■教育委員会(古谷 やすひこ)
現場の声と市民の声が活かされる教科書採択を
古谷議員:教科書採択方法の改善についてのみ伺います。
日頃から「すべては子どもたちのために」と「現場主義」とおっしゃっている教育長ですから、教科書採択についても現場の教員や学校の意思を尊重することは重要だと考えますが、教育長の考えを伺います。
岡田教育長:限られた時間の中で作業しておりますけれども、各教科を代表する教育課程を熟知した調査員が調査する報告書を尊重し、教員を含みます教科書取扱審議会で、教育委員会に提出される答申が作成されています。
これを尊重して、踏まえて、教科書採択を行っていますし、それには必ず現場の先生方の英知を結集して調査をしていますので、それはもちろん大切ですし、そのような形でしっかりと反映されていると考えています。
古谷議員:今、「教科書調査員報告書」これを述べられましたが、これだけでは不十分だと考えています。というのも、その教科書が自分たちの、子ども達の状況を見て、学校現場で使用するのについて、その適否は示されていないはずです。この教科書調査員報告書をもって、学校現場であるとか、教員の意向であるとか、意見であるとか反映されるような仕組みにはなっているとは私は到底言えないと思っています。ぜひ改善求めます。
教科書採択前に行われる教科書展示会についてお聞きします。この開催目的はなにか伺います。
直井指導部長:教科書展示会につきましては、文部科学省より展示会については、教育関係者の教科書研究の便宜を図り、一般公開を通じて地域住民等の多くの方々に教科書に触れていただくために実施するよう通知されています。
古谷議員:毎回、たくさんの展示会を見た市民の方から意見が寄せられています。この寄せられた意見は、どういうふうに扱われるのか伺います。
岡田教育長:教科書展示会では、展示会についてのご意見やご感想を頂いています。そこでいただいたご意見については、展示会の運営の参考にさせていただいています。その他のご意見については、所管課において確認をしています。
古谷議員:教育長、寄せられた意見はですね、展示会に対する意見というよりも教科書に対する意見だと思います。ぜひ、教科書採択の審議にも、反映させるような改善を要望します。
採択地区の問題ですが、本市は2010年までは、18区の行政区ごとに教科書を採択しておりました。しかしその後、全市一つにまとめて全国最大の超マンモス採択地区となりました。だからこそ、より丁寧に現場の声を聞く仕組みをつくるように努力すべきと思いますがどうか、伺います。
岡田教育長:採択地区ですが、本市では小中一貫教育を推進していて、市内のどの小学校からどの中学校に進学しても、また年度途中の市内での転入学に際しましても、共通の教科書で学習したことによって、学習内容や題材、順序が同じになる利点があると考えています。また、授業研究の深まりが期待できることから、先生方のご負担や、あるいは研究意欲もきちん反映できると考えていまして、一採択地区としていますし、一採択地区を継続したいと考えています。
古谷議員:本市の教科書採択は2001年に学校現場から直接意見をくみ上げる学校票が廃止されて、各区の校長会からの意見反映の仕組みに変えられ、これも四年後には市教委はなくしました。現場の声と市民の声が活かされる仕組みに、ぜひ改善するよう要望して質問を終わります。
■教育委員会(宇佐美 さやか)
就学援助を必要としている世帯が支援を受けられるよう
申請手続きの改善を!認定基準の緩和を!
