議会での質問・討論(詳細)
2013年9月13日

■「一般質問」 大貫憲夫議員(2013.9.13)

◎大貫憲夫議員の質問と市長答弁は次の通りです。なお、実際には質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

「ナンバーワン」には程遠い横浜市政

大貫議員:日本共産党を代表して質問します。
先に行われた市長選の選挙公報で、林市長は「横浜市民くらし満足度オールナンバーワン宣言」というスローガンを掲げられました。私は、眼を疑いました。
横浜市民の暮らしでは、例えば、川崎市や逗子市と並んで大井町に続く最低レベルの子どもの医療費助成制度、国に要望するだけで市単独では実施しようとしない35人以下学級、全国の8割を超す中学校で実施されている給食の未実施、突出した国民健康保険証取り上げ、5000人もの人が待っている特別養護老人ホーム待機者などなど、ナンバーワンには程遠いものばかりです。市民の暮らしに対し、市への要望はますます高まるばかりです。たとえ、スローガンが今後「ナンバーワン」を目指すと言う意味だとしても、市長が市民生活に関わる本市の行政水準の実態を把握し、求められる水準との乖離を直視していれば、とても掲げられるようなスローガンではありません。市長は、これらの市政の現実をしっかり認識されているのか、伺います。

林市長:大貫議員のご質問にお答え申しあげます。
今後の市政運営の取り組みについて、ご質問をいただきました。くらし満足度オールナンバーワンについてですが、1期目の任期において、待機児童施策や医療環境の充実など、みなさまのご協力で多くの成果を上げることが出来ましたが、超高齢社会にあたりいままでにもまして多くの課題に挑戦して行く必要があります。横浜市は、あらゆる分野においてくらしやすい街とし、より満足して日々の生活をいきいきと送っていただく横浜市民でよかったと実感していただくことを目指し、目標として掲げさせていただきました。

大企業優遇のアベノミクスの波に乗るのか

大貫議員:市長は市長選の第一声で、「今の政権はデフレの脱却、そして経済成長戦略のために様々な工夫をしている」と安倍政権のアベノミクスを評価し、「この波」に大都市横浜は乗らなくてはならないと述べています。
安倍政権のすすめる国土強靭化政策や国際コンテナ戦略港湾などなど大型公共事業を取り込んでの横浜経済振興策は、これまで何度も指摘してきましたけども、一部の大企業・スーパーゼネコンが恩恵を受けるだけであり、市内経済全体への波及効果や成長発展にはほとんどつながりません。歴代の市長が数次に及ぶ全国国土総合開発計画に乗り、業務核都市構想などに基づく大型公共事業を推し進め、多額な借金を抱えてしまったのと同じ轍を踏むのではないでしょうか。市長は、アベノミクスの「波」に乗るために何をしようとしているのか、伺います。

林市長:大型公共事業ですが、横浜環状道路や国際コンテナ戦略港湾などの整備については、様々な企業活動、港を中心とする物流拠点など、あらゆる経済活動を支えるまさに都市の基板となるものです。また、都市インフラの老朽化も深刻であり、安全な市民生活のため、都市の骨格を強化する必要があります。市内経済の活性化や未来への投資として引き続き重要な役割を担っていくものと考えています。

本市経済の内発的発展の道を開拓せよ

大貫議員:横浜の経済を発展させるには発想の転換が必要です。その決め手は、市内の産業の集積を資源とし、市内企業間の主体的経済活動によって雇用・所得を持続的に生み出していくという本市経済の内発的発展の道を開拓し、その方策を徹底して進めることです。
例えば、医療・介護・健康関連産業です。本市経済局の調査では、本市が持つ国内第2位の人口規模は、これらの産業にとって巨大な内需力を生み出すとともに、経済循環が地域で完結する割合が高いため、横浜経済の内発的発展の主要な分野であると指摘しています。さらに、この分野の成長は、生産額の向上という経済規模の拡大や地域経済の成長につながるだけでなく、地域に豊かさと安心感をもたらすことにも大いに寄与し、雇用の創出、医療や介護機能の充実と向上など、地域の質的な成長が促されるものと結論づけています。市長はこの経済局の調査報告書をどのように読まれたか、伺います。
これまでの国主導による大型公共事業中心のいわゆる外発的発展・成長による経済成長戦略から、本市経済局の調査と結果を取り入れ、この医療・介護・健康関連産業や環境エネルギー関連産業などなど、市内経済の内発的産業育成に大きく舵を切り替えることが必要です。市長の見解を伺います。

