コロナ禍で行き詰まり、失敗が目に見えるIRカジノはキッパリ断念を
北谷議員:日本共産党を代表して質問します。
米サンズですら撤退した事実に向き合うべき
北谷議員:日本共産党を代表して質問します。はじめに、統合型リゾートIRについてです。日本へカジノ参入を画策してきた世界最大のカジノ運営企業、ラスベガス・サンズが5月13日、日本からの撤退を表明しました。新型コロナの世界的流行の収束が見通せないなか、不要不急の経済活動の停止で真っ先に閉鎖の対象となったのがカジノです。日本進出を狙っていた海外カジノ企業は、米国のサンズやMGMにしろ、アジアのメルコやギャラクシーにしろ、世界の3大カジノ集積地であるマカオ、ラスベガス、シンガポールのカジノを収益源としています。それが軒並み閉鎖され、ゼロ収益が続き、赤字になるなかで、各社の財務状況は急激に悪化しています。日本のIRへの投資額とされる100億ドル(約1兆700億円)もの資金の調達は容易ではなく、サンズですら撤退せざるを得なくなった事実をみるべきです。サンズの撤退について、記者会見での「驚いたという気持ちはない。こういう世界的な経済状況だから、投資を控える方も出てくる。誘致計画は変えることはない」とする市長の発言は、世界で起こっていることと横浜とは、あたかも別世界に存在しているかのように、現実から目をそむけているのではありませんか。うかがいます。
林市長:IRについてご質問いただきました。事業者の撤退についての記者会見の発言についてですが、事業者のコロナ禍における取り組みや事業者とのRFCでの対話の状況をなど踏まえまして、私の考えを述べさせていただきました。
これまで示してきたIR効果の積算根拠はなくなった
北谷議員:一部にカジノ再開の動きもありますが、ソーシャルディスタンスをとるため、賭博機を間引いたり、入場者数を制限したりしています。閉鎖空間に24時間、多数の客を詰め込む典型的な「3密」のカジノにいままで通り客が呼び込める状態ではありません。さらに世界のカジノ業界はIRのような地上型のランドカジノからネットによるオンラインカジノへの転換も劇的に進行しています。国際会議場や展示場、ホテルや劇場など併設する巨大施設に多くの客を集め、それをカジノに誘導し、カジノの高収益をエンジンに回していくというビジネスモデルは、もはや、成り立たなくなっています。つまり、これまで、市が説明してきた、IRへの訪問者数、売上見込額、IR区域内での消費額、経済波及効果、年820億円から1200億円という税収効果などの積算根拠はなくなったと言えます。この、成り立たなくなった積算根拠をもとに、市長は誘致の判断を下されています。判断の拠り所が喪失したことについて、どう考えているのかうかがいます。
林市長:コロナ後の積算根拠の考え方ですが、海外のIRでは感染症対策の検討を進め、営業再開している地域がありますが、まだ影響評価できる状況にはありません。IRによる本市の経済波及効果や増収効果等については、今後公募により選定される事業者と策定する区域整備計画において施設の構成や規模、事業内容などが具体化する中で明らかにしていきます。
平原副市長:コロナ前の積算で事業を進めることについての考え方ですが、今後の国の基本方針に盛り込まれる感染症対策を踏まえ、本市の実施方針を策定し、プロポーザルによる事業者公募を行います。公募によって選定される事業者と本市で作成する区域整備計画においては、感染症の影響も踏まえながら税収効果等について明らかにしていきます。
【再質問】
北谷議員:IR誘致の判断材料とした積算根拠についてですけれども、判断のよりどころが喪失したことについてどう考えているのか伺いましたが、区域整備計画で示すというお話でありましたが、それは判断をした時のよりどころは失ったということを認めるということなのか伺います。
林市長:IR実現に向けた取り組みを進めていくことについては、昨年度調査検討において事業者から提供された情報の精査を進め、経済的社会的効果等が確認できたことなどを踏まえまして、横浜の将来を見据えた政策として総合的に判断いたしました。