宇佐美議員:委員長、スライドの使用許可をお願いします。
まず、就学援助制度について、伺います。昨年12月15日、文部科学省から「就学援助実施状況等調査の結果」について全都道府県別と市町村別の実施状況が報道されました。
2015年度の全国の就学援助率は、15.23%。神奈川県は、15.64%。本市は、14.18%です。
認定率のこの10年間の推移の中で、子どもの貧困問題が脚光を浴びる中、横須賀市は、14%から23%、鎌倉市は、約10%から16%まで増やしています。しかし本市は、12%から14%とわずか2%増に留まり、全国の貧困率の15%からみても、対象となる方に制度が届いていないと感じます。
文科省は、各教育委員会に対し「本資料の活用を通じて、子どもの貧困対策の一つとして、援助の必要な児童生徒の保護者に対し、もれなく就学援助が実施されるよう、就学援助制度の周知の充実を促(うなが)してまいります」と、この調査結果の意義を強調しています。この制度を必要としている保護者に対しもれなく届くよう、いくつかの提案をいたします。
第一は、申請書を保護者が記入しやすい様式にすることです。先の本会議で教育長は、「制度のお知らせや申請書の様式は、申請者にとって分りやすくなるよう一層の工夫をしていく」と答弁されました。スライドを見てください。【スライド1】
大和市の申請書です。申請書には○をつければいいように申請理由を列挙しています。その中に「認定の限度額となる所得の合計額以下のため」いう項目を設けています。
こちらのスライドは横浜市のです。【スライド2】
申請書には、○をつける申請理由が列挙されておらず、「就学援助を必要とする理由をお書きください」と、記入方式となっています。本市も、大和市にならって申請理由に○をつけるなど、より申請しやすく変える必要があると思います。
本市が2016年3月に策定した「子どもの貧困対策に関する計画」では、就学援助について「申請事務手続き等が円滑に進むようサポートします」と明記されています。
教育長は、申請書は分かりやすくすると答弁されました。具体的にどう工夫するのか伺います。
奥田国際教育等担当部長:申請書の様式については、横浜市就学奨励対策審議会委員や学校事務職員など、様々な分野の方のご意見を参考にさせていただいて、申請者にとってわかりやすくなるようレイアウトや、あるいは表現、そういったものを一層工夫して取り組んでいきたいと考えています。
宇佐美議員:ぜひ改善をお願いします。これはお金のかからないことで、すぐにできることだと思いますので、すぐ改善していただきたいと思います。
第二は、保護者への制度周知の改善についてです。
教育長は、「学校を通じて全校児童生徒におしらせを配布、ホームページや広報よこはまに掲載するなど制度の周知に努める」と答えられました。
本市は、新入生は入学後に配布されますが、県内では、茅ヶ崎市、逗子市などでは、入学前の保護者説明会で配布しています。横須賀市では、福祉事務所、子ども家庭支援課などの関係機関に『お知らせ』を配布しています。教職員むけの説明会も実施している自治体もあります。
保護者説明会での配布と説明、教職員向け説明会の実施など、本市もこうした工夫をできないのか。伺います。
奥田国際教育等担当部長:申請書の配布時期については、子どもたちの状況を一番よく知って頂きたい学校を通じて対象の児童生徒に配布してること、また、予算の確定を待って配布してることから4月になっています。
制度の周知ついては、現在も入学説明会を行っていますが、30年度は就学時健診など、できるだけ早い時期から制度の周知については行なっていきたいと考えています。
宇佐美議員:配布して説明しておけば、確定した時にすぐに(申請書を)書けると思います。自分が(認定基準に)あたってるかどうかも分かると思うので、ぜひすぐやっていただきたいと思います。
第三は、認定基準に特例を設けることと、認定基準となっている所得限度額を引き上げることです。
本市では、所得が、基準限度額以内であることを、認定基準の絶対条件としています。スライドを見てください。先ほどと一緒のものです。【スライド1】
大和市は、「経済的に困窮している」という項目を設けて、所得が基準を超えていても理由を記入して申請することを認めています。
ぜひ、保護者の目線になって、経済的困窮という理由があれば、実質的な所得限度額以上の世帯でも認定すべきと思いますがどうでしょうか。
奥田国際教育等担当部長:現在、本市では、就学援助対象者は生活保護法第6条第2項に規定する要保護者と要保護者に準ずる程度に困窮してると、教育委員会が認める準要保護者であることから、生活保護の基準に準拠した計算式で行っています。各都市それぞれ、持ち家あるいは借家で区分を分けるなど、工夫をされているように聞いていますので、本市につきましては、やはり現在のところをこういった基準を守っていきたいと考えています。
宇佐美議員:先ほど、生活保護基準1.0という基準だそうですが、その理由を「所得限度額が政令指定都市の平均より高い」ということを表明されていますが、県内市町村の多くは、1.1~1.5と上乗せをしています。
なぜ、本市は生活保護基準の1.0としているのか、改めて、伺います。
奥田国際教育等担当部長:生活保護基準に基づいて算出とございますが、平成25年度以降の生活保護基準の見直しに際しては、平成26年度に一度変更していますが、その後、2年間は就学援助の認定基準を据え置いています。そういったことで申しますと、生活保護と全くイコール1.0というデータではない基準で現在は認定を行っています。
宇佐美議員:1.0にこだわっていないということだと思いますが、文科省の調査では、所得限度額を本市の様に課税所得で示している市は、県内で12市です。本市は344万円、これより低いのは小田原と秦野の2市のみです。鎌倉436万、逗子423万など400万円台のところもあります。
あまりにも本市は経済的弱者に冷たいのではないかと思います。教育長の見解を伺います。
岡田教育長:就学援助は、生活保護に準ずる程度に困窮している保護者に対して援助を行うものとしています。本市においては、生活保護基準に基づき算出し、横浜市就学奨励対策審議会に諮問答申の上、決めています。現在は26年度の認定基準を継続しており、妥当なものと考えています。
宇佐美議員:今の日本は、超富裕層と貧困層の間にいる中間層がとても疲弊しています。ギリギリのところで生活している方にもこの制度使っていただきたいと思います。この冷たいお返事なので、副市長に聞きます。子育て支援や、若い世代の呼び込みを本気でやる気があるなら、この就学援助についても、対象者を広げるべきと考えます。
予算を増やせば、基準緩和は出来ます。どうですか。
柏崎副市長:子育て支援や、子どもの貧困対策については、横浜市も色々な形で全力を挙げて取り組んでるつもりです。そういう中で この就学援助については、先ほど教育長あるいは部長からもご答弁しましたように、やはり何がしか一定の基準が必要だと考えています。これは就学奨励対策審議会などにもお諮りをして、答申も頂いているわけです。現時点ではこの基準ということを基本に考えていきたいと思っています。
宇佐美議員:先ほども申しましたけど、中間層は本当に疲弊しています。所得が減っていてギリギリのところで、あとちょっとで生活保護に陥ってしまうという世帯も本当に多いと思います。その中で制度を広げていくことが生活保護に陥らないためにも必要だと思うのですが、もう一度伺います。
柏崎副市長:先ほどもご答弁した通りでございます。横浜市は子どもの貧困対策ということで、色々な勉学についての支援であったり、そういうことも含めて総合的に取り組みを進めていますので、そういう中で現在の制度というものを基本に考えているところです。
宇佐美議員:納得いかないのですが、次にいきます。
学校の統廃合は、全住民対象の説明会を開き、意見を聞く機会を設けるべき
宇佐美議員:地域での学校のあり方について、伺います。
地域コミュニティーの核となる、学校の統廃合が、児童・生徒の減少によって各区で進められていますが、この大事な学校を、どうしていくかを決めるのは、地域の住民全員ではないでしょうか。
教育委員会はまず、説明会は、保護者のみが対象で、その内容は「学校規模と今後の対応」などというタイトルとなり、小規模校がいかに淋しく、適正ではないかのような、説明をされます。その後、当該地域の自治会長、PTA会長や副会長、学校長など、15名ほどが参加する「検討部会」というところで「学校規模正化」や「学校統合に関すること」「通学区域に関すること」などが話し合われるそうです。このメンバーには、学校が無くなることでのデメリット、例えば、地域防災拠点の機能が無くなるかもしれないなどという問題点などは、一切説明をしていないと聞きました。あまりにも偏った情報提供ではないでしょうか。
廃校になる学校に通っていた方、現在通っている子どもたち、そして、これから通う予定だった子どもたちの気持ちも考えてください。学校が地域から無くなることで、地域自体が衰退してしまうこともあると思います。
地域住民との合意形成の在り方、今までのままで良いのか、教育長の見解を伺います。
岡田教育長:少し長い答弁になりますけど、説明させていただきます。学校規模適正化の検討にあたっては、まず関係校での保護者説明会を開催し、小規模校の現状や適正規模化に向けて検討することについて説明をし、情報の共有を図っています。そして保護者地域等の代表からなる部会を設置して複数の通学区域の変更案や学校統合案など、まちづくりの中での学校の位置づけもふまえながら、主体的に具体的な方策が検討されています。部会での検討内容はニュースとして取りまとめ、両校の通学区域内の全戸に配布を行って、広くご意見を受付け、頂いたご意見等については、部会の中で検討の参考としてしっかりと提示をしています。こうした取り組みによって、学校の状況や小規模校の長所短所についても保護者地域の皆様に丁寧に説明した上で検討おすすめています。防災拠点などについても、どうしていくかということを区役所と相談しながら合意形成を図ることにしていますので、皆様のご意見しっかり踏まえて合意形成を計っていくというふうに考えています。
宇佐美議員:地域防災拠点は区役所と相談することではないと思います。学校は、市教委や一部の大人の都合で無くしたり、造ったりするものではないと思います。今後は、本当に地域住民が望む、地域にしていくため、さらに、少子化の問題と、公共施設のあり方を、地域住民とともに考える良い機会にするためにも、全住民対象の説明会を開いて、住民のみなさの意見をしっかり聞く機会を設けるべきだとおもいますが、いかがですが。
岡田教育長:多くの皆様のご意見は先生おっしゃるように重要なことだと思いますので、ちゃんと地域説明会を開催した方が開催すべき時には開催をするということも検討しますし、何よりも部会での検討状況も考慮しながら、その辺は相談しながら対応して参りたいと考えます。
宇佐美議員:ぜひ、本当に住民の皆さんを巻きこんでの地域づくりにしていただきたいということを要望し、私の質問終わります。