電話や訪問もなく3万5740世帯に国保の資格証明書発行
白井議員:日本共産党を代表して質問します。よろしくお願いいたします。
まず、国民健康保険資格証明書の交付についてです。
特別の事情がないのに保険料を1年間滞納すれば、保険証の返還が求められ、資格証が交付されます。その手続きはどのようなものか、伺います。
上野健康福祉局長:本市では、滞納している世帯に対して、まず納期ごとに督促状を送付し、その後催告書を年3回送付しております。また、その間に職員や地区担当委員による電話催告、訪問催告など、滞納者と接触するためのさまざまな手段を講じております。こういった再三の働きかけにもかかわらず、保険料の納付や納付相談のない場合などに、被保険者証の返還請求警告および返還請求の手続きを経た上で、資格証明書を交付しているところです。
白井議員:滞納者にこれらの書類を送って、順次対象者をしぼって資格証の発行となる流れなんですけれども、直近の2007年の10月、保険証が一斉更新された際に、それぞれの段階の発行数を伺います。
上野健康福祉局長:平成19年の10月に一斉更新やったわけですけれども、その際の資格証明書の交付に先立って、8月に被保険者証返還請求警告書を2万3053世帯に送付しました。これによっての接触が図られなかった1万6361世帯については9月に被保険者証返還請求書の送付をしております。
また、これとは別に、従来から資格証明書を交付しております2万1940世帯に対しては、9月に更新の際に警告書を送付をいたしております。
その結果、10月1日の時点で、3万5740世帯に資格証明書を交付をしております。
白井議員:資格証が交付されたのは3万5740世帯ということですけれども、こちら事前の調査の推測なんですけれども、このうちの約1万4000世帯が新規の交付と思われるんですけれども、この中には書類を送っただけで、電話や面接もしないまま資格証を交付しているケースも含まれているのかどうか、伺います。
上野健康福祉局長:資格証明書は加入者間の負担の公平を確保するという観点から、滞納者との接触の件を確保して、自発的に保険料を納付を促進するために交付をしております。再三の呼びかけに応じていただけないご指摘のようなケースが含まれていると思います。
白井議員:電話も面接も全くなく、接触しないまま交付されている資格証があるということを確認したんですけれど、資格証での受診というのは、窓口で医療費を全額負担することになるので、当然受診を控えるわけです。全国的には受診を控えたために死亡者も出ている状況ですけれども、資格証の交付は本当に命にかかわるものです。資格証のこのような重大な性格からいえば、各区の担当職員は大変忙しいと聞いているんですけれども、区役所職員の特別体制を取って、接触できない世帯の実態把握をすべきと考えますが、どうか伺います。
上野健康福祉局長:区役所の保険年金課では、毎年4月と10月の被保険者証の更新時期には、納付相談に応じるための体制を、課をあげてそういったかたちを整えているわけです。また、日ごろから文書、電話、訪問による催告に加えまして、サービス課との相談窓口との相互の連携を図ることによりまして、滞納者の実態の把握にも努めているところであります。
白井議員:それでは、昨年12月26日に厚生労働省通知がでまして、それでは「接触の機会の確保は、可能な限り文書だけでなく電話や面接を行うこと」と、こういうふうにしています。本市が行っているのは、文書を送っているだけで、返答のない場合には生活困窮も考えられるわけですから、電話や面接を行い、実態把握に努めるべきだと思うんですけれども、特別の事情の有無を把握できないまま資格証の交付をしていることになって、これは通知に反していると思います。電話や面会で特別の事情の有無をつかむまでは、資格証を発行してはいけないわけなんです。通知どおりやるべきと考えますが、どうか伺います。
上野健康福祉局長:先生おっしゃったのは昨年12月26日の厚生労働省の通知の件だと思いますけども、この通知のなかでも資格証明書の交付に先立つ対応として、文書だけでなく電話や訪問により滞納者との接触をはかるということと、滞納者に対して滞納が継続すれば資格証明書の交付を行うものの周知をはかる、あるいはまた滞納者が相談しやすい環境づくり、庁内の連絡体制の整備といったことが通知で求められているわけでして、これらにつきましては、ただいまお答えしたとおり、本市では従前から関係のサービス課を含めて連携をとったり取り組んでいるところでありまして、今後もしっかり対応していきたいと考えています。