新型コロナ感染症の影響はまだ評価できる状況にありませんけれども、これらを踏まえたIRによる本市の経済波及効果や増収効果等については、区域整備計画において施設の構成や規模、事業内容などが具体化する中で明らかにして参りますので、新たな状況下の中での新しい整備計画の内容になっていくと考えます。
機関投資家からも見直し指摘を受け、市民の66%がIR反対 民意を受け止めよ
北谷議員:6月23日の神奈川新聞をお読みになりましたか。66%の市民が誘致反対。コロナ禍での推進には73%が異を唱えています。国家的プロジェクトだと強弁を張らないで、今こそ市民の声に応えて、誘致を撤回するという、責任ある決断を求めますが、どうかうかがいます。海外カジノ企業に地域社会の運命を委ねていいのか真剣に考え直す時です。
三井住友トラスト基礎研究所は、研究員のレポート「新型コロナウイルス感染拡大による日本版IRへの影響と今後の方向性」で、事業者にとっては、海外でのIR事業者の厳しい経営状況を踏まえて、収益予想のダウンサイドリスクを踏まえた事業計画の再検証や、計画内容の再構築を検討する必要があろうと、指摘しています。機関投資家がこれまでと同様の事業展開をするIR事業者には投資できないと結論づけているのです。12万平方メートル以上というIR施設の国際見本市の大展示場を横浜市は目指していますが、新型コロナ感染拡大を受け、世界の見本市はオンライン開催に舵を切っています。大規模施設が本当に必要とされるかは全く不透明です。IRを取り巻く環境は大きく変わり、「横浜IRの方向性」「実施方針」はゼロベースから見直しをせざるを得ないのです。見直しとなれば、いちから、IR区域の整備を実施する意思を有する民間事業者からコンセプト提案を募集する段階から、やり直すことが必要です。当然8月に「横浜IRの方向性」「実施方針」「募集要項」の公表は無理だと思いますが、このままでいくのかうかがいます。
林市長:責任ある判断を求めるとのことですが、現在IR事業者もwithコロナ、アフターコロナの対策を進めています。国や市もコロナの収束に向けて全力で取り組んでいます。IRは2020年代後半の開業という長期的な視点で現在事業に取り組んでおります。コロナ収束後には横浜経済の復興飛躍を牽引する起爆剤になると考えています。
未開催になっている6区の市民説明会を動画で代替えすることは認められない
北谷議員:未開催の6行政区における市民説明会は、動画で代替するとのことですが、一方的に動画を配信するだけでは、市民が納得するはずがありません。6月19日の神奈川新聞の読者欄に、“「動画配信でご理解を」とは虫がよすぎる。”とありましたが、市民の気持ちを代弁するものだと思います。説明会の会場では、ソーシャルディスタンスを取って定員を減らし、オンラインの中継など工夫をすれば、多くの質問を受けることができ、多くの市民に見てもらえる説明会が開催できます。「18区に自ら出向いて説明する」と市長自身、言われたのですから、逃げずに責任を持つべきです。その気はないのかうかがいます。
林市長:市民説明会についてですが、6区についてご指摘のようにこれまでとは異なった方法で開催できないか、市内部でも議論いたしました。しかしながら、市民説明会は様々な対策を徹底しても市民の皆様が全く感染症などの心配はなくご参加いただける環境を整えることは困難と考えました。私も大変残念に思っております。今後も実施方針や区域整備計画の公表時など節目節目のタイミングで、市民の皆様に様々な方法で情報発信やご説明を継続していきます。
【再質問】
北谷議員:市民説明会について、大変残念だとおっしゃっているのですから、ぜひ開催すべきだと思います。感染症対対策を取るのが難しいと言われますけれども、学校現場を見てください。3密そのままで再開しているわけです。最大限の対策を頂くことができるのではないでしょうか。そして学校現場での3密対策も一緒に解消するべきだと思いますがいかがですか。
