新教育委員の主体的な役割発揮で諸課題の解消を
日本共産党を代表して、市第117号議案、横浜市教育委員会委員の任命について、新教育委員には横浜市の教育行政における様々な問題点の解決のために、その力を大いに発揮されることを求め、討論します。
まず、中学校教科書採択の問題です。 今年の夏には、昨年に続き、中学校教科書採択が行われる予定で、就任直後から、採択手続きが始まります。昨年は、1年間のみの使用ということで、教科書取扱審議会の「同一の教科書が望ましい」との答申に沿って、社会科の歴史及び公民教科書は2015年に採択された育鵬社版とされました。育鵬社版は全国の約6%の中学生しか使用していません。同社の教科書の継続が決定された採択会議では、教育委員から「評価が分かれていることは認識している」「今年は暫定措置とし、来年以降しっかり判断したい」などの意見が出ていました。本来、教科書採択は、各学校・教員の意見が反映される仕組みであるべきですが、本市教育委員会では各学校・教員の意見をくみ上げる仕組みは、教科書取扱審議会に教科書調査員が置かれるだけで、極めて不十分なままです。一方、教科書展示会などで手に取ってみることができる教科書見本本の冊数を増やしたこと、採択会議において、別会場での音声傍聴から、映像による視聴に変更したこと、また、これまでの教育委員全員が教科書会社名を伏せての発言から、複数の教育委員が教科書会社名を上げて発言するなど、公開性、透明性の前進が見られます。今夏の中学校教科書採択にあたっては、各学校・教員の意見を十分にくみ上げる仕組みとし、直接傍聴希望者が全員入れる会場で採択会議を行うなど、さらなる公開性、透明性の向上に教育委員として尽力いただきたいと思います。
また、毎年、児童生徒のいじめ重大事態調査が行われ、特別支援学校では教員による生徒への暴行事件が発生するなど、あってはならない残念な事態が繰り返されています。子どもの立場に立った教育現場のあるべき姿となるよう望まれます。
教職員の長時間勤務の改善は喫緊の課題ですが、年間総授業時数が国の標準よりもはるかに多いなかで、教職員の増員もないまま、時間外勤務月45時間超過ゼロを規定し、変形労働制の導入を検討することは、長時間勤務の改善どころか事態を深刻にするばかりです。抜本的改善が必要です。
市長から、「デリバリー給食の要望は高い。令和3年度からの実施を視野に学校給食法に位置づけたハマ弁にする」と表明があり、いよいよスタートする中学校給食は、給食実施自体は市民が望むものですが、大阪市など他都市で生徒から望まれないことが分かり、やめるところもある注文制デリバリー給食を、これから始めようとしています。市民から求められているものは何かを、改めてアンケートを実施し把握することが必要です。
加えて、分校とされた北綱島特別支援学校を本校へ戻し、就学援助制度の認定基準を拡大して制度を利用しやすくすることにも力を尽くすことが求められます。学校統廃合の一方的強行をやめるべきです。
国の新型コロナウイルス対策による一斉休校により、子どもも保護者もストレスを抱えた生活となっていますから、安心して新学期が迎えられるよう、教育委員会の主体的な判断と対応が必要です。
市長が任命する新教育委員も加わった教育委員会が、子どもたちの最善の利益を実現するために働かれることを心より期待して、討論を終わります。