議会での質問・討論(詳細)
2012年6月8日

■「議案関連質問」 古谷やすひこ議員(2012.6.8)

◎実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

古谷議員:私は、日本共産党を代表して、2件の議案について質問いたします。

料金値上げで稼働率が下がらないか

 まず、市第9号議案「横浜市社会福祉センター条例の一部改正」についてです。この議案は、社会福祉センター内の「実習室」を稼働率が低いということで廃止し、稼働率が高い軽運動室を有料化し、ホールや会議室の一般利用料金を現行の1.5倍とするものです。  今回の条例改正で、社会福祉法人などの利用料金を下げたことは一定評価できると思います。   2010年9月に、社会福祉法人横浜市社会福祉協議会が同センターの指定管理者に選定された際に、選定委員会は「審査総評」として「施設の稼働率に高い目標値を掲げているにもかかわらず、目標達成するために今までのやり方を具体的にどう工夫して変えていくのかについて提示されていない」と指摘し、工夫や改善を求めたい点として「施設を広く一般市民にも周知させること」を最初に挙げ、同センターの抱えている問題を解決する方策に施設の稼働率アップをあげています。その点、今回の一般市民の料金を5割も値上げすることは、稼働率アップを指摘した選定委員会の「審査総評」とも齟齬をきたし、稼働率の低下をもたらすことになると危惧しますが、市長の見解、伺います。 林市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。市第9号議案について、ご質問いただきました。  今回の条例改正により稼働率が下がるのではないかとのお考えについてですが、社会福祉センターの利用料金は昭和63年に改定して以来、見直しが行われておらず、市内の類似施設とくらべて低い金額になっています。そのため、利用料金を改定し、利用者の皆さまに適正な料金を負担していただくことは、市民全体の負担の公平性の観点から必要であると考えています。今回の料金改定を行うにあたっては、急激な負担増とならないようにするとともに、利用者の大半を占める福祉関係者の利用料金を一般利用者の半額とするなど、稼働率が低下することのないように配慮をしています。

勝手に決められた「市民利用施設等の利用者負担の考え方」

古谷議員:今回の社会福祉センターの料金改定は、財政局から出された「市民利用施設等の利用者負担の考え方」を当てはめたものだと聞いています。  そこで、「市民利用施設等の利用者負担の考え方」について伺います。「今後この考え方に基づき取組を進めていく」ということですが、そもそも社会福祉センターをはじめ、それぞれの市民利用施設にはそれぞれの設立の趣旨があり、その趣旨に基づいて利用料金の設定や使用方法などが決められてきた経緯があるはずです。それを「市民利用施設等の利用者負担の考え方」では、勝手に市民利用施設を収益性と公共性を基準に9つの分類に分け、しかも市民利用者との負担割合まで勝手に決めてしまっていることについては問題です。市長の見解、伺います。 林市長:9つの分類に当てはめて負担割合を決定することについてですが、市民の皆さまにご負担いただく施設の利用料金の設定については、これまで市としての標準的な考え方が必ずしも明確でなかったために、今回市民の皆さまのご意見も伺いながらこの考え方を分かりやすく整理しました。一定の指標により、9つの分類に当てはめた上で、さらに施設設置の目的や経緯などの個別事情も十分に考慮しながら負担割合を決定することは、市民負担の公平性の観点から適切であると考えています。

公の施設に受益者負担の考え方を持ち込むのは問題

古谷議員:今回の「利用者負担の考え方」の根底にある受益者負担の考え方についてお聞きします。  厚生労働省は3年ごとに「所得の再分配調査」というものを行っています。これは、社会保障制度等における給付と負担、租税制度における負担が所得の分配にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的にして行われている調査です。こういったかたちで、公の施策が貧困の連鎖を生まない、所得再配分をしっかり行っているのかということを、国自らが検証しているわけです。   「使う人が利用料を払う」、こういう受益者負担の考え方を、営利施設ならいざしらず、公の施設で徹底させるというのは、公による所得の再配分機能という考え方とは反し、結局は低所得者など「負担できない人は使えない」ことにつながるのは必至です。したがって、「市民利用施設等の利用者負担の考え方」に受益者負担の考え方を持ち込むこと自体が問題だと思いますが、市長の見解、伺います。 林市長:市民利用施設に受益者負担の考え方を入れるのは間違いではないかとのことですが、市民利用施設の設置のためのイニシャルコストは市民の皆さまの税金で賄うことを基本にしています。施設運営のコストについては個人によって施設の必要性や利用頻度は異なることから、実際に利用される方に一定のご負担をいただくことが、市民の皆さま全体からみて公平ではないかと判断しています。  なお、料金の見直しにあたっては、多くの施設でいっせいに改定したり、急激に利用者負担を引き上げることがないように段階的に進めるほか、特別な事由による料金の減免など、利用者に配慮していきます。  残りの質問については、教育長より答弁いたします。

