高速鉄道4号線などの市税で支払う市債返済期間を延長し、
市民サービスの水準の低下を招くことなく臨時財政対策債発行の抑制を
関議員:日本共産党を代表して、質問します。
臨時財政対策債は、本来交付税で措置すべき地方の財源不足について、後年度の国による交付税措置を実質的に約束した上で、国と地方が折半で臨時的に補てんする趣旨で導入された制度ですが、まず07年度を含めた過去5年間の発行額を伺います。
大場行政運営局長:平成15年度が745億円、以降538億円、413億円、379億円、344億円となっております。
関議員:減少傾向にあるようですが、発行額はどのように決定しているのか、伺います。
大場行政運営局長:臨時財政対策債については、地方税制計画によって、全国総額が決定されます。そこから、今度地方自治体に人口を基準として按分されてまいります。全国総額が最近は減少傾向にありますので、発行額も減少しておりまして、本市では国により発行可能額として通知をされた額を満額発行しております。
関議員:当初3年間の臨時的な措置が2度の延長で長期化し、多額に発行された元利償還金も、国との折半でなく、全額地方負担分として臨時財政対策債での対応とされています。07年度末で残高はいくらになっているのか、一般会計市債残高全体に占める割合はどうか、伺います。
大場行政運営局長:臨時財政対策債、19年度末の残高は約2,966億円、一般会計の市債残高が約2兆3,825億円でございますから、割合としては約12.4%でございます。
関議員:多額の借入金の償還を新たな借入金で賄うということで、残高は増える一方です。残高が膨らむことについてどう考えているのか、また、国に対し抜本的な見直しを求めていますが、その実現性について見通しをどう認識しているのか、伺います。
大場行政運営局長:臨時財政対策債に係ります元利償還金は本来交付税として現金で交付をされるべきものと考えております。もともとお話ありましたように、平成13年度から3年間の臨時的な措置として導入をされましたが、2度にわたる延長ということで長期化をして、各自治体とも当初想定していない額の残高を抱える状況となってございます。
横浜市としても、このような状況を改善すべく、国に対して法定率の引き上げなどの抜本的な制度の見直しの働きかけをしております。国においても大変厳しい財政状況でございますので、この実現性については不透明な見通しとなってございます。
関議員:不透明な見通しということですが、国から元利償還分が交付税として交付されないとすると、後年度負担という点では一般的な市債と同じものとなり、同様に抑制すべきでないのか、見解を伺います。
大場行政運営局長:本市では、平成16年度から将来の世代に過度の負担を残さないようにということで、一般会計においては臨時財政対策債も含めたすべての市債を発行抑制の対象として、着実に残高の縮減に努めてきております。
関議員:先ほどの答弁で、国の枠で満額を執行しておりますということをお答えになったんですけれども、その満額執行そのものを抑制することはないでしょうか。
大場行政運営局長:財政部長の鈴木からお答え申し上げます。
鈴木財政部長:臨時財政対策債については、いまのところ基準財政需要額にも算入されるという制度になっておりますので、基本的には発行していきたい。ただし市債全体については総額で管理をしておりますので、そういったなかで横浜市全体の市債の残高については抑制基調という方針でいきたいというふうに考えております。
関議員:市債としては抑制をするということなんですけれども、そのように財政の広告などにも書かれているんですけれども、しかしよくよく見ますと、この臨時財政対策債そのものも市債と同様で、それについては抑制がされていないんですよ。これは説明としてもまずいし、そのあたりのところについてどう考えるかということなんですけれども、もう一度お願いします。
鈴木財政部長:先ほど申し上げましたけれども、臨時財政対策債については、それも含めて市債の発行管理をしているということで、ご理解をいただきたいと思います。
関議員:ちょっと認識の違いだと思うんですけれども。
借入金を増やし続けることは問題です。しかし、臨時財政対策債は、運営費の一部に充てられているため、抑制すれば保育など市民サービスの水準の低下を招き、問題だと思います。そこで、高速鉄道4号線の債務を、市税で10年間で返済する計画です。また、南本牧埋め立て事業、上大岡駅西口地区再開発事業は、収支不足解消分等の債務をそれぞれ27年間、13年間で解消する計画としていますが、これら3事業の返済の期間を延長することで、臨時財政対策債の抑制分にあてるべきと考えますが、見解を伺います。
大場行政運営局長:先ほどからお答えをしておりますが、本市においては臨時財政対策債を含めたすべての発行抑制を対象としております。15年度の中期財政ビジョンのなかでも市税等で償還することとした高速鉄道事業会計や事業地会計等への繰り出しについては、償還を先送りすることなく、計画的に行っていくことが持続可能な財政には不可欠であると、このように考えているところでございます。
関議員:この3事業では、政策的に融通が利くと認識をしているんですけれども、そういうことではないということでしょうか。
大場行政運営局長:いまお答えしたとおり、償還を先送りすることなく、計画的に進めていきたいというふうに考えております。