白井議員:厚生労働省の通知が出た背景というは、機械的な資格証の発行が横行していることを改めなさいということで、そういう判断ですから、この12月26日の通知、重く受け止めて、通知どおりに改めるよう、していただきたいものです。
医療を受ける必要がある世帯には無条件に保険証発行を
それでは、資格証交付世帯の医療の必要な方への対応について、小池晃参議院議員の文書質問に対して政府答弁があって、1月20日に厚生労働省から事務連絡が出されているときいていますが、どういう内容なのか伺います。
上野健康福祉局長:この事務連絡でありますけれども、先生がおっしゃったように、小池参議院議員の質問に対する政府答弁の内容と、それに対する市町村の対応、留意点について示されておりまして、まず政府答弁の内容としましては、子ども以外の被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ医療費の一時払いが困難である旨の申し出があった場合に、保険料を納付できない特別な事情に準ずるとして、市町村の判断によって短期被保険者証を交付することが出来ると示されております。
その上で、通知は市町村の対応にあたって、この政府答弁は資格証明書の運用にかかるこれまでの考え方は変更するものではないということが示されていると思います。
白井議員:2月26日の本会議で、関議員の質問に対して市長の答弁で、「資格証の世帯が、病気の場合に窓口に来て保険証を発行してほしいと申し出た場合、引き続き個々の世帯に応じたきめ細かな対応をしていく」と答弁されているんですけれども、確認の意味で再度伺うんですけれども、この事務連絡を受けて、本市としてどのような、見直しを図ったのか、伺います。
上野健康福祉局長:いまの事務連絡で、すでにお答えしましたように、その通知のなかでこの政府答弁、資格証明書の運用にかかるこれまでの考え方は変更するものではないというふうに改めて示されているところであります。このことから、本市としては国の事務連絡の趣旨もふまえて、引き続き医療費の一時払いの困難な状況も含めまして、特別の事情が窓口等でしっかり把握したうえで、個々の世帯の状況に応じたきめ細かな対応を努めていきたいと考えております。
白井議員:この政府答弁と事務連絡は、世帯主から申し出があった場合には、全ての人に無条件で短期証を交付することと読みとれるんですけれども、どのように認識でしょうか。
上野健康福祉局長:繰り返しになりますけれども、事務連絡においては、市町村の対応にあたってこれまでの考え方を変更するものではない、市町村の短期保険証の交付の必要性を判断するというふうに示されているところでありまして、従来からこの趣旨に則って滞納者との接触をはかるさまざまな手段を講じて、特別の事情の有無の把握に努めているところであります。
白井議員:特別の事情の有無の把握に努めるということなんですけれども、全員には出せないということをおっしゃるんですけれども、悪質滞納者を念頭においているのではないかと思えるんですけれども、この政府答弁と事務連絡というのは、悪質滞納者以外の申し出者には全員短期証を交付すべきとの内容なんです。本市が従来どおり全員には出せないといっているのは、事務連絡の趣旨に反しています。また、資格証交付の目的というのは滞納者との接触をはかるためのものですから、本人が申し出れば接触ができたわけですから、接触ができた以上速やかに短期証を出すべきです。この事務連絡通り、申し出者全員に短期証を発行すべきと思いますが、どうか伺います。
上野健康福祉局長:何回も繰り返しになって恐縮ですけれども、横浜市としても、滞納者との接触の機会を確保して、速やかに具体的な状況を確認したり、納付相談のなかで、特別な事情を把握した上で、短期被保険者証の交付を含めて、個々の仔細に応じたきめ細かな対応に努めているということであります。これは、今回の事務連絡に沿った対応そのものであるというふうに考えております。
