◎大貫議員の質問と答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
大貫議員:私は、日本共産党を代表して、市第47号議案横浜みどり税条例の一部改正、市第58号議案市道路線の認定廃止、および補正予算に関わって質問いたします。
横浜みどり税は廃止
横浜みどり税条例の一部改正は、長引く不況に苦しんでいる欠損法人に対するみどり税の減免措置を一年間延長するものです。この不況は、市内中小企業そして、そして市民に及んでいます。民間給与についても直近5年間では月例給で4.95%、ボーナスで11.06%減少しています。このような状況の下での超過課税を、市長は心が痛まないのでしょうか。
2010年度のみどり税収入は20億円。そのうち8億3000万円を緑地買い取りの資金として、基金に積み増しました。一方、2010年度本市の一般会計決算で、47億円の実質収支の黒字を計上しています。そしてこの間、実質収支は一貫して黒字が続いています。つまり、予算立てをしっかりすれば、みどり税に頼らなくても、みどりアップ計画の緑地買い取り財源は確保できるのです。不必要な超過課税であるみどり税は廃止すべきだと思いますが、市長の見解を伺います。
林市長:大貫議員のご質問にお答え申し上げます。
市第47号議案について、ご質問いただきました。
横浜みどり税を廃止すべきとのことですが、横浜みどり税は各年度の財政状況に左右されずに、みどりの保全・創造における関連施策の着実な取り組みを進めていくため、安定的な財源を確保するものであり、たいへん重要な税であると考えています。欠損法人の特例措置については、きびしい経済状況等を考慮して設けられたものであり、今回1年間の延長をお願いするものです。今後も市民のみなさまにご理解いただきながら、市内のみどりの保全・創造に着実に取り組んでいきます。
みどりを守るというのなら、池子の森をこわす米軍住宅建設に反対を
大貫議員:市内の緑地を保存するためには、何よりも緑を破壊させないという本市の姿勢と決意を示すことなんです。そして、規制を強めることが必要です。
本市の緑を守るという決意の象徴的な例では、米軍池子住宅建設での態度です。決意が口先だけのことかどうか、決定的に明らかになります。
これまでこの問題で、本市は、協議には応じるが住宅建設に賛成も反対も態度表明はしていないというものでした。しかし、この11月30日に本市が南関東防衛局長あてに提出した要請書は、住宅建設での非改変地や、改変地の緑の将来にわたる保全の担保や、工事中および共用後の交通対策等を要請しています。これは、事実上、建設を容認したということになりますが、明快な見解を求めます。
緑は大切だ、守るためにと、これまでこの不況下でみどり税を市民に押し付け、困難を強いてきました。ところが一方で、基地問題は国の専決事項だとして、米軍住宅建設のためには池子の貴重な緑の破壊を認めることは、市民に対する背信行為以外の何物でもありません。
沖縄では辺野古のサンゴ礁を守るためにも、沖縄県知事を先頭に県内の各地方自治体の首長は、新たな米軍基地建設に反対しているではありませんか。市長は緑を守るという市の決意を示すためにも、池子米軍住宅建設に明確に反対すべきです。この点での市長の見解を伺います。
林市長:池子における住宅建設についてですが、これまで市会のみなさまはもとより、市民の方々の様々な意見を踏まえたうえで、横浜市域での住宅等の建設、施設の返還にかかわる具体的協議に応じるという方針を定め、対応してきました。さる7月20日に南関東防衛局から住宅の基本配置計画案が示され、本市の意見が求められたことから、この方針に基づき、地元からの意見を踏まえ、11月30日に国へ要請書を提出しました。みどり、自然環境の保全については、平成15年に国から住宅建設の申し入れが行われて以降、これまでの様々な局面において国に求めてきました。今回の要請書においても、緑地、自然環境の保全について、さらなる改変面積の縮小などを国に求めています。
巨額な財源が必要な高速横浜環状道路計画は見直しを
大貫議員:次は、市第58号議案、道路の認定廃止に関わって、高速横浜環状北西線の道路認定について質問いたします。
日本の産業構造の変化を踏まえ、北西線の必要性が疑問視されています。北西線の総事業費は2,200億円とされ、そのうち本市は1,150億円を支出します。今後、本市は公共施設や道路を始めとする公共インフラの更新と長寿命化対策の時代に突入し、今後20年間で公共施設の保全費が約3兆円、道路関係費だけでも4,800億円という巨額な財源が必要となってきます。不況で市税収入が落ち込んでいるなか、高速道路建設のために1,150億円ものあらたな財政出動が許されるのか、市民の理解を得ることはできません。どのように説明されるのか、明快にお聞きいたします。
北西線は横浜環状道路の一部で、横浜環状道路計画は右肩上がりの1980年代に立案され、30年以上経過いたしました。この間バブルがはじけ、我が国は経済不況が続き、今後さらなる産業構造の変化が必至です。こういう状況の下で、横浜環状道路の必要性の根拠とされた市内の一日の予想最大交通量も大幅に違ってくるのは当然です。この際、北西線を含め横浜環状道路計画そのものを見直すことが必要だと考えますが、見解を伺います。
