日本共産党横浜市議団は12・13日、高崎市、前橋市、新潟市を訪れ、学校給食、商店リニューアル助成事業について、視察しました。視察には、大貫憲夫、岩崎ひろし、あらき由美子、古谷やすひこ、白井まさ子、かわじ民夫、みわ智恵美、北谷まり、宇佐美さやかの各議員と政務調査員3名が参加しました。
高崎市:地場産野菜で工夫をこらした給食
高崎市教育委員会からお話を伺いました。
高崎市の市立小中学校・養護学校・幼稚園では、68校園で自校方式(ひとつの施設で複数の学校給食を作る親子方式を含む)の給食が、24校園でセンター方式の給食が行われています。2006年の合併前の旧高崎市では自校方式の給食が行われていましたが、編入合併した6町村ではセンター方式で行われていたため、現在でも24校園ではセンター方式が継続されています。今後、老朽化に伴う建て替えなどにあわせて順次自校方式に変える方針です。
現在、63の自校方式の施設と4つの給食センターに1~2名の栄養士が配置されています。栄養士は、献立の作成や食材の購入、調理の指導、児童・生徒への食指導を行うほか、食材や食指導、広報誌作成などの専門研修を行っています。研修の結果、「高崎しょうゆ」や「高崎特栽ソース」の開発や、「広報高崎」にメニューを紹介するなどの成果が生まれています。
また、地場産の農産物の活用に力を入れています。可能な限り地域のもの、それが無理なら県内産を使うようにしており、2014年度の県内産野菜使用量は重量ベースで48.1%にのぼっています。
東日本大震災の時に小学校の副校長をしていたという市教委職員は、地震後に栄養士や調理員が残っていた食材ですいとんを作ってくれたと、涙ぐみながら話してくれました。自校方式の給食を行っているがゆえに出来ることです。
高崎市:大好評の商店版リフォーム助成制度
日本共産党高崎市議団の依田好明、伊藤あつひろ、田村おさむ議員から、「まちなか商店リニューアル助成事業」について伺いました。
高崎市では、全国に先駆けて2011年から店舗の改装や備品の購入などに補助金を出す事業を始め、全国の自治体などが視察に訪れています。この事業は、高崎市内で店舗を営業している人、これから営業しようとしている人が、市内の業者を利用して店舗の改装や備品を購入する際に、100万円を上限として費用の半額を補助するというものです。
高崎市では、個人の住宅改築の費用を20万円を上限として30%助成する住環境改善助成事業(いわゆる住宅リフォーム助成制度)が好評で、次は商店への助成だということで、市職員が商店に出向いて要望を聞き、商店向けのリフォーム助成制度を始めました。
伊藤議員が、市役所周辺の商店街を案内してくれました。助成制度を使って、古い蔵を改造した着物屋、玄関口を新しくした食べ物屋などがありました。
市税収入が増えるなどの目立った効果はまだないということですが、民主商工会の会員などからは、この制度が後押ししてくれて商売を続けることにした、店を改築してがんばる気が出たなどの喜びの声があがっているということでした。
前橋市:「おもてなし」のための店舗改装に補助金
前橋市では、「前橋市ホスピタリティ向上支援事業」について、産業経済部にぎわい商業課の永井課長、細井、茂木さんにお話を伺いました。
前橋市は、2005年のまちづくり三法改正審議前の国会議員向けレクチャーの中で、疲弊した商店街の視察先として選ばれたほど、空き店舗が多く、通りの2割が空き店舗という商店街もあったほどでした。空き店舗対策事業は2005年度から実施していましたが、既存の店舗に対する助成制度として2015年度からホスピタリティ向上支援事業を始めました。
この事業は、中心市街地の対象区域内で1年以上営業している店舗が、お客さんに対して「おもてなし(ホスピタリティ)」の観点から店舗を改装する場合に、100万円を上限として経費の半額を助成するというものです。補助対象は、トイレ・洗面所、看板・窓用サッシの修繕、外壁塗装、クロス張替え、おむつ交換台や休憩スペースの設置などです。2015年度の実績は、利用件数34件、決算見込額は約2,400万円です。
市役所内ではなく、商店街の中に現地事務所を設けて職員が詰め、日ごろから商店街の様子を見たり、要望を聞いているということで、商店街を良くしたいという職員の意欲が感じられました。
その後、日本共産党前橋市議団の中道なみ子、長谷川薫、小林久子、近藤よしえ議員と懇談しました。
隣の高崎市の制度では、備品の購入、夜間営業店も対象に入っており、全市域が対象となっていますが、前橋市ではそうなっていません。これらを対象とするとともに、工場や事業所等も対象とするよう、要求しているということでした。
新潟市:「おもてなし」のための店舗改装に補助金
新潟市では、「地域商店魅力アップ応援事業」について、経済部商業振興課の小林係長、佐山さん、村尾さんにお話を伺いました。
新潟市では、地域商業全体の活性化を図ることを目的に、集客向上や売上増加のために、地域の商店が実施する魅力づくりを支援するための事業を2015年度から3年間の予定で実施しています。対象は、市内の小売業、飲食業、生活関連サービス業(保険媒介代理業、写真業、旅館、映画館など)で1年以上継続して営業しており、従業員が5人以下あるいは売り場面積250㎡以下の店舗で、店舗の改装工事や備品購入に対して100万円を上限として経費の1/3を補助します。
2015年度は6月から始め、135件、6,336万円の利用がありました。市が助成事業を利用した事業者に対して行ったアンケートでは、45%で来客数が増加したと回答、また41%が補助がきっかけで改装することにした、45%が補助が出るためにグレードアップしたと答えました。
新潟市は2005年に12市町村が合併して政令市になりました。合併前の市町村で行っていた商工農業関係の振興課が、各行政区に残っています。また、旧市町村毎に特徴があり、また事情も異なっています。そのため、商業関係事業の窓口は各区にあり、それを本庁の商業振興課がまとめています。
活用例として、看板のライトアップや玄関の改装、小上がりを掘りごたつに改善、トイレを洋式化した焼き鳥屋の例、ショーケースの取り換えや床の張替え、計量ラベルプリンターの設置などを行った小型スーパーの例が紹介されました。この小型スーパーは、事業者が高齢で商売をやめようと考えていたそうですが、その地域には近隣に食料品店がなく、助成制度によって、事業者も地域も助けられた例だとのことでした。
その後、日本共産党新潟市議団の五十嵐完二、野本孝子、倉茂政樹、平あや子、飯塚孝子議員、田村事務局長と懇談しました。
この事業は当初、商店街団体加入者のみが対象となっていましたが、日本共産党の要求により団体加入の要件がはずれました。先に述べた小型スーパーは、団体加入が条件であれば対象外だった例です。
その後、この制度を活用して、床の張替えと冷蔵庫の購入を行ったホテルを視察しました。オーナーの女性は、この制度があることで商売を続けようと思ったと話しておられました。
日本共産党横浜市議団は、今回の視察で得られたことを活かして、中学校給食の実施や、中小企業振興に向けて、取り組んでいきます。