白井議員:日本共産党を代表して、質問します。順番を変えますけれども、よろしくお願いいたします。
認可保育所をつくり保留児童が希望通り入所できるように
白井議員:子ども・子育て支援新制度の初年度である2015年度の決算にあたって、まず保育所等待機児童対策について質問します。
本市は保育所待機児童ゼロを政策目標に掲げ続けて、2016年4月1日時点で保育所等待機児童は7人ですけれども、保育所待機児童数の集計方法を伺います。
吉田保育対策等担当部長:厚生労働省の定義に則り、集計をいたしております。具体的には、保育所等の利用を希望したができなかった方の中から、横浜保育室など地方公共団体における保育単独施策を利用している方、育休を取得されている方、主に自宅で求職活動をされている方、特定の保育所等のみの申込者、これらの方々を差し引いたものを待機児童として集計しております。
白井議員:国で待機児童の定義や集計方法の見直しの検討会が始まったところですが、国の待機児童の定義はどう変遷してきたのか、2000年度以前、2001年度から2014年度、2015年度からの新制度において、説明お願いします。
吉田保育対策等担当部長:国の定義におきましては、平成12年度以前は、保育所に入所できなかった方のうち育児休業中の方を除きまして待機児童としておりました。平成13年度以降は、地方公共団体における保育単独施策の利用者や特定の保育所のみを希望している方につきましても、待機児童から除外しております。また、求職活動、これにつきましては、状況把握に努め適切に対応するという表現でございましたが、27年度からは求職活動を休止していることの確認ができる場合には待機児童数には含めないとの表現に変わってございます。
白井議員:本市では、2009年に林市長が就任直後に保育所待機児童解消プロジェクトが発足して、ゼロ目標が掲げられました。受け皿整備とともに行われたのが待機児童の集計方法の変更です。2011年から、一時保育・一時預かり・育児休暇の延長を除外して集計、先ほどからもお話あるんですけれども、そして2012年から自宅で求職活動中の人を除外して集計しています。2010年に1,552人だった待機児童数は、2012年に179人、そして2013年に目標通りゼロとなりました。
この目標達成のために、当然、国で除外してよしとしている項目はすべて除外しようということになります。ゼロに見えるように意図的に集計方法の変更が行われたことになりますが、この点どうなんでしょうか。
田中こども青少年局長:これまでも厚生労働省の定義に則り集計を行ってきております。本市では、区に保育コンシェルジュなどを配置することで、保護者の状況をよりきめ細かく把握することができるようになりました。その結果、一律で扱っていたものが、個々の状況を十分判断できるような状況になったということでございます。独自で市単独施策である年度限定型保育所などにも取り組んできています。こうした努力の結果として、除外項目が増えたということだと認識しております。
また、本市では、待機児童だけではなく、希望どおり入所できなかった方についても、20年10月から保留児童として公表しているところでございます。
白井議員:把握したところはしっかり除外してきたと、変更してきたということなんですが。
このところ、全国的に「隠れ待機児童」が注目されています。横浜では2016年4月に、利用申請者数から利用児童数を引いた保留児童数が3,117人です。待機児童数が7人ですから、3,110人が「隠れ待機児童」ということになります。新制度になっても、希望どおり入れてない人が3,117人もいるわけです。認可保育所を作って、この保留児童が希望通り入所できるようにすることが必要だと思いますが、どうでしょうか。
田中こども青少年局長:保留児童の中には、横浜保育室ですとか一時保育を利用している様々な状況の方がいらっしゃいます。保育ニーズも様々だというふうに認識しておりますので、そういったことを十分精査をして、整備の必要性を十分に見極めて、小規模保育事業や認定こども園、保育所などの整備を行うとともに、既存の保育資源を最大限度活用することにより、引き続き効果的な対策を講じていきたいと考えております。
白井議員:ニーズが様々なんだとおっしゃるんですけれども、保留になっているのは希望がかなえられなかったということだと思います。
そこで、希望の保育施設の大半は認可保育所ですけれども、民間法人が新設しようとしても保育士確保、そして土地確保がネックになると聞いています。
