議会での質問・討論(詳細)
2017年10月6日

■医療局・病院経営本部 北谷 まり議員

夜勤等の長時間過密労働がインシデント発生の一因、勤務環境整備を

北谷議員:北谷 まりです。日本共産党代表して質問いたします。
最初に看護師の労働環境について伺います。改正看護師等の人材確保の促進に関する法律が2016年4月1日に施行されました。第4条に地方公共団体は看護師等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとあります。2016年度本市は何に取り組んだのか伺います。

田中医療局副局長:市内医療機関に広く人材を供給するため医師会立等の看護専門学校に運営費を助成するほか、職場復帰への不安を抱える潜在看護師の復職を促すため病院が実施する実務研修等への支援を行っております。

北谷議員:法によって努力義務が課せられたのですから、復職支援を拡充するなど取組強化を要望いたします。日本医療労働組合連合会の2017年度発表の看護職員の労働実態調査では33,402人の回答者のうち、7割が慢性疲労を訴え、切迫流産が3割にのぼるなど深刻な過重労働や健康悪化の実態が明らかになりました。法に抵触する月9日以上の夜勤が三交代職場で36.7%、二交代では夜勤5回以上が47.3%であり時間外労働が常態化、約7割が不払い労働とのことでした。そして約75%が仕事を辞めたいと答え、理由は人手不足で仕事がきついが最多でした。横浜市内でも状況は同じではないかと思います。市立3病院において看護師の確保には賃金、勤務時間等の労働環境の改善は不可欠であると考えますがいかがでしょうか。

増住病院経営副本部長:市立3病院では、これまで看護師の働きがいが高まるよう職場の意見を聞きながら、勤務環境改善してまいりました。その結果、今時点では多くの受験者が集まり質の高い看護師を確保できていると考えております。

北谷議員:市立2病院、市民病院と脳卒中神経脊椎センターにおいては事前の確保、育成働きやすい職場環境の整備を掲げており、その一つとして業務改善等を通じた働き方の見直しにより超過勤務を削減するとあります。本当に削減されたのでしょうか。

増住病院経営副本部長:(H)28年度は、新たな二交代制の導入のほか、看護業務の業務量調査を行いまして他病院と比較することで課題を抽出し記録業務などの改善を進めました。その結果市立2病院の看護部の超過勤務時間を年間で約9,600時間、前年度比して7.3%減と削減いたしました。また一人当たりでは1月平均で1.4時間削減しまして一人当たりでは12.4時間となっております。

北谷議員:市立病院で働くある看護師さんにお話を伺いましたところ、勤務開始前の前超勤をしている、休憩がきちんと取れていない、時間内に仕事が終わらないとのことでした。厚労省の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインによれば、自己申告による労働時間の把握については曖昧な労働時間管理となりがちであるため、講ずべき措置として労働者等が慣習的に労働時間を過少に申告していないかについても確認する必要があるとしています。真に働きやすい環境整備するのであれば、いわゆるサービス残業なくすよう、局として手を打つ必要があると思いますけれどもいかがでしょうか。

増住病院経営副本部長:病院においては、これまでもその超過勤務した場合は、その都度記録して、適正に処理するよう所属長及び職員に指導しております。今後もこうした指導を繰り返し行って先生ご指摘の様なサービス残業がないと言う環境を作るということで考えております。

北谷議員:市立2病院は、基本的に三交代勤務で一部二交代制が導入されています。働きやすい職場環境の整備のもう一つに看護業務の質の向上や効率化に向け二交代制勤務を拡大するとありますが、二交代制勤務の勤務時間、休憩時間、仮眠時間はどうなるのでしょうか。

増住病院経営副本部長:市立2病院では週38時間45分の範囲内で日勤及び夜勤を行っております。二交代制の夜勤については週1回程度で15時間30分の勤務を行っております。休憩時間は1時間30分または2時間を設けておりまして、仮眠時間は休憩時間内で取得しています。また、これまで二交代制職場を順次増やしてまいりましたが、現在夜勤時間が12時間30分の二交代制についても試行しているとこでございます。

