2014年1月31日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大貫 憲夫
林文子市長は昨日、2014年度横浜市予算案を発表しました。
一般会計は1兆4,182億円(前年度比1.4%増)、特別会計と企業会計の全会計総計で3兆5,153億円(純計2兆6,647億円)です。市長が一体的に編成したとする、国の5.5 兆円の経済対策補正予算を踏まえた2月補正予算(一般会計)は180億円で、全額が公共事業です。その財源として市債を56億円追加発行し、66億円を一般財源から捻出します。市税収入は7,193億円と、対前年度比2.5%増,うち法人市民税は658億円と前年度比20%もの増で、大企業を中心とした企業の業績好調ぶりを示しています。市債発行は、前年度比18.3%増の1400億円を計上。これは、市債発行額を連続的に削減するとしたこれまでの方針の変更です。消費税率引き上げに伴う地方消費税増収分として50億円(2015年度以降は240億円)を見込んでいます。
市民要求の前進としては、家庭保育事業での補助員配置の拡充、横浜保育室への空き定員分助成の拡充、放課後児童クラブの障害児加算の増額、栄養職員の未配置校への栄養士の配置、特別教室へのエアコン設置、木造住宅密集地域延焼火災対策、区役所での温暖化対策の普及啓発事業などが挙げられます。
林市長は「積極的に投資すべきところには投資し、徹底した見直しも併せて行い、『施策の推進』と『財政の健全化』を両立」したとしていますが、高速道路、国際ハブ港など国が国土強靭化、大企業支援の成長戦略として重点的に推進をはかる大型開発事業に予算を集中し、そのために市債発行も増額です。その一方で、小児医療費助成、中学校給食、35人学級、特別養護老人ホーム整備などの切実な要求では、前進がありません。安倍自公政権がすすめる政治の地方での忠実な実行者という二期目の林市政の姿がここにあります。
●震災・防災対策では、一般橋梁の耐震化を31橋と倍加、木造住宅・マンション、特定建築物の耐震改修を1.5倍化して25億円計上。党が対策を強調した密集住宅地域の不燃化推進事業は、一割増の4.2億円にとどまっています。
●子育て支援では、保育所待機児童ゼロを継続するため、認可保育所定員を前年の倍加の3,004人増とします。新設37園のうち、27園が賃貸ビルフロアでの開園で、園庭なしなど保育の質が危惧されます。
●福祉では、特別養護老人ホームの整備では、整備240床、着工299床と待機者数5千人に見合った整備水準となっていません。国保料算定方式変更に伴い、保険料が急増した子どもがいる世帯に対して保険料の軽減が実施されます。これは、党市議団の実態調査にもとづいた議会での論戦が切り開いたものです。
●中小企業・雇用では、中小企業向け制度融資枠は前年と同額の1,800億円、消費税対応資金を創設。成長分野(新エネルギー、医療・介護機器、農業等)育成にむけて、新技術開発等にとりくむ中小企業支援策が施策化され、約1億円投じます。党市議団の予算要望書で実施を求めた施策です。商店街の販売促進や経営支援額は1億円余で、MM21地区等への誘致企業助成額33億円と比較すると、あまりにも不均衡です。
●教育では、児童支援専任教諭の全小学校配置、学校カウンセラー50人配置などいじめや不登校、発達障害対策を強めています。その一方、市立学校の教育目標として新たにグローバル人材育成を掲げ、小、中での英検実施など英語教育を特段に推進します。横浜サイエンスフロンティア高校の中高一貫校化など多国籍企業が求める人材育成に重点をおく姿勢がいよいよ強まっています。基礎的学力の向上には冷淡で、市独自の少人数学級は実施しません。市立学校食育推進事業として、中学校で栄養バランスのとれたランチを提供するための調査を行います。
●大型開発事業では、高速横浜環状道路建設に191億円、国際コンテナ戦略港湾推進に166億円、「エキサイトよこはま22」に6億円と3事業だけで121億円も激増させています。山内ふ頭の再開発、文化体育館の再整備、2棟目のMM21の展示ホールなど「箱もの」建設にむけた調査費が目白押しに計上されています。港湾では、本牧ふ頭沖での新規ふ頭整備の検討費として初めて1.2億円を予算化。
新市庁舎建設については、2019年完成・2020年東京オリンピックにむけて基本計画にもとづき、具体的検討に入ります。その経費は1億円です。
●地球温暖化対策では、70億円と前年度から20億円増額です。公的施設で太陽光発電設備(横浜港、特別避難場所)、小水力発電設備設置を進め、再生可能エネルギー導入は図るが、個人住宅の太陽光パネル設置補助事業は廃止です。14年3月に「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会」の開催地にふさわしい環境先進都市となるよう提案を積極的に行ないます。
日本共産党市議団は、本日から始まる予算市会において、大型開発、箱もの優先を改める予算組み替え動議も行い、子育て、福祉、教育、まちづくりなどの市民施策の抜本的拡充のため、全力を尽くします。
以上