2025年4月24日 大阪市立鯰江東小学校を視察
参加者:横浜市議団議員5人、事務局2人 報告者:古谷やすひこ、宇佐美さやか、大和田あきお議員
報告者:宇佐美さやか
大阪市立鯰江東小学校に伺い、大阪市教育委員会事務局指導部 保健体育担当 給食グループ担当係長さんから、全員制の給食が始まった経緯などを聞かせていただいた。
2007年頃から、中学校でお弁当を持参していない生徒が目立ち始めたことをきっかけに、2008年から業者弁当による昼食提供事業を実施することになる。希望する生徒が購入するシステムで、全員制ではない。
2011年度の9月の大阪市会本会議において、中学校給食実施に向けた条件整備にかかる補正予算が可決された。その翌月以降から、給食配膳室の実施設計や中学校給食システムの開発など給食導入に向けて条件整備に着手。当初の中学校給食実施についての考え方は①弁当箱でのデリバリー方式により実施 ②「家庭弁当との選択制」により実施 ③給食配膳室の設置など、条件整備の完了した中学校から段階的に開始し2013年度中の全校実施をめざす。
2012年9月から徐々に実施し2013年9月に大阪市内128校全校で選択制のデリバリー方式による中学校給食を実施。
2014年3月に大阪市会において、デリバリー方式の課題についての質疑がされる。そして、「平成26年度大阪市一般会計予算」に対する附帯決議が議決。その内容は、『(抜粋)原則全員喫食に踏み切る中学校給食に関しては、デリバリー方式の弁当であることから、生徒のアレルギー対策の不備をはじめ、調理配膳業者の異物混入事案などに対する立ち入り調査ができないことなどの課題が解決されないままの実施となる。この状況に鑑み、生徒の喫食現状・ニーズの把握に努め、鋭意改善に取り組まれたい』というもの。この附帯決議をふまえ、デリバリー方式の課題解決に向けた対応策を実施。一方で、温かいおかずの提供やアレルギー対応に限界があるということから、小中一貫校での自校調理の取り組みも踏まえて小中親子方式の検証を行い、中長期的な実施方法を検討することにした。
2015年度、4月1校の小中一貫校で、9月に2校の小中一貫校で自校調理、1校の中学校で近隣小学校から運ばれる親子方式でのモデル実施。その時の残食調査結果はデリバリー方式で20%~30%、自校調理方式(3校)と親子方式(1校)では、5%と桁違いの少なさだった。
この事実を受け大阪市教委は、2016年2月に学校調理方式の全市展開を決定する。その年の2学期から2019年の2学期までに段階的に大阪市立中学校128校全てで移行することを決定。
2016年4月にデリバリー方式での全員制への移行が完了した4か月後から18校で、2017年4月、12校、8月、29校、2018年4月、7校、8月26校、2019年4月、9校、2020年には、128校全てで学校調理方式へ移行完了。この間、保護者や関係者からの不満の声は全く無かったそうです。横浜市の教育委員会は「一斉に実施できなければ不公平」と言い続けているが、はたして、横浜で本当にそういう声が上がるのか疑問です。
校内を移動して、調理し終えた給食が入れられている部屋へ。栄養教諭さんから説明を受け、実際に児童のみなさんが受取りに来ている姿を見た。
私たちは、運んでいただいた給食を作っていただいたランチョンマットを見ながらいただいた。この日のメニューは、米飯、牛乳、鶏肉とじゃがいもの煮物、厚揚げの醬油だれかけ、紅さけそぼろでした。ちょっと想像していただきたい。茶色いのが頭に浮かぶでしょう?この栄養満点の給食を美味しくいただきました。温かいということで、食材の香や素材の味、美味しさがしっかり伝わる。やはり、出来立てはお弁当にはない良さが沢山詰まっている。この良いことだらけの自校調理方式や親子方式での給食をやはり横浜の中学生にも食べてほしい。
今回も、やはり、大阪市の教育委員会の子どもたちを思う気概が伝わりました。市の姿勢で、いくらでも良い給食を提供することができきるのだから、後発の給料実施となる横浜市には、最先端の素晴らしい給料の実施をしてもらいたい。
今回、少し残念だったのは、中学校を視られなかったこと。視察させていただいた鯰江東小学校は、自校完結の給食だったので、ここから何処かへ運ばれるなどは視られず、食べている生徒さんの表情を想像するのみとなった。実際に食べている表情や感想が聞けたら、良かったのですが・・・。
中学校給食の実施にあたっては、大阪市内を4つのブロックに分け献立表を4つ作り、ぐるぐる回すことで、食材購入などをスムーズに実施している。
アレルギー対応は、次月の献立表を保護者に渡し、保護者がチェックしたものを学校に提出し、当日、生徒が担任から直接受け取るようになっていると聞いた。
こうして、丁寧に作られた給食は、きっと児童・生徒のみなさんにとって、心と身体を支えるものになるでしょう。そう考えると、やはり横浜でも『出来立ての給食を食べてもらいたい』と、切望する。
危惧していた点で、「デリバリー方式での実施から、途中で契約を解除するなどしたケースはあったのか、その場合、違約金などの費用負担はあったのか?」ということを、担当係長さんに聞いてみたところ「そういうことは、ありません。契約期間を短くしていたのだと思います」と。短い契約にしていたことで、変更した時も臨機応変に対応できたということだそうです。例えば、2017年に学校調理方式となる学校は、デリバリー業者と1年契約にするという具合。横浜市も、こういう臨機応変に対応してもらえる契約にしていれば、途中で学校調理方式などに変更となった場合にも違約金などの負担が無くて済むだろう。そういった柔軟な対応を望むものです。
今回の視察で、大阪市は調理業務などを委託する方向となってしまったということで、その点は残念です。公務員を減らしている維新政治を垣間見ることになったので、そこは、何とも後味が悪い。そこは、大阪市教委のせいではないので、市教委みなさんとお世話になった鯰江東小学校の校長先生と栄養教諭さんに感謝して、報告とさせたいただく。

撮影者:大和田あきお
大阪市の小学校 【給食編】教材ビデオ 下の画像をクリック