林市長:市第58号議案について、ご質問をいただきました。
北西線の財源についての見解ですが、北西線は、北線と一体となることで、横浜港の国際競争力の強化を始め、災害時における輸送路の確保や保土ヶ谷バイパスを始めとする市域の交通混雑の改善など、大きな整備効果が期待され、早期整備が必要な路線です。これまで、市民のみなさまを中心に広く情報提供を行い、意見を伺いながら、計画に反映させていくパブリックインボルブメント方式を取り入れ、議会でも節目ごとに議論をいただき、市民のみなさまのご理解を得ながら進めてきました。きびしい財政状況ではありますが、今後とも北西線の整備効果や必要性を市民のみなさまに説明しながら、事業を進めていきます。
横浜環状道路の計画を見直す必要についてですが、横浜環状道路は、羽田空港や横浜港と東名高速をむすび、横浜版成長戦略を支える事業として中期4か年計画に位置付けており、また現在事業を進めている南線・北線は、最近行われた国の事業再評価においても必要性が認められております。さらに、3月11日の東日本大震災においても、輸送路の確保の必要性がより一層認識されました。このように、横浜環状道路は、現在においても市内経済の活性化や市民生活を支える重要な事業であり、できるだけ早期に供用できるよう、引き続き整備推進に取り組んでいきます。
本市独自で石油コンビナート津波対策を
大貫議員:次は、補正予算案についてです。
第一に、防災対策予算に関わり津波対策について、質問します。
先般、神奈川県による新たな津波浸水予測図素案が発表されました。素案を見ますと京浜地区や根岸地区等の石油コンビナート、さらには横浜港のコンテナヤードも甚大な津波被害が予想されます。ところが、神奈川県石油コンビナート防災計画では、津波による被害想定はしておらず、全く無防備です。地震による沿岸埋め立て地の液状化対策も含め、本市として独自に石油コンビナート津波対策を立て、県と国に施策の実施と提案、実行することを求めます。市長の見解を伺います。
林市長:市第67号議案について、ご質問をいただきました。
石油コンビナートについて本市独自の防災対策を立て、国や県に施策の提案や実行を求めるべきとのことですが、都道府県が策定することとなっている石油コンビナート等防災計画の見直しに関し、東日本大震災を受け、神奈川県は8月から検討を開始しました。横浜市もこの計画見直しに協力し、独自の取り組みである津波避難ガイドラインや、市内の被害状況などの情報提供を始め、津波対策や液状化対策について意見交換を行うなど、計画の見直し原案の策定に参画をしています。
横浜港の津波漂流物対策を
大貫議員:横浜港も津波被害を最小限にとどめるための予防措置が不足しています。横浜港湾に係留、接岸している船舶の陸上への乗り上げ、漂流、コンテナヤードの膨大なコンテナが津波によって暴走した場合等の対策が必要です。釧路港においては、津波漂流物対策として津波襲来時に車両が港湾に流入することや、小型船舶が市街地に流出することを防止するために、津波スクリーンの整備を進めています。本市においても早急にコンテナを含めた津波対策を講じる必要があると考えますが、見解を伺います。
林市長:船舶の津波対策につきましては、横浜海上保安部と関係機関、団体により定めた津波襲来時の対応要領に基づき、港退避や係留の強化を図るなど、安全対策がとれるよう、情報伝達に努めます。また、コンテナにつきましては、神奈川県や国土交通省が検討を進めている津波対策を踏まえ、どのような流出対策が有効か、他港の事例も参考に、検討していきます。
放射線対策部の人員強化を
大貫議員:次に、放射線対策について伺います。
これまでの本市の放射線対策は、学校給食での食材や卸売市場での放射能検査など、他都市と比べ進んでいると思います。さらに市民の期待に応えるために、いくつかの提案をし、市長とそして教育長の見解を求めるものです。
第一に、組織と人員体制の強化についてです。
副市長を本部長とする放射線対策部によって、各局間の連絡体制はよくできていると聞いています。問題は、放射線対策に関わる組織体制です。専任は課長1名と係長2名のみで、そのほかの30名は他の業務と兼任です。市民の命と健康を守るためには、放射線対策の組織・人員の強化がどうしても必要だと思いますが、市長の見解を伺います。
林市長:放射線対策に関する本市の組織についてですが、放射線の対策は、農作物や水道水、学校給食食材等の安全確認や、廃棄物や土壌の処理など多岐にわたっています。それらの業務は、各局の本来業務に密接に関連するものであり、そのためまず全庁的に迅速、的確に対応がとれるよう、放射線対策部の事務局に専任の職員を配置し、さらに各局の業務に精通した職員に、放射線対策の兼務をさせることにより、放射線対策部を強化しました。今後も引き続き、放射線対策部を中心に、各区局連携しながら市民生活等の場面に応じた適切な対応を図っていきます。
