鍼灸治療院による医療費の不正請求事件の全容解明と再発防止を
中島議員:日本共産党を代表して質問します。
順番を変えて、市内鍼灸治療院による医療費の不正請求等の事件について質問いたします。
本市に対し、国民健康保険および老人保健の医療費を不正請求していた「横浜みなみ針灸マッサージ治療院」と「土屋針灸マッサージ」の経営者である土屋勉容疑者、経営者の元妻で所長といわれる土屋邦井容疑者が、ともに1月末に自殺・急死も報じられています。また、経営者は神奈川県警の元巡査だったと言われています。この治療院は、2002年から開業しており、資料によれば、この間異常ともいえるスピードで利用者と医療費請求額を拡大しております。2006年度の1年間で見ると、市内130治療院で保険対象の利用者約5万人、医療費約14億5000万円が給付されている中で、この治療院だけで利用者数で20%以上、医療費で30%以上を占めています。この不正請求がどうしていままで放置されてきたのか、また見抜けなかったのか、説明を求めます。
上野健康福祉局長:原則としてですね、この針灸マッサージの治療の関係なんですけれども、患者に一旦治療費を10割窓口で払っていただいて、後日自己負担分を除いて9割または7割相当分を払い戻しを受けると、横浜市からですね、そういった償還払いの仕組みになっております。これを本市としては、実際に患者さんが高齢者の方が多いということもあって、患者の負担を軽減するために、治療を受ける際にそういう方法じゃなくて、治療費の1割あるいは3割を支払って、残りの分を受け取りを治療院に委任するような、受領委任といいますけれども、こういった取り扱いを運用で行ってきたところであります。
結果としては、こういった仕組みが患者さんにわからないような仕組みで悪用されて、請求書類を作成されたというふうに思われるために、結果として発見が遅れたということであります。
中島議員:当局の資料によれば、不正請求は2002年から5年半の間に合計16億円以上にのぼっています。自殺した容疑者は、2007年の4月から9月分の約5400万円の不正請求を認めていますが、経過からみてもこれはほんの一部であり、数億円にのぼるといわれています。給付された医療費の財源は、市民の健康保険料と県や市の補助金です。全容の徹底解明と不正給付金の回収にむけた対応、および再発防止策等について、これは佐々木副市長に伺います。
佐々木副市長:この間もですね、県あるいは県警など関係機関との連携を図っておりますけれども、引き続き県、警察など関係機関と連携をしながら、その全容解明に取り組んでいきたいと思っております。また、刑事告訴も視野にいれた対応も検討をしているところでございます。
不正受給に関する給付金の回収についてということにつきましては、いま申し上げましたように、全容の解明をしていかなければいけませんので、それを進めながら、関係者への調査をもとにその全容解明を進めると、そして不正請求の返還などにつきましては、弁護士とも相談しておりまして、そういった検討をしていきたいというふうに思っています。
それから再発防止でございますけれども、申請書の審査の強化、あるいは鍼灸団体の会員に対する適正な請求の指導の強化、そして患者さんに対する制度の周知など、こういったことに総合的に取り組んでいきたいというふうに考えています。
中島議員:この際、この事件の全容解明や不正医療費の回収、再発防止への取組みのためにも、報じられているように、この経営者から寄付を受けた市会議員や衆院議員は全額返済すべきことを申し上げておきます。
国の制度見直しに伴って、
障がい者の利用者負担への本市独自の全額助成の継続を
次は、障がい者自立支援法に関わる事業についてです。この制度の最大の問題は、障がい者に対する支援としてあってはならない「応益負担」の導入にあります。国は、障がい者やその家族と国民の切実な声に押されて、利用者負担について一部手直しを迫られ、緊急措置を7月から実施すると聞いています。この見直しの内容について説明してください。
上野局長:私ども、20年の7月から国の方の会議で、いま先生のおっしゃったようなかたちでの内容の説明があったということであります。非課税世帯の障がい者の居宅通所サービスに関わる負担上限額、いま特別措置になっておりますが、それをさらに軽減するということであります。合わせて成人の障がい者について、負担上限額を算定する際の所得区分、これはこれまで世帯単位であったものを、今後は本人と配偶者のみの所得で判定をするという、こういった見直しが行われる予定というふうに聞いております。
中島議員:私が、国の低所得者見直しで計算してみたんですね、本市財政への影響額。本市が行っていた低所得1、低所得2に対する独自の助成負担は、私の試算によると国のこの処置によって約1億円程度軽減されるというふうに出てきました。そこで、この財源を使って本市独自の全額助成を、2009年度以降も継続すべきと思いますけれども、いかがですか。
