神奈川労働局に最低賃金の大幅引き上げを申し入れ
生活実態に見合った額の最低賃金に
中央最低賃金審議会の小委員会は7月29日、2014年度の地域別最低賃金を、全国平均で時給16円、神奈川県は19円の引き上げとする目安をまとめ、田村憲久厚生労働大臣に答申しました。神奈川県の最低賃金は現在868円で、昨年と同額の19円の目安どおり引き上げされると、887円になります。
これを受けて日本共産党横浜市議団は7月31日、神奈川労働局を訪れ、柴田悟一神奈川地方最低賃金審議会長および水野知親神奈川労働局長あてに、生活できる賃金をめざして、時給1,000円以上にする方向で審議を行うよう求める申し入れを行いました。
目安通りでも実質的には賃金減少
今年5月の実質賃金指数は、消費税増税や物価上昇の影響もあって1年前より3.8%減っています。今回の目安額は最低賃金の2%にしかすぎず、目安通りに賃金が増えても実質的には賃金は減ることになります。
新聞各社も、「消費税増税や物価高による実質賃金の目減りを補うには程遠く、低所得者層の生活は依然と苦しい」(神奈川、東京)、「目安通り賃金が増えても必ずしも実質賃金増とはいえない」(毎日)などと報道(いずれも7月30日付)し、最低賃金引き上げの目安では生活改善には結びつかないとしています。
生活保護受けられる賃金でいいのか?
神奈川県内の労働者が国と神奈川労働局長を相手に起こした最低賃金裁判は3年を経過しました。6月9日に行われた第15回裁判で、弁護団は「時給868円はもちろん、1200円で月173.8時間働いても、1400円でも普通のフルタイム労働者平均の155時間働いても、生活保護申請すれば受給できる」と述べ、国もこれを認めています。
神奈川県では昨年から生活保護基準と最低賃金との「逆転現象」は解消したとされていますが、実質的には解消されていません。
生活保護以下の賃金は憲法違反
生活保護費以下の賃金は、憲法第25条で定められている国民の生存権、国の社会保障的義務にも、最低賃金法9条3項にも反しています。
申し入れでは、「生活できる賃金を保証するために、最低賃金を大幅に引き上げるべき」と主張。最低賃金引き上げで営業が苦しくなる中小企業に対しては、「ダメージを抑える別の政策が必要であり、国が策定した小規模企業振興基本法などに基づき、積極的な支援を行うことが求められている」としています。
大都市横浜の生活実態を考えた審議を
岩崎副団長は、神奈川では生活保護基準と最低賃金のいわゆる逆転現象は解消したとされていることについて、大都市部の横浜では生活保護基準額が高く、県単位で決められている最低賃金額では暮らしが立ち行かないとして、「生活実態に見合った賃金を斟酌した議論を行ってほしい」と求めました。
今後、神奈川地方最低賃金審議会で審議されて最低賃金が決まり、例年通りにいけば10月には新しい最低賃金が適用されることになります。
申入書はこちら「神奈川地方最低賃金の大幅引き上げを求める申し入れ」をごらんください。
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「こんにちは横浜市議団です」2014年7月30日(PDF版)
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