問題を抱えている生徒の教育にふさわしい施設・設備の整備を

古谷議員:次に、市第26号議案「横浜総合高等学校移転整備工事請負契約の締結」についてです。これは、市立の横浜総合高校が現在の中区翁町から南区の旧大岡高校への移転に伴う建築工事請負契約です。先日、旧大岡高校にも伺いましたが、建物の構造そのまま使い、耐震補強、リフォームをして使うと聞いています。  横浜総合高校は、横浜市立定時制高校の歴史と実績を生かしながら、県内で初めての三部制・単位制による新しいタイプの高校として設置され、10年を経て今回移転整備されるわけであります。今回の移転を期に、昨年11月に、三部制定時制の現状を分析し課題を整理し、その課題解決の方策を示した「提言書」が出されましたが、よく実態を反映したものと一定の評価をしております。  その「提言書」の中で、同校が抱える最大の問題点として「進路決定率の低さ」を指摘しています。教育長、進路決定率が平均6割で、進学もせず職にも就けないいわゆる「無業者」が4割もいることについて、どう認識され、また今回の整備にあたってその解決に向けて何を考慮したのか、伺います。 山田教育長:市第26号議案について、ご質問をいただきました。  横浜総合高校の進学決定率の低さに対する改善方法についてでございますが、進学決定率はその時々の景気や経済情勢等にもよりますけれども、これまでも進路ガイダンスや資格取得、就労支援などの充実によりまして、生徒の進路先の決定に努めてまいりました。移転後もキャリア教育の充実をいっそう図るとともに、進路相談に丁寧に応じられる相談スペースを拡充するなど、進路決定率の向上を目指してまいります。 古谷議員:今回の学校移転に関して、最終的な設計に至るまでについては、学校側から様々な要望が出されていたと聞いています。生徒はもちろんのこと、現場で働かれている先生方が頑張れる条件整えるのが教育委員会の役割だと思います。しかし、現場から出された要望をコストの面からも削ったと聞いています。教育長、今回の整備によって、横浜総合高校の目的や役割しっかりと果たし、先生方が目指す教育を行うことができる施設・設備となっているのか、伺います。 山田教育長:横浜総合高校の設置目的や役割が十分に実現されることになるかについてでございますが、移転整備にあたりましてはカリキュラムの見直しに対応する教室の設置や、就職生活相談ができるスペースの拡充などを行っておりまして、ひとり一人の個性に応じた多様な学習や進路選択に対応できるよう、いっそうの充実を図ってまいります。

十分な広さのグラウンドを

古谷議員:グラウンドについてですが、現状の横浜総合高校も大変狭く、軟式野球部の部活動などでは内野のみでしか練習できないと聞いています。移転後のグラウンド予定地も、もともと2面のテニスコートがあった所を転用するものであり、現状と同様に狭く、さらに民家と接しているため夜間には使えないような状況です。こういった環境は、2009年に開校した、充実した施設・設備を誇り、夜間照明付きグラウンドと全天候型テニスコートとしても使えるサブグラウンドのある、同じ市立の横浜サイエンスフロンティア高校と比べて、あまりにも落差があるのではないでしょうか。  「提言」で、同校の生徒はコミュニケーション力に欠けたり、中学校の時不登校だった子どもが多く、学校行事などを通じた自己有用感の育成が必要だと指摘しています。体育だけではなく体育祭や文化祭、地域の方々との交流行事などの場ともなる広さのグラウンドを生徒に提供するための方策、どのように考えているのか伺って、質問を終えます。 山田教育長:移転後に体育祭や文化祭、地域の方々との交流を行えるかについてでございますけれども、体育祭や文化祭等の学校行事は学校教育の中でも重要な位置づけでございまして、広くはないグラウンドでございますけれども、引き続き移転後も改修をされた施設を有効に活用しながら実施をしてまいります。すでに文化祭では、大岡地区の住民の方々が参加するなど、移転前からの交流も行われておりまして、移転後も地域との交流を継続発展をさせてまいります。


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