林市長:市民説明会についてですが、私は残念だったと申し上げましたのは、私自身がですね、このIRをやっていく方向性をお話しさせていただきました。そうしましたら説明がないと。そういうことはあまり聞こえてないぞと、そういうプロセスが非常に分からなかったということを、前回も申し上げましたけど、白紙一転、その裏切りとかですね、そういうのは言葉を頂戴したんですが、私は全くそういう気持ちありません。途中経過の中で、議会でも議論させて頂いてたものですから、大変その時は、そうだったのか、そんなの皆さんに伝わってなかったのかということで、それではIRというのはどういうものかということ、そしてなぜそれを選ぶ方向に行ったかということを、まず私からご説明したいということで始めて、12回開催わけですけど、残念だというのは、それが出来ないことは、大変残念です。
しかし、今、こういう状況が、国の選定の日程もですね、まるで変えられてない、何かちょっと色々な、どうなんでしょうかと、大阪なんかも、松井市長がちょっと状況厳しいかなっていうようなご発言も私も読みましたけど、今、国の方としては、時期的には変わらないっていうことでございますので、私もちょっと今の国の基本整備計画が出てこないと、非常に作りにくいです。我々も。ですから6月から8月に延ばさせていただいた状況でございます。そういう状況でございますので、別に逃げてるということでもございませんし、私は本当に開けるのであれば、開いて、12回やらせていただきましたから、18回のうち12回やったっていうことで、後の6回は逃げるなんてことは、まったくないわけですね。残念ですけれども、やはり今、様々なこの自粛の中で、市の行事も中止してまいりましたし、今本当に感染しないっていう、全くリスクがないって状況はございませんので、色々検討した結果ですね、まず1回目のIRというのはこういうものですっていうことを説明するのは、動画にさせていただくという決断なったわけでございます。
鯉渕教育長:学校現場の3密対策についてご質問いただきました。学校現場は、6月15日から通常学級に戻っております。授業の遅れを取り戻す必要がございます。学校としては、必要な消毒作業をしつつ、児童生徒にマスクの着用、また手洗いの励行、また教室での換気に努め、授業を詰めております。こうした対応は現在の感染動向の中では、文科省の基準に則しているものということで実施しているものでございます。
コロナ後の都市のあり方を見据え、中期計画を見直すべき
北谷議員:次は感染症対策が不可避の大都市のあり方についてです。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、多くの国民が「これまでの社会のあり方でいいのか」と思っています。これまでの常識や習慣、政治そのものの見直しが迫られ、さらに、人と経済が集中する巨大都市の脆さ、危うさを浮き彫りにし、東京一極集中の弊害を露わにしました。これからの大都市のあり方について、「集中から分散へ」という議論が噴出しています。大都市での感染症リスクを抑えるために、大都市に偏在している機能を地方に分散させることも、日本政府の中でも論議が始まっています。これらの論議は一過性のものとは思われません。
コロナ禍に苦しむ首都東京、その東京に近接する都市として、横浜市は、今大きなターニングポイントを迎えています。現行中期4か年計画は、コロナ禍のさらなる深刻化を招来する都市像が描かれております。6つの中長期的戦略のうち半分が、横浜という都市を質的量的に拡大しようとするとなっています。そして「グローバル都市横浜の実現」「戦略的な企業誘致」「観光・MICE都市」「都心部の機能強化」「都市インフラの強化」等を政策として掲げています。このように中期4か年計画が志向する都市像は首都東京を意識し、リトル東京を目指していることは明らかです。現4か年計画が、「脱東京」、集中から分散というこれからの大都市のあり方に適合していないことは一目瞭然です。これまでの安倍政権の進める成長戦略への追随路線からの決別は、コロナ禍によって、一層切実な課題となってきています。
こうした議論と大都市を取り巻く状況が一変したことに市長は真摯に向き合い、直視すれば、さらなる大都市を志向する現行中期4か年計画は根本から見直すべきではありませんか。市長の決断を伺います。
