議会での質問・討論(詳細)
2008年9月30日

【2007年度決算特別委員会】「まちづくり調整局」 大貫憲夫議員

適切な積算・入札単価の設定で赤字にならない
公共建設工事を

大貫議員:日本共産党の大貫でございます。委員長、あとで写真を使わせていただきます。
 まずはじめに、建設工事の予定価格の設定について、質問したいと思います。
 いま、ご存知のとおり、これだけ町場の景気が不況の状況の中で、まちづくり調整局としては現在の本市の建築産業についてどういうふうに認識しているのか、経済条件も含めて、ちょっと説明してください。

相原まちづくり調整局長:横浜市市民経済計算および事業所企業統計調査によりますと、市内の建設産業の総生産は17年度で7153億円と全産業の5.6%を占め、事業所数は約9400、従業員数は約9万1500人で、市民の雇用や地域経済に与える影響は大きく、また公共工事の品質の確保や災害時の市民の安全確保に大きな役割を果たしていることから、重要な産業であるというふうに考えております。
 市内建設業界の現状につきましては、公共投資の縮小や建築基準法の改正による住宅着工件数の減少、最近では不動産市場の悪化や建築資材の上昇などの影響もあり、業界を取り巻く経営環境は依然厳しい状況であるというふうに認識しております。

大貫議員:その中でまちづくり調整局も市内の建設関係の産業を伸ばすということが大変必要だと思うんですけれども、この間、公共工事を請けると赤字になるよということがいわれていますよね。社団法人横浜建設業協会が今年の2月に調査をしたんですけれど、工事を請け負うと平均で6%の損失、55%の赤字だというふうになっていると。建設の工事にかかわる設計はまちづくり調整局でやるわけですから、そういう点から考えて、こういう結果が出たことについて所感を伺います。

相原まちづくり調整局長:建設業界にとりましては大変厳しい状況と考えておりますけれども、この原因につきましては、価格の高騰はじめまして様々な要因が関係するため、今後も関係各局の連携のもとに、適切な工事発注が実施できるよう努めてまいりたいと思っております。

大貫議員:そういう結果が出たことについて、まちづくり調整局としてはどういうふうに責任感じているのか、私そこが心配なんですね。というのは、入札における予定価格というのは発注者が決めるわけですから、そういった点でいうと建設業協会含めてそれは受けなんですね。その基本的なところがきちっとしなきゃいけないといった点で、現実の実勢価格と予定価格が乖離しているというふうになってくると、そこの点での積算をしているまちづくり調整局としてはそこに大きな問題があるんじゃないだろうかというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。

相原まちづくり調整局長:予定価格の選定につきましては、国土交通省の積算基準に準じた当然厳格な扱いを行っているほかに、算定に使用する設計単価につきましても市場の実勢単価を反映した資材価格のデータをもとに作成しているところでありまして、適切に実施されているというふうに私たちは考えております。

大貫議員:そこの認識が違うんですよ。ですから、赤字がでたり、損失がでたりするその原因は、その積算のところでのきちっとした客観性というんですかね、そこを私非常に心配しているんだけれども、まちづくり調整局分掌の中でいわゆる建設工事等に関わる設計単価、これに関わる仕事がありますね。ちょっと説明していただけますか。

相原まちづくり調整局長:事務分掌の中に「建築工事等に関わる設計単価、歩掛り等の作成及び調整」となっておりますけれども、この設計単価とは工事予定価格を算出するために用いる資材単価や労務単価などの基本データでございまして、この歩掛りとは資材単価を、労務単価を用いて工事の作業単位での設計単価を算出する際の計算基準でございます。これらの作成・調整業務を行っております。

大貫議員:ですから、それらの積み上げが単価としてでてくるわけですね。そういうことの中で、赤字がでたり損失がでたりするわけですから、積算の単価そのものをつかさどるところでのきちっとした認識が必要だと思うんですね。そうすると、この積算は誰がやるんですか、局の中では。

相原まちづくり調整局長:最終的な積算は、まちづくり調整局の職員がやっております。

大貫議員:実際には、いただいたデータによりますと、積算や設計、調査、これは全部委託で外に出しますよね。驚いたことに、19年度、2007年ですね、これについては355件の工事契約のうち344件、率でいうと96.9%を外部にだしているわけですよ。そこで積算されているんじゃないですか。

