みわ議員:みわ智恵美です。一昨日の古谷団長に続き、日本共産党を代表して新年度予算について質問します。
初めに能登半島地震でなくなられた方々に心からのお悔やみを申し上げ、被災されたすべての皆さまにお見舞い申し上げます。そして、一日も早く日常を取り戻すことができるよう、私たちもそれぞれの場で、力をつくす決意を述べまして質問に入ります。
教員の未配置問題解消に向けて、奨学金返済免除制度創設を
みわ議員:「隣のクラスの担任の先生がずっといない」居るべき先生が配置されていない「未配置」状態についての保護者からの訴えは、私のところにも繰り返し届いています。法に反するこの事態は横浜だけではなく社会問題化していますが、横浜は深刻です。2022年度は未配置が162件、2023年度は半年で110件、122日間の未配置もあったときいています。先生を最初から採用しておくべきと質すと、教員採用試験の応募が少なく、倍率を下げるわけにはいかないとして、市教委は採用人数を絞り、毎年4月からの欠員ありきでスタートしています。さて、新年度予算をみますと、非常勤講師等人件費が今年より20億円も増額された67億円です。これは未配置の非常事態を非常勤の先生で乗り切ろうという予算ではないでしょうか。格差と貧困、不登校やいじめなど、権利の主体である子どもたちへの行き届いた教育、安心して学べる環境を作るためにも、一人ひとりに継続して対応できる正規の先生を配置することは当然で急がれます。
教師の応募が少なくなっているのは、残業代の出ない長時間定額働かせ放題の給特法の元、教員はブラックというのがその根本にあると言われています。過労死ラインを超える月80時間残業の根絶はもとよりです。一方で若者には、大学卒業時に平均300万円の重い教育ローンを背負って社会生活をスタートさせる奨学金返済問題があります。この二つを解決する道へと「日本一の教育都市」を目指す市長として、先生がいない、足りない事態の打開に動く時ではないでしょうか。千葉県は新年度から「教員不足解消に向けた奨学金返済緊急支援事業」を始めるということです。
教員の長時間労働、未配置、更なる教員の多忙化という悪循環を断ち切るために、しっかりと教員を採用する。そのためにも多くの教師を目指す方々が横浜を選択していただけるように、インセンティブとして奨学金返還支援を行うなどに取り組んではどうかと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:教員採用の促進についてご質問をいただきました。教員採用者への奨学金の返還支援についてですが、現在国の中央教育審議会でも、どのような支援のあり方が教員不足の解消や優秀な人材の確保につながるのか、議論されています。また奨学金の返還を支援しているいくつかの自治体がありますが、支援対象は人数制限があり一部の人に限られています。今後の国や他の自治体の動向を注視してまいります。
温かい中学校給食願う市民の声にこたえよう
みわ議員:次は、安全安心の中学校給食推進への進化について伺います。
本年度、中学校給食調理中の鍋でたばこの吸い殻が発見されましたが、市外の工場だったので、横浜市の保健所は立ち入れませんでした。小学校の給食では、仮に何か事故があってもその学校に横浜市の保健所が直接立ち入り指導し改善が行われることになります。安心安全の当然の姿と考えられます。また、この事故の責任は事業者には求められず、税金で穴埋めされました。また、2026年度からの全員給食の製造事業者に参入予定だった事業者が、年末に食中毒事件を起こし、取引事業者から外されました。1万3千食の給食製造担当でした。事業が始まってから事故が起これば、何十校もの給食がストップになります。
2026年から始められようとしている横浜市のデリバリー型中学校給食は、毎日、小田原、綾瀬、相模原などの遠隔地と都筑区などの6つの工場で53,000食、金沢区の工場で28,000食をそれぞれ製造し各学校へ配送します。何とも高いリスクをはらんではいないでしょうか。能登半島地震を目の当たりにした市民が今年に入って「温かい給食の提供、かつ災害時の活用も含め学校調理方式の検討を行うこと」など、これから始まる中学校給食について、改善を求める署名を始めたとききました。
「温かい給食」「給食調理場の災害時の活用を求める」などです。市長は市民のこの声にどうお応えになるのでしょうか、伺います。
山中市長:中学校給食についてご質問をいただきました。提供方式の再検討などを求める市民の声にどう応えるのかとのことですが、生徒の成長を支えるために栄養バランスの整った給食を全員に届けることは、学校給食法の趣旨であり、多くの市民の皆様からの長年の要請であると受け止めております。現在中学校の全員給食に向けた準備を着実に進めております。
令和8年度から全校でスムーズに全員給食を開始できるよう、供給体制を整備するほか献立の改善、温かさ、アレルギーへの対応など給食の魅力を高めてまいります。
みわ議員:一斉スタートにこだわらずにできるところでは、あたたかい出来立ての給食を提供できるよう、学校調理方式を導入するなど実施方式の検討を行うことを改めて強く要望いたします。
