教員の長時間労働を解消するには、教員を増やすしかない
古谷議員:日本共産党 古谷やすひこです。党を代表して今定例会に上程されている議案について質問をします。
まず、市第59号議案「第3期横浜市教育振興基本計画の策定」です。今回議案になっている第3期横浜市教育振興基本計画について、特に教職員の長時間労働の問題に絞って質問します。いま教職員の長時間労働の問題は大きな社会問題になっています。
昨年、政府も「教員の長時間勤務の早急な是正」を掲げましたが、その対策は肝心の教員増がないなど、非常に不十分でした。なぜ教職員が長時間労働になったのか、どうやって打開するのか、党としても先に見解と提案を発表しています。
まず教育長に伺いますが、教職員の長時間労働の実態をどう感じているのか、また教職員の長時間労働がこれほどまでに蔓延してしまった原因をどうとらえているのか伺います。また、結果として、休職に至った教職員の数、また、そのうちメンタルが原因で休職した教職員の数、また、現職死に至った数を伺い、これについての教育長の見解を伺います。
鯉渕教育長:第59号議案についてご質問いただきました。教職員の長時間労働の実態に関しての所感ですが、教職員の現在の勤務実態は看過できない状況であり、早急に解決していかなければならない喫緊の課題だと考えております。
また、長時間労働の原因ですが、教育課程等の変化により、授業実数や学習内容の増加、学習評価の手法の変更への対応は業務量の増加を伴いました。また、いじめ防止、アレルギー、学校安全等への対応が制度化され、より丁寧な対応が必要になったこと、これに加え、特別な支援や日本語指導が必要な子どもの数の増加に伴い、個に応じた教育の提供が求められているなど、学校の役割が変化・拡大してきたことが原因と考えております。
休職者等の人数と見解ですが、教職員の休職者は、29年度は184人。そのうち精神疾患は135人で、いずれも市長部局の割合と同程度です。現職中の死亡者数は、29年度は4人で、ガンなどの疾病が原因です。
精神疾患の要因につきましては、職場での人間関係や異動による環境の変化、児童生徒指導や保護者対応の困難化、仕事と家庭生活との両立、本人の特性など様々な状況により、発生していると認識しており、全校管理職に対する研修や健康相談室と支援などメンタルヘルス対策に勤めているところです。
古谷議員:教職員の長時間労働の原因について、一つは、やらなければならない仕事が多すぎることが問題なわけですが、例えば教員一人あたり授業コマ数が多すぎることです。
特に小学校の低学年の担任は一日で5コマこなすことが一般的です。5コマの授業をして労基法通りに45分の休憩を取れば、7時間45分の所定勤務時間で75分しか残りません。
その時間で授業準備や採点、各種打ち合わせや報告書づくりなどの校務をしなければならないということは、必ず残業をしなければならない業務量になっていると思いますが、これは問題だと思います。教育長の見解を伺います。
教育長:教員の業務量は必ず残業しなければならないものである、とのことですが、25年度の横浜市立学校教職員の業務実態に関する調査において、授業準備や会議打ち合わせ成績処理等の一部の業務については、勤務時間終了後に行っていることが明らかであったことからも、勤務時間内に教員に求められる業務を終わらせることは厳しい状況であると認識しております。
古谷議員:明らかに業務量が多すぎて、残業することが必然だとしたら、作業効率がいいとか悪いとかの教職員の能力の問題ではありません。今回取り上げているコマ数の問題では、高学年では専科の先生を導入して担任のコマ数を減らそうとしているのは評価します。
しかし、その実施校はわずか8校にすぎず、あまりにも少なすぎます。その対象を全校展開したり、対象学年を広げたりするべきです。物理的に仕事量が多すぎるということを市教委は直視して、教職員の増を国に言うだけでなく市としても軽減しようとしなければ、教職員の長時間労働を市教委自身が分かっていて見殺しにしているということになります。
教職員の増員を国がやらなければ市が独自ででもやって少なくとも教職員がやるべき一日のコマ数を減らすために教員を増やすべきですが、なぜやらないのか教育長の見解を伺います。
教育長:教職員の増員を市独自で行い教職員の担当業務担当授業数を減らすべきとのことですが、教職員の定数は授業時間数ではなく、学級数をもとに法律で標準が定められており、標準を超える配置を行うことは人件費の財源確保などに課題があります。
