこのアウトリーチ、LSA実施の2016年度はこの2月まででは3件と聞いています。このことからいわゆる孤独死の未然防止につなげていくには何が求められているのか、見解を伺います。
細川高齢健康福祉部長:身近な地域での見守り体制、これは重要だと考えます。
みわ議員:自治会の皆さんは、日ごろから、お食事会やカラオケ、おしゃべり会など地域のつながりをつくり、見守りにと懸命に取り組んでいらっしゃいます。その中で、この公の行うアウトリーチサポートは、安心を広げています。ほかの市営住宅でも同じ課題を持っていると思いますので、この事業を拡大するべきと考えますが、見解を伺います。
細川高齢健康福祉部長:現在の市営ひかりが丘住宅につきましては、調査結果を踏まえた上でのモデル的に導入ということでございますが、今後、本事業で得られた成果や課題を検証し、包括ケアシステムの構築の考え方と合わせて検討していきたいと考えています。
みわ議員:よろしくお願いいたします。すぐ取り組めるものだと思います。是非とも
このモデル事業を生かして頂いて市内全域に広がるよう求めます。
年金生活者、女性の一人暮らしでも安心して暮らせる特養ホームや住まいの確保を
みわ議員:次に2015年の介護保険制度改定で、所得の低い方に対して行われていた補足給付が一部廃止され、これに伴って利用料の負担が重くなった方がいます。そしてこの中で特別養護老人ホームを退所された方がいらっしゃるのか、横浜市内では出ていないのかどうか。伺います。
細川高齢健康福祉部長:特養や老健などで居住費、食費については負担軽減として補足給付制度ございますが、2015年度の制度改正によりまして単身の場合で預貯金等が1,000万円を超える場合などは補足給付の対象外となりました。全ての施設に確認したわけではございませんが、実地指導等で個別に施設にヒアリングした中ではこの制度改正の対象に至るような事例ということはございませんでした。
みわ議員:今年一月、「全国老人ホーム施設長1.906人の本音」と題する、21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会の実施されたアンケート結果が公表されました。今度の制度改定で、「支払いが困難を理由に退所」という回答が101の施設から、配偶者の生活苦という回答は、311施設にのぼっていることがわかりました。今回の改定によって、やっと入れた終の棲家としての特養ホームからの退所や、経済的困難を市民にもたらしているとしたら重大です。安心できる高齢者の暮らしをという視点から、今ヒヤリングをおこなったということですけれども、横浜市内の特別養護老人ホーム入所者などに対して2015年の、この改定にかかわっての実態調査をしっかりとすることが必要だと考えますが、伺います。
細川高齢健康福祉部長:補足給付を受けられなくなって、やむを得ず退所をせざるを得ない状況になった場合には、本市で定めます特養の運営に関する基準条例に基づきまして各施設は円滑な退所に向けて必要な援助を行うよう今義務付けられておりますので、高齢者施設住まいの相談センター等につなげるなどと適切に対応して頂けるものと考えています。なお、困難な事案につきましては行政が各施設や関係機関と連携しながら対応して個々に対応してまいりますので、現時点で実態調査を行う予定はありません。
みわ議員:市民の実態を本当につかんでいかなければいけないのではないかと思います。市民の立場から、国にしっかりとものを言って頂きたいと思いますので、実態調査を行うことを要望いたします。
最後にシングルの女性にとっては、高齢期の暮らしの現実は大変厳しいものです。横浜市男女共同参画推進協会が大阪や福岡の研究者と共同で、神奈川県内に在住し、非正規で働いている35歳から44歳のシングルマザーを除くシングル女性の調査を実施いたしました。労働者の4割が非正規労働者です。そのうちの7割が女性です。
また、不本意な非正規労働者は実数では女性の方が多く、その中で、シングル女性の貧困が大きな課題として見え、この調査報告書ではその支援の必要性を示唆しています。アンケートに女性たちは、自らの「老後の生活」について、「退職金もボーナスもない、将来生きていくのであれば生活保護しかない」35歳。「老後、年金だけでは施設に入ることも不可能。自分は孤独死するだろう」44歳。切迫した声です。アパートを三つも持っているというような方は別として、わずかな年金で、例えば国民年金だけで暮らしていらっしゃる方や多くの市民が、自宅で安心して暮らしたい、また、誰でも入れる特養ホームや、サービス付き高齢者住宅をと願っています。第2期「横浜市高齢者居住安定確保計画」では、「高齢社会を豊かな気持ちで生きがいを感じながら暮らせる、高齢者の居住の安定確保に」と策定されましたが、現実はあまりにも遠いというのが実感です。是非とも次期計画では、国民年金収入だけなどのわずかな年金で生活している方も、シングルで懸命に生きてきた女性も、安心して暮らせる住まいの確保についてを、これを課題として入れることが必要だと考えますが、局長の見解を伺います。
鯉渕健康福祉局長:私どもは2025年に向けて、地域包括ケアシステムを構築してまいりたいと考えておりまして、高齢者の方々が身体状況や経済力などに応じまして、必要な住まいが選択できることは重要な課題だと考えております。このため住宅施策を担う建築局と健康福祉局とで、それぞれの専門性を生かしながら連携を図ってまいります。健康福祉局としては、高齢者の介護や見守りなど様々なニーズに対応できるよう特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など具体的な施策について取り組みを進めてまいります。
みわ議員:今日は高齢者の安心と暮らしという視点から様々に質問をさせて頂きました。今度の計画には両局もですけれども、横浜市全体として本当にこの横浜で市民が本当に少ない年金でも高齢でお一人暮らしの女性にとっても一人でも安心して暮らせる住まいの確保を市政の視野に入れていくことを重ねて要望いたしまして質問を終わります。