11月10日、日本共産党横浜市議団(5人)は、子どもを守る横浜各界連絡会に参加している「学校図書館を考える会」と「こだまの会 (不登校やひきこもりの子どもを持つ親の会)」と懇談し、来年度予算に向けての要望を受け取りました。
同会からは安部剛事務局長ら3人が出席し、党市議団からは、古谷やすひこ団長、白井まさ子副団長、みわ智恵美、宇佐美さやか、大和田あきお議員が出席しました。
同協会から寄せられた主な要望項目は下記の通りです。
○学校司書配置事業が真に成果を挙げるためには、学校司書の専門性が鍵になります。司書教諭と協働して学校図書館を活性化できる司書資格をもった学校司書を専門職員として採用してください。採用要件として明示されていれば、学校図書館経験者や熱意を持って続けたい方の応募が期待できます。無資格者は期限をもうけて司書資格を取得する条件付きの採用も考えられます。また、正規職員としての採用を検討してください。
○学校司書の業務を具体的にアドバイスしてくれるヘルプデスクとしての機能が必要です。学校図書館支援センターを設置してください。学校図書館の利活用を推進し、学校ぐるみで学校図書館を活用した実績を持つ方を指導スタッフに配置し、定期的に学校を巡回して支援できる体制を整えてください。また、学校図書館館長としての研修を校長に実施し、どのような学校図書館にするのかを具体的に毎年職員に明示できるよう共通理解を図ってください。
○学習指導要領に対応するために、実践的なスキルアップができ、学校司書同士が情報交換できる場を設定してください。「改訂版 学校図書館利活用の手引き」には小・中・高等学校12年間の系統立てた情報活用能力育成が示されています。校種別ではなく、中学校区ごとに情報交換ができれば、学校図書館の系統立てた学びを共有でき、小学校で学んだ内容が中学校でさらに積み上げられ、大きな力となります。また、学校間の資料貸借もしやすくなります。
○学校図書館が子どもたちの学校生活や学びの豊かさを支援するために、子どもたちが学校にいる全ての時間帯に学校図書館を有効利用できるようにしてください。公共図書館が1区1館しかない横浜市に在ってはなおさらです。そのために専門職としての学校司書の勤務時間を延長し、通年任用として見直してください。現在の勤務体制では、全ての学級を支援したり教職員と打ち合わせたりする時間が足りず、勤務時間内に必要な事務的な仕事も終わりません。教員も打ち合わせの時間がなく困っています。
○学校図書館の資料費を増額してください。児童・生徒・教職員のニーズに応えるためには、資料は一度買ったら終わりではなく、常に更新し続ける必要があります。文部科学省の学校図書館図書標準達成率が政令指定都市で最下位である現実を踏まえ、適正な廃棄をしつつ蔵書の更新ができる十分な図書費の配当が継続的に必要です。図書購入費は流用の結果、減っているという実態があります。流用できる予算配当ではなく図書購入のみの予算として下さい。
○蔵書管理システムを市立学校全校で統一してください。また、蔵書管理用のパソコンを1校に1台以上配備してください。現状では、システムが各校バラバラで、統一されていません。また、蔵書管理用のパソコンも、各校で独自に調達したものであり、適正な保守管理や更新がされていません。全校で同じシステムが導入されれば、サポートがしやすくなり、ネットワーク化も期待できます。
○学校図書館間の相互貸借や公共図書館からの資料提供によって、限られた予算が有効活用され、児童生徒、教職員がより豊富な資料を利用できます。現在、公共図書館で教員ごとに登録している教職員向け貸出制度を見直し、学校ごとに一本化して学校図書館を窓口として利用できるようにしてください。一本化により、学校司書が教職員の求めている資料を知る機会になり、選書を通して蔵書に反映できます。さらに、教職員、学校司書が直接公共図書館や近隣の学校図書館に資料を借りに行かなくても済むよう、物流ルートを確保してください。1区に1館しかない公共図書館までは距離があり、多忙な教員は通勤経路にでもない限り行く時間がとれず、利用したくてもできません。また、授業支援に必要な資料を、勤務日数や勤務時間が限られている学校司書が直接他の図書館に借りに行くことは、たとえ出張旅費が支給されたとしても大きな負担です。
○GIGAスクール構想によるネットワーク端末が教職員と児童生徒に配布されていますが、学校司書には十分に配布されず、研修にも参加できていません。学校司書にも端末を配布してください。文科省からの通知「1人1台端末環境下における学校図書館の積極的な活用及び公立図書館の電子書籍貸出サービスとの連携について」に沿って、また紙ベースの情報もデジタル情報もその特性を認識し、使い分けられる活用能力を育てる「横浜モデル」が実現できるよう、学校図書館へのWi-Fiや電子黒板の設置など、ICT環境を整備してください。
○市立高校の学校司書の正規採用を再開してください。2004年以降の正規採用がなく、単年度雇用の臨時任用になっているため、経験が蓄積されず生徒への教育的支援が継続できません。
○学校健診日に登校できなかった不登校の児童・生徒は、身体測定や尿検査を除き、校医も含めて学校外で健診を受けることができません。成長期の子どもたちにとって、発育の状態の確認や歯科も含めた健診は欠かせません。必ず全員が健診を受けることができるよう制度を確立してください。
こだまの会らからは、不登校の子どもの家庭は、学校に行けないと言うことに心配が集中してしまい、毎年受けるはずの健康診断のことを見落としがち。後から、大変な疾患がみつかるなどなりかねないと声が上がりました。東京の北区では校医さんに無料の健康診断が受けられる制度があり、横浜市でも導入して欲しい。出来れば、自閉症の子などは警戒心が強いので、いきつけの病院での受診も認めて欲しいと訴えました。
古谷やすひこ団長は、来年の2月から市の予算を決める議会が始まる。市民の代弁者として寄せられた要望をしっかりと伝えていく。要望が前進するよう力を尽くすと述べました。