それなのに、本市としては市立保育所の民営化を進めています。現在84園のうち、今後2024年度までの8年間で28園を移管する計画、あります。民間法人が移管を受けることになれば、結果的に、その分だけ認可保育所の新設がなくなって、新設を圧迫することになります。認可保育所新設の担い手を確保するためにも、これ以上の民間移管はやめるべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。
田中こども青少年局長:現在、保育所の整備を進めてきている中でも、民間移管も並行して進めてきておりますが、一定の新設保育所の整備については確保ができている状況というふうに認識しております。
市立保育所の民間移管事業につきましは、利用者のみなさまの多様なニーズに迅速に対応することを目的に、移管と同時に開設時間の延長ですとか土曜日の給食等を実施しております。各法人の努力により増改築などが行われており、保育環境の改善ですとか定員の増も図られておりまして、市民の方の保育ニーズに対応することに結びついているというふうに考えております。今後も、現行の事業計画に沿って進めてまいります。
白井議員:再検討をお願いしたいと思います。
小規模保育事業の保育士配置を100%に
白井議員:それでは別の点ですが、新制度になって、0・1・2歳児対象の19人以下の小規模保育事業が始まりました。2015年4月と2016年4月の小規模保育事業の施設数と定員数を伺います。
吉田保育対策等担当部長:2015年平成27年4月には86施設、1,213人、翌平成28年4月は123施設、1,804人でございます。
白井議員:これには横浜保育室からの移行もあると聞いているんですが、こんなに一気に数が増えて、施設増えて、人数も増えています。
全国的にですが、保育施設での死亡事故が0・1・2歳児に集中しているということがありますので、小規模保育事業の質の確保、特別に重要だと思います。どのように確保しているのかを伺います。
宮本子育て支援部長:本市では、保育士等の専門性向上を目的とした研修を開催しており、27年度からは小規模保育事業の職員も参加をしております。また、開所前に施設長としての心構え、あるいは保育従事者としての姿勢などを学ぶ研修を新たに実施をいたしました。このほか、年1回実地検査を行うほか、新規開設施設には保育園長の経験のある保育所サービス指導嘱託員が訪問し、施設運営や保育に関する相談・アドバイスを行っております。
白井議員:研修も相談も本当に大事だと思うんですけれども。
この小規模の事業の中には、保育士の配置基準が3分の2以上となっているものもあって、認可園のような100%配置ではありません。横浜保育室の基準が3分の2以上となっていて、横浜保育室から移行する園があって、事業者の都合もありますから、経過措置としてはこれでよしとしても、子どもの命を考えた時に、一定年数過ぎれば100%保育士配置とすべきと思いますが、どうですか。
田中こども青少年局長:国における保育士の配置基準は半数以上となっております。本市においては小規模保育事業の開始にあたり、保育の質を確保することが重要であると考えまして、3分の2以上として上乗せをしております。19人の利用定員の場合、必要な保育従事者は5人となりまして、保育士の配置は3分の2以上のため実質的には4人となりますので、この場合保育士の占める割合は実質的に8割となります。また、保育士以外の保育従事者に対しては、一定の研修を義務付けているところでございます。
白井議員:基準を引き上げることなしに公的責任果たすことはできないと思いますので、よろしくお願いします。
児童相談所の児童福祉司・児童心理司を増やせ
白井議員:次に、児童相談所の児童福祉司・児童心理司の配置についてです。
児童福祉法の一部改正で、児童相談所の児童福祉司・児童心理司などの体制強化などが行われました。施行令に基づく児童福祉司の配置基準は、本市は市内4か所の児童相談所で、10月1日のこの基準は満たしていますけれども、施行令の基準はあくまで最低基準であって、満たせばよしではなくって、円滑に業務を行うのに見合う人数、確保するのが市の責務と考えますが、どうお考えでしょうか。
田中こども青少年局長:今回の改正では、31年4月までに児童相談所の児童福祉司は所管人口4万人に1人以上配置することを基本とし、また、これに業務量に応じた加算を行うものとされております。法令の趣旨から、経過措置も踏まえながら満たしていくべき基準であると考えております。
白井議員:厚労省が2015年2月に全国の児童相談所児童福祉司の業務量調査を行っています。本市のある児童相談所からの報告書、見ました。年間相談件数が3,069件のうち3分の1が児童虐待の相談です。