上野局長:いま本市が独自で実施しております負担額の助成制度、これは国が自立支援法施行後3年で抜本的な見直しを行うということをいっておりますので、それまでの経過措置として実施をしているということであります。今後、21年度の抜本的な見直しに向けた国の動向を見極めながら、横浜市として検討していきたいと思います。
中島議員:国が今回緊急措置をとった、これは本市がとっているように全額助成じゃないんですね。本市がやっているのは、1.8億円あればできるわけですから、そのうち私が計算したように1億円財源が軽くなれば、8000万円でできるんですけれど。もう一度よろしくお願いします。
上野局長:見直しには、国の負担額が今度軽減されますけれど、それと横浜市が全額助成するという、ですから当然その横浜市の支出額がその分低くなります。少なくなりますけれども、一方で私が申し上げました今度世帯単位から個人別単位になるということでありますと、従来世帯単位で課税の世帯が、今度はご本人の所得だけで非課税に回ってくるということは当然あるわけですので、今度は逆に横浜市の負担額助成がその分増えるという部分がありますので、それはもう少しで見極める必要があるというふうに考えております。
中島議員:これぜひ検討していただきたいと思います。
精神障がい者への格差解消を早急に
次は、身体・知的・精神、いわゆる3障がい支援策の格差改善についてです。本市でも、障がい者自立支援法に対応して、3障がいの一体的な支援策推進を努めるというふうにしております。しかし、いまだに精神障がい者に対する福祉・医療サービスについて、他障がいにくらべて多くの分野で格差が解消されていないのが現状ではないでしょうか。
具体的に挙げれば、重度障がい者医療助成、在宅障がい者手当、自立支援医療の診断書料自己負担、交通機関の運賃割引など、改善すべき切実な問題があります。これを解消していくため、どういう取組みを行うのか、伺います。
上野局長:精神障がい者のサービスについては、18年度からこれは法律もそうですけれども私どもの組織としても一本になって、3障がいに対応するようなかたちになったわけで、この間精神障がい者サービスの拡充っていうことについては、正直言って知的あるいは身体障がいのサービスにくらべて遅れているのもあって、サービスの充実に努めてきたところであります。今後も精神障がい者の障がい特性を踏まえながら、必要な施策の充実に努めていきたいというふうに考えております。
中島議員:どうして、精神障がい者だけが医師の診断書の提出を毎年義務付けられ、そしてその度に毎年5000円ずつ負担が課せられなくてはならないのかとか、あるいは本市特別乗車証以外の交通運賃の割引がどうして精神障がい者には与えられないのか等、私のところにも切実な声が寄せられています。せめて、診断書自己負担、そして運賃の割引については、早急に改善すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
上野局長:いま先生言われたことは、いずれも私どもも関係団体から要望をうけている問題であります。これまでも、他の大都市などとも協力して国等に対して要望を行ってまいりましたけれども、今後も機会を捉えて国やあるいは関係機関に働きかけを行ってまいりたいというふうに思います。
中島議員:ぜひ、全部は出来ないまでも、出来そうなとこ、3障がいの一体を進める、そういうとこはやはり努力していていただきたいと思います。
いわゆる3障がい一体というならば、掛け声だけに終わってはならないというふうに思うんです。精神障がい者への理解を深めるためにも、そのほか教育委員会と連携した小中学校における「副読本」の改修だとか、公共をはじめ民間企業に対する障がい者の就労拡大の働きかけなど、特別な支援策拡充を強く求めておきます。
生活保護世帯の水道料金減免と夏冬慰問金の復活を
次の質問は、生活保護事業に関わってです。
この間、「構造改革」の名で進められた政策のもと、多くの国民の中に深刻な貧困と格差の拡大、くらしの不安と危機が広がる中で、生活保護世帯は増加傾向と思いますが、今後の見通しについて伺います。
上野局長:高齢化の進展、それから中高年齢層の就労の機会が少ない状況が続いておりますので、今後も緩やかな増加傾向というかたちで推移するものと考えております。
中島議員:私は先日、業務停止になっている派遣業者グッドウィルから解雇され、自殺をしようと思っていた人から相談を受けました。ネットカフェ難民の生活だとか、人間の使い捨てにされている、そういう相談を受けて、本当に私、涙をしたところです。ますます「命綱」として生活保護事業の果たす役割が重要になっており、申請や認定について迅速で実効ある対応が窓口で求められているというふうに思いますが、いかがですか。