相原まちづくり調整局長:外部に委託しておりますのは、使用資材に関する数量積算と工事費の概算書の作成を外部に委託しているところでありまして、諸経費を含む最終工事費を確定する作業は本市の担当職員が直接行っております。

大貫議員:設計や管理についても、外部になってくると。そうするとだされてきたデータが本当に正しいかどうか、そういう判断する能力というのを、私心配しているんですね。それがどうやって蓄積していくか、そこらへんについては説明ありますか。

相原まちづくり調整局長:先生にそこまでの心配をおかけしているのは大変ありがたいことなんですが、直接現場で実務を通して得られる様々な経験から、この技術を習得することが基本であるというふうに考えておりまして、その設計工事管理に関わる職員たちの経験やノウハウを情報として関係各課で共有できるように、技術資料集を作成しております。また、外部講師による技術研修も合わせて行っております。

大貫議員:ひとつはそういった外部に委託して、そこからでてきた積算を判断するということ自体が、本当にそこがきちっとされているかということが一点心配なんですけれど。
 今月の12日に総務省と国土省から「建設業における『安心実現のための緊急総合対策』」というのが出されましたね。この中でまちづくり調整局に関わることについて説明してください。

相原まちづくり調整局長:まちづくり調整局に特に関係する通知の内容でございますが、的確な工期の確保・早期発注に努めること、予定価格や資材等の最新の実勢価格を適切に反映すること、現場条件等の変更に伴う適切な設計変更をすることの3点でございます。

大貫議員:なぜ国がだしてきたかというと、予定価格が実勢価格に合っていないというところが一番の大きな問題になっていると。3月にも実は出たんですね。そういうふうに考えたときに、私は本市の建設だけでないですね。全体的にいえば、やはり実勢価格に対して予定価格が合ってないと思うんですね。
 それでお聞きしたいんですけれども、この間の19年度の工事契約における不調、この数字をいってください。

相原まちづくり調整局長:不調の件数ですけれども、件数でいいますと18年度が32件で、19年度は37件でございます。

大貫議員:いただいたデータをどうやってみているのかわからないのですが。18年度はまちづくり調整局が関わった件数については496件で、そのうち46件が不調だったと。それから19年度は398件のうち64件が不調だったと。こういう数字なんですね。先ほどどの数字を読まれたかわからないですが。全体で言っても159件、07年度は255件という不調がでているんですよ。不調というのはどういうかたちで、なぜでるんでしょうか。

相原まちづくり調整局長:不調の内容としましては、まず予定価格に開きがあると応札者が考えたことや、工事内容が複雑で多岐にわたるため応札がないケースと、請負業者にとって他の仕事があるために参加しなかったケースがあるというふうに考えております。

大貫議員:その中で一番大きいのは、予定価格が実勢に合っていないから応札しないんですね。そういうことを考えますと、そのことだけでもいまの横浜市の単価の積算がちょっと狂っているんじゃないかというふうに思うんですが。
 少数応札については、いただいた資料を見てみますと、全体で07年、19年では、入札数が2030のうち1019が少数応札、3つ以下、50.2%に及んでいるんですよ。さらに、1件だけしか来なかったものでいいますと、372、18.3%、こういうふうになっているわけですね。建築関係、まちづくりは全部建設関係とはいいませんけれど、大部分はまちづくりなんですね。それでいうと、56.7%が少数応札ですよ。なぜそういう結果がでるかというと、予定価格が実勢価格に合っていないということを示しているのではないでしょうか。

相原まちづくり調整局長:先生はそういうお考えでしょうけれども、不調は全体の件数からいえば応札、札入れに応じてくれている方のほうが多いことから、私は全部が全部そうだというふうには思っておりません。

大貫議員:それは認めて、積算をきちっとしていくということが大切で、積算が実際にあっているかというところを客観的に検査するなりチェックする必要があると思うんですけれど、いかがでしょうか。
相原まちづくり調整局長:予定価格につきましては、設計単価の改定や単品スライド条項の適用によりまして、市場価格の反映に努めているところでございます。合わせて、職員の技術に関するノウハウを蓄積しながら、予定価格の適切な設定に努めております。今後とも引き続き建設業を取り巻く経済状況を踏まえながら、予定価格の適切な設定に取り組み、行政として責任ある対応をしてまいりたいと考えております。

