市幹部職員の天下りの「渡り」は市民の理解が得られるか
古谷議員:おはようございます。日本共産党、古谷やすひこでございます。順次質問いたします。
まず、本市幹部職員の再就職の問題、いわゆる天下りの問題について、伺います。昨今、公務員への風当たりが大変強い中ですが、私たち日本共産党は、そういう立場ではありません。むしろ、大変な公務労働を献身的に支えていらっしゃる方々だと思っています。また、今回取り上げた問題は、多くの職員の方々にとっては全く関係がない話であります。しかし、ごく一部であっても、こういう問題があることで公務員全体の評価を下げることにもつながります。一点の曇りもあってはならない問題だと考えます。
そこで、本市の退職者の再就職、いわゆる天下りについての基本的な考え方、対応について伺います。
鈴木総務局長:おはようございます。よろしくお願いします。
本市では定年退職する職員に対しまして主にふたつ、ひとつは再任用などにより再雇用する、その道と、外郭団体などから要請があった場合は人材の紹介を行うというかたちをとっております。外部団体の再就職につきましては、市民の理解を得られる仕組みとしていく必要がありますので、平成22年1月に再就職の適正化取り組みを発表しまして、24年7月の達成、今年の達成に向けまして、対象機関や報酬額、兼務の解消に関する適正化に取り組んでおります。
古谷議員:今、市が関与する外郭団体は厳しい市民の目が光っていると思います。いまおっしゃられた「再就職に関する見直し」については、その見直しの方向性については大変評価できると考えています。
今定例会の中で、教育委員長が横浜川崎曳船会社の社長に就任していたことが明らかとなりました。同会社は外郭団体ではありませんが、本市出資している会社であります。兼任は合法でありますが、しかし市民感覚からいって疑問符がつくのではないでしょうか。しかも、この件については何も公表がされていません。
そこで、どういう経過だったのか、あるいは本市総務局で斡旋されたものだったのか、なぜ一年間だけの社長就任だったのか、横浜川崎曳船会社は本市OBの指定席なのか、まとめて伺います。
鈴木総務局長:当時、今田氏はすでに市を退職されていましたので、はっきりと私たちの方で把握していることではないこともありますが、団体からの要請に基づいて就任されたのではないかと認識をしております。また、22年1月に本市が再就職に関する適正化取り組みを開始したことなどから、退任のご判断を自らされたのではないかというふうに考えております。横浜川崎曳船株式会社は、曳船業務を通じて横浜港に入港する船舶の安全な運航を確保するという公益的な役割を担っておりますので、本市の行政経験など公務に通じた人材がふさわしいと判断をされて、本市OBが社長への就任を求められていることが多いというふうに認識しています。
古谷議員:本市総務局は関与はなかったということでよろしいですか。
鈴木総務局長:いわゆる紹介システムというようなかたちの関与はしておりません。
古谷議員:わかりました。
次に、別の事例で伺います。本市外郭団体の財団法人帆船日本丸記念財団の現会長は、本市OBだときいていますが、いままで関連団体で働いてきた方だと聞いていますが、今までどこで働いてきたのか、伺います。
鈴木総務局長:帆船日本丸の記念財団の理事長、現会長は岡本氏でございまして、本市退職後に財団法人横浜港埠頭公社、それから財団法人横浜産業振興公社、それから株式会社横浜港国際流通センター、横浜川崎曳船株式会社、そして株式会社横浜国際平和会議場の代表等を歴任されております。また、その後も非常勤の無報酬で、財団法人横浜港埠頭公社の顧問ですとか、財団法人帆船日本丸記念財団の会長、そして社団法人横浜港産業協会の会長を務められております。
古谷議員:ずいぶんわたっておられる方だと思うんですが、このことについて、それぞれ本市が斡旋してきたのか、その関与がなかったのかどうか、明確に答弁お願いいたします。
鈴木総務局長:私どものいわゆる紹介システムという意味では、平成22年度以降、私、就任して以降のことでございますけれども、そういうことは一切しておりません。ただ、団体側が要請をされて、引き続きというようなお話があったりしたものもあるのではないかと思いますが、いずれにしても非常勤、無報酬という場合の扱いと、報酬がある場合の扱いとで、私どもは違っているというふうに認識しております。
古谷議員:退職者の再就職について、見直しが出されて1年後の昨年3月に、横浜市の外郭団体など、経営改革委員会、経営改革に関する報告書が、本市総務局から出されています。その中で、財団法人帆船日本丸記念財団の経営改革の方向性について、どう指摘されていますか。伺います。
鈴木総務局長:委員会からの報告書では、経営改革の方向性としまして、役員と管理職の数が過大であり、早急に見直しを行い、効率的な組織体制とすることとの指摘がなされまして、この方向性についての補足または条件、整備すべき環境として、理事などの要職は市OBである必要は必ずしもなく、専門家など幅広い分野からの登用を図ること、非常勤役員について必要最小限の人数に削減することとの補足等がなされております。
古谷議員:それとは合致しないと考えます。
退職者の再就職についての見直しは、再三申し上げているとおり、方向性はいいというふうに考えています。しかし、これだけでは不十分だと考えます。私が調べた範囲だけでも、たとえば、株式会社横浜スタジアムの役員には、その3分の1がいわゆる本市OBの「渡り」の指定席ともいえるポストで占められています。それ以外にも、外郭団体2箇所程度はしごする。あるいはその後は、今度は外郭団体ではなくて本市出資団体に移っているケースが多く見られています。これは、「見直し」の取り組みで、65歳という年齢制限の枠を逃れるためでしょうか。株式会社といえども社会的責任はあるはずであります。まして市民の税金が入っている団体であります。