関議員:先送りしようと思えばできるわけですか。横浜市の財布からでているわけでしょ。どうですか。
大場行政運営局長:先送りをすることなく、計画的に行っていくことが、持続可能な財政には不可欠であると、こういう判断にいま立っているところでございます。
関議員:我が党としては、これはやはり延長を考えていただきたいと考えています。ぜひ検討を要望して、次に進みます。
調査結果をよく分析して女性責任職登用の促進を
関議員:次は、女性責任職の登用についてですが、自治体で政策決定に関わる女性責任職の登用は、自治体の努力で改善できるものであり、その自治体の男女共同参画の取り組みが直接表れる問題だと思います。その意味で、市として女性責任職の比率の目標数値を定めたことに対して評価するところです。そこで、2020年までの達成目標を係長級30%以上、課長級20%以上とした理由は何か、伺います。
大場行政運営局長:評価いただいたこと、厚くお礼を申し上げたいと思いますが、内閣府の方で2020年までにあらゆる方面における指導的な地位に占める女性の割合を30%にするという数値目標を掲げて、男女共同参画の取り組みを進めております。この数値目標を本市としても参考として、本市の女性職員の新採用、昇任、あるいは退職動向も踏まえたシミュレーションを行った結果、大変高い目標ではございますけれども、男女共同参画を市役所も積極的に進めていこうということで、係長以上の割合を30%という設定をいたしました。この30%は、現状が14.5%ですから約2倍ということになります。課長級についても現状の8.3%の約2倍ということで、20%を数値目標としたところでございます。
関議員:係長昇任試験の受験率は、10年前と07年とくらべると、女性も10.2%から6.1%になっており、低下傾向を続けて深刻です。責任職の登用比率を高めるためには、昨年女性職員のみのキャリアに関するアンケートを実施しています。結果はどのようなものだったのか、また、責任職の比率が低い理由を局長はどうみているのか、伺います。
大場行政運営局長:女性の職員が係長昇任試験を受験しない理由ということで、家庭生活との両立がしにくいということですとか、自分の価値観と少し合わないと、あるいは知識・技術に自信がない、こういう理由が上位の方にあがっております。これまで仕事が多忙になって子育てとの両立が困難であるということから、受験をしない職員が多かったのではないかというふうに考えますが、アンケートの上位にあがりました知識・技術に自信がないという理由については、私の方も想定をしていなかった要件でございます。
関議員:07年度、年次休暇の職位別取得状況、そして08年度から取り入れている職位別取得者数をそれぞれ伺います。
大場行政運営局長:19年度の行政職員の年次休暇の平均取得日数ですが、職位別ということで、職員は14.2日、係長級が7.8日、課長級が5.9日、部長級が6.3日、区局長級が5.6日となってございます。仕事子育て両立のための職員参加プログラム、DOプランでは、全職員が年次休暇を10日以上取得をしていこうという目標を立てております。責任職となっても年次休暇を取得できる職場環境づくりを進めることが必要なことと考えております。
それからもうひとつ、今年度から始まった制度でありますが、4月から6月までの行政職員の時間単位での年次休暇の取得者数ですが、職員が1377人、係長級が218人、課長級が70人、部長級が15人、区局長級が7人となっております。まだ3月のデータですので、すでに職員に認知され、順調に利用されてきているのではないかというふうに考えております。
関議員:目標達成に向けたプログラムを11月には策定すると聞いていますが、現状分析を十分行い、その結果を踏まえ、プログラムを策定する必要があると考えますが、副市長に伺います。
阿部副市長:これからプログラム策定していくわけですけれども、ご指摘の年次休暇の取得状況あるいは超過勤務の状況のほか、これまで庁内の男女共同参画推進のための職場点検あるいはキャリアに関する職員アンケート、係長昇任試験に関する職員アンケート、そういった様々な調査結果がありますので、こうした結果を分析いたしまして、実効性のあるプログラムにしてまいりたいと考えております。
関議員:年次休暇ひとつについては、07年度含め、過去3年間殆ど変わっていません。従来のままでは改善は望まれないということです。改善に向け、プログラムでは具体的にどのように盛り込む考えなのか、伺います。
大場行政運営局長:働き方の見直しを進めて、ワークライフバランスを推進をしていくということ、これが大事であります。全庁的な取り組みを進めていきたいと考えております。また、先ほどお話したとおり、平成21年度の都市経営の基本的な考え方のなかでも、事業の廃止も含めて事務事業の見直しや、あるいは仕事の効率化、これまで以上に進めていこうと、こういうことを宣言をいたしました。具体的には内部資料の説明資料の簡略化など、あるいは意思決定の迅速化、こういうことで超過勤務のさらなる削減をめざしていこうということとしてございます。こうしたこれまでの働き方を見直す取り組みを今後進めていくことで、ご指摘の年次休暇の取得状況も一歩一歩改善できるのではないかというふうに考えております。