TPP情報のウソにだまされるな!
神奈川農業問題研究会2012年夏季研究会が箱根町大平台の大平荘で開かれ、他行事で都合のつかない議員に代わって政務調査員が参加しました。
基調講演として「TPPをめぐる情勢と農業・食の再生」のテーマで東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏が講演。鈴木氏は、農業経済学と国際貿易論が専門で、FTA産官学共同研究会委員を歴任し、財務省関税・外国為替等審議会や経済産業省産業構造審議会などの委員でもあります。
鈴木氏は、実務レベルでは水面下での交渉が進んでおり、日本がアメリカの要求をのむという文書が完成した時点で実質的な参加承認となると、まず警告を発しました。
情報収集のための関係国との事前協議中、日本のTPP参加と自動車、郵政、BSE問題は関係ない、関税ゼロには例外がある、農業のせいでFTAが決まらないからTPPしかない、日本の農産物は品質がいいから関税ゼロでも大丈夫などなど、鈴木氏は、政府に都合の良いウソの情報を流し、国民に知られて困る情報は封じ込んでいる実態を暴露しました。さらに、野田首相の「日本の誇る医療制度と美しい農村断固として守りぬく」と発言する一方で米国に対してはなんでもやりますと言っていると述べました。
さらに、「そもそもTPPのメリットって具体的に聞いたことがありますか」と呼びかけ、推進派の学者さえもメリットを言えないと述べました。その上で、アメリカの世論調査でも69%の国民がTPPどころかFTAにも反対しているのに、なぜTPPを推進するのかといえば、巨大企業、それに群がる政治家、スポンサー料や研究費でつながる一部のマスコミや学者など、ごくわずかの1%の人の利益を守るためであり、日本でも同様だと指摘しました。
関係省庁内部事情にも詳しい鈴木氏は、心ある官僚が時に耳打ちしてくれる情報などを交えながら現状の動きをリアルに話したのち、日本の農業がこれからどうあるべきかという対案も示し、支え合う社会を取り戻そうと呼びかけました。
また、JAグループ神奈川のTPP阻止運動の取り組み、農業体験農園の現状と方向についての報告がありました。それによれば、県内29市町村議会がTPP反対あるいは慎重審議を求める意見証を国に提出しており、横浜市議会でも去年2月に慎重審議を求める意見書を提出しています。
研究会には、農業者だけでなく、学者、研究者、自治体職員、議員、労働組合など多方面から約60名が参加しました。
なお、会場の大平荘は、神奈川県臨調の県有施設の廃止方針によって、来春で閉館ということです。