林市長:ポストコロナの市政の在り方についてご質問いただきました。中期4か年計画を見直すべきとのことですが、今年度計画の中間振り返りを実施いたしまして、進捗状況を把握分析する中で、新型コロナウイルス感染症の影響もしっかり見極めながら、目標の達成に向けて取り組んでいきます。
大幅増額になったコロナ対策臨時交付金
速やかに市民に届くよう3次補正予算を組み、臨時会の開催を
北谷議員:一昨日の夕刻、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の横浜市への交付限度額が示され、前回の不足分の穴埋めをしてもなお111億円の財源があることが分かりました。この財源をもって、市民、事業者への支援がすぐに届くよう、早急に第三次補正を組んで、臨時議会を開くべきではないでしょうか。うかがいます。
林市長:3次補正を早急に組むべきとのことですが、まずは今回ご提案している事業をしっかりと執行していきます。その上で大幅な増額となった地方創生臨時交付金を有効活用して、感染拡大や市内経済の回復状況などに応じて、市民や事業者の皆様にとって必要な対策を引き続き、速やかに検討してまいります。
市民に開かれた市役所と、市民に寄り添った業務のあり方へ改善を
北谷議員:次は市民に開いた庁舎と市民に寄り添った業務のあり方についてです。
市役所は市民のもので自由にアクセスできるようにするべき
北谷議員:新市庁舎が6月29日から全面的にスタートします。高層ビルの安全管理とセキュリティ確保は大事です。庁舎を訪れる市民は3階の受付で入館パスを受け取り、そのパスを機械に通すことでセキュリティは確保されます。ですから、行政棟における職員執務室への施錠は不要です。また、市民の代表である議員がいる議員室に市民がアクセスできるのは当然であり、議会棟の施錠も不要です。庁舎で二重の施錠をすることは過剰であり、他の自治体と比べても異常です。相談や届出に市民が来庁するところ以外では、執務室は施錠されています。施錠することをどう決めたのかうかがいます。
平原副市長:執務室の施錠の決定と経過ですが、議会棟を含む新市庁舎のセキュリティ環境については、平成24年に特別委員会が設置されて以降、適宜市会においてご議論いただいた上で決定しております。
北谷議員:庁舎は市民のものであり、市民が自由にアクセスできないのは、問題と言わざるを得ません。市民に開かれた市役所というならば、行政部分、議会部分の施錠をやめるべきと思いますが、どう考えているのかうかがいます。
平原副市長:施錠を止めるべきとのことですが、市民の皆さまが安心して手続きや相談を行っていただけるスペースは、各フロアにしっかりと設けております。その上で市民の皆様の大切な財産である個人情報や行政情報守る観点からこうした取り扱いとしているところでございます。
10万円給付金が遅れている理由を説明し、約束不履行の謝罪を
北谷議員:コロナ禍のなかで、庁舎だけでなく、現場のあり方が、ずれているという場面に何度も遭遇しました。特に市民の関心が高い10万円の特別定額給付金の対応は問題です。党市議団には、連日、市に対する怒りと、「この10万円がいったい、いつになったら振り込まれるのか」という声が市民から届いています。コールセンターは、開設当初「郵送受付分は6月上旬の振込開始を見込んでいる」と案内し、区連会の6月定例会資料では、6月9日、郵送申請者への給付開始、記者発表資料でも、郵送申請の振込開始は6月上旬とあります。おおよそ、2週間ぐらいで振り込まれると受け止められるスケジュールが示されていたわけです。ところが、6月17日以降、ホームページで、「早くて、受け付けてから3-4週間程度で振り込み」急に変更されました。2週間で振り込まれると見込んでいた、市民が落胆するという事態になったわけです。市長、横浜市特別定額給付金事業で振り込まれる10万円に望みを託し命をつなごうとする市民に対して、遅れた理由をきちんと説明し、約束を守れなかったことは、謝罪すべきではないですか。
林市長:当初周知していた特別定額給付金の6月上旬からの振り込み開始については、予定通り6月9日から開始しています。現在、土日祝日を含めまして昼夜を問わず給付に向けた作業を進めておりますが、申請書が殺到しております。給付金の振込については、必要な書類が揃い、記載内容が正しければ早くて3週間から4週間程度で振り込める予定です。
市民に寄り添った仕事になっていないのは市長の責任
北谷議員:郵送された申請用紙に同封されている国のチラシには、本市が採用していない、水道料金などが口座引き落としの場合は、その口座に振り込むとあったことから、受け取った市民が混乱する事態を招きました。また、コールセンターにかけると電話代がかかり、失業などで無収入となってしまった方にとっては負担となっています。また、市民局から各区役所に人員が配置されたにもかかわらず、全区で特別定額給付金案内窓口が設置されていません。さらに、密をつくることになるからと、案内窓口を区民に知らせることをしていません。その上、区役所の案内窓口に相談に行っても、配置されたスタッフは委託であるために権限がなく、区民からの複雑な質問や事案について回答することができないということが起きています。
このような住民の役に立つところになっていない現場を作ったのは、横浜市職員行動基準が経営責任職に徹底されていないからではないですか。業務の方向性を決定する経営管理職が「市民・社会の要請を実現するため行動する」から程遠いのは、市民生活の現場に出向かず、市民と向き合おうとしない市長の姿勢をみているのではないですか。市長としての責任は重大だと思いますが、どう認識されているのかうかがいます。
林市長:職員行動基準に謳われてる市民社会の要請の実現は市政の根幹でありまして、私も常にそれを心がけて市政に取り組んでいます。今後も経営責任職が率先してチーム横浜として様々な社会環境の変化を捉えながら一丸となって市民社会の要請の実現に向けて取り組んで参ります。
就学援助制度の更なる拡充を
北谷議員:次は就学援助制度についてです。
コロナによる減収も就学援助制度の対象となることがわかるように周知を
北谷議員:次は就学援助制度についてです。就学援助制度は小中学生の子がいる経済的に苦しい世帯に学用品費などを援助する制度です。子供の貧困率は14%、母子家庭の貧困率は50%を超えています。
コロナ禍による収入減で生活が困窮する世帯が急増していることは、4月の生活保護相談件数が3468件で対前年同月比150%、生活困窮者自立支援相談件数が4456件で対前年同月比612%となっていることからもわかります。従来の対象者に加え、コロナによる影響で収入が激減し、生活困窮となった家庭に対して、コロナによる減収も就学援助制度の対象となることがわかるように周知し、声掛けをするなどをして、申請を促すことが必要です。対象となる世帯が、もれなく申請できるよう、どのように進めていくのかうかがいます。 鯉渕教育長:確実で分かりやすい周知と申請を促す方法ですが、小中学校の全児童生徒に対し、4月に制度のお知らせと申請書を例年通り配布しました。さらに6月には家計が急変した世帯にも対応する旨のお知らせをし、その際には一斉メール配信システム等により、直接保護者にご案内するよう全学校に依頼しました。今後、9か国語のお知らせをホームページなどに掲載するなど必要な方が確実に申請できるよう努めていきます。
申請しやすくするために申請書の更なる改善を
北谷議員:申請用紙について、申請理由の記入欄が改善したことは評価するものです。さらに申請しやすくするために、困っている状況を記入するところも、選択式とすべきですが、いかがですか。
鯉渕教育長:より記入しやすいものになるよう、様々な検討しています。この中で選択式による記載についても検討し必要な改善を行っていきます。
就学援助世帯に給食費相当分を遡って支給すること