白井議員:見解が違うようですけれども、この1月20日の事務連絡、ちょっと重く受け止めていただいて、生活実態を踏まえて速やかに交付をお願いしたいものだと思っています。
18歳未満にも無条件に保険証発行を
それでは、小中学生には法律の改正により4月から無条件に保険証が交付されることになりました。さらに、高校生など18歳未満に対して、バイトなど仕事中に怪我をする頻度が多くなって医療の必要性が高くなることから、本市の判断で無条件に国保証を発行すべきと考えますが、伺います。
上野健康福祉局長:今回の法改正で資格証明書の交付除外とする対象年齢が中学生まで拡大されたところでありますので、本市としては改正以上に対象年齢を引き上げることは考えておりません。引き続き、個々の滞納世帯の状況に応じて、きめ細かな対応に努めていきたいと考えております。
白井議員:現状では考えていないということですけれども、ぜひ前向きに検討をお願いいたします。
医療機関整備資金貸付事業は継続せよ
つぎに、医療機関整備資金貸付事業について、伺います。
市内医療機関の整備を促進する目的で長年行われている融資事業です。これについて昨年、病院協会の一部役員らによる不適切利用が問題となりました。返済すべきとされた融資繰上げ償還は終了したのか、そして本市逸失利益を請求したのか、どうか伺います。
上野健康福祉局長:貸付の要綱の規定によりまして、繰上げ償還の指示は病院協会が行うことになっております。病院協会では、当局の調査により、不適切利用が認められた融資案件、具体的には13件ありましたけれども、これについて昨年9月に繰上げ償還の指示を行いまして、それでもなお繰上げ償還が行われていない案件については11月に督促を行っております。現在繰上げ償還が行われていないものは1病院2件となっておりまして、この2件の繰上げ償還や逸失利益の請求について、現在本市弁護士と相談をしているところであります。
白井議員:終了していないのが1病院2件ということなんですけれども、これは「新横浜母と子の病院」なんですけれども、なぜ応じないのか、そしてまた逸失利益請求がいまだ出来ていない理由はなにか、ちょっと伺います。
上野健康福祉局長:相談した弁護士から、本件の貸付制度の場合、横浜市と病院協会あるいはその金融機関、病院の権利義務関係が複雑にからんでいるということでありまして、取立て方は支払いを拒んだ場合に訴訟というのは可能なんですね。もちろん考慮しているわけですけれども。その際、法律関係をしっかり整理したうえで、慎重に対応する必要があるということで、いま本市としても慎重に時間をかけて検討しているところであります。
白井議員:当該の病院長というのは市長との関係が取りざたされた方です。市政の透明性の上からも早急に対策をとってくださるよう、要望いたします。
それでは、その融資事業には毎年新規の希望がありましたけれども、なぜか今年度は融資を希望した医療機関はありませんでした。この背景には、先に述べた病院協会による不適切利用の発覚があって、希望したくても手をあげられる状態になかったために応募がなかったのではないかと考えるんですけれども。来年度予算で新規の募集が廃止されます。需要がないと判断しての廃止なんでしょうか。本当に需要がないのか、もう少し推移を見てから取りやめを判断すべきものと考えますけれども、見解を伺います。
上野健康福祉局長:この事業は、医療施設の整備促進をはかるために、低利または無利子で融資を行うという事業であります。近年極端な金利の低下の影響から、事業募集を停止しようというふうに考えております。
一方で、産婦人科医の確保あるいは周産期医療対策などの課題に対しては喫緊に対応する必要があるということで、助産所とかあるいは医療人材確保を目的としました院内保育所の整備、こういったことについては新たに補助制度を創設して直接的な補助ということで、より効果的な事業ということで転換をはかっているところであります。
白井議員:いま産科や院内保育所などの整備も対象にということもいわれたんですけれども、本当にいまタイムリーで必要とされている事業だと思われるんですけれども、病院協会の一部幹部による不祥事で、医療機関が不利な立場にあって、これに付け込んで有無を言わさず本市が融資事業を廃止するということは大変アンフェアだと思います。ぜひ慎重な判断をお願いしまして、質問を終わります。