本市では横浜市立学校教職員の働き方改革プランを策定し、働き方改革を推進することで、教職員の負担軽減に取り組んでいるところですが、教職員を増員するための財源確保は、原則として国の責務だと考えておりますので、国に対して強く要望してまいります。
犯罪被害者への経済支援制度は、お見舞金的なものにとどまらないものに
古谷議員:次に市第60号議案「横浜市犯罪被害者等支援条例の制定」について伺います。
突然の犯罪に巻き込まれた被害者やその家族は、今までの生活が一変します。心身の不調も起こり、日常生活も根底から揺さぶられ、経済的な困難にも陥ります。そんな犯罪被害者の方が、等しく充実した支援が受けられるように2004年に犯罪被害者等支援法ができ、様々な支援施策が進められてきましたが、まだまだ不十分です。
今回の条例案では、第一条の目的に定められています「犯罪被害者の権利権益の保護並びに被害の軽減及び回復を図」るとされていますが、犯罪被害者の方にとって、被害の回復が図られたと感じられるためには、一番必要な支援は何だと思うのか、伺います。
2015年に日弁連が行った調査によれば、約6割の犯罪被害者は損害賠償金の支払いを全く受けていません。つまり法律はあっても実際には犯罪被害者の損害回復がなされていないことが分かります。国に対して実効性ある措置を取るように求めるべきですし、特に犯罪被害者の方が国家から補償を受ける権利があることを明記した法改正を国に求めるべきだと思いますがどうか伺います。
また兵庫県明石市では、「犯罪被害者等の支援に関する条例」で犯罪被害者から加害者に対する損害賠償請求権を譲り受け建て替え支援金を支払う独自の経済的支援制度を創設しています。本市もお見舞金的な要素にとどまらないで明石市のように経済支援制度をしっかりと創設するべきだと考えますが市長の見解を伺います。
林市長:市第60号議案についてご質問いただきました。古谷議員のご質問に答弁します。
被害者に一番必要な支援についてですが、被害に遭われた方やそのご家族によって、事情が異なり、必要な支援も多様でございます。したがって今回の条例案でも、家事や保育、住まいの確保への支援の方が精神的被害からの回復支援など被害者や支援団体からのご意見を踏まえた支援項目を他、精神的被害からの回復支援など、被害者や支援団体からのご意見をふまえた支援項目をもり込みました。
国に法改正など実効性のある措置を求めることについてですが、犯罪被害者等に対する支援は、できる限りどの地域でも同様に受けられることが望ましいことです。国による全国的な施策展開も重要だと考えています。国への要望については、損害補償の実効性の点も含め、神奈川県や県内の他都市とも協議を行ってまいります。経済支援制度の創設についてですが、国には被害者遺族等に対する犯罪被害者等給付制度が、また神奈川県には生活資金の困窮に対する支援策として、生活資金貸付制度があります。本市では、こうした制度との役割分担をふまえ、支援策を検討してまいります。
精神障害者の「自立生活援助」事業の利用者負担への助成制度の創設を
古谷議員:次に市第67号議案「横浜市精神障害者生活支援センター条例の一部改正」についてです。
今回導入する精神障害者の「自立生活援助」事業は、国費が入ると同時に、利用者に対しては自己負担を求めるもので、基本的な利用期間は1年の定めとなっています。
しかし本市では先行して自立生活アシスタント事業を実施しています。本事業は精神障害の方の在宅生活を支えるために、単身生活を送る方に対して訪問、同行などの支援を行うもので、24時間365日の支援体制は、利用者負担はなしで利用期間の定めもないもので、利用者にとっても非常に使い勝手のいい制度で、この制度自体は大切な事業で継続すべきだと思いますが、市長は自立生活アシスタント事業についてどう評価されているのか伺います。
また今回の「自立生活援助」事業を行うにあたって、利用する際に発生する利用者負担金について、助成する仕組みをつくるべきだと考えますが、どうか伺います。
林市長:市第67号議案についてご質問いただきました。自立生活アシスタント事業の評価についてですが、平成13年の事業開始から自宅訪問等を通じた助言や相談などのサービスによりまして、地域で一人暮らしを目指す知的障害者や精神障害者等の自立した生活を支援してきました。平成29年度は40か所の事業所で951人の障害者の方の地域生活を支援することができております。