バス便300本減便は公共交通の役割放棄に等しい 賃上げで運転手確保を
みわ議員:次は、どなたにも暮らしやすい街づくりに欠かせないバス交通の充実についてです。
公共交通には市民の足の確保とともに、大量輸送によって環境負荷CO2を減らす役割があります。「環境にやさしい公共交通に乗ろう」とのキャッチコピーは小学生の交通ポスターコンクールの常連です。市長が公約に掲げられた「脱炭素社会にむけて温室効果ガス削減の取り組み」も「地域交通の充実」にも大いに期待します。ところが交通局はこの4月、春のダイヤ改正で300本ものバスを減便するとして、バスドライバーの働き方改革によるもので、やむなしと説明します。バスドライバーに休養時間を保障する働き方改革は当然です。しかし、だからといって大幅な減便、多くの市民の足を奪うことを行っていいはずはありません。しかも、市民にはまったく知らされていません。
交通局は新たな「市営交通中期経営計画2023―2026」にある経営における5つの柱のうちには「市民の足を守る」「公営交通の責務」がしっかりと位置付けられています。このような大幅減便で公営交通の責任を果たせているといえるでしょうか市長の見解を求めます。
山中市長:バス交通の充実についてご質問をいただきました。大幅な減便を行うことは、公営交通の責任を果たしていると言えるのかとのことですが、バス乗務員の長時間労働を防ぐ目的で、本年4月から改善基準告示が改正され乗務員の勤務時間が短縮されます。乗務員の勤務時間が短縮されるので、深刻な乗務員の不足が見込まれます。
市営バスにおきましては、お客様の利用実態に合わせまして、全体で3%程度の運行の効率化を行うものであります。交通局には自立経営のもと、地域の理解を得ながら市民の足をしっかり守ってもらいたいと考えます。
みわ議員:当該の「中期経営計画」を定めるにあたって開催されてきた「市営交通経営審議会」では、「想像以上にドライバーの確保、運行維持が困難になる」「バスの運転手など就職希望者を呼び込むことも、もっと魅力ある職場づくり、プロモーションが必要」と委員が述べられていますが、本当にそうだと思います。現在の市営交通を支えているドライバーの年齢構成は、21歳から40歳までの方が16.1%。51歳から73歳までの方で59.3%です。ベテランの方々に支えられていると同時に、若い方々に選ばれていないとも言えます。一方でベテランドライバーの方が、「残業して何とか子どもの大学進学を果たした」と低い賃金の問題も語られます。地域交通を守り、CO2削減を進めていく点からも経営審議会で提起されているように、若い方が横浜市のバスドライバー目指していただけるようなドライバー確保の取組が求められております。バス運転手の雇用確保に先ずは、賃金アップをしっかりと進めていくべきと考えますが、交通局長の見解を伺います。
交通局長:昨年12月に人事委員会勧告に準じた給与改定等を実施し、一定の改善を図ったところです。バス乗務員の確保に向けては、給与改定だけでなく、働きやすく魅力的な職場環境づくりに取り組んでまいります。
本来の国際園芸博の意義に向き合った取り組みを
みわ議員:次に、横浜園芸博覧会のあり方について伺います。
1960年にオランダのロッテルダムから始まった国際園芸博覧会。横浜で開く園芸博は、「横浜から明日に向けた友好と平和のメッセージを発信」とし「自然共生社会の実現に向けた新たな暮らしのモデルを提案します」としています。地球温暖化の進行や生物多様性の損失といった世界規模の環境問題や食糧問題の深刻化、限りある地球環境の持続という人類共通の目的に軸を移した環境社会への大きな転換の中にあるとの認識のもと開催されようとしています。我が国の現状を振り返れば、エネルギー政策では石炭火力からの撤退もなく原発に頼る。貧困な農業政策で食料自給率が38%。限界集落を広げ地域ごと山ごと崩壊する事態です。さらに宅地開発で失われる都市の緑の喪失も進行形です。ここに向き合うことが、日本で園芸博をおこなう意義ではないでしょうか。
市長は「横浜グリーン博」と名付けられました。問題は、会期中に会場を緑いっぱいにすることだけでなく、2027年開催までに開催地横浜の緑被率を何%にまであげるのか。農家戸数も農地面積も減り続けている都市農業をどう守り増やすのか。市民一人当たりの都市公園面積が全国で659位わずか5㎡の現状をどれだけ引き上げるのか。立てた計画をしっかり実行していくことが必要です。伺います。
山中市長:グリーンエクスポ2027についてご質問をいただきました。園芸博までに緑に関する計画を立て実行すべきとのことですが、本市では緑豊かなまち横浜を次世代に引き継ぐために、水と緑の基本計画を策定して緑比率の維持向上などに向け、横浜緑アップ計画や、都市農業推進プランなどにより緑の保全や、創造の取り組みを進めてきております。
グリーンエクスポ2027は、緑豊かな街横浜を国内外にアピールする絶好の機会と捉えまして、引き続きしっかり取り組んでまいります。
有料1000万人目標は、公費負担が膨らむことが分かった時点で抜本見直しを
