日本共産党 北谷 まり 委員
1 敬老特別乗車証について
北谷委員:(1)第8期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画・認知症施策推進計画では、シニアの生きがい創出として、敬老パスを利用した高齢者の外出支援がありますが、駅から離れた住宅地や山坂の多い地区では、地域交通手段の確保が重要な課題となっています。交通不便地域である、旭区四季美台・今川町地区では「四季めぐり号」が、戸塚区小雀地区では「こすずめ号」が住民主体で導入され、現在は一般乗合旅客自動車運送事業として運行されています。しかし、運賃は割高で敬老パスも利用できないため、交通弱者である高齢者にとって利用しやすいものとはなっていません。本市は、超高齢化社会に対応すべく、地域交通や移動支援に関するサービスの充実について検討するとしています。交通不便地域の高齢者に対し、横浜市敬老特別乗車証条例施行規則第3条の規定を、「四季めぐり号」や「こすずめ号」のような地域コミュニティバスでも敬老パスが使えるように改定し、移動を支援すべきと考えます。見解を伺います。
健康福祉局:(1)「 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ バ ス で も 敬 老 パ スが 使 え る よ う に 改 定 し 、移 動 を 支 援 すべき」についての見解
現在、本制度をいかに持続可能な制度にするかを検討している段階であり、対象交通機関をコミュニティバスに拡大することは、現時点では考えていません。
2 介護保険料・国民健康保険料について
北谷委員:(1)介護保険料低所得者減免は保険料段階第7段階以下の方で収入基準と資産基準を満たす方を対象としています。第7段階以下の被保険者数は令和3年1月8日現在、 60 万 588 人ですが、令和2年度の低所得減免実績は 2227 人しかありません。制度が周知されていないのではと危惧するところです。区役所窓口に介護保険料の納付相談に同行した際も、減免制度の案内はなく、ホームページでも減免制度の項目はありません。介護保険制度開始から 20年、保険料は約2倍となり次期8期計画ではさらなる引き上げが示されていますが、あらゆる手立てを講じて引き下げるべきです。収入が増えないなかでの負担増は、高齢者の生活を圧迫します。減免制度について、対象となる人に確実に情報が届くよう区役所窓口、地域ケアプラザ、ホームページなどで広く周知するべきと考えますが、見解を伺います。
健康福祉局:(1)介護保険料に係る減免制度の周知について
介護保険料は、所得段階に応じた保険料を設定しており、所得が低い場合 は保険料負担も低くなるよう配慮されています。保険料の減免は負担能力が低下した場合等の特別な場合に適用するものです。 減免制度の周知については、制度の概要を記載した保険料の案内チラシを 作成し、年1回被保険者に個別送付する介護保険料額の通知書等に同封しています。 また、案内チラシは市ホームページの「横浜市の介護保険料のしくみ」に おいても掲載しています。 さらに、前年度低所得者減免を受けられた方には、申請漏れのないよう、5月に勧奨通知を送付しています。
北谷委員:(2)介護保険料・国民健康保険料の支払い困難者への対応については徴収ありきではなく、滞納は市民からのSOSとして捉え、生活再建優先の考え方で対応すべきです。区役所窓口で納付相談等を進めている場合、機械的に差押事前通知書を送付することは、市政への不信を増幅させるものでありやめるべきです。個々の事情に沿った対応ができるよう、手順の見直しと職員研修の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
健康福祉局:(2)「介 護 保 険 料・国 民 健 康 保 険 料 の 支 払 い 困 難 者 へ の 対 応 に つ い て 、個 々の事情に沿った対応ができるよう手順の見直しと職員研修の充実を図るべき」についての見解
