警察官OBを福祉事務所に配置?
厚労省が積極的に検討するよう指示。横浜では局に4人配置
厚生労働省は、3月1日付けの会議で、警察官OB等を福祉事務所内に配置することを積極的に検討するよう指示しました。
これは、生活保護の不正受給をなくすために、福祉事務所に警察官OBを配置し、不正受給に対する告訴等の手続きの円滑化と、暴力団員による申請の早期発見などを行うというもので、セーフティーネット支援対策等事業費補助金により人件費全額が国から補助されます。
全国74自治体で警察OB採用
全国で警察OBを活用している自治体は、74自治体で、116人が採用されています(2010年度)。
横浜市も4月から県警OB4人を採用。生活保護特別相談員として、県警との組織的な連携体制の構築や生活保護の不正受給対策、暴力団員対応などを業務とするとしています。
「不正受給」増えてはいるが割合は横ばい
生活保護の受給対象者は、昨年7月以来過去最高を更新し続け、今年1月には全国で209万1902人に達し、受給世帯も過去最多の151万912世帯になってます。横浜市でも同様に傾向です。
一方、不正受給は増えていますが、受給世帯数あるいは生活保護費総額に対する割合に大幅な増加は見られていません。
2010年度は不正受給が多くなっていますが、「全ケースに対する課税調査が徹底されたことが大きい」と厚生労働省が指摘しているように、それまで摘発されていなかった不正受給が明らかになったことによるものです。
悪意のある「不正」はわずか
横浜市における不正受給の内訳をみると、一番多いのは「稼働収入の無申告」ですが、具体的には高校生の子どものアルバイト代について、申告義務があると思わずに未申告だった場合などで、悪質とはいえない例がほとんどです。
実際、2007年度から2012年1月までに警察が介入した事例は2011年度の2件のみです。
警察OBの配置をやめさせよう
横浜市従業員労働組合は3月5日、横浜市に警察OBを区役所に配置するのをやめるよう要求。相談に来る人が警察OBが窓口にいると知ったらどんな思いをするか、力で押さえつけるようなやり方で行政対象暴力をなくせないなどと訴えました。福祉団体や大学教授らも同様のことを要求してきました。
横浜市は全18区に19人の警察OBを配置する計画を、健康福祉局に4人配置に変更しました。
鶴見区のケースワーカーさんは、「専門職として誇りを持って仕事をしてきた。警官OB配置は福祉行政の変質につながりかねない。さらに世論を高めて次年度以降の配置をやめさせたい」と話しています(2012年4月30日付しんぶん赤旗)。
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「こんにちは横浜市議団です」2012年5月2日(PDF版)