北谷議員:休校によって給食がなくなってしまったことから、生活保護世帯の約2000人の児童には、給食費相当額が支給されました。しかし、就学援助を受けている児童には、何も手当はされていません。2019年度、就学援助の認定児童は21,365人でした。休校によって給食がなくなってしまい、子育て世帯では食費の負担が重くのしかかっています。札幌市、さいたま市、相模原市などは、児童生徒の食を支えるために、就学援助を受ける児童生徒に昼食代を支給しています。国の通知に従って、本市もこのように対応できたはずです。
お金の心配なく子どもたちにお腹いっぱい食べさせることができるよう、給食費相当分を遡って支給すべきですが、いかがですか。これはすでに予算化されているものですから、できない理由はありません。
鯉渕教育長:学校給食費の援助は、給食を現物給付により提供するものですので、給食を提供していない期間の給食費相当分の支給を行うことは考えませんでした。その一方で就学援助を必要とする世帯に着実に援助を届けることが重要と考え、家計が急変した世帯に対して前年度の所得に関わらず直近の3か月の収入をもとに申請を7月以降随時受付けて参ります。
【再質問】
北谷議員:給食費についてですけれども、国の通知に沿ってやるということは考えなかったのでしょうか。やろうと思えばできることです。改めて考え直していただければと思いますがいかがでしょうか。
鯉渕教育長:就学援助制度の中で、給食費の支援をやっておりますが、この制度はあくまでも給食の提供という現物給付が前提となるものと考えておりますので、現金給付をするといったことは考えておりません。
高すぎる利用基準を他都市のように引き下げ、援助を受けやすくし保護者負担の軽減を
北谷議員:憲法第26条で義務教育は無償と定められており、現状の保護者負担解消は急務です。学校教育法第19条、市町村の就学援助義務規定から言っても、施策の拡充は不可欠です。世田谷区では、就学援助の対象を高校無償化の考え方をベースに広げ、2019年10月から、基準を生活保護の1.24倍から1.4倍まで引き上げ、所得制限を545万円から590万円に引き上げました。就学援助の対象とならない給与収入760万円までの世帯には給食費支給としました。その結果、こどもの3分の1が給食費無償の対象に、就学援助利用者は2倍となりました。就学援助を受けやすくして保護者負担の軽減を図ることは、子育てしやすい横浜、子育てにやさしいまちを具現化することになります。本市も世田谷区のような拡充に向けて、検討する場をもうけるべきではないでしょうか。見解をうかがいます。
鯉渕教育長:本市教育委員会の附属機関として横浜市就学奨励対策審議会が設置されており、学識経験者や地域の民生委員、児童委員現場の校長等により構成されています。この附属機関で就学援助制度の全般的な審議を行っているため、新たな検討の場を設置することは考えておりません。
高校生の学びを保障するためにタブレット等の端末の支給を
北谷議員:次は市立高校と市立特別支援学校高等部生徒へのタブレットなど端末の支給についてです。コロナによる約3か月間の休校で、オンライン授業が行われました。しかし、すべての生徒が、受けられたわけではありません。定時制高校では、ネット環境がない生徒、環境はあっても自分のパソコンがない生徒が100名以上はいることから、公平性を保つために、プリントを郵送するなど、オンライン授業を受けなくても影響がないようにしたと聞いています。2019年度、不登校の生徒は定時制97名、全日制76名です。学校に登校できない、教室に入れない生徒の学びを、オンライン授業でカバーすることは可能です。小中学校と違い、高校は授業を受けて単位を取らないと卒業できませんから、卒業への支援がとりわけ重要です。不登校であっても、コロナ感染を心配して登校しない生徒であっても、教室で行われている授業をオンラインで自宅や保健室などでも受けられるように手立てを講じるべきではないでしょうか。小中学校の児童生徒へは、タブレットなどの端末配布は予算化されていますが、高校、特別支援学校高等部にはありません。すべての子に学びを保障するため、市立高校、市立特別支援学校高等部の生徒にも、一人1台のタブレットなどの端末を支給するべきですが、その予定はあるのかうかがいます。
