局の予算が足りない分を区づくり推進費で穴埋めか
あらき議員:個性ある区づくり推進費について伺います。まず、個性ある区づくり推進費の目的について改めて伺います。
林区政支援部長:個性ある区づくり推進費の目的でございますが、地域の総合行政機関として区役所の自主性を高めること、地域のニーズに的確に対応し個性ある区づくりを推進すること、地域的個別的緊急的ニーズに迅速に対応できるようにすることなどでございます。
あらき議員:自主企画事業費の望ましい事業企画の要素についても、説明お願いします。
林区政支援部長:区の事業の企画にあたっての要素、留意点として、各区で作成する予算編成方針と整合していること、その区ならではの企画の独自性があること、地域の課題解決に向けた効果など企画が具体的であることなどでございまして、各区においてこれらの点を踏まえて編成しております。
あらき議員:新年度の区づくり推進費予算の139億円のうち、区庁舎・区民利用施設管理費に96億円と約7割となっていて、個性ある区づくりのための予算は22億円となっています。この22億円が区の独自性をとらえて予算化するとなっているんですけれども、18区のうち区役所の窓口サービス向上の研修や広報・広聴事業、それから防犯・防災のための安全・安心のまちづくりなどがほとんどの区の自主企画事業に計上されています。これらは、局の予算が足りない分を区づくり推進費で穴埋めをして予算化しているというように見えるんですけれども、ぜひこの点は、区づくり推進費を組んでいらっしゃる神奈川区長、いかがでしょうか。
岡田神奈川区長:確かに、項目的にはかなり似通っています。それは、どこの区でもおなじような課題で苦しんでいるっていうことだと思います。ただ、やり方が違います。それは、地域の特性、地域の力、私たちのかかわり方、それぞれ伝統もありますし、いまの人口構成もかなり違います。そういうやり方の特色というのは全部違うっていうふうに思っております。神奈川区もそれぞれ工夫をいたしまして、課題に向けてやり方を変えて取り組んでいます。同じような状況に各区あるというふうに考えています。
あらき議員:いま、やり方は違うとおっしゃったんですけど、でもやる中身はゴールは私は一緒だと思うんですよ。そういうふうに名目になっているわけですから、安心安全とか。
それでお聞きしたいのは、昨年の決算特別委員会で自民党の渋谷議員が、やはり同じように、各区に事業が似てきている点を指摘して改善を求めています。その点については、監査でも指摘をされています。私も南区の区づくり推進会議の時に、どうして同じ名目がこれだけずっと続くのか、改善を求めてきました。なぜ変わらないのか、見解を伺います。
谷内市民局長:区役所の自主企画事業を実施する場合には、局の事業で対応できない地域課題、ニーズについて、きめ細かく対応していくということで、いま神奈川区長から申し上げましたとおり、やはり現在目の前にある課題というのが各区似ているということはございますので、やはりその部分にどうしてもお金が回っていくといったようなところはございます。このへんで、どういうふうに最適に解決していくのかということになってくると、あるお金だけの中で考えるんではなくて、やはり区と局の適正な役割分担といったなかで、効果的に事業を実施していけるように、市民局としても今後引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。
区づくり推進費に区民の意見をどう反映するのか
あらき議員:2009年度の包括外部監査で、「『個性ある区づくり推進費』はもともとそれぞれの区独自の事業ではあるが、すべての事業がその区だけで完結するわけでなない。場合によっては、ある区が現場感覚を発揮して発掘した事業について、将来、市全体に波及するような事業があってもよいはずである。また、市全体には波及しなくても共通点を有する区間の連携や、他の区での実施の可能性を検討する必要がある。その際に需要となるのが区全体を統括する部署による調整機能であるとし、地域ニーズ反映システムなどをいかに運用において実行性を高めていくかが今後の課題」と、指摘しています。この点をどう受け止め課題解決をしているのか、局長に伺います。
谷内市民局長:ただいま申し上げましたとおり、各区で行っている事業を類似点を見つけて、局の方でやってもらうといったようなことについても、現実にはやっているところでございます。ただそうはいっても、全部の区が同じようなかたちでやっているとは必ずしもかぎらないというようなこともございまして、やはり局の方でもそれをすぐにわかりましたというふうにはなかなかいかないっていうようなところは現実にはございます。ただ、市民局としては、そういう調整をやはりこれからも粘り強く続けていきたいというふうに思っております。
あらき議員:まあひとつの指標として、私もそれは理解するんですけど。
では、区民の意見をどう反映するのかということがまたひとつの課題だと思います。これまで区の様々な課題について区民が意見交換をする場として区民会議がありました。現状はどうなっているか、伺います。
松山広報相談サービス部長:区民会議につきまして、現在活動しておりますのは、鶴見、神奈川、保土ヶ谷、旭、港北、青葉、瀬谷の7団体でございます。
あらき議員:いまご紹介いただいた7団体のうち、区民の集い、全体でやっている区民の集いはそのうち6団体だときいています。残りの12団体は集いそのものがなくなっているわけです。区民会議がない区は区民の意見を反映する取り組みをどのようにしているのか、伺います。
松山広報相談サービス部長:区においては、地区担当職員が地域に出向いて、地域のニーズの把握等を行う地区担当制ですとか、地域で選択した課題テーマに基づいて地域住民のみなさまとの話し合いをする地区懇談会を行っている、またそのほか、泉区では地域協議会を設置するなどして、各区様々な方法で区民のみなさまの意見を反映する取り組みを行っているところでございます。
あらき議員:そこで、地域住民の考えや思いを区政に反映するということで、泉区は地域自治の仕組みを作り、地域協議会による区づくり推進費の事業評価を行っていると聞いています。この点について説明してください。
