2014年11月20日
教育長 岡田優子 様
日本共産党横浜市議団
団長 大貫 憲夫
過日開催されたこども青少年・教育常任委員会で、「横浜らしい中学校昼食のあり方(案)」の概要が示されました。
それは、常任委員会開催に先立って行われた常任委員への個別の事前説明の際に示され成案とは似て非なるものでした。事前説明の成案には「購入しやすい価格(300~400円台)で提供できるように本市で経費の一部を負担する」「養育に支援が必要な世帯等に対しては、配達弁当の無料提供を検討する」「教育委員会が食材調達に関する基準を作成」が明文化されていました。この規定は公費負担導入と就学援助の対象化であり、牛乳つきとした場合は、市教委が管理する栄養バランスなどに配慮した献立とあわせれば、学校給食法の給食に近似するものです。
しかし、常任委員会開催時に示されたものには、この給食の要素ともいえる公費負担と養育支援必要世帯の無料化、食材調達基準作成がすっぽり抜け落ち、その一方で「一人ひとりの状況に合わせて作ることができる家庭弁当の良さを尊重する」という一文が加筆されています。
この急変は、学校給食的色合いを薄めたものであり、市教委の方針の後退は明らかです。極めて残念なことです。
市教委内部での検討結果が、なぜ覆ったかも明確な説明がありません。市教委の明快な説明が求められます。
示された「横浜らしい中学校昼食のあり方(案)」の最大の問題点は、家庭弁当を基本としている点です。
中学校昼食の位置づけで、一人ひとりの個性や違いに基づく「個に応じた食」の重要性を基礎とするとしますが、これは栄養価や量、体調、アレルギー等一人ひとりの状況に合わせて作ることができるとする家庭弁当論を正当化する後付けにすぎません。中学校給食は、全国でも県内でもつぎつぎと自治体が実施にむけ動いています。この動きは、心と体が最も成長する中学生の時期だからこそすべての生徒に栄養バランスのとれた食事を提供することを主な理由としています。国でも子ども貧困対策推進法を制定するほど格差と貧困の拡大がすすんでいます。子どもの生活環境は変化し、共働き、一人親世帯が増加し、栄養価よりコスト優先、手軽さから冷凍食品、レトルト食品が汎用されています。食を家庭任せにするリスクは広がるばかりです。この事実に目をふさいで、個に着目して家庭弁当最適論を振りかざす横浜市の姿は異様といわざるをえません。
議会側の動向と足並みを揃えることを教育委員会は優先すべきでありません。こどもの利益を第一に教育行政に当たるべきです。
子どもたちの利益を守る立場から、中学校昼食のあり方を策定するにあたって、以下のような対策を講じられるよう要望します。
記
1、学校給食法にもとづいた学校給食導入にむけて本格的に検討することを盛り込むこと。
1、 配達弁当を給食実施までの経過措置として位置付けて、次の改善をはかること。
(1)栄養バランスを担保するために、市教委で献立をつくること。
(2)市費を入れて弁当代の保護者負担の軽減をはかること。
(3)保護者負担を就学援助の対象相当とすること。