学校給食食材の放射能検査は1月以降も継続実施
大貫議員:次に、検査の体制についてです。
現在、学校給食で行っている食材の放射能検査は大変有効ですが、本年12月までの実施とされています。引き続き給食食材の安全性を確保するため、1月以降も継続実施が必要と考えますが、いかがでしょうか。
山田教育長:市第67号議案について、ご質問をいただきました。
学校給食食材の検査についてでございますが、本年10月11日から毎日小学校1校を選定いたしまして、翌日に学校給食で使用します食材すべてを検査しておりますが、現在、基本的には同様の検査を引き続き来年1月以降も継続していく方向で検討をいたしております。以上、ご答弁申し上げました。
衛生研究所に高精度の検査機器導入し体制強化
大貫議員:また、市民の食品の安全を確保する点で、市場に流通する食品の検査の充実がさらに求められているところです。現在、中央卸売り市場と南部市場にシンチレーション検出器をそれぞれ一台ずつ導入しています。そして検査していますが、全取扱品目に対して、魚介類で2%、野菜で8%から9%程度のサンプリング検査に過ぎません。また、本市の衛生研究所では、放射線検査に従事しているのは微量汚染物質の検査担当の7人の職員で、朝から夜までフル稼働という状態です。消費者の不安を取り除く上でも、生産者への風評被害を抑える上でも、検体数を増やすため、いっそうの機器の購入・整備と人員配置など検査体制を、市の衛生研究所も含め抜本的強化が必要と考えますが、見解を伺います。
林市長:中央卸売市場に流通する食品の放射性物質の検査体制の強化についてですが、9月から福島県産、茨城県産、宮城県産などの農水産物を検査し、結果はすべて問題のない値でした。なお、中央卸売市場等がある18政令指定都市中、9都市で検査を実施しており、本市でもこの検査に力をいれております。農産物等は出荷前に生産地において検査を実施しておりますが、放射性物質の検査は継続することが重要だと考えておりますので、今後あらたに精度の高い検査機器を導入するなど体制を強化し、生産地ごとに幅広い品目について検査を実施してまいります。また、衛生研究所についても、臨時職員を増員する等で検査体制を充実してまいります。
放射線測定器を市民に貸し出しを
大貫議員:今議会では、市民の放射能不安に対応するために、公園や小中学校周辺道路等の放射線測定のための予算が計上されました。市の広聴相談課には市民のみなさんから、自分の住んでいる周辺の放射線を測定したいとの要求が多く寄せられています。それに応えるためにも、本市から放射線測定器の市民への貸し出しが必要だと思いますが、市長の用意があるか、市長の見解を伺います。
林市長:放射線測定器の市民への貸し出しについてですが、すでに保育園、小中学校など1,200を超える施設の空間線量測定を行っており、また文部科学省の航空機モニタリングにおいても、特に問題のない値であることを確認しております。なお、計測結果はホームページで公表するとともに、市民のみなさまからのお問い合わせに対してもその結果を分かりやすくご説明しております。
また、局所的に周囲より高い放射線量が測定される、いわゆるマイクロスポットに対しましても、保育園、小中学校始め、公園、道路などの測定を優先し、測定器を集中的に投入するなど対策を進めているところです。市民のみなさまへの機器の貸し出しについては、その測定の進み具合や測定結果の状況を見ながら考えてまいります。
放射能対策経費は東京電力に求めよ
大貫議員:最後に、放射線対策に関わる経費についてですが、先ほど約10億円余の東京電力への請求が近々されると聞きました。東京電力の責任を明らかにするためにも徹底して請求すべきものは請求しなければならないと考えています。今回、請求内容に人件費は含まれているのか、含まれていないのであれば、今回請求をしなかった経費や今後の生ずる経費についてはどのように対応されるのか、あわせて、東京電力が請求に対し支払いに応じない場合には、訴訟も考えているのか、伺います。
放射能に関わって、今、市内で起きていることは、継続的な低線量被曝とその対策の問題です。まさに新しい問題であり、未知の分野も多く、困難な課題も山積しています。行政と議会、市民、一致団結して、この困難に対処し、市民の命と健康を守るために全力をあげ、努力することを呼び掛けて、私の質問といたします。
林市長:放射線対策の費用ですが、今年度の市の負担額は人件費を除き10億円を超える見込みです。人件費については、現在放射線対策に専任で従事した職員の人件費や、各局職員や対策に従事したことによる超過勤務手当などを請求することを検討しています。今後、人件費の算定方法を整理した上で、東京電力に対する求償額に含めていきます。
今後新たな放射線対策を講じた場合の求償ですが、新たに発生した費用についても、東京電力に対して賠償を求めていきます。
東京電力が支払いに応じない場合の対応ですが、まずは東京電力に本市が実施した放射線対策費用の全額を賠償するよう強く求めていきます。その後の方針については、東京電力の対応を踏まえて判断してまいります。