みわ議員:今広がっている市民の懸念は、花博開催後の巨大テーマパーク誘致のための大規模な土地改変によって、貴重な自然が失われ、希少な生き物が生息する生態系が破壊されてしまうのではないかということ。また、大阪万博ではどんどん公費負担がかさむ状況を目の当たりにしています。有料入場者1,000万人は過去博などから割り出した運営費360億円を賄うための数であったのが発端です。1,000万人集めんがための取り組みで、当初予算を倍加するようなことになれば到底市民の理解は得られません。公費負担が膨大に膨らむような事態があった場合は、有料入場者数の見直しを含めた抜本的な計画の見直しが必要と考えます。どうか伺います。
山中市長:公費負担が膨らむ場合、有料入場者数を含めた抜本的な計画の見直しが必要とのことですが、出店や行催事計画等の具体化に合わせて、物価高騰などの状況やコスト抑制策も含め、適正な整備水準となりますよう博覧会協会において、整備内容を検討しております。また、会場運営費につきましてや入場料や出店料等で賄うこととしており、公費による負担は想定していません。
身近なところに図書館を 学校図書館との連携強化を
みわ議員:最後に市民に身近な図書館づくりについて伺います。
図書館ビジョン策定に向けての市民意見募集が行われ、273通、637件の意見が寄せられました。中でも、一番多く寄せられたのが「図書館が少ない、1区1館を見直してほしい等」の84件でしたが、党議員団としても同感です。示された図書館ビジョン原案には、「新たな図書館像」、「5つの基本方針・取組の方向性」が示されましたが、市民の声や専門家の意見を取り入れてあり評価できるものです。問題はどう実現するかです。新年度予算では、学校図書館司書の勤務時間を一人年5時間増やすなどでの増額はありますが、図書館資料費はわずか1198万円の増であり政令市最低ランクの一人当たり図書館蔵書数を解消するような増額にはまったくなっていません。市長は公約で「図書館予算の拡充と、新たな図書館の整備」を掲げられています。ビジョンはできました。さて、これから市民の願う図書館へとどう実現していこうとされているのか市長の決意を伺います。
山中市長:図書館ビジョンについてご質問をいただきました。ビジョンの実現に向けた決意ですが、図書館の機能の拡張と図書館サービスへのアクセシビリティの向上を目指し、施設整備等を進めていきます。再整備構想と策定にあたりましては、財政ビジョンを踏まえつつ、図書館ビジョンで掲げた新しいワクワクを作り出せる子どもから大人まで、みんなが主役になれる場にふさわしい図書館の実現に向けて取り組んでまいります。
みわ議員:鶴見区にある鶴見図書館は、築40年。地域の皆さんの声をしっかりと取り入れて、現在の鶴見図書館の場所も含めて図書館ビジョンの実現の場として再整備に取り組むべきと考えます。教育長の見解を求めます。
鯉渕教育長:現在、「(仮称)豊岡町複合施設再編整備事業」として、小学校、図書館、保育所、民間施設等の複合化を検討しています。
鶴見図書館の再整備に当たっては、引き続き、地域の皆様の御意見をお聞きし、複合施設の利点も生かしながら、図書館ビジョンを踏まえた機能の拡充を図っていきます。
みわ議員:現在、学校図書館が市の図書館の本を借りるしくみは、図書館に実際出かけてなん十冊もの本を自力で持って帰るというものです。時間もかかり、大量の本を持ち運ぶ労力は大変です。学校の授業支援も行う学校図書館の機能充実のためにも、図書館ビジョンの基本方針1「未来を担う子どもたちのための図書館」にある「学校図書館とともに子どもたちの読書と学びを支えます」を実行できるように、区にある図書館と学校図書館の物流も含めたネットワーク化を進めることが必要だと考えます。教育長の見解を伺います。
鯉渕教育長:子ども達の豊かな学びを支えるため、市立図書館と学校の連携に努めています。このため、図書館の蔵書を授業で活用するための学校向け貸し出しをしており、本の運搬手段としては、令和2年度から事前申請により、教員や学校司書がタクシーの利用をできるようにしました。引き続き、利用の周知を図るとともに、学校の意見も聞きながら、より良い方法について模索していきます。
みわ議員:市民の願いは、だれでも行ける身近なところにある図書館が欲しいということです。この声に応えて、市民が気軽に本に触れる環境を推進するためにも、市民の身近にある地区センターの「図書コーナー」を「図書館分室」にしていくなど、図書館ビジョン実現のフィールドに取り入れる取り組みが必要ではないでしょうか。市長の見解を伺って質問を終わります。ありがとうございました。
山中市長:地区センターを図書館分室にするなど、図書館を市民の身近なものにする取り組みが必要とのことですが、図書館は地域の読書活動を支えるため地区センター等で活動する読み聞かせボランティア団体へ本を貸し出しています。今後は図書館ビジョンに基づき、図書館サービスのアクセシビリティの向上のため、交通結節点等への図書取次書を設置するとともに、サービス空白地帯においては、地区センターでの取次ぎの設置も進めます。以上、みわ議員のご質問にご答弁を申し上げました。