急いで新たなMICE施設をつくる根拠は極めて薄い
横浜市議会では市長が提案した議案に関しての質問が行われ、宇佐美さやか議員が日本共産党を代表して、MICE施設整備事業、指定管理者の指定、およびマイナンバー制度関連条例について、質問しました。
みなとみらい21地区のパシフィコ横浜に隣接して、多目的ホールと会議棟を有する新たなコンベンション施設を建設するための事業契約を竹中工務店グループと締結する議案が出されました。横浜市は、「首都圏のMICE施設の稼働率が高く、国際会議の開催需要に応えられていない実情にあり、多くの開催機会を損失して」おり、東京オリンピック開催にあたってさらに施設の不足が予想されるために、新たなMICE施設を建設する必要があるとしています。
しかし、国際会議は2014年の国際会議開催統計によれば横浜が18件に比べて東京は90件、展示会開催数は2013年度の日本展示会協会の発表によればパシフィコ横浜での5件に対して東京ビックサイトは190件です。さらに、東京都心部では、国家戦略特区を利用したMICE施設整備が目白押しです。
宇佐美議員は、施設の規模や交通利便性などを冷静に考えれば、今回提案された施設を加えても東京にはとても太刀打ちできず、「新たなMICE施設を今急いで建設する理由は極めて根拠として薄い」と主張しました。
今回の計画では建設予定地内の市道を廃道にして事業用地に編入しています。しかし、道路廃止には議会の同意手続きが必要であり、また開発許可の手続きや「横浜みなとみらいまちづくり基本協定」等のルールに従う必要があります。
宇佐美議員は、「一番の問題は、関係局との協議が整っていない、また一連の手続きもされていない状態での議案提出であり、前代未聞の由々しき事態」と指摘。さらに、「関連道路の廃道について議会の同意という重要な手続きを無視したことは、二元代表制そのものを否定したものと言わざるを得ない」として、議案をいったん撤回するよう市長に求めました。
林市長は、パシフィコ横浜は稼働率が大変高く、問い合わせの約2割にしか対応できていないため、新たな施設を整備してグローバルMICE都市の確立を目指すと答弁。また、本事業に伴う協議や手続きは、事業契約による事業者と計画案が決まった後に正式に進めるのが通常のプロセスであり、議案提出に何ら問題ないと答えました。
◎質問と答弁の全文はこちら「■「議案関連質問」 宇佐美さやか議員」をご覧ください。