介護保険料・国民健康保険料の支払い困難者に対しては、納付相談や財産調査を通して、それぞれの方について納付資力の見極めを行っています。納付相談では、生活状況等について詳しく聞き取りし、生活にお困りの方については、必要に応じて生活支援課に同行し、生活困窮者自立支援制度を案内する等、状況に応じた対応を行っています。納付資力がある方については、納期内納付者との公平性の立場に立ち、催告や財産の差押え等の滞納処分を実施します。職員研修については、支援を必要とする方にきめ細やかな対応をするため、税務課、保険年金課職員向けに生活困窮者自立支援制度の研修や具体的な事例研修を実施しているほか、庁内連携を深めるため、税務課、保険年金課、生活支援課のお互いの業務を知る研修も実施しています。引き続き、職員研修の充実に努めていきます。
北谷委員:(3)国民健康保険料について、直近3ヵ年平均の医療費の伸びと同率と設定し、一人あたり保険料は 1069 円の引き上げを示しています。このような機械的な引き上げは、コロナ禍で苦しい生活を強いられている市民に対する冷たい仕打ちであると言わざるを得ません。一般会計からの繰入削減をやめ、基金をさらに充当して保険料を引き下げ、市民負担を軽減すべきと考えますが、見解を伺います。
健康福祉局:(3)「国民健康保険料を引き下げ、市民負担を軽減すべき」についての見解令和3年度の国民健康保険料については、コロナ禍を踏まえ、直近の2年 10 月診療分までの医療費実績を反映した「1人あたり医療費の伸び」を基に算定しました。 これを超えた過重な負担とならないように、約 36.5 億円の市費を繰り入れるとともに、国民健康保険財政調整基金等から 13 億円繰り入れることで 保険料の上昇を抑制しています。 国民健康保険制度は、加入者の皆様で支えあう仕組みであり、高齢化や医療の高度化の影響で医療費が増え続ける中、市民の皆様への影響を配慮しつ つ、制度を持続可能なものにするため、加入者の皆様にも一定程度のご負担 をお願いすることが必要だと考えております。
北谷委員:(4)保険料の減免額に充てるための一般会計からの繰入は、削減が求められていないことから、本市独自に減免対象を拡充するべきと考えますが、見解を伺います。
健康福祉局:(4)「本市独自に減免対象を拡充すべき」についての見解
国民健康保険では、一定の所得基準を下回る世帯に対しての保険料軽減制度があり、令和2年度は国保加入全世帯の約 47%が、この制度により軽減 されています。 また、保険料の支払いが困難な世帯から納付のご相談があった場合には、世帯状況に応じて、分割納付や保険料減免、必要に応じて生活困窮者自立支 援制度のご案内などの丁寧な対応を行っており、減免対象のこれ以上の拡充 は考えていません。
3 加齢性難聴について
北谷委員:(1)2020 年 12 月、国立長寿医療研究センターを中心とした研究グループは、地域在住高齢者の住民健診データを解析し、難聴があると認知機能低下の合併が 1.6 倍多いことを明らかにしました。まとめでは、住民健診による早期からの難聴検出が必要、日本では補聴器の導入が遅く使用率も低いことなどが指摘され、適切に補聴器を導入すれば、認知症の発症を軽減させうる可能性を示しています。老化に関する長期縦断疫学研究では、聴力障害をWHOのグレードを適用し 25 デシベル以上 40 デシベル以下の軽度としたところ、60 歳代では男性 36.8%、女性 19.6%、70 歳代では男性 58.8%、女性 50.6%、80 歳代で男性 82.6%、女性 71.1%と報告されています。補聴器の普及は、高齢者が社会とのつながりを継続し、生活の質を向上させることになり、横浜市認知症施策推進計画で推進する認知症予防、閉じもこもり予防に資するものです。しかし、費用が高いことから補聴器の普及は進んでおらず、加齢性難聴の高齢者の社会参加を促し、認知症予防へとつなげるには、市独自の補聴器購入費助成の創設が必要だと考えます。見解を伺います。
健康福祉局:(1)補聴器購入費助成の創設について 補聴器購入に対する公的支援については、現在、障害者総合支援法に基づく「補装具費支給事業」において、身体障害者手帳を所有する聴覚障害者等 – 31 – を対象に、原則1割負担で補聴器の購入ができる費用助成を行っています。 加齢性難聴者については、現在国において補聴器の使用による認知症の予防効果についての研究が進められていることから、引き続き国の動向を注視 していきます。
4 新型コロナウイルス感染症について
