動画 ・ 市政ニュース
2025年6月2日

【ココが問題】医療業界が破綻寸前!その生々しい実態を告発する

【対談者:横浜市会議員 古谷やすひこ  神奈川医労連書記長 柏木哲哉】

病院が絶滅してしまうのではないか

古谷:今日はよろしくお願いします。

議員団で購読している病院新聞の記事に、病院の中央団体が厚労省に緊急の要望をしていて、本当に深刻な経営危機だと。財政支援措置を直接やってもらいたい。診療報酬の対応では本当に不十分で、ちょっと衝撃的だったのは、もう病院というものは絶滅してしまうのではないかとか、本当に深刻な状況が掲載されていました。神奈川県内の病院経営の状況はこんなに厳しい状況なのですか。

柏木:そうですね。労働組合として神奈川県内の病院や診療所に組織を持っていますけれど、昨年の物価高騰の影響が病院の経営に直結していて、約7割から8割の病院のところで赤字です。普通の赤字じゃなくて、億を超える赤字が、県立病院から民間を含めてあって、結局それがまともに克服できてない診療報酬が、昨年6月から始まって、2年に1回しか改定されないので、今はそういう状況になっても変わらない年です。なので、このままいくと、春闘でのベースアップ回答はもちろんないですし、夏の一時金にも大きな影響を与えています。既に、昨年と比べて、一時金の回答は、去年よりも下がっているという回答も出ています。

経営が厳しく定期昇給ストップ、夏の一時金減の病院も

古谷:病院の経営状況が悪くなると、今言われたように、働いている人の処遇が厳しくなる。元々看護師さんとか、医師とか、厳しい状況だと聞いていたのですけど、ボーナスとか賃金とか、今年の状況はどんな状況になっていますか。

柏木:今年の春闘の回答状況が出ましたが、民間のところも含めて定期昇給のみ。あるいは定期昇給を凍結するというところまで、でました。

古谷:定期昇給を凍結するってなかなか聞いたことないですけど。

柏木:そうですよ。そういうところまで追い込まれていて、いつもでしたら数字で回答が出るのですが、数字を出せないという法人が多くて、直近ですと、夏の一時金が昨年よりも引き下げる回答が複数出てきて、全国的にも同じような状況です。おそらくこのままなんの手立てもしなければ、医療で働いている方たちは、間違いなく一時金は下がる回答になる。

古谷:そうするとやめちゃう。

実態調査では看護師さんの10人に8人がやめたい

柏木:結局、離職に歯止めがかからない。実態調査もやっているけど、やめたいと思っていますかという質問に関しては、看護師さんの10人に8人が何かしらやめたいと思っているという回答をされている。

古谷:そうなるんですね。

柏木:なんでそうなるかというと、賃金も上がらないですし、人手が少なくて、1人で2人分も3人分も働かなきゃいけないし、夜勤も2交代ですと、1日16時間夜勤を、月に5回も6回もやらないと回っていかないという状況になっていて、さらに看護助手さんとかに至っては、最低賃金に張り付いた時給になっているので、結局、その過酷な病院の中で働くよりも、最低賃金で同じ時給であるならば、もっと違う産業で働いた方がいいっていうことで、病院から離職するって感じじゃなくて、医療介護そのものを諦めて、他の産業で働く人が多くなってきていて、人員流出の質が違ってきている。

古谷:本当に質が変わってきている。

柏木:学生たちには、そこを見透かされていて、医療介護で働くと大変、賃金が低いと思われていて、将来、看護師さんが働くと思ってもらえるような魅力がなくなってきて、看護師の学校も定員割れが常に起きているんですよね。

古谷:鶴見にある医師会の看護学校の定員割れが5年くらい続いている。本当に厳しい状況だっていうのは、働き始めても厳しいし、長く働いている人も長く働けば働くほどまた厳しくなっているという状況です。

柏木:これから超高齢化社会がどんどん深刻化する中で、今は人手を、医療と介護で働く人を増やしていかないと立ち行かなくなってくるなと。物価高騰のあおりを受けて、赤字で一時金が下がるみたいな状況になっていますし、去年の春闘の賃上げ状況で見ると、全産業平均で大体1万2,000円ぐらいですけど、医療介護は6,000円台です。現場で働いているスタッフの方の声を聞くと、賃上げ、賃上げだってテレビとか世間で言うけども、医療で働いている私たちは置いていかれている。そういう状況に全く追いついていない。置いていかれているような感覚を持っていると。それじゃやっぱりモチベーションが全く上がらないってことです。

診療報酬改定、県市の緊急支援を

古谷:そもそも診療報酬改定は政治が決めるところだと思うのですが、診療報酬を期中でも改定をするし、いろんな手当をつけるべきだということはあると思います。一方で、それだけでは、私は不十分かなと思っていますが、もうちょっと政治に求めることが何かありますか。

柏木:政治と医療と介護は、本当に直結しているなと。やっぱり診療報酬を引き上げてもらわないと、現場の私たちの給料も上がっていかない。報酬改定は、医療は2年に1回、介護は3年に1回ということで間に合わないですよ。診療報酬の再改定をしてくれと私たちの団体は常に言っているのです。それに対して、政府もじゃあ緊急的な財政出動しようということで補助金とかも出すのだけれども、それが非常に不十分すぎて、分断も起きるんですよ。看護師にしか出さないとか、事務には出さないとかって感じで、限定的にしか出せないので。古谷:医療はチームで働いていますよね。

柏木:病院によっては、全スタッフで患者さん、利用者さんの命と権利を守るという姿勢を堅持して、全スタッフに賃上げだという経営をすればするほど赤字が広がって、一時金が削減されるみたいな。そういう現象が起きちゃっていて、これは政府そのものがおかしいってことを強く言わなきゃいけない。

古谷:ありがとうございます。そんな中で、政治ができる賃上げっていうので、岩手県でいい施策が出ていると聞いたのですけど。

柏木:そうですね。岩手県では、医療だけじゃなくて、全産業ですけど、岩手県内の中小企業のところで、従業員1人当たり時給で言うと60円を上げることによって、岩手県として6万円の補助金を出しますよというのを打ち出しています。それと同じように、横浜市だって、神奈川県だって、まだまだできることはあるので、私たちも良くしてほしいと行政に話しますけども、「気持ちは一緒です」「国の方に私たちも言います」とかねおっしゃっていただいていますが、それはそれでやりつつも、自分たちのところで、岩手県みたいに中小企業の賃上げの施策。具体的な補助金の施策とかを打ち出してもらうことが今一番急務だろうな。

古谷:わかりました。ありがとうございます。今のようなことを、私自身も横浜市会議員として、議会にしっかり代弁します。皆さんからも声を上げていただきながら、今の医療の窮状をこの動画を通じて知られた方も含めて、一緒に声を上げていきたいと思います。今の医療介護が成り立たなければ、本当に日本自体が沈没していくような事態ですから、しっかり私たちも切迫感を持って頑張りたいと思います。今日はありがとうございました。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP