◆北谷委員 北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。
各事業についての質問に入る前に局長に伺いますが、まず、日韓関係の悪化で日本を訪れる韓国人が大幅に減少、新型肺炎の影響で中国人客も減り、今、日本人の観光、暮らしに影響が及び、観光業界は既に三重苦に直面しています。打撃を受けるのは早く、回復が遅いのが観光業界です。観光消費を過度に期待して施策を進めるのはリスクが高いと考えますが、どのように考えておられるのか、伺います。
◎池戸文化観光局長 今委員がおっしゃったように、昨年は政治的な背景もある中で韓国のお客様が減り、そして今、私たちは新型コロナという非常に大きな課題に直面しているわけですが、確かに観光というのは、先ほどの御答弁の中にもさせていただきましたけれども、非常にトレンドも早くいろいろなものに影響される分野ではあります。ただ、横浜市のこれからの将来の都市経営を考えていったときに、交流人口を我々としてはやはりこの横浜に集めて、そしてそれによって市のエンジンとして回していくのだというところの基本の部分が揺らぐ部分ではありませんので、今は観光の部分については耐える時期だと思っております。ホテル関係者の方々もいろいろつらい局面ではございますが、次のステップを大きく踏み出していけるように、今はしっかりと準備しております。
◆北谷委員 それでは最初に、国際会議とMICE施設整備運営事業について伺います。
まず、これまでの経過を確認したいと思います。国際会議について、2014年から2017年の前期横浜市中期4か年計画と、今期横浜市中期4か年計画で掲げている目標を御説明ください。
◎雨宮観光MICE振興部長 2014年に策定いたしました横浜市中期4か年計画では、国際会議の開催件数は年間75件を目標としていました。2018年に策定した横浜市中期4か年計画では国際会議の総参加者数として年間35万人を指標として掲げております。
◆北谷委員 前期と今期では指標とする国際会議の基準が違います。それぞれの基準の御説明をお願いします。
◎雨宮観光MICE振興部長 2014年に策定した中期横浜市4か年計画では、国際団体連合、通称UIAの統計を用いた開催件数を使いました。2018年に策定した中期横浜4か年計画は、日本政府観光局、JNTOの統計を用いた総参加者数を基準としております。
◆北谷委員 それぞれの基準の違いは何なのでしょうか。
◎雨宮観光MICE振興部長 国際団体連合につきましては、参加人数の要件として50名以上、参加国数が3カ国以上となっております。あわせて、大きな違いは、このカウントに関しましては、UIAの登録団体がカウントされることになっております。対してJNTOにつきましては、国際機関、国際団体、関係機関ということで特にそこの加盟はなく、要件につきましては同じく50名以上、3カ国以上の参加で開催の件数となりますが、そこが大きな違いになってございます。
◆北谷委員 前期の目標は国際会議の件数、そして今期は参加者数が目標になっていますけれども、なぜ変えたのでしょうか。
◎雨宮観光MICE振興部長 まず、一番目標とすると経済効果を問うという必要がございます。それには開催件数より人数をとったほうがより正確な指標としてふさわしいということで、委員がおっしゃるとおり、前回の横浜市中期4か年計画では目標数としてUIAの国際データの件数をとりましたが、やはりやってみた上でより適切にとるには人数ではないかということで変更させてもらいました。
◆北谷委員 それでは、2013年以降の国際会議開催件数と参加者の推移を伺います。
◎雨宮観光MICE振興部長 日本政府観光局による開催件数では、2013年から順に226件、200件、190件、188件、176件、最新の2018年度は156件でございます。総参加者数は、順番に22万8559人、58万3398人、27万8986人、31万3240人、24万9414人、最新の2018年では21万5171人となっております。
◆北谷委員 UIA基準ではどうでしょうか。
◎雨宮観光MICE振興部長 UIAの統計では、参加人数は公表されずに開催件数のみ公表されておりますので、2013年から順に申し上げますと、51件、50件、31件、36件、32件、28件となっております。
◆北谷委員 新たなMICE施設、パシフィコ横浜ノースが開業ですけれども、整備の必要性をどのように説明してきたのか、伺います。
◎池戸文化観光局長 現在のパシフィコ横浜でございますけれども、年間を通じて稼働率が高くなっておりまして、お問い合わせいただいてもお断りすることも多く、会議等開催の多くの機会を損失しております。ノースの整備については、今までやむを得ずお断りしてきた催事を取り込むことに加えまして、大規模な国際会議や展示会、企業のインセンティブ旅行などを積極的に誘致して、グローバルMICE都市としての競争力を一層強化することを目的にしております。
