実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
岩崎議員:私は、日本共産党を代表して市長に質問します。
横浜市も中学校給食の実施を決断するとき
はじめに、中学校給食について伺います。
中学校給食は、全国の約8割の自治体で実施されています。現在、中学校給食を実施していない神戸市が、2013年度から実施に向けた取り組みを始めます。これで、中学校での完全給食の実施計画がない政令市は横浜市、堺市、川崎市の3市だけになります。
神戸市立中学校の昼食のあり方検討会は「これまでの意見のまとめ」の中で、家庭弁当について、保護者の大変な努力が伺えるとする一方、栄養バランスが偏ったり、家庭弁当を持参できない子どもに対する配慮が必要としています。
一方、学校給食の意義について、食育の推進において重要な役割を果たしうる、食に関する知識や教育力の格差の広がりを防ぐ、子どもの貧困率が上昇傾向にある社会状況の中で経済的困窮対策の面からも重要、栄養バランスのとれた昼食を提供することで子どもの健康維持や成長に寄与する、女性の家庭と仕事の両立支援といった男女共同参画の視点からも一定の役割が期待されるなどとして、「中学校給食を実施することが望ましい」と「意見のまとめ」をしています。
また、最近中学校給食の実施に踏み切った大阪市、相模原市では、横浜で検討されている家庭弁当や業者弁当についてはその限界が検討され、「給食の実施が望ましい」と結論付けました。
以上のことから、中学校給食を「実施する」「実施しない」の議論は、全国的に決着がついており、教育の機会均等の原則を保障する条件づくりであることも明確です。
予算に責任を負う市長に伺います。
第1に、神戸市の「中学校の昼食のあり方検討委員会」の「意見のまとめ」についての率直な感想を、市長自身の言葉でお答えください。
第2に、なぜ横浜市はかたくなに中学校給食の実施を拒むのか、実施に踏み切らない理由は何か、財政、教育の機会均等の保障の見地も含め、答弁を求めます。
第3に、市長は所信表明で、「若者と女性がその力を存分に発揮できる先進都市にする」と述べています。さらに市長は、「人への投資への挑戦」としています。そうであるならば次代を担う中学生にこそ「投資」すべきです。横浜市も中学校給食の実施を決断するときです。市長ご自身の決意を伺います。
林市長:岩崎議員のご質問にお答え申し上げます。
中学校給食について、ご質問をいただきました。
「神戸市立中学校の昼食のあり方検討会」の「これまでの意見のまとめ」についての所感ですが、神戸市の中学生の望ましい昼食について、学校給食を導入することが望ましいとしながらも、一方で様々な課題があることについても触れられている内容であると思います。
中学校給食についてですが、給食にも良い点はあると思いますが、子供のことを考えて作る家庭弁当にも良さがあり、本市では9割以上の生徒が家庭からお弁当を持参し、家庭からの弁当持参が定着しています。そのような現状がある中で、仕事や家庭の事情等によりお弁当を持参できない場合への対応を優先課題として、25年度中にすべての学校でお弁当等を購入できるようにいたします。
給食の実施を決断すべきとのことですが、現状も踏まえて、より望ましい中学校の昼食について引き続き検討していきます。
(第二質問)
岩崎議員:ご答弁ありがとうございました。
私がお尋ねしたことでお答えが十分されていないことが3点ありますので、改めてお尋ねをいたします。
中学校給食についてですが、市長の所信はわかりましたけれども、横浜市が給食を実施ない理由は何かと尋ねたのにはお答えがありませんでした。理由を明確にお答えいただきたいと思います。これが一つです。
林市長:岩崎議員のご質問にお答え申し上げます。
中学校給食についてですが、給食にも良い点があると思いますが、子どものことを考えて作る家庭弁当にも良さがありまして、本市では9割以上の生徒は家庭からの弁当持参が定着をしています。そのような現状がある中で、仕事や家庭の事情等によりお弁当を持参できない場合の対応を優先課題として、25年度中にすべての学校でお弁当を購入できるようにいたします。
わが身を守る知識を市民に知らしめるあらゆる努力を
岩崎議員:次に、防災対策について伺います。
東日本大震災からまもなく2年になります。
日本共産党は一昨年8月、3・11をふまえ、予算編成にあたって「防災の観点をあらゆる施策に貫くこと」、「低エネルギー社会を展望して自然エネルギーの本格的導入に踏み出すこと」を市長に提言しました。予算案に示された防災対策の方向性は、わが党の提言と一致しており、評価しています。
そのうえで、防災対策をより充実させる立場で質問します。