北谷委員:(1)新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 対 応 の 改 定 特 別 措置 法 、改 定 感 染 症 法 が 2 月 1 3 日 、施行されましたが、国会審議の中で政府は、入院拒否によって感染が広がった事実を示すことができず、多くの医療・公衆衛生・法曹関係者の反対を押し切って成立したものです。全国保健所長会も懸念を示す意見書を提出。現場からは、「罰則ありきでは余計に差別と偏見を生むだけ。検査を受けてもらえないなど逆効果になりかねない」「私たちの仕事は罰することではなく、命を救うこと。罰則をやってる時間があるなら、疫学調査や入院調整、健康観察などに時間をかけたい」などの声が報じられています。本市健康福祉局健康安全課の超過勤務状況を見ると、令和2年2月~ 11 月、一人あたり月平均時間 55.5 時間となっています。周辺業務を臨時的な増員で処理しても、専門職が対応しなければならない業務が減ることはありません。保健所が逼迫するなか、「正当な理由」がない入院や調査拒否があったと判断し、通告するような業務をあらたに保健所に課して、さらなる負荷をかけることはやめるべきと考えますが、見解を伺います。
健康福祉局:(1)「罰 則 の 適 用 に 関 す る 業 務 を 保 健 所 に 課 す こ と は や め る べ き 」に つ い て の 見 解 感染症対策上、入院の勧告・措置により感染者に医療を提供し、さらなる感染の拡大を防ぐこと、および積極的疫学調査により感染源の推定や濃厚接 触者の把握を行い、濃厚接触者を必要な検査や医療につなげることは重要な ことと考えています。これまでも対象の方には丁寧に入院の必要性や調査の重要性をご説明しております。 今回の法改正により罰則が定められたことで、市民の皆様の感染症対策に 対する認識がさらに高まり、より一層ご理解・ご協力いただけると期待しています。 なお、明らかに法の定めに反するような事案に対しては、法に定められた 手続きに則り適正に対応します。
北谷委員:(2)ワクチン接種が始まりました。ワクチンは重症化を防ぐ効果は確認されていますが、感染を防ぐ効果や人に感染させない効果は確認されておらず、感染拡大を防ぐためには、医療・高齢者施設での定期的検査など戦略的な検査拡充、感染者の追跡・保護が重要であることにかわりはないと、世界保健機関(WHO)シニアアドバイザー進藤奈邦子(しんどうなほこ)氏はインタビューに答えています。ところがPCR検査について、本市は「感染拡大防止のための積極的疫学調査によるクラスター対策などを継続していく」、「陽性者の発生が確認された場合はY-AEITが出動いたしまして集団的な検査を行うというスタンス。広く検査を実施するというスタンスでやっております」として、高齢者施設などへの「定期的・一斉検査」に背を向け続けています。本市の検査実施状況は、全体の検査数は2月 14 日時点で 25 万 7411人、2月 19 日の時点でのY-AEITの出動実績は 460 回で検査者数は 2万 2303 人。Y-AEITの出動による検査は全体の1割程度であり、これで広く検査を実施してきたということなのか疑問です。県が実施する高齢者施設と障害者施設の従事者に対する定期的検査に対して、本市は最小限の関わりしかしないと聞いており、検査に対してそのような姿勢では、緊急事態宣言解除後のリバウンドが懸念されます。政府の分科会でも、無症状者への検査拡充が重要としているのに、これまでのやり方を見直すこともなく、新たに手を打つことも考えていないのか、伺います。
健康福祉局:(2)検査体制についての見直しや新たな手法の検討について 本市では、検査体制について、帰国者接触者外来のみで実施していた昨春以降、医師等が必要と認めるような方に対し、迅速に検査を実施するために 間口を広げた体制づくりに取り組んできました。 簡易検体採取所の設置や他都市に先駆けて「かかりつけ医」での検査実施に向けた医師会等の調整に着手するなど、現在は市内の 900 を超える医療機 関で受診・検査が可能となっています。無症状者に対しても、陰性確認を目的とした申し出を除き、陽性者との接触に思い当たる場合などにはコールセ ンター等で医療機関をご案内するなど、市民の皆様の不安払拭に努めていま す。 引き続き国の動向や市内の感染状況を見極めつつ、医師会等関係機関とも協議・調整のうえ適時、適切に対応していきます。