どうですか、局長。一度本市の幹部職員となれば、その退職時の地位を利用して、こういう本市外郭団体あるいは関連団体を次々転々としていく、いわゆる「渡り」について、市民からみて理解が得られると思いますか、見解を伺います。
鈴木総務局長:そういうことも含めての再就職の適正化につきまして、外郭団体を対象として取り組みを要請しておりますが、関係団体はじめとするその他団体につきましても取り組みへの理解と協力を現在求めております。その結果、平成23年7月去年の7月の時点で、適正化取り組み前の21年度末と比較をしまして、在職年数の超過、いわゆる期間が超過している方というのは23ポストいたんですけれども、それが9ポストにすでに減少しておりまして、報酬基準の超過の方も117ポストから61ポストに減少をしております。
関係団体などは、出資者や経営母体などの背景が外郭団体とは異なりますので、市として団体の経営自主性を尊重しながらも、適正化の達成に向けて理解と協力をいただけるよう引き続き働きかけております。多くの団体にもご協力いただきまして、達成期限である平成24年の7月には関係団体も含めまして基準を超過するポストは大幅に減少できるというふうに考えております。
古谷議員:そこで、幹部職員の再就職の見直しについて、いまおっしゃられたとおり成果あがっているというお話ですから、外郭団体だけではなくて、本市出資関連団体にも「見直し」の網、つまり年齢規制と退職金規制の網をしっかりかけるべきはないでしょうか。見解、伺います。
鈴木総務局長:退職金規制というお話がありましたけれども、退職金というのは支払わないということでお願いをしているはずです。それから、先ほどのような適正化の取り組みの成果ということでは、完璧にしなくちゃいけないっていう目標は立てますけれども、実は個々の事情ということもありまして、相当その、ぜひこの人材をこの会社に残してほしいとか、あるいはこういう人を財団に残してほしいというような強い要請が団体側からあるケースもございますので、そういう個別性も含めて、個別性については考慮しながら、しかしながら全体としては網をかけて達成に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
古谷議員:この天下りの問題については、本市を退職する職員のうちの本当に、先ほど述べたとおり、ごく一部の問題であります。しかしごく一部であっても、元公務員が、少しきつい言い方しますが、甘い汁を吸っていると思わせればだめではないでしょうか。一点の曇りもあってはならない問題だと考えます。こういうことが、日頃献身的に公務労働をされている公務員の方々全体の評価を下げてしまう。一刻も早い改善を要求して、次の質問に移ります。
本市嘱託職員の知的障がい者に正職員への道を
次に、知的障がい者の雇用促進について伺います。
この施策、大変いい施策だと思いますが、雇用形態が最大でも4年半の期限付きの嘱託職員ということですが、その後は雇用されていた方々はどうなるのか、伺います。
鈴木総務局長:雇用期間終了後は、健康福祉局や就労支援機関等と連携をしながら、民間企業等への就労へつなげられるように取り組んでいきたいというふうに考えております。とりわけ本市では、民間企業でもあまり雇用が進んでいない事務職域での雇用を中心に行っておりますので、より多くの方に本市の事務職域で就労していただくことで、その後の民間への就労の拡大につなげていきたいというふうに考えております。
古谷議員:本市でせっかく高い倍率を勝ち抜いて、せっかく仕事場やあるいは仕事内容に慣れてきたところで、やめてもらうしかないという選択というのは、今の知的障がい者のひときわ厳しい就職状況から見て、再考すべきと考えます。そこで、一度採用した知的障がい者の方々を正職員として雇うことも選択肢として作るべきと考えますが、見解を伺います。
鈴木総務局長:正規職員として雇用するということになるためには、知的障がい者に適した職域を一定の規模で長期安定的に確保するということが必要となります。現時点で非常に解決しなければならない課題も多くありますので、ご理解いただきたいと思います。現時点では、本市での就労経験を生かして、民間企業等への就労に確実につなげることで、社会全体における雇用の拡大につなげていくという方向を考えてございます。
古谷議員:本市ができないことを民間企業に求めるというのでしょうか。大場副市長、よろしいですか。
大場副市長:いま局長から申し上げたとおり、現時点では本市の就労経験生かしていただいて、民間企業等への就労にぜひ確実につながるようにまた我々もサポートしていきたいというところでございます。
日本一の政令市で3人の期限付き嘱託職員は余りにも少なすぎる
古谷議員:続いてですが、採用規模もどうでしょうか。知的障がい者の家族の方も大変この施策については、期待を抱いています。日本一の政令市として、3人の、しかも期限付き嘱託職員というのは、余りにも少なすぎるのではないでしょうか。見解を伺います。
鈴木総務局長:今回の雇用にあたりましては、全庁からの公募による配属先職場の決定、そして配属先に職場の職員への説明会、採用予定者の体験実習、そして配属後の定期的な職場訪問というようなきめ細かい対応を行って、円滑な就労を図るというふうにしております。今後拡大をしていくということがまずは大事であって、つまり固定的に少数の人をずっと長く雇うということよりも、いまはとにかくそのたくさんの人に体験をしていただくというような方向で、毎年毎年新しい方を雇用するというスタイルをとりながら、そういう方も民間の方の就職等ができるようになっていけるような援助を我々としてはしていきたいということでございます。
古谷議員:知的障がい者の方、大変苦労されていますし、安心できる未来を希望していると思います。正職員への道も閉ざすのではなく道を開くこと、また採用規模についても大幅な拡充を求めて、質問を終えます。