北谷議員:市民病院でモデル実施されている二交代制勤務での夜勤は16時15分から翌朝9時15分までと聞いております。長時間だと思いますけれども、この過酷さを強いてる事に対しての局長の認識はどういうものなのか伺います。

増住病院経営副本部長:職員の勤務時間はそれぞれの病棟の日勤帯、夜勤帯の業務内容を考慮して決めておりまして、その結果は二交代制の夜勤では勤務時間は長くなることもございます。今後とも職員の意見を十分聴きながら働きやすい柔軟な勤務形態を構築したいと考えております。

北谷議員:長時間の勤務で看護師の生活と生活へのリスクが増えるのではないか、また患者の安全にとってもリスクを生むのではないかと懸念します。2016年度は前年比で市立病院におけるインシデント報告件数が増えています。インシデントとは医療に誤りがあったか患者に実施される前に発見された事例や、誤った医療が実施されたが患者への影響がなかった事例、または軽微な処置、治療を要した事例等のことです。長時間過密労働がインシデント発生の一因なのではないかと考えますがいかがでしょうか。

増住病院経営副本部長:安全な医療を提供するためには小さなヒヤリハット事例でも出来る限り分析し、院内で共有することが重要だと考えておりまして、そのため市立2病院では積極的なインシデント報告を奨励しております。件数が増加したことはそう意味では好ましいと考えておりました。なお二交代制と三交代制のインシデントに係る職場報告件数を比較してみましたけれども、病棟により増減がありますが、特に因果関係見られませんでした。

北谷議員:私は外資系化学メーカーでインシデントレポートの翻訳業務を担当していた経験から、メーカーと医療の現場と同一視することはできないと承知しておりますけれども、そこに人が関わっている以上、時間的余裕の無さや疲労による集中力の低下などはインシデント発生と無関係ではなく要因の一つであると認識しています。日本看護協会2010年病院看護職の夜勤交代制勤務等実態調査では、勤務時間が長い方がより勤務後半部でヒヤリハットを起こす可能性が高いことが示唆されています。病院の現場からは申し送りが少なく情報を収集時間が少ないためインシデントが増えた、また情報を取っていなくてハッとすることがあるとの声もあります。
二交代制勤務の導入には現場の声をよく聞き慎重に検討するべきです。そして三交代を希望する人が勤務できること、連休で休むことができるなど働きやすい勤務体制の構築が必須であり、そもそも業務量に見合った人員が配置されてないことが明らかになれば、人員配置を増やすなど現場のニーズと状況をしっかりと把握し、患者と看護師自身の安全を守れる環境整備が必要であると考えます。看護師の確保には労働環境の改善が不可欠であることを改めて認識し、市として具体的な手立てを打つことが重要です。最後に副市長市としての構えと決意をお聞かせください。

柏崎副市長:いずれにしても、大変市民病院、病院と言う業務における看護師の役割は大変重要な役割だと考えております。そういう意味で看護師の皆さんがきちっと働きやすい環境であると言うことも重要でありますし、それによって安全で安心できる医療を提供できる体制と言うことについては常に検証を繰り返しながら、しっかり取り組みを進めて参りたいと思います。

自治体の専門病院である脳卒中神経脊椎センターの質の高い医療と経営の向上を

北谷議員:それでは次に脳卒中神経脊椎センターについて伺います。脳卒中神経脊椎センターは脳卒中の専門病院が無かったことから、時代の先取りとして1999年8月に脳血管医療センターとして開院し2015年1月に現在の名称に変更しました。まず自治体の専門病院としての役割と使命を伺います

高橋病院経営本部長:設立当初から政策的医療を担う公立病院として脳卒中に対する急性期から回復期までの一貫した治療とリハビリテーションを提供してまいりました。近年では神経疾患や脊髄脊椎疾患にも機能を拡充し地域の医療体制の提供体制の充実を図ってまいりました。さらに専門領域の臨床研究や人材育成、市民啓発にも取り組んでおります。これらにより量と質の向上に向けた役割と使命を果たしてまいります。