鯉渕教育長:端末の整備についてですが、令和2年度中に整備を進める一人一台端末について、市立高校等では個人所有の端末を持ち込むBYOD(Bring Your Own Deviceの略。「自分のデバイスを持ち込む」という意味。)を前提とし、端末を持っていない生徒へは教室での貸し出しなどについて検討しております。
低所得世帯向けの給付型高校奨学金の創設を
北谷議員: 最後は、高校奨学金制度についてです。2019年度神奈川県学校基本調査によると、高等学校等への進学率は99.1%で、中学校卒業生のほとんどが進学しています。しかし、義務教育でないことで義務教育段階の就学援助金は継続されず、その分、経済的な負担は増えざるを得ません。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、母子世帯の場合、子どもの年齢が高い世帯ほど、経済的困窮度が高いと報告されています。主な原因として、子どもの年齢上昇に伴う教育費支出の増加、母親の就業収入が年齢相応に増えていないこと、受給年齢制限のある医療費助成、児童手当、児童扶養手当など、福祉給付の対象から外れることも影響しているとしています。
国による高等学校等修学支援金制度は、公立高校に通う場合、申告により年額授業料に相当する11万8,800円が支給されるのみです。授業料以外の教育費負担軽減を図る県の奨学給付金制度は、国の補助事業として生活保護世帯と住民税非課税世帯に限定されています。2019年度、就学援助を受けていた本市中学3年生は4,171名で、ほぼ全員が高校等に進学しているのですから、引き続きの経済的支援は求められています。お金の心配なく学べ、成長が保障されることは、10代の子どもたちの当然の権利です。2019年度、横浜市立高校全日制の卒業率は98.4%、定時制は67.8%です。定時制では、学校に来る前に食事をとってこない生徒が100人ぐらいはいる、また自分のアルバイトで家計を支えている生徒もいるとのことです。以前、「アルバイトに専念」を理由に退学する生徒が増えていると聞いています。貧困の連鎖を断ち切るには、今の時代、高卒以上の学歴は必須です。
そこで2つの提案をします。まず、小・中学校で就学援助を受けていた世帯がもれなく受給できる、給付型奨学金制度創設を提案します。いかがですか。
鯉渕教育長:小中学校で就学援助制度を受けている人が漏れなく受けられる制度の創設をすべきとのことについてですが、低所得世帯向けの制度は授業料に充当される高等学校等就学支援金の上乗せとして神奈川県高校生等就学奨学給付金の制度が既にあります。また本市の高校奨学金制度は昨年度から成績要件を4.0から3.7に緩和することで対象生徒数の拡大を進めています。そのため新たな奨学金制度を設けることは考えておりません。
現行の市奨学金制度は、定員を倍にし支給額を増やす拡充を
北谷議員:次に現行の市奨学金制度の拡充です。学びを支える横浜市高等学校奨学金は市内在住の高校生1,800名に月額5,000円支給されるものですが、今年度は約2,180名の応募があり、約380名が支給を受けることができません。定員を倍にするとともに、支給額も増やすことを求めます。いかがですか。
鯉渕教育長:高校生の修学支援制度としては、授業料やその他の教育費を支給・支援する給付金の他、本市の奨学金さらに神奈川県独自の奨学金制度が既にあります。本市奨学金は対象人数を平成30年度の1,160人から、来年度に向けて3か年で2,000人に拡大する予定です。こうした制度改善により、より多くの高校生に支援が届いていくと考えております。
【再質問】
北谷議員:すでにある高校生の支援ですね、それだけでは足りないということで申し上げているのですけれども、足りないという認識はないのか伺います。
鯉渕教育長:高校生の支援について、足りないのではないかという認識についてのご質問でしたが、私どもも高校生の修学奨励は是非進めるべきということを考えておりまして、現在、対象人数を拡大してる最中ということで、来年度に向けて拡大中ということでご理解いただけたと思います。