林市長:医療・介護・健康関連産業などの内発的産業育成に舵を切り替えるべきとのことですが、超高齢社会をむかえるなかで、健康、長寿関連サービスといった高齢者を初め多くの市民が必要として、地域経済の循環や雇用増にもつながる産業の育成に力を入れることは重要です。一方、市民生活や経済活動を支え、都市の骨格を強化する都市インフラの整備も重要であり、引き続き進める必要があると考えています。

社会保障拡充に使う保障のない消費税増税の4月実施に反対を

大貫議員:市長は2期目の所信表明で「国においては、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、財源確保も含めた論議が進んでおり、大きな決断が下されようとしている」と消費税増税を評価されました。8月30日に行われた集中点検会合で、市長は「将来に向けた社会保障制度の改革は、もはや我々自治体にとって待ったなしの状況にあると実感しており、その財源確保のためには消費税引き上げは必要」と断言されています。自公政権による社会保障制度の改革は、8月に決定された社会保障制度改革国民会議報告書に見るように、その中身は生活保護費の削減、介護保険要支援の切り捨て、医療費70歳から74歳までの窓口負担の倍増、年金支給年齢の引き上げや支給額を減らすマイクロ経済スライドの毎年実施など社会保障充実ではなく、社会保障切り捨てそのものです。社会保障関係の自然増を抑制するために、これまでの制度を根本から切り崩すものです。改革とは名ばかりです。
国は、増税された消費税を、社会保障拡充のために使う気はありません。昨日12日、安倍首相は、消費税増税による景気の腰折れを防ぐために、3%増税分の2%にあたる5兆円規模の大規模な経済対策を合わせて行う方針を決めました。消費税増税分の使われ方に対する市長の認識は、明らかに間違っていると言わざるを得ません。市長は何を根拠にして消費税増税が社会保障改革の財源となるという判断をされているのか、見解を伺います。
国の悪政から住民を守ることは地方自治体の重要な任務のひとつです。その立場に立てば、市民生活を窮地に追い込むアベノミクスの社会保障制度切り捨て・後退に明確に反対すべきではありませんか。それをせずに、消費税増税に賛成することは安倍内閣におもねる態度としか言い様がありません。この批判に対する市長の見解を伺うと同時に、消費税増税に対する世論が割れている今、市長は市民生活を守るためにも慎重な態度が必要なのではないでしょうか。少なくとも来年の4月の増税には反対すべきです。見解を伺います。

林市長:消費税引き上げが社会保障制度改革の財源となる根拠ですが、昨年8月に成立した社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律などにより、引き上げ分については年金、医療、介護、少子化対策の社会保障経費にあてることが決められています。
消費税引き上げについての考え方ですが、今後高齢化がいっそう進むなかで福祉、保険、医療サービスに対するニーズは増大していきます。また、若い世代の夢や希望につながる子ども・子育て支援などの取り組みも拡充していく必要があります。これらの切実な課題に対処するため、社会保障制度改革はもはや待ったなしの状況でありますので、厳しい環境にある中小企業や社会的に弱い立場のみなさまなどへの十分な配慮を行った上で、消費税を引き上げることは必要と考えています。
少なくとも来年4月の消費税引き上げは反対すべきということについてですが、引き上げ時期については専門家のみなさまを初めとしてさまざまな議論がありますので、集中点検会合での意見や各種経済指標などを十分に踏まえ、安倍総理がご判断するものと考えています。