児童福祉司経験1年のAさんは中度事例の虐待相談54ケース担当していて、3年のBさんは重度・生命の危機あり、遺棄・置き去り事例の虐待相談64ケース担当、そして経験6年のCさんは中度事例の虐待相談25件担当で、もう本当にひとりに相当の負担がかかっていると、この報告見て感じました。
調査期間1週間のうち、3人とも定時に終了した日はなくって、お2人は週3日4日は午後9時すぎまでかかっています。これが常態化しているとすれば、心身ともに限界状態ではないかと考えます。どうしても国基準以上の増員が必要と思います。どうでしょうか。
田中こども青少年局長:本市では、児童虐待の対応として、本年度10人の児童福祉司を増員してまいりました。必要な体制については、今後検討していきたいと考えております。
白井議員:この報告で、意識調査で、3人とも週に数回以上、ケースが多すぎて丁寧な対応が取れない、働きすぎであると感じています。現場では、やりがいのある仕事だと聞きました。だからこそ増員が必要だと思っております。
それでは、全国の児童相談所長会が2015年に厚労省に要望をしています。「児童福祉司の人員増とともに、児童心理司などの専門職の配置基準、また配置基準が定められるまでの暫定期間として、児童心理司を少なくとも児童福祉司3名に対して2名の割合で配置すること。」この児童心理司の職務内容、説明お願いします。
細野こども福祉保険部長:国の通知である児童相談所運営指針では、児童心理司の職務内容として、子ども、保護者等の相談に応じ、診断面接、心理検査、観察等によって、子ども、保護者等に対し、心理診断を行うこと。子ども、保護者、関係者等に心理療法、カウンセリング、助言指導等の指導を行うこととされております。
白井議員:現場で聞いてきました。子どもの心の傷つきがどうかを診断して、虐待対応では面会の場面などに児童福祉司とペアを組んで、子どもをどうやって癒していくか、親に返すか返さないか、どうやって親に返していくか、児童福祉司と相談してタイミングを計るということでした。
この児童心理司のこれまでの配置規定、また法改正の内容を伺います。
細野こども福祉保険部長:法改正以前は、児童相談所運営指針に児童心理司をおくことは定められておりましたけれども、人数については特に定めはありませんでした。今回の改正により配置する人数は法令の規定ではなく、改定された児童相談所運営指針に、児童心理司は児童福祉司2人につき1人以上配置することを標準とすると示されました。
白井議員:要望には届いていないんですが、前進だと思います。
それでは、現在の配置人数と、それから通知に基づく配置をした場合の試算での必要数はどうなんでしょうか。
細野こども福祉保険部長:28年4月現在、20人の児童心理司を配置しております。児童福祉司の配置人数の経過措置を踏まえて、児童相談所運営指針で示された内容で算出しますと、28年10月では39人、29年4月では45人となります。
白井議員:この試算された数の、この10月に必要な数の半分程度しか今、配置されていないということなんですが。
2015年度、厚労省が行った「児童相談所児童心理司の業務に関する研究」によると、「今後、虐待対応、特に初期対応に児童心理士が積極的に関わることになる場合、人員配置の向上が必須である」といっています。なので、このように、望ましい数はもっと多いのだということなんです。
本市での配置を計画的に段階的に充実させる必要があると思います。局長はどうお考えでしょうか。
田中こども青少年局長:児童心理司の配置については、児童相談所運営指針、通知でございますけれども、これによって示されたところでございます。必要な体制については、今後も検討してまいります。
白井議員:副市長に伺います。憲法、そして児童福祉法、児童憲章、子どもの権利条約において、子どもの人権が保障されています。「児童相談所は子どもの人権の拠点となる機関だから、運営そのものが人権保障の鏡でなければならない。勤務状況の改善を求め続ける」と、関係者から聞いています。児童福祉司・児童心理司の配置、より一層充実することが必要と思います。副市長の見解、伺います。
柏崎副市長:横浜市では、児童虐待の対応として初期対応を初め、再発防止や家族再統合など、家庭に寄りそった継続的な支援が行われるよう、これまでも体制の整備に努めてまいりました。先ほど、局長からもご答弁申し上げましたとおり、法改正の趣旨を踏まえまして、児童福祉司や児童心理司などが適切な支援を行えるよう、必要な体制を今後も検討してまいります。
白井議員:数年前の女の子の死亡事件の時に、本当に集団的な対応が行われたんですが、まだまだ職員の数の充実、必要と思います。よろしくお願いします。