北谷議員:入院直後からの早期リハビリテーションを実施するとともに先進的なリハビリテーションの提供をしているとのことでございますけれども、特徴は何なのか伺います。

工藤脳卒中神経脊椎センター病院長:急性期脳血管疾患の患者さんに対して入院早期からリハビリテーションを開始でき、脊椎脊髄疾患などのリハビリテーションをも含め365日切れ目なく提供できる体制をとっています。また一人一人の患者さんの症状に応じて食事や着替えなどの日常生活動作の改善に向け個別性を重視したリハビリテーションを行っています。

北谷議員: 回復期リハビリテーション病棟の患者の在宅復帰の状況について伺います 。

植木脳卒中神経脊椎センター管理部長:28年度の実績では、患者さんがご自宅などに退院される割合は83.8%となっており5年連続して80%を上回る成果を上げています。なお全国回復期リハビリテーション連絡協議会が29年2月に公表した調査報告書によると全国では68.7%と報告されています。

北谷議員:在宅復帰率が高いということは質の高いサービスを提供していることだと思います。質の高いリハビリテーションの提供に向けた取り組みは何か伺います。

工藤脳卒中神経脊椎センター病院長:当院では充実した施設や設備を生かし、経験豊富なスタッフによる質の高いリハビリテーションを提供しています。また腕の機能回復のためのロボット型訓練装置や歩行アシストロボットを導入するなど、患者さんのモチベーションの向上にもつながる先進的なハビリテーションにも取り組んでおります。

北谷議員:市民の方に大変好評だと伺っておりますけれども、市民に積極的にアピールして患者の獲得につなげるべきだと思います。決算報告書を見ますと2015年度は黒字になったものの2016年度はそれを維持することにはなりませんでした。そのことで基本理念を萎縮させてしまうことがないよう引き続きあらゆる経営努力を追求していただきたいと思います。自治体の専門病院としての使命を果たし市民のために質の高い医療を提供していただくことを要望いたします。

高度な専門知識、能力が必要な医療政策人材育成には充実した体制と内容で

北谷議員:次に病院経営管理医療政策などに関連する分野で求められる医療政策人材の育成について伺います。複雑化高度化する行政課題、多様な市民ニーズに応えるため、分野別の人材育成ビジョンが策定されています。まず医療政策を担う人材育成事業の目的を伺います。

田中医療局副局長:これまで医療政策分野の人材育成は主に現場での OJT を中心に行なって参りましたが、医療の高度化、専門化が進む中でより医療政策分野に特化した人材の育成が必要となりました。このため委員の方からもありましたけども、(H)26年度に医療政策人材育成ビジョンを策定し、職員全体に医療政策に関する情報を発信するとともに求められる職員像を掲げて階層別に研修体系をととのえ計画的継続的に人材を育成していくことといたしました。

北谷議員:医療政策人材育成上の課題は何か伺います。

増住医療局長:事務職員の場合には身につけるべき実務能力が多岐にわたりますのでそうした面から医療に関する専門知識を深めることが難しいと言う側面がございます。

北谷議員:高度な専門知識、能力が必要ですけれども医療現場に精通することが大前提です。そのためには十分な実務経験が必要だと思います。地域医療現場や経営手法を経験するための中核病院などへの派遣、専門知識を習得するための大学院派遣を行っているとのことですが派遣対象を広げるなどさらに充実させていく必要があると考えますがいかがでしょうか。

増住医療局長:現状でも様々な機会をとらえて、その派遣研修とか講演会を通して関係する企業、行政、研究機関等との人脈形成を計って色んな経験を積ませようとしております。先ほどビジョンについて説明させていただきましたけれども、我々これから医療については益々多様化高度化いたしますので単なる医療分野のスペシャリストの要請ではなくて、世の中の動きを把握し、医療政策を俯瞰的に捉えることができるよう、保健や福祉など周辺分野の知識技術も習得した正にプロフェッショナルを養成する必要があると考えております。