◆北谷委員 今お答えいただきましたとおり、2013年以降、国際会議の開催件数が減っていますけれども、その理由を伺いましても御説明いただけませんでした。また、現状の分析もできていない、それが実態だということがわかりました。日本共産党横浜市会議員団は、前期横浜市中期4か年計画で掲げていた目標が達成できていないことを指摘し、問い合わせが多く需要に応えられていない、機会損失が大きいとの新たなMICE施設整備の説明に対して根拠を示すように何度も何度も求めましたが、市は根拠を示せませんでした。そして、新たなMICE施設の整備は過剰投資であり、周辺住民の皆さんの納得が得られないまま進めることは問題だと言ってきました。パシフィコ横浜が国際会議場としての本来の使われ方がされてきたのかを検証することもなく、単に稼働率が高いということだけをよりどころにして施設さえつくれば何とかなると安易に考えてきたことは改めるべきです。
2020年度、新規に横浜市観光MICE戦略の策定に向けた調査を行うとしていますが、今なぜ行うのか、また、どのような調査を行うのか、伺います。
◎池戸文化観光局長 観光MICEの戦略でございますが、やはり今後横浜に訪れるさまざまな環境の変化に対応するとともに、民間事業所等と目標を共有するために必要となると考えまして、策定に向けた調査を実施するものでございます。調査の主な内容といたしましては、横浜が目指すべき広域連携のあり方、既存観光資源の発掘、磨き上げ、IRを見据えた観光MICEにおける横浜の強み、弱みの分析、横浜の観光振興に求められるDMOの役割や体制等を予定しております。
◆北谷委員 今言われたこの調査ですけれども、これは新たなMICE施設整備の際に行うべきだったと思います。2015年の決算特別委員会局別審査で当時の局長は、シンガポールというのは先進的なMICE都市でございまして、ベンチマーク先であって、決して施設規模で争うことは考えておりませんと言われました。
この考え方は引き継がれているのか、伺います。
◎池戸文化観光局長 パシフィコ横浜は、国立大ホール、展示ホール、会議センター、ホテルが1カ所に集積されているオールインワンによる質の高いサービスが催事主催者から高く評価されています。ノースについても、委員が先ほどおっしゃっていた御答弁と同じように、施設規模を追い求めるのではなく、やはり国内有数のカーペット敷きの多目的ホール、これは新しいものになりますけれども、こういったものを生かして既存の施設と一体で運用することによって、オールインワンの魅力をさらに強化することを主眼に置いており、先ほど委員がおっしゃった2015年の答弁の考え方は今も引き継がれていると考えております。
◆北谷委員 今お話がありましたように、催事事業者に高く評価されているというお話です。ですから、私たちは国際会議に焦点を絞っていろいろ伺ってきたわけなのです。今度の調査には、IR誘致を見据えたMICE戦略の方向性が入っていると伺っておりますが、多くの市民が反対している中で、IRありきの調査は問題です。どのように認識しておられるのか、伺います。
◎池戸文化観光局長 やはりIR誘致を進めているという動きの中で、そういう将来の変化の可能性も踏まえて、さまざまな環境の変化はもっといろいろあるかもしれません、今のコロナもあるかもしれません。こういった変化に対応とするとともに、先ほども言いましたけれども、民間事業者との目標の共有がこれまで以上に必要だと思っております。そのために、特にDMO等を含めた推進体制の検討など、戦略策定に向けた調査を行うものでございます。
◆北谷委員 IR誘致ありきの調査は問題だと伺ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
◎池戸文化観光局長 IRは横浜への誘致はまだ決定されていませんので、そういう変化もあり得るという中での調査でございます。
◆北谷委員 IR整備法で世界規模の大型MICE施設の設置を義務づけられていることから、IRとMICEは切り離せません。パシフィコ横浜の決算状況はどうなっているのか、伺います。
◎雨宮観光MICE振興部長 パシフィコ横浜の決算状況でございますが、平成30年度における当期純利益は約1億7000万円でございます。
◆北谷委員 黒字か赤字か、その辺をお答えいただけますか。
◎池戸文化観光局長 現在、パシフィコ横浜は今御答弁したように確かに黒字経営を続けております。黒字です。
◆北谷委員 パシフィコ横浜は17年間連続黒字ということが文化観光局からいただいた資料に書いてございますけれども、IRの説明をするときに、カジノがなければMICE施設は黒字が出ないと説明しています。市として整合性がないと考えますが、どう認識しておられるのか、伺います。