中山市民協働推進部長:泉区では、地域課題の解決を地域主体で取り組むことを目的として、区内の12の地区連合単位に、地区経営委員会が平成20年度に設立されました。その翌年度の21年4月には、いま申し上げた12の地区経営委員会から2名ずつ推薦されました24人の委員で構成する泉区地域協議会が設立されました。泉区の個性ある区づくり推進費自主事業の事業評価は、この泉区地域協議会が事業所管課にヒアリングをしながら実施をしているところでございます。この事業評価は、地域の課題解決の取り組みを実践している区民の方々の視点から行われまして、評価結果を事業の改善につなげるとともに、必要に応じて次年度の区づくり推進費予算に反映させるものでございます。
あらき議員:私もいただきました。この平成22年度泉区自主企画事業評価結果反映状況調査票、非常にわかりやすくまとめてあります。これこそが区民の意見を反映されて区づくり推進費はだから来年度も続くっていうのははっきりするんです。
でも、残念ながら私の南区でそういう評価はなくて、議員がいろいろ意見をする、それからそれぞれの地区から意見があがっている。でもどのレベルでこれが必要だったかはわかりません。客観的に分かる仕組みを作るのが大事だと思いますけど、この点、お答えください。
谷内市民局長:現在、区の地域支援のあり方を検討しているところでございまして、そういう中でいまの泉区のやり方もひとつのサンプルっていいますか、それとして、18区でそういったような仕組みを作ろうということを、いま各区で検討しているところでございます。
あらき議員:ぜひこの仕組みは作っていただきたいと思います。
区民提案型の補助金を使いやすいように申請しやすいルール作りを
それから、各区ならではの企画を強化するという意味で、提案型の補助金を今まで以上に活用することも一つの方法だと思います。これも監査で指摘をされています。
保土ヶ谷区の和田町商店街の裏手にある旧町内会館を利用して、横浜国大生が週一回小中学生を対象に、無料で、子どもたちに勉強を無料で教える「寺子屋」を実施していると聞いています。この事業は地元商店街の空きスペースを利用した取り組みで、区づくり推進費を活用し、印刷や消耗品として年間10万円を補助し、3か年の事業だと聞いています。
国大生がいるという利点を生かし、商店街とタイアップした事業はまさに提案型の補助事業であり、区づくり推進費としての独自性にかなったものです。こういう事業を各区で取り組むことが本来の目的にかなった区づくり推進費のあり方だと考えますが、見解を伺います。
谷内市民局長:各区で活躍されている方はいろんな方がいらっしゃいますので、それから活躍されている方がいらっしゃるということはそれのニーズがあるということでもございますので、それぞれしっかりと意見調整をさせていただきまして、適切な支援をしていくということを必要なことであるというふうに思います。
あらき議員:提案型補助金の特性を生かすっていうことは、市民からの様々なアイデァを活用することにもなりますし、より一層区の特性やニーズを反映させることができると思います。提案型の補助金を十分に活用するためには、申請者が申請しやすいようなルール作りによって、多くの提案が集まるスキーム作りが必要となる、この点も監査で指摘をされています。これまで言ってきたことが全然、この監査の受けた中身についても、私は残念ながら今回の区づくり推進費に生かされていないとおもうんですけれども、局長いかがでしょうか。
谷内市民局長:それぞれの各区においては、ただいまの各区の指摘を受けて、具体的にそれぞれの事業の採択にあたっては意識しているというふうに認識しております。
あらき議員:もしそうだったら、わかるふうにやるべきじゃないんでしょうか。港南区長どうですか、やってらっしゃいます。
大貫港南区長:港南区の場合ですけども、区民から提案という格好で自主企画講座というものをやっております。10講座ございまして、たとえば川をきれいにしたいってなことでみなさんでお集まりになって、川のことを勉強され、そのあとは実際川をきれいにするっていうような活動につながっているというようなことがございまして、それぞれ区民のみなさんの思いを区民企画講座という中に取り込んで、これ審査をするんですが、しっかり補助をし、サポートをするというような取り組みもおこなっているところでございます。
自主企画事業の評価を区民のみんなでやって次年度につなげる仕組みづくりを
あらき議員:取り組みされるのはいいんですけど、私がいっているのはこの泉区のように、自主企画事業に対して事業評価をみんなでして、それぞれがみんなでどうだったかって振り返るのが本来必要だと思っているんですよ。ところが区づくり推進会議に出てくるのも、前年度の予算、今年度の予算、中期でどこまでいったかっていう報告のみなんですよ。そこに市民の意見、区民の意見がどう反映されるかを仕組みを作りなさいっていうことを言っているわけで、この点で大場副市長、改善の余地があると思いますけど、いかがでしょうか。
大場副市長:区づくり推進会議、市会議員会議でもいろいろご意見ちょうだいしていると思います。各区長もそれらのご意見踏まえながら、毎年毎年区民のニーズを踏まえて取り組んでいくと思いますので、今日のご意見も踏まえて18区にも伝えていきたいと思います。
あらき議員:監査で指摘されたのがもう3年位前なんですよね。ですから、その3年があったわけなので、もう十分その市民局のみなさんはこの点についても各区からもやはりこの使い勝手が本当にいいのかどうかっていう意見はきいているはずなんです。決して私は、そのいまの市の行政であるサービスから、さらに区独自の上乗せ横出しをやることは否定はしておりません。ただ、それについて、本当に区民の意見がちゃんと反映されているかどうかっていう仕組みがないということを何度も申し上げているわけで、これは超党派でもみなさん、議員はみなさんそう感じていらっしゃるわけなので、ぜひこの点、あらためて大場副市長、改善の余地があるということは受け止めていただけますでしょうか。
大場副市長:ご意見としていただいておきます。
あらき議員:終わります。