教科書をめぐる政策協定は教育への政治介入の恐れ

大貫議員:次に、歴史教科書に対する市長の対応です。市長選を前に6月13日に、市長は戦争賛美の皇国史観に基づいた「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書に関わる政策協定を自民党と結んだという内容が、新聞2紙で報道されました。産経新聞は、政策協定には、愛国心の育成などを掲げた改正教育基本法の精神に基づいた教科書採択に向けて取り組むことなどを盛り込んでいると報じ、朝日新聞は「『新しい歴史教科書をつくる会系』の教科書を今後も使い続ける内容が盛り込まれていることが分かった」としています。
このことは重大です。政策協定は非公開となっています。教科書採択で政治権力は教育を支配してはなりません。教育への政治不介入という原則に抵触する内容を秘密裏に自民党と協定を交わしたとなれば、そのことだけでも市長の政治責任は重大です。改めてこの本会議場で、歴史教育のあり方及び歴史教科書に関わる政策協定を結んだのは事実なのか、事実とすればなぜ結んだのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
9月4日の毎日新聞において、歴史教科書問題で自民との政策協定は、今後の施策に関わる政治判断に影響するのかとの質問に対し、市長はどこかの政党とどうしたから人事や教科書が決まるということはないと答えたとの報道がありました。教育の独立性の立場や権限から、市長は直接、教科書採択に関与できません。それを承知で協定を結んだとするならば、今後も「つくる会系」教科書採択に賛成する人物を教育委員に任命することを約束したことになります。あってはならないことです。市長の明快な答弁を求めます。

林市長:歴史教科書について、ご質問いただきました。
政策協定についてですが、政策協定に関することについてはお答えは差し控えさしていただきます。
また、教育委員の任命についてですが、法律により、人格が高潔で教育・学術および文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命するとされていますので、今後もこの規定に基づき、選任いたします。

(第二質問)
大貫議員:先ほど、自民党との政策協定の問題で、差し控えるという発言がありましたが、毎日新聞の報道ではこの問題で政策協定は公開しないが全くの憶測でそんなことはないと指摘しています。どちらが本当でしょうか。見解を伺います。答えないということは、あったということも含めて差し控えるということなのか、伺います。以上です。

林市長:ただいまの大貫議員のご質問にお答え申し上げます。政策協定については非公開とさせていただきますので、お答えを差し控えると申し上げました。以上、ご質問にお答え申し上げました。

米原子力空母の国外退去を国に求めよ

大貫議員:最後に、原発問題です。市長は昨年、「原発に頼らざるを得ない。再稼働はやむを得ない」と述べています。レベル3という非常事態になっている汚染水危機に際しても、また今年の猛暑においても電力需要は足りているという事実を突きつけられても、市長は「原発に頼らざるを得ない」という態度を取り続けられるのでしょうか。安倍政権と同様、住民の安全よりも経済を優先させるおつもりなのか、見解を伺います。
横須賀を母港とする米原子力空母ジョージ・ワシントン搭載の二基の原子炉に関わる避難計画の策定について市長は、我が党の議会での質問に対して、国が対応することとして、それを拒否されました。一年の大部分横須賀に二つの原子炉があるということは事実です。東京電力福島第一原発の事故を踏まえ、原発から30キロ圏内の全国の156の自治体は、事故に備えて地域防災計画を見直ししています。横須賀米海軍基地から本市内のほとんどが30キロ圏内に入ります。しかし、同空母の原子炉事故に対する、370万人全市民の避難計画策定は、これは事実上不可能なことです。そうであれば、市民の命を守るために原子力空母ジョージ・ワシントンの国外退去を政府に求めるべきではありませんか。その見解を伺って、私の質問といたします。

林市長:原発再稼働に関する考えについてですが、私としては将来的には原発に頼らず自然エネルギー等に転換していくことが望ましいと考えます。しかしながら、原発再稼働に際しては安全性の確保再優先に考え、その上で経済の側面、地球温暖化などさまざまな影響を考慮し、総合的に判断していく必要があると考えています。本市ではかねてから低炭素社会の実現に向け、率先して節電、省エネルギ-対策に取り組んできました。今後も引き続き、節電、省エネルギー対策とともに再生可能エネルギーの普及拡大を推進していきます。
空母ジョージ・ワシントンの国外退去を政府に求めるべきとのことですが、原子力空母の配備を含む日米安全保障条約など、わが国の安全保障に関することは国の専管事項です。ただし、安全対策については、これまでも神奈川県や関係市で構成する神奈川県基地関係県市連絡協議会の一員として、国に申し入れを行ってきました。市民のみなさまが不安なく生活できるよう、引き続き関係県市との広域的な連携体制の中で、しっかりとした説明と適切な対応を国に対して求めていきます。
以上、大貫議員の質問にご答弁申し上げました。


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