私は日本共産党を代表し、今定例会に提出された請願のうち、3件の委員会不採択に反対し、討論を行います。
敬老パスの負担増は中止を
最初に、請願第57号 敬老特別乗車証負担額の軽減等についてです。請願は、今年10月から予定されている利用者負担増に対し、低所得者への配慮をもとにした負担軽減を図ることと、敬老乗車証のICカード化について慎重な検討を求めたものです。
市は2008年度、70歳以上の敬老乗車証の対象者が対前年度比で約1万人増となり、本市の負担となる約4億円全額を利用者に負担させようとしています。敬老乗車証が「高齢者の社会参加の推進で健康維持と医療費の抑制」を目的とした福祉施策であるにもかかわらず、本市が1円も負担を増やさず、利用者だけに3割から6割の負担増を強いることは、福祉の精神から外れているといわなければなりません。
私たち日本共産党横浜市議団はこの間、敬老乗車証についての動きをニュースでお知らせいたしました。それに対し、多くの意見が寄せられました。その一部を紹介します。
「もともと無料だったパスを、こんなふうにどんどん値上げされては困ります。財政が赤字というが、どんなお金の使い方をしているか、市民にはわからない」
「現在5000円でパスを買っています。いまくらいの負担なら仕方ないが、ドンドン上がったら、高齢者の人たちが外に出かけないで、テレビを見て、家にばかりいるようになれば、病気になったり、健康が損なわれるのでは」
「年金は増えないのに、取られるものばかり増える。払うために年金をもらっているようだ」など等、さまざまな意見でした。
今、高齢者、とりわけ低所得者の生活は、一層厳しくなっています。税制改悪に伴う住民税の大幅引き上げ、国民健康保険料や介護保険料の大幅な値上げ、医療制度改悪による医療費負担の増大、介護保険制度改正に伴うホテルコストと称した食費や入院居住費など利用料の負担増、さらに4月から始まろうとしている後期高齢者医療制度など、負担増のオンパレードともいえるものです。医療も介護も保険料は容赦なく年金から天引きです。逆に受け取る年金は下がる一方です。請願の求めるように、市民税非課税世帯は現行通りとするなど、低所得者に対しての負担軽減は当然であり、負担増はやめるべきです。
また、敬老乗車証のICカード導入については、その目的を、利用者の乗車回数に応じた料金をバス事業者に支払うために、利用実態調査を行うこととしています。今後2年間かけ、システム設計をするとのことですが、そのシステム開発にいくらかかり、システム導入にいくらかかるのか、全く判りません。利用実態調査なら方法はいくらでもあるはずです。
利用実態調査と称して、いくらかかるか判らないICカードのシステムを開発・導入することこそ不自然です。ICカード導入の狙いが、利用回数の制限や利用するたび毎に一部負担金を支払う受益者負担に道を開くものだとしたら、福祉の精神に反するもので、容認できません。
所得水準に応じた「横浜保育室」の保育料制度を
次は請願第58号 横浜保育室・家庭保育福祉員制度の充実についてです。
請願は「横浜保育室」制度の充実のため、基本助成金の増額や「家庭福祉員制度」の充実のため基本保育料の引き上げを求めたものです。
「横浜保育室」は、3歳児未満を対象に、保育料や保育環境、保育時間など、横浜市が独自に設けた基準を満たし、本市が認定し助成している認可外保育施設です。産休明け保育について大きな役割を果たしています。しかし、本市の基本助成金が少なく、保育料軽減も極めて不十分なことから、保護者とっては負担が大きく、「横浜保育室」側でも、運営が厳しくなっています。
旭区のある「横浜保育室」は、定員が26名、現在24名の在園児です。4月になると14名が退園し、10名になるとのこと。この現象を園長は「4月危機」とだといっていました。退園する14名の内、7名は3歳児となり、残り7名は認可保育園へ転園するとのことです。大きな理由は「横浜保育室」の保育料が高いということです。保護者から、「子どもにとっては、慣れた保育園がいいけれど、保育料の安い認可保育園に入れたので」とのことでした。
一方、職員の構成は正規職員4名、年度末契約のパート職員5名、計9名の体制ですが、パートさんにはやむなく年度末で一時やめてもらい、園児が増えた時点で再度お願いするとのことです。
保育室の園長は、「基本助成金が増えれば、現行の保育料をもっともっと引き下げることができ、2歳児の転園はもっと少ないと思いますし、そうなれば運営も安定するんです」と、話していました。
2006年度から、所得税27万円以下の世帯に保育料が1万円減免される等、低所得者対策は一定前進しました。しかし、保育料は依然として認可保育園より高い実態は、基本的には変わっていません。非正規雇用が大きく広がる中で、若い夫婦にとって高い保育料は深刻です。所得水準に応じた保育料にむけて、現行の保育料軽減等を抜本的に拡充することは、本市の少子化対策にも寄与することにもなり、請願は採択するべきです。
中田市長に関わる一連の疑惑の真相解明は当然
次に、請願第59号 地方自治法第100条の調査権を有する委員会の設置についてです。
請願は、中田市長に関わる一連の疑惑報道について、その真相を解明するための地方自治法第100条の調査権を有する委員会の設置を求めたものです。
昨年秋以降、看護専門学校での中国語講座受講問題やマリンタワー再生事業など市長に関わる問題については、依然としてその真相があきらかになっておりません。パーティ券問題も消防団会計どまりです。こうしたことを曖昧なままにしておいては、市民と市政、市民と議会の信頼関係が希薄にならざるを得ません。この間、議会で多少は論議されたものの、真相解明はいまだ不十分といわざるを得ません。よって請願のとおり、中田市長に関わる一連の疑惑の真相を解明するための法に基づく調査委員会の設置は当然であり、請願は採択するべきです。
以上で私の討論を終わります。