◎池戸文化観光局長 パシフィコ横浜は、今お答えしましたけれども、確かに黒字経営を続けておりますが、そこには当然会社のたゆまぬ経営努力もあるわけですけれども、一方、これまで会社の設立当初から市からの大きな財政支援を続けているという点も大変大きいかと思います。MICE施設を整備し持続的に運営するためには、やはり公費の投入など施設の事業収入以外の財源が必要であると考えております。
◆北谷委員 以前、2017年第1回定例会の常任委員会で当時の局長は、パシフィコ横浜について、最終的に民営で自立していくことが非常に大事だと言われました。それはIR、カジノと一体になってやっていくということのように今見えるのですけれども、局長はどう考えるか、伺います。
◎池戸文化観光局長 そのときの答弁が今手元にないので申しわけございませんが、例えば、IRの誘致になった場合ですけれども、IR区域内に新しいMICE施設が整備される場合には、これまでのMICE推進体制にIR事業者が加わって、オール横浜で推進体制が構築できるものと考えています。これまでのパシフィコ横浜の強みを生かすとともに、世界と比べて展示スペースが狭いなど、横浜の弱みを補完するIRと連携することで相乗効果が生まれ、横浜全体のMICE強化につながるものと考えております。(私語する者あり)
◆北谷委員 今のお話で納得がいかないのですけれども、時間もないので次へ行きたいと思います。
3月6日から、横浜IRの方向性素案についてのパブリックコメントが始まりますが、素案では、本市のMICE実績について、既に本市では指標として用いていない基準を使って、いかに横浜が劣位にあるかを示していて問題です。また、横浜の観光の現状についても同じです。素案で示しています横浜市内の日帰り、宿泊者の割合、横浜市は約8割以上が日帰りとしているのは、市長が18区で行うとしている市民説明会の資料と同じものですけれども、この数字を導くために使用した調査の目的、内容、方法を説明してください。
◎雨宮観光MICE振興部長 観光動態消費動向調査となってございますが、これらは市内における日帰り及び宿泊の観光客の人数、平均消費額、平均立ち寄り箇所数等を調査することを目的とするものです。市内の観光施設や宿泊施設に対する調査により、日帰り及び宿泊者の数を算出するとともに、観光客の方へのアンケートによって平均消費額等を算出しています。
以上でございます。
◆北谷委員 集客実人員調査及び横浜市観光動態消費動向調査ですけれども、この調査をもとに推計した宿泊人員と日帰り人員の算出方法を説明してください。
◎雨宮観光MICE振興部長 観光動態消費動向調査の結果をもとにしまして、観光集客実人員を宿泊者、日帰りの別に推計しています。宿泊者数につきましては、市内の宿泊施設へのアンケート結果の合計から算出しています。また、日帰りの数につきましては、市内の観光施設や交通機関へのアンケートで得られた立ち寄り者数の合計から宿泊者数を除くことで算出しております。
◆北谷委員 2013年から2017年の市内客室数と客室の増加率を伺います。
◎雨宮観光MICE振興部長 主に観光目的とした宿泊施設の客室数は、2017年末の段階で約1万5000室でございます。2013年からの5年間で約500室増加し、増加率は平均で年0.6%となっております。
◆北谷委員 それでは、当時の市内ホテルの平均稼働率はいかがでしょうか。
◎雨宮観光MICE振興部長 平均稼働率は86.4%になります。
◆北谷委員 2015年は88.1%、2018年は88.4%、観光シーズンでは90%を超えています。もう既に指摘されていることではありますけれども、市民向けの資料では、ホテルが全然ふえていない期間を捉えて、外国人宿泊者数が伸びていないということを説明しているわけです。それから、そもそもホテルの稼働率も高く客室数がふえていないのですから宿泊者数がふえるはずはありません。また、日帰り客のうち3分の1は市民であること、市外からの訪問回数は10回以上が最も多く、神奈川県を除く関東地方の来訪者の約85%、中部地方の来訪者の約70%がリピーターであることも、素案にも、市民向け資料にもこういった記述が書いていないのです。これでは正しく伝わりません。市民に誤解を与える統計の使い方はやめさせるべきです。
