2009年4月2日
横浜市教育委員会 教育長 田村 幸久 様
日本共産党横浜市議団 団 長 大 貫 憲 夫
横浜市教育委員会は、「親の学び支援事業」として、受験産業大手の民間企業㈱ベネッセコーポレーションと協働して、「はまっ子家庭学習まるわかりガイド(小学生版)」および「はまっ子家庭学習パーフェクトガイド(中学生版)」を作成し、2・3月に小中学校の新入生の保護者に配布し、今後も学級懇談会や、セミナー、家庭教育学級などで活用していくとしています。
この家庭学習ガイドブックは、新入生の保護者に対して新学習指導要領や家庭学習のヒント、学習アドバイスなどのほか、後半4ページおよび裏表紙の約3分の1にわたって、ベネッセの「進研ゼミ」の広告を掲載し、無料で鉛筆やドリルをもらえる応募はがきが添付されています。
この編集方法は、家庭学習の大切さやノウハウなどの記載で家庭学習に対する不安をあおったのちに、特定企業の通信教育を勧誘していると受け取れるものです。受け取った保護者からは、「学校から配布された冊子に特定企業の広告がついていることで、先生が特定企業を勧めているように受け取れる」という声が寄せられています。公正公平・中立を保つべき市立の学校で配付するものとして、ふさわしくありません。
この作成は、本市の共創推進事業本部の広告事業マッチングシステムにより進められ、1,500万円の製作費をベネッセが全額負担し、教育委員会はいっさい経費を負担していません。このことは、一民間企業に経費負担と引き換えに宣伝の場を提供したということです。教育長は、発行記念懇談会で今後もこの方式で冊子を作成することを表明しています。経費削減を第一義の理由に、公教育を行う教育委員会が保護者に配付する冊子に、教育産業の広告を掲載すべきではありません。教育委員会も「きょうよこ」等の広告募集にあたっては、学習塾等の受験業者を除外しています。民間企業のもつノウハウやデータを活用して共同で作成するにしても、それにかかる必要経費は、教育委員会が負担すべきです。
新学期を迎えるにあたり、下記の項目について緊急に対策を講じられるよう、申し入れます。
記
1.今後、家庭学習ガイドブックの配布は中止すること。
2.児童・生徒・保護者に配付する冊子・資料等の作成にあたっては、企業に広告の場を提供することになる、広告事業マッチングシステムを採用しないこと。