自立生活援助の利用者負担に対する助成についてですが、自立生活援助事業は、他の法定の障害福祉サービスと同様に、就労収入や資産収入などにより一定以上の収入がある方には、原則1割の利用者負担が発生します。こうしたことからこのサービスに限って新たに本市が独自に利用者負担の助成を行うことは考えておりません。
市営住宅修繕の入居者負担は、URと同様に軽減を
古谷議員: 次に、市第91号議案「市営住宅及び共同施設並びに改良住宅及び地区施設の指定管理者の指定」です。今回の議案に関連して、市営住宅における貸主・借主の修繕分担について伺います。現状では、公営住宅法に基づき市営住宅のふすまや畳表などの修繕費はこれまで借り主負担とされてきましたが、今年3月には国交省が賃貸住宅標準契約書を改定し、経年劣化による修繕費について貸し主負担とするように変更しました。
この賃貸住宅標準契約書は、民間の賃貸契約に関してこの標準契約書の内容が普及するようにと、国が示しているものです。国では民間に対して修繕の入居者負担を大幅に変更したことを普及しようとしているのに、市営住宅では従前と変わらないというのは理解できません。
こうした国の動きに呼応してURでも年明けにも国が示した賃貸住宅標準契約書のとおり、貸主・借主の修繕分担を変更を進めようとしています。そもそも公営住宅は、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」ためにあるものだと法にも定められています。
神奈川県知事も「県営住宅が持続的に住宅セーフティーネットの中核としての役割を果たせるように取り組んでいく」と先日の議会答弁でも答えています。横浜の市営住宅でも同じです。低額所得者に対して、民間では求めない負担を公営住宅では求めるというのは道理がたちません。
借主負担をできるだけ減らすようにすることは当然のことだと思います。したがって横浜でも民間住宅の契約では変更を進めているように、条例や規則を改正して新しい貸主・借主の修繕分担表に変更していく検討をするべきと考えるが市長の見解を伺います。
林市長:市第91号被害についてご質問いただきました。条例や規則を改正し、修繕負担の変更を検討すべきとのことですが、市営住宅の修繕費用につきましては、国土交通省の公営住宅管理標準条例に基づき、外壁などの構造上必要な修繕費は市の負担で行い、住居内の畳の表替えや破損ガラスの取り替え等の軽微な修繕は、各自自治体が定めることとしております。先生のお話された通りです。
市内の民間賃貸住宅と比較し、低額であることを考慮いたしまして、入居者の負担とさせて頂いています。
消費税増税をあたかも既定路線かのように扱いのは国の下請け化だ
古谷議員: 次に、消費税率引上げに伴う料金改定関係の条例改正などについてです。
報道では、今回の消費税10%への増税の影響を減ずるためとして食料品などの「軽減税率」導入に加え、キャッシュレス決済での「ポイント還元」、マイナンバーカード利用者の買い物時の「ポイント加算」、「プレミアム付き商品券」など出されていますが、消費税を増税しながら、巨額の予算で対策をとるなど筋が通りません。政府は消費減や中小業者への対策だといいますが、効果は望めず、逆に中小業者を苦しめるものばかりです。
消費税増税の強行は許されません。食料品などの消費税率を8%に据え置く「軽減税率」導入は「軽減」でも何でもありません。外食は10%の税率で、持ち帰れば8%になるなど制度は複雑で、飲食施設のあるコンビニやスーパーでの混乱は避けられず、複数税率に対応する専用レジも導入しなければならない中小業者にとっては、これまた大きな負担です。
またキャッシュレス決済でのポイント還元、マイナンバーカードを持っている人へのポイント加算も、キャッシュレス決済やマイナンバーカードそのものが普及していません。とりわけ中小商店の多くはカード決済などに無縁で、カードが使えるコンビニエンスストアなどに客を奪われかねません。
今回の議案では、今以上の消費増税を前提にしていますが、一般市民にとっては消費増税されることがはたして当たり前になっているでしょうか。今年の9月24日付の共同通信の世論調査を見れば「反対」が6割近くにも及んでいます。