上野局長:生活保護の相談にこられた方には、生活保護制度の趣旨や受給要件を説明して、その上で保護の申請意思のある方には、申請の手続きを行っているところであります。保護の決定にあたっては、原則授与月内ということでありますので、必要な検査を行った上で速やかに決定を行うように努めております。
中島議員:国は生活保護世帯に対し、老齢加算打切りにつづき、現在母子加算を段階的に廃止しようとしています。これによる影響額はどのくらいというふうに計算していますか。
上野局長:老齢加算、18年度で廃止ということでありますので、その影響額は18年度時点で4億円ということであります。母子加算については17年度から段階的に見直されておりまして、20年度予算では2億9000万円の影響があるというふうに見こんであります。
中島議員:高齢者にも一人親家庭にとってもひどい仕打ちだというふうに思うんです。国に復活を求めるべきだというふうに思うんでが、いかがですか。そして国がもしやらないならば、本市独自でも支援すべき内容ではないでしょうか。いかがすか。
上野局長:今後国が見直しをした理由でありますけれども、70歳以上の高齢者に老齢加算というものがついていたわけですけれども、老齢加算に相当するだけの特別な事情があるとは認められないという社会福祉審議会の結論がありますし、母子世帯についても母子加算を除いた生活扶助基準額、これでくらべると一般の勤労の母子世帯との生活、概ね均衡しているという中で、老齢加算、母子加算について段階的な廃止というかたちにしたということでありますので、本市としてもこういった社会審議会で判断をしたことについては公平性の観点からも妥当なものというふうに考えております。
中島議員:この考え方は全く認められないんですが、こういう考えのもとにだというふうに思うんですがね。本市独自のいわゆる法外援護事業もこの間打ち切られてきました。廃止した事業の内容を改めて報告して下さい。
上野局長:法外援護につきましては、生活保護基準の推移に段階的に基準を充実してきているということ、あるいは減免制度のありかたというものを検討した結果、たとえば慰問金については生活保護基準が妥当な水準に達してきたというなかで、また修学旅行支度金、水道料金の基本料は、生活保護費に含まれておるということで、もともと含めていることで重複支給となっているために、廃止をしたものでありまして、その他のものとしては、小中学校の入学卒業祝い金などがあります。
中島議員:そこで伺いますけれども、水道料金減免と夏冬慰問金廃止による影響額はどのくらいですか。
上野局長:慰問金は16年度で廃止をいたしまして、その影響額は2億5000万円、水道料金の基本料減免については17年の10月から廃止をされまして、1年間で推計すると影響額は1億9000万円ということであります。
中島議員:たくさん打ち切ったんですけど、この二つぜひ復活させていただきたいというふうに私も頼みたいと思うのですが、どうでしょうか。
上野局長:いま申し上げましたように、法外援護費については生活保護基準が妥当な水準に達したということなどから廃止をしたものでありまして、見直すつもりはございません。
中島議員:これは引き続き要求していきたいと思います。
ホームレス自立支援施設の利用促進の取り組みを強めよ
次は、ホームレス自立支援施設についてですが、この事業の目的、内容、実績を伺います。
上野局長:市内の公園とか河川、道路、駅舎などにいるホームレスに対しまして、一時的な宿泊場所を提供するとともに、就労支援など自立に向けた支援を行っております。延べの利用者の実績にしては18年度は1409人、19年度は12月までで1013人の利用がありました。このうち、就労自立者は18年度は218人、19年度は12月までで181人ということであります。
中島議員:この事業は、ホームレスの自立支援と合わせて、失業等による緊急避難的な場を確保して、そして自立を支援していくとこういう重要な役割を果たしているというふうに思うんです。必要としている人が施設を利用しやすくする、このためにも区役所との連携や広報も含めて、利用促進についての取組み、本当に大事だというふうに思うんですが、いかがですか。
上野局長:福祉保健センターの窓口での相談を受けているわけですけれども、当然必要とされる方に対しては、この施設の利用をすすめております。施設との連携を十分に行っているというふうに思っております。また、さらに施設利用を促進するために、20年度ですけれども、ホームレスのいる場所にいって相談を行う循環相談事業、これを拡充してまいりたいというふうに思います。
中島議員:構造改革の名前で、国が障がい者あるいは生活保護、低所得者、弱いもの、これをやっぱり切り捨てていく、こういう政治の中で、本市である地方自治体の仕事、本当にがんばって、貧困と格差の拡大の中で、市民のくらし、とりわけ障がい者や生活困窮者に対して守る、この仕事はたしていただきたいと思います。終わります。