「備えあれば、憂いなし」と言われます。一市民として「大地震への備え」をどうするのか。「自分の身は、自分で守る」ことが基本ですが、「わが身を守る」知識は自然に身につくわけではありません。身を守るためには、「いざというときの対処方法を知ること」と「つぶれない・燃えにくい・家具転倒防止措置済の家に住むこと」が欠かせません。そのために、すべての市民を対象に、行政の責務として「防災知識の周知・啓発」を大事業として取り組む必要があります。
まず、「減災パンフレット」についてです。
「釜石の奇跡」といわれる小・中学生の命を守った教訓は、学校での防災教育の賜物であり、繰り返し訓練・啓発することの重要性を物語っています。
従来、この種の啓発用パンフは、発行・配布して終わりになる場合が多いのですが、それではダメです。1億3900万円を投じて作成・配布する「減災パンフ」を、学校での防災教育、地域・企業・各種団体が行う防災訓練等あらゆる場面で活用し、「防災知識」の周知・啓発に取り組むべきです。
「減災パンフ」の意義と活用計画、及び防災意識啓発の大仕事を推進する、それにふさわしい体制について、市長の考えを伺います。
林市長:防災計画・防災対策について、ご質問いただきました。
減災パンフレット作成の意義についてですが、現在行っております防災計画の見直しのうち、地域防災拠点の開設基準や災害時医療体制など市民のみなさまに関わりが深い変更点をお知らせすることにより、発災時に的確な行動をとっていただけるようになること、区別のハザードマップや事前の備え、発災直後にとるべき行動のほか、各種補助制度などを掲載することにより、市民のみなさまの間に自助・共助の取り組みが広がること、大きくはこの2点が作成する意義です。
活用計画ですが、全戸に配布するほか、地域の防災講習会や防災訓練など、様々な場面において活用していきます。
啓発の推進体制ですが、25年度から設置する地震防災戦略推進プロジェクトの中に、自助共助推進部会を設け、そこで検証を行いながら、危機管理室と区役所や地域が連携しながら推進していきます。
木造耐震改修補助申請が予想以上になった場合はどうするか
岩崎議員:次に、「木造住宅耐震改修補助事業」と「木造住宅密集市街地の延焼防止対策」について伺います。
一日のうち市民が一番長く滞在する「わが家」を、身の安全を守れるようにする必要があります。本市は、木造住宅耐震改修を優れた制度で推進していますが、いまだに10万戸をはるかに超えるとみられる耐震不適合木造住宅があります。ところが、2013年度の予算は400戸を対象にしているだけで、規模・スピードとも全く足りません。
「木耐震」助成事業は、今後、市民からの申し込みが増加し、予算を超えることが想定されますが、その場合どう対応するのか、伺います。
木造住宅密集地域の延焼防止対策の規模拡大、テンポを引き上げよ
木造住宅密集地域の延焼防止対策上、きわめて重要な施策である「いえ・みち・まち改善事業」は、対象23地域、面積660ヘクタールですが、事業開始から9年経過している現在、遅々として進捗しておらず、事業完了の地域はありません。
木造住宅密集地域の延焼防止対策を地震防災戦略に見合う規模・テンポで推進するためにどのような計画で進め、また、その責任と推進体制はどうするのか、伺います。
林市長:木造住宅耐震改修工事費の補助申請が25年度予算案で計上した件数を超えた場合の対応についてですが、木造住宅の耐震改修促進事業は減災対策の重要な施策であると認識しています。引き続き、市民のみなさまの安全安心を確保するために、この事業についてはしっかりと取り組んでいきます。
木造住宅密集市街地対策についてですが、新たな被害想定において、火災による延焼被害が大きいことが明らかになりましたので、そうした地域での被害軽減対策はこれまで以上に取り組んでいく必要があります。従来の対策に加え、一歩踏み込んだ方策が必要となりますので、新たに副市長をリーダーとする庁内プロジェクトを立ちあげて、早期に検討してまいります。
防災対策の基本に「人命被害ゼロ」の明記を
岩崎議員:次に、防災対策の基本姿勢について伺います。
大地震による経済的被害は取り返せますが、人命被害は取り返せません。防災の第一義的目的は、人命を守ることにあります。
先日、わが党の古谷議員が横浜市震災対策条例に「市民の命を守りきる、誰ひとり亡くならない横浜市を目指す」ことを基本理念に掲げることを提案したのに対し、市長は「市民の生命、身体および財産の安全を確保することを目的としており、目指すところは同じ」と答弁されました。また、所信表明で「環境と防災力が際立った信頼のある都市をめざす」とも言われました。
そうであるならば、「人命被害ゼロ」が本市の防災対策の基本姿勢であることを、いま作成中の「防災計画・震災対策編」や「減災パンフレット」などで明らかにして、市民に力強いメッセージとして発信すべきだと考えます。市長の防災対策にかける決意を伺います。