この間安倍首相は消費増税が景気に与える影響を理由に2度にわたって10%増税を延期しましたが、その後も国民の所得は低迷したままです。
このように増税に対する市民のみなさんの強い抵抗のある中、あたかも消費税増税が既定路線であるかのように市が率先して今回の条例提案を行うのは、まるで国の下請け機関・広報機関のようです。住民自治を担っている地方自治体の行うこととして問題があると思いますが市長の見解を伺います。
林市長:消費税率の引き上げに伴う条例の一部改正と関連議案についてご質問いただきました。
既定路線のように条例改正を行うのは問題とのことですが、消費税率は31年10月から10%引き上げられることが法で定められております。これまでの消費税導入時や税率引き上げ時の考え方と同様に、消費税の申告納付義務がある企業会計特別会計等の料金改定を行います。
古谷議員:もし、国民の強い反対の中、消費増税が進められれば、横浜市財政にも大きく影響することが予想されます。そこで、前回の8%の消費税増税の際に、一般会計への影響額はいくらだったのか。またもし10%の消費税増税した場合の一般会計への影響額を合わせて伺います。
市民生活の悪影響も大きくなるので、市としても消費増税をやめるように国に進言するべきだと思いますがどうか伺います。
林市長:消費税率の引き上げに伴う条例の一部改正と関連議案についてご質問いただきました。
既定路線のように条例改正を行うのは問題とのことですが、消費税率は31年10月から10%引き上げられることが法で定められております。これまでの消費税導入時や税率引き上げ時の考え方と同様に、消費税の申告納付義務がある企業会計特別会計等の料金改定を行います。
8%引き上げた際の一般会計再生の影響ですが一般会計は消費税の申告納付義務がないため、機械的な試算となりますが、委託料等のいわゆる課税指数について、30年度当初予算をベースに、5%から8%に引き上げられた3%分を試算すると90億円程度となります。10%に引き上げられた場合の一般会計歳出への影響ですが、同様に30年度当初予算をベースに機械的に試算すると60億円程度となります。
消費税率引き上げを止めるよう国に求めるべきとのことですが、今後ますます少子高齢化が進む中で福祉保健医療サービスに対するニーズが増大するとともに、子育てや教育にかかる費用への支援が求められています。高齢者も若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと転換していくためには、消費税率の引き上げは必要だと考えます。
就学奨励費の入学準備費の支給額を実態に合わせ、適正な時期に支給を
古谷議員:さいごに補正予算「就学奨励費」について伺います。
国による生活保護法の改正で全体としては利用者にとって改悪されましたが、子どもの入学準備金については改定され増額されました。今回はそれに合わせて本市の就学奨励費の入学準備費を増額される提案となったことは評価します。
しかし、まだ実態からは乖離があります。最新の文科省の学習費調査結果(2016年)によれば、小学校で3230円、中学校では13877円不足しています。やはり入学準備金は実際に必要な費用の実態に合わせるべきと思いますが、なぜ機械的に生活保護制度に準ずるのか伺います。
また支給時期について、今議案で小学校でも入学前支給が実現する提案になっていることは評価しますが、やはり小学校でも中学校でも3月支給ではなく、実際に支払いが発生する時期に入学準備金を支給するよう改善するべきだと思いますが見解をうかがって、質問を終えます。
教育長:市第96号議案についてご質問頂きました。支給金額を生活保護に準ずることなく、文部科学省の学習費調査結果に合わせるべきとのことですが、今回初めて文部科学省が各年で実施している子どもの学習費調査を踏まえ、生活保護入学準備金の金額が算定されたと聞いております。その結果、今回の入学準備金は、5割を超える大幅な上昇となっており、この改定額で妥当と判断いたしました。
入学準備費は3月支給ではなく、実際に支払いが発生する時に支給するべきとのことですが、就学援助制度の支給項目である学用品費などについては、通常、支給対象の保護者に対して、7月、11月、3月の3期に分けて支給しています。これに合わせ3月の支給に向けて、事務を進めてきました。先ほどご答弁申し上げましたが、今後は、必要な援助が適切な時期に実施できるよう、検討してまいります。以上、ご答弁申し上げました。