大貫議員:少し認識がまだまだだと思っているんですが。山形県では第三者機関をつくって入札価格が適切かどうかということを始めていますから、ぜひ参考にしてもらいたい。

緑を破壊する分割開発に歯止めを

 次、開発調整条例について伺いたいと思います。
 先ほど分割開発についてお話があったので、そこに関わってお話したいんだけれども、いろいろあるけれども、ひとつはもう全体がわかっていると。それを分割して売った例がありますね。これはなんとかならないのかと思うんですね。
 たとえば、今日お持ちしましたけれども(写真パネルを示す)、永田北、これだけ豊かな斜面地なんですね。1.7ヘクタールあるんですよ。これが分割でどんどんされちゃう。こういったことで緑がなくなることについて、局長はどういうふうに考えますか。

相原まちづくり調整局長:私も、分割がどんどん進むことは、先生と同じように、非常に寂しいことだと思っていますが、なかなか現状では手がないというのが現状だというふうに思っております。

大貫議員:手がないからといって寂しいと思うのだったら、それをなんとかしなければいけないというふうに思いませんか。

相原まちづくり調整局長:何とかしたいというふうに思っております。

大貫議員:具体的に、永田の件で何をしていますか。

相原まちづくり調整局長:何とかしたいと思ったのは、そういうことをきっかけに、これはそのまま放っておくわけにはいかないというふうに認識したから、何とかしたいというわけでございまして、永田の件につきましてはいろいろ私どもも事業主を指導いたしましたけれども、残念ながらできなかったというのが実情であります。

大貫議員:永田の場合を含めて、3000平米以上ならば6%の緑を持つんですよね。5000平米以上だと今度は樹木の保存というのがあるんですね。そうするとこの緑の中でも、開発されたとしても、きちっとしたまちができるわけですよ。そうしたときに開発条例に沿ったかたちで当局として全力を尽くすという態度にならないんですか。

相原まちづくり調整局長:全力を尽くすという態度ではいつもやっておりますが、私たちの全力を尽くす中でも、最終的な担保策がないということで、そういうことになっております。

大貫議員:この場合、全体像がもうわかっているわけですから。それでも分けてやりますよと、区に言っている以上は、全体の開発だというふうに位置づけるべきだと思うんですね。会社の全体像のプランの中に、全体で100戸前後の区枠の建物を作りますというふうにいっているんですよ。これは大規模にも関わってくるわけだから、そういうふうに発表している以上は、これはきちっとした条例に基づいて、面積の規定でやるべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。

相原まちづくり調整局長:開発区域の設定は自由になっておりますので、それからもうひとつは事業主側が住民にそう言っているのかもしれませんが、我々が問い質したところでは全体計画はないと、いつかはやるかもしれないけれども、現時点ではないというふうにいわれておりますので、残念ながらそういう結果になっております。

大貫議員:その態度なんですよ。いったからだめじゃなくて、そこをきちっと踏まえて、あのところがああいうかたちでの分割がまずいと思ったら、その点を捉まえてきちっと規制をしていくというそういう思いがなければだめだと思うのですよ。だから、もう仕方がないということでもう何も出来ない、これが私一番大きな問題だと思っています。
 この1の開発は2985、2の開発は2020、両方あわせると5000越えるんですね。しかもこの土地が同じ所有者であって、そういう状況になれば、いまおっしゃっていたけれども、これは完全に一体の開発だというふうに捉えるのが普通じゃないですか。

相原まちづくり調整局長:くどいようですが、法律上は残念ながら一体開発と捉えられない、捉えにくいとことがありますので、そういう意味で先ほどから分割開発についてのいろんな先生方からのご質問がありましたけれども、私たちとしてもそういうものをしなくてすむような方法を考えていきたいというふうに思っているところです。

大貫議員:いまある条例の中でも、条例というのは協議をきちっと住民として、手続きの前にね、そしてその中でまちをよくしていこうという、三者が集まってやろうというんですよ。その中で徹底して論議して、一定の中で行政指導が出来るようなことをやることを含めて、いまの条例の中でやれることはいっぱいあると思うんですよ。それをやらないというところが一番問題だと、指摘しておきます。
 最後に、先ほど1000平米に関わって宅地内の緑の件、条例を含めていろいろ考えているとおっしゃっていたけれども、私はあれはザルだと思うんですね。というのは、同じ1000平米に関わって10%の緑化をするというふうにいっていますけれども、先ほどいったようにやっぱり大きな問題になるので、ザルをなくすということで対応していただきたいと思っています。以上です。


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