林市長:人命被害ゼロの基本姿勢を明確にすべきとのことについてですが、災害対策基本法では、市町村は住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関する計画を作成し、これを実施する責務を有するとされています。これを受け、本市の防災計画においても被害を出さない地域・社会の実現をその目標に掲げ、様々な取り組みを進めています。また、現在作成中の地震防災戦略の中でも、基本姿勢として被災数を限りなくゼロに近づけることを目指すと明記しております。減災パンフレットにおいても、同様の目標を掲げ、その達成に向けて最大限の努力をしていきます。
(第二質問)
岩崎議員:2つ目に、人命被害ゼロと掲げるのと掲げないのでは、計画の具体化、実行で雲泥の差が出ます。目指すところは同じといっている以上、掲げるべきだと思います。掲げないのは何か理由があるのか、明確にしてください。
林市長:人命被害ゼロの基本姿勢を明確にすべきというお話でございますが、災害対策基本法で市町村は住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関する計画を作成し、これを実施する責務を有するとされています。これを受けて、本市の防災計画においても被害を出さない地域・社会の実現、それを目標に掲げまして、様々な取り組みを進めています。また、現在作成中の地震防災戦略の中でも、基本姿勢として被災数を限りなくゼロに近づけることを目的とすると明記しております。減災パンフレットにおいても、同様の目標を掲げ、その達成に向けて最大限の努力をしてまいります。
以上、岩崎議員のご質問にご答弁申し上げました。
「大型施設整備」と「既存施設の保全」は両立できない
岩崎議員:最後に、公共施設の保全について伺います。
市長は、同じ古谷議員の質問で、インフラ整備について「新規事業は抑制し、維持・更新へ」と求めたのに対して、「学校耐震などの防災対策をはじめ、橋梁や港湾施設などの老朽化対策、さらには遅れている道路ネットワークの整備促進はいずれも本市として進めていかなければならない事業」として、「大型施設整備」と「既存施設の保全」を両立させる趣旨の答弁をされました。しかし実態は、両立ではありません。
例えば、補正と13年度の合計した道路予算をみると、橋梁の耐震補強が2.2億円から1.3億円、老朽橋の架け替え15億円から10億円と、前年度より減額しています。一方、高速道路整備費は約1.7倍となる83億円増です。維持更新を抑えて高速道路最優先になっています。
このような発想・認識では、緊急・不可避の課題である公共施設の保全はできないと考えますが、市長の認識を伺います。
当局の試算では、公共施設の20年間の保全費は一般会計で1兆9000億円、年平均960億円です。ちなみに新年度予算では、約640億円計上です。14年度以降は、施設整備費の予算をはるかに上回る保全費を見込まなければならない事態が想定されます。保全事業は、実施を先送りすれば、必要費用の後年度負担がうなぎ上りに増大する性格を持っています。計画通りの保全が将来の財政負担の軽減となるのです。
横浜市の財政状況をみれば、「大規模施設整備」と「既存施設保全」の「いずれも進める」ことは現実には不可能だと考えます。
市長が、「整備」も「保全」も、両立させるとする予算編成上の根拠を、明確に伺います。
市長は、安倍政権の巨大企業支援に偏重した緊急経済対策や国土強靭化計画に追随するのではなく、本市の特性を踏まえた独自の政策判断によって、市民の安全・安心を守るまちづくりを進めることを市長に強く求めて、質問を終わります。
林市長:公共施設の保全について、ご質問いただきました。
公共施設の保全についての認識ですが、市民生活の安全安心を確保し、市内の経済活動を支えていくためには、公共施設を適切に保全することは非常に重要であると考えています。そのため、点検により優先順位をつけ、計画的にひとつひとつ着実の取り組んでいけるよう、必要な予算を今後もしっかりと確保していきます。
大規模公共施設の整備と公共施設の保全をどちらも進めるための予算編成上の根拠ですが、これまでも本市では市民の安心安全を確保するため、老朽化した公共施設に対して必要な保全費を計上するとともに、将来の横浜を見据え、経済の活性化や防災上の重要な施策について、選択と集中により投資すべきところに積極的に投資してきました。今後も厳しい財政状況が続く中、効率的効果的な事業手法の検討はもとより、国費等の積極的な活用や不断の行政改革、財政の健全性維持を踏まえた市債の活用などによる財源確保に取り組み、必要な施策を進めていきます。
以上、岩崎議員のご質問にご答弁申し上げました。
(第二質問)
岩崎議員:3つ目は、施設の整備と保全を両立させることができる予算上の根拠を訪ねました。答弁は一般論で、当局の資産では毎年1000億円と計算されています。整備も保全もそれだけ相当大きな費用を必要とします。どう確保するのか、金額、数字でお答えください。(質問時間オーバーのため、この質問に対する答弁なし)