市は上大岡駅西口開発に375億円の損失補てんの責任をはたすべき
白井議員:私は日本共産党を代表して質問いたします。
まず、上大岡駅西口地区市街地再開発事業についてです。
1997年3月に工事が完了した上大岡再開発ビルは、事業費を生み出す保留床が売れず、当初計画が大幅に狂い、2003年に400億円の一般会計からの損失補てんをもって事業に終止符を打つ措置を講じていました。本年3月、売れ残っていた保留床の売却を決め、5月に入札を実施して、日本プライムリアルティ投資法人が落札者となりました。今回の売却によって、一般会計負担にどのような影響が及ぶのか、局長にうかがいます。
寺沢都市経営局長:平成15年の中期財政ビジョン策定時は、いまお話ありましたように、一般会計からの負担400億円と見込まれておりました。その時に試算をしました保留床売却予定価格は40億円でございます。今回65億円ということで、約25億円高く売却ができました。一般会計の負担が軽減されたものと考えております。
白井議員:わずか25億円軽減にすぎません。巨額の税負担には変わりはないわけです。この際、改めてこうした事態に至った責任はどうなるか、どういう教訓をここから得ているのか、市民に説明責任をはたすべきですが、これは副市長にうかがいます。
金田副市長:上大岡の西口の市街地再開発事業は、バブルの前に計画されて、事業途中におきましてバブルの崩壊を受けたということで、その収支不足が発生したものでございます。見通しというものが甘かったという指摘については、甘んじて受けなければならないかと思っております。しかしながら、長年の懸案であった鎌倉街道の拡幅、そしてバスターミナル等の公共施設の整備、さらには交通の円滑や地域の防災性が向上していくことも、これまた事実でございます。さらに、商業業務文化施設の集積によりまして、いろいろなものの拡大や街のにぎわいが増大いたしまして、都市部の強化が得られ、このことについては市民の理解を得られているんではないかと思っております。また、この事業をきっかっけに、鎌倉街道をはさんだ反対側にB地区が完成するとともに、C地区も工事に着手するなど、まちづくりが進んでおります。当然今後事業を進めるに当たっては、計画の段階から地区の特性を踏まえて施行しだい、事業の効果や見通しなども慎重に検討していきたいと考えております。
白井議員:それでは、入札・売却条件は管理組合及び駅周辺まちづくり協力等の誓約書の提出、管理組合の管理規約やテナントの賃貸条件の承継などとなっています。しかし、落札法人は不動産投資信託を生業としていて、いわゆる投機マネーが流れ込む「ファンド」です。不動産の運用による収益を至上命題とされるために、転売や高家賃強制、そしてサラ金業者の入居など、市税投入した施設にそぐわないことが将来起きないか、大変危惧されます。こうしたことを避けるための手立てはどうなっているか、局長にうかがいます。
寺沢都市経営局長:保留床を売却するに当たりまして、地元の管理組合と売却条件について当然協議をしてございます。その売却条件は、管理組合の定める管理規約および主要規則の遵守、これはもとより、風俗営業および反社会的団体等が利用を供することの禁止、現在の入居テナントの賃貸状況の承継などを定めております。なお、5年間の転売禁止も定めております。
綱島駅東口再開発は借地人・借家人・利用者の意向も大切に
白井議員:それでは次に、綱島駅東口地区再開発についてです。
再開発事業は、戸塚駅西口再開発事業の教訓を生かして、全ての権利者が安心して営業して住み続けられることを何より大事にして、関係者を主人公として推進しなくてはなりません。
今回、綱島駅東口地区で意向調査の実施が行われましたけれども、この状況についてうかがいます。8月末現在のアンケート回収・集計では配布数145通、そのうち回収が54通、面談が16通で、計70通の集計と聞いています。対象地権者の半分にも至っていません。こうしたやり方では、見切り発車とのそしりを免れませんし、事業の先々が大変心配されます。地権者の総意にもとづいて、事業を進めるためには、悉皆(しっかい)調査とすることが不可欠です。その実施を求めるものですが、局長にうかがいます。
寺沢都市経営局長:今回のアンケート調査でございますが、再開発予定区域約400ヘクタールのうち、事業化が可能と思われる地域を検討するために、地元の再開発協議会が行ったものでございます。全員の権利者を対象に、再開発事業の参画の意思を確認したものでございます。協議会では、事業区域の検討を進めるにあたりまして、未回答の権利者は賛同いただけないものと判断をしており、検討結果につきましては未回答者を含め、全権利者へ周知することとなっております。
白井議員:借地・借家などの権利形態も少なくない中で、地権者だけでなく、借地人・借家人の意向が生かされた基本構想策定としていく必要があります。そのためには、今回の意向調査の対象にすべきですが、局長の見解をうかがいます。
寺沢都市経営局長:現在は土地所有者と借地人の意向をもとに事業化の可能性の検討を行っている、そういう段階でございます。今後再開発協議会が事業の進ちょくも踏まえまして、借家人など関係者のご意見もうかがっていくことになると思います。
白井議員:この地区は常時交通渋滞が発生して、接触事故などを防ぐために、バスターミナルの確保などが計画されていますけれども、交差点の改良や歩道拡幅などの打開策は待ったなしです。今できることをできる限り進めるべきですが、局長の見解をうかがいます。
寺沢都市経営局長:綱島の東口周辺では、先生ご存知の通り建物が密集しているなど、交差点改良事業を進めるにあたりましては、個々の用地の取得が非常に困難な状況にございます。このため、バスターミナルや周辺道路の拡幅整備などを一体的に行う再開発事業が有効な整備手法であり、これで早期実現を図っていくことが必要であると考えております。
白井議員:最後に、さらに文化財級の建物がある特殊な地区ですけれども、駅利用者からも文化施設の整備が期待されています。今後の拠点整備促進の基本構想に反映されるよう要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
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