北谷議員:ぜひ、人材育成には充実を求めたいと思います。

在宅医療対象者が約1.8倍になる2025年までに在宅医療連携拠点の予算・人員確保を医師会等と連携して

北谷議員:次に在宅医療を担う、かかりつけ医を増やし在宅医療と介護の橋渡しを行う在宅医療連携拠点について伺います。在宅医療連携拠点は介護保険事業費で運営されており決算で不用額が出ていますけれども金額と理由を説明してください。

藤井疾病対策部長:各区医師会等に委託しております、在宅医療連携拠点の不用額は2736万円余でした。委託料について各区の医師会等から提出された必要額が予算額を下回ったものとなっております。

北谷議員:2016年度から全区展開となり各区において在宅医療介護に関する相談、医療介護事業所間の調整業務などを担っている人員体制を伺います。

藤井疾病対策部長:各区の在宅医療連携拠点にはケアマネージャーの資格を有する看護師等2名と事務職員1名を配置し医療や介護の専門職やご家族またご本人からの相談に対応しております。

北谷議員:この体制で当初想定した通りの業務は遂行できているのか伺います。

藤井疾病対策部長:在宅医療連携拠点の職員は3名でございますが、医師会立の訪問看護ステーションなどに併設されております。相談対応ですとか、事例検討会、講演会など各種事業の実施にあたりましては、各区の在宅医療を担う医師を始め、地域包括支援センターなどと共同して取り組んでおります。現体制で対応できております。

北谷議員:在宅医不足、認知症や看取りなど課題は山積です。2025年には在宅医療対象者が約1.8倍になると見込まれていますけれども、この体制で対応できるのか伺います。

増住医療局長:更なる高齢化が進展する2025年以降の社会構造の変化を見据えながら在宅医療連携拠点での取り組みも、今後量的それから質的に充実を図っていく必要があると考えております。在宅医療に関する相談件数は相談内容の推移など見ながら体制についても検討していく必要があると考えております。

北谷議員:予算の安定的な確保は当然ですけれども、横浜市医師会との協力を強め人員を増やすなど量的な充実を図り、対応を加速させていくべきだと思います。

市民の約6割にはまだ周知されていない♯7119の宣伝をもっと全市規模で

北谷議員:最後に救命救急相談♯7119について伺います。急な病気や怪我の時、緊急性や受診の必要性をアドバイスする♯7119は2016年6月1日から24時間化されました。横浜市民の医療に関する意識調査では♯7119について約4割が知っていると答え知らないけれども利用してみたいが4割代半ばです。これまでどの様に市民に知らせてきたのか伺います。

増住医療局長:ポスターを約14,000枚、チラシ、リーフレット合わせて約40万部作成し配ってきたほか、♯7119の利用方法を説明した動画を作成して病院や診療所に配布してロビー等で映していただいたり、公共施設での掲示等行なっております。また健康福祉局と連携し約190万通発送する、がん検診の個別案内に情報を掲載していただいております。

北谷議員:もっと市民に知らせる必要があるかと思うのですけれども、今後はどの様な方法で知らせていくのでしょうか 。

増住医療局長:市民意識調査等によれば ♯7119の認知度は4割を超えておりまして私どもとしては市民には一定程度浸透していると考えております。一方でまだ約6割の方には周知が行き届いてないことを受けまして、これからも引き続きリーフレットや啓発グッズの配布など様々な手法を駆使しまして幅広く広報を進めていきたいと考えております。

北谷議員: 今リーフのお話ありまして、この小児救急のかかり方ハンドブックだと思うのですけれど、消防の方では横浜市救急受診ガイドを発行していて、中にこの案内が入ってないものですから、できればこれを見ればアクセスできるように、市民がより利用しやすいものに改善していただくことを要望して終わります。


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