IR推進室に局として進言すべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎池戸文化観光局長 今委員が御指摘している観光動態消費動向調査は、我々の調査に対するスタンスですけれども、日帰り客と比較して宿泊客はやはり1人当たりの消費額が大きいことから、横浜におけるその比率を高めていくことは観光消費額の拡大による市内経済の活性化を目指す上で我々の課題だと認識しております。そういう中でこのデータを使っておりますが、なお、私どもが出しているデータでございますけれども、庁内における当局のデータの使用につきましては、その根拠や算出方法についての共有を庁内で図っております。また、外部データに基づく場合はその出典を明確にするなど、適切な提供を今後とも引き続き行ってまいります。
◆北谷委員 この数字の使い方については専門家やメディアからもう批判が上がっているわけですから、このような資料を使ってのIR誘致に向けた市民説明会やパブリックコメントをやめるべきです。
次は、日中韓都市間文化交流事業についてです。
本事業の開始と事業目的、開始の経緯と事業目的、2020年度の事業内容の説明をお願いします。
◎池戸文化観光局長 この事業でございますが、平成26年に実施した東アジア文化都市事業により培った中国泉州市、韓国光州広域市との友好関係を一過性のものとしないための事業として継続しております。文化交流を通じた日中韓3カ国の将来にわたる相互理解の促進、連帯感の形成に寄与すること、さらにはアジアの文化ハブとして横浜のプレゼンス向上につなげることを目的としております。
◆北谷委員 冒頭でも述べましたが、日韓関係の悪化により韓国人観光客の減少、さらにはスポーツや文化交流の中止が報道される中でも、本市では日韓都市間交流が継続されております。伺ったところ、委員長から横浜とは絶対にやめないのだということで継続されていると伺っておりますが、このような信頼関係を築いてきたことは、横浜の誇るべきブランドであると思います。
もっと市民への広報に努めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◎池戸文化観光局長 先ほど答弁漏れがありましたので、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で先の見通しの立たない部分がございますけれども、トリエンナーレの部分の回答で漏れたところがございましたので、よろしいですか。日中韓文化交流事業の令和2年度の事業内容をお聞きいただいて、答弁漏れがありましたのでお答えいたします。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、先の見通しが立たない部分もありますけれども、来年度はヨコハマトリエンナーレの開催年ですので、アートをテーマとした青少年を中心とした交流を実施する方向で両都市に提案していきたいと思います。
また、日中韓文化交流の市民へのPRの件ですけれども、横浜の音祭りやDance Dance Dance@YOKOHAMAや区民まつりなど多くの市民の皆様に御鑑賞いただける機会に芸術団による公演を行うなど、中国、韓国のそれぞれの文化に触れていただいております。また、事業の意義や結果を報告書にまとめ、市のウエブサイトに掲載しており、引き続き市民の皆様にPRをしてまいりたいと思います。委員がおっしゃったように、ことしの厳しい状況のときにでも韓国の光州広域市は9月、我々の音祭りに参加してくださいました。こういう交流は大切にしてまいりたいと思います。
◆北谷委員 予算代表質疑で人材交流や文化交流などでお互いの理解をさらに広げていくよう求めたところ、市長からは、日韓両政府において解決すべき課題があっても都市間交流は継続されるべきであり、引き続き韓国を含む海外諸都市との間で推進するとのお答えでした。しかし、2020年度予算は前年度比約330万円減となっています。減らすのではなくて拡充すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◎池戸文化観光局長 国家間のさまざまな問題が報じられております。昨今のこういう状況だからこそ、文化芸術を通じた都市間の文化交流は非常に意義があると考えております。引き続き必要な予算の確保を図りつつ、何よりも文化芸術を通じてこれまで培った両都市との友好関係、信頼関係を今後もしっかりと継続していくことに注力してまいります。
◆北谷委員 本事業は国際平和の推進にとっても大変重要な施策と考えますが、副市長、いかがでしょうか。
◎荒木田副市長 やはり平和のもとは相互理解だと考えております。文化技術、スポーツ、あらゆる分野におきましてしっかり交流を図っていくことが平和につながることだと認識しております。
◆北谷委員 私も若いころ観光の仕事をしておりまして、心の中で常に観光は平和のパスポートということを胸に抱きながら従事しておりました。こういった事業をぜひ拡充していただくよう要望して、終わりたいと思います。
議会での質問・討論(詳細)
2020年2月28日