また、高齢者施設等の定期的検査については、一次のスクリーニング的な 部分は県が実施しますが、当該施設に疑陽性者が発生した場合は、確定のための二次検査以降を保健所が担います。以降、必要な調査を実施し、感染拡大の恐れがある場合は、Y-AEITが調査に入るなど、県と連携して取り 組んでおり、「定期的・一斉検査に背を向け続けている」や「本市は最小限の関わりしかしない」ということはありません。未曾有の緊急事態に際し、 「市が」「県が」ではなく、感染対策としてしっかり連携して取り組むこと が重要だと考えます。なお、緊急事態宣言解除後の対応については、2 月 25 日の国の分科会における「緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策についての提 言」の中で、リバウンドの予兆を早期に探知するための新たな手法として、 モニタリング検査の実施等が挙げられています。その中で、高齢者施設等への定期的検査とは別に、「無症状者に焦点を当て」 感染リスクが高い場所や集団において、国及び都府県が幅広にPCR検査を 実施するとされており、今後、本市としても具体的な実施について国、県と協議を進めることになるものと考えています。
北谷委員:(3)市民向けワクチン接種に協力意向を示した病院は全市で 36 病院とのことですが、さらに多くの医療機関に協力していただく必要があることは明らかです。経営が厳しい医療機関が多い現状では、市独自に協力金・補助金を支 給 す る な ど 、イ ン セ ン テ ィ ブ が 必 要 だ と 考 え ま す が 、見 解 を 伺 い ま す 。
健康福祉局:(3)「経 営 が 厳 し い 医 療 機 関 が 多 い 現 状 で は 、市 独 自 に 協 力 金・補 助 金 を 支 給 す るなど、インセンティブが必要」についての見解
ワクチン接種を迅速かつ円滑に進めるためには、市民に身近な病院や診療所での接種を積極的に推進する必要があり、そのためにはこれらの医療機関 の皆様の協力が不可欠です。病院等の医療機関からは、個別接種に対して積 極的な意見を多くいただいており、大変感謝しております。ワクチン接種にあたっては、各病院等で様々な工夫を行って実施すること を想定されていることと思いますが、より多くの病院等に接種に参加していただくため、関係者と意見交換しながら必要性があればインセンティブについて検討していきます。
5 生活保護制度について
北谷委員:(1)厚労省は生活保護制度の扶養照会について要領を一部改正し、2月 26 日付で自治体に通知を出しました。現行の「生活保護のしおり」では、ご親族への照会の項目で、「ご親族に対して、援助の可能性について照会を行いますが・・・」とあり、照会は義務だとの誤解を与える表現となっています。通知では、「扶養の可能性がない者等と取り扱うことができる場合(例:虐待や家庭内暴力がある場合、著しい関係不良など)は扶養照会を行わない」とあり、趣旨が伝わるように表記を変更するべきであり、また、ホームページの補足性の原理では、「扶養義務者の扶養が保護に優先します」とあり、これ も 誤 解 を 与 え る も の と な っ て い ま す 。扶 養 照 会 に 関 係 す る 部 分 の 記 載 を 、通知の趣旨が正確に伝わるよう改めるべきと考えますが、見解を伺います。
健康福祉局:(1)「 扶 養 照 会 に 関 係 す る 部 分 の 記 載 を 、国の 通 知 の 趣 旨 が 正 確 に 伝 わ る よ う 改 めるべき」についての見解
扶養義務者の扶養は、生活保護法第4条第2項において、「保護に優先して行われる」ものと定められており、扶養義務者から仕送りがあった場合は収入として認定し、支給される保護費との調整が行われるものです。 今回の厚生労働省からの通知では、直接扶養照会をしなくても良い場合の 例として、当該扶養義務者に借金を重ねている場合や当該扶養義務者と相続をめぐり対立している場合等が追加されたほか、音信不通期間が「 20 年間」 から「 10 年程度」に変更されて示されました。 この通知に基づき、適切に手続きを行っていきます。なお、市のホームページや「生活保護のしおり」は、例年の生活保護制度の改正に合わせて見直しを行っており、その見直しに合わせて記載内容について検討します。