■【一般質問】古谷 やすひこ議員 2017.9.13
※実際には質問と答弁がそれぞれ一括して行われました。
低投票率で終わった市長選挙
古谷議員:日本共産党の古谷やすひこです。党を代表して、三期目を迎えられた林市長に対して、市政運営について順次伺ってまいります。先日の本会議で「ノーサイド」という言葉が出ました。ノーサイドというのは、戦い終えたら両軍のサイドが無くなって、同じ仲間だという言葉に由来している言葉です。しかし、議会中の今、二元代表制の中でしっかりと市長の市政運営についてチェックする役割を果たさなければならない議員としては、ノーサイドと言っている場合ではありません。市民の皆さんから負託を受けた議員として、市長の市政運営をチェックし、改善提案もしなければなりません。その立場から3期目の林市長に市政運営全般について伺っていきます。
はじめに、今回の市長選挙は、前回の市長選挙が史上最低の投票率29.05%にとどまり、今回は37.21%と多少上がったものの低投票率には変わりません。373万人という超巨大都市ならではの、一人一人の市民にとって市政の問題が見えづらい問題はあったと思います。このように市民の関心が著しく低い中で当選された林市長の所感をまず、伺います。
林市長:古谷議員の質問にお答え申し上げます。3期目の市政運営について質問いただきました。当選に対する所感についてですが、古谷議員おっしゃる通りですね、これ基礎自治体の首長選挙って言うのは、単独ですと、非常に投票率が低い状況ですね。横浜市もその状況があまり変わらないので、選挙管理委員会も努力してくれましたし、私自身も、さらにもっと、市民の方にいろんな市政の状況もお伝えしながらですね、投票率を上げていきたいというふうにやってまいりました。しかし、残念ながら今回も4割切るということでございましたけれども、結果としては、私としては、ご信任を頂いたという気持ちでおります。引き続き市民の皆様に寄り添って、お約束を着実に実行したいと思います。
自民党との教科書採択に関する政策協定は、教育への政治介入ではないか
古谷議員:今回の市長選挙について、9月3日付の東京新聞によれば、市立中学校で使われる社会科教科書の採択について林市長と自民党市連が政策協定を結んで「保守色の強い教科書を」「採択目指し政策協定」との見出しの記事が掲載されました。もし、これが事実であれば、明確に教育への政治介入であり、教育の中立性が脅かされる重大な危機的事態です。林市長と自民党市連がそういった協定を結んでいたことを教育長が忖度してしまうことも十分考えられます。
文科省のホームページでは「個人の精神的な価値の形成を目指して行われる教育においては、その内容は、中立公正であることは極めて重要。このため、教育行政の執行に当たっても、個人的な価値判断や、特定の党派的影響力から中立性を確保することが必要」とされています。そこで伺います。教育へ政治が介入してはならないことについて、市長はどういう認識をお持ちなのか伺います。
林市長:市長と教育委員会との関係についての認識でございますが、教育については、政治的中立性の確保が強く求められているものでございまして、市長から独立した教育委員会の、その権限と責任において、教育行政を担うものだと認識しておりまして、私は全くそのことを遵守してるつもりでございます。私自身も、本当に教育総合会議の責任者でもございますけれども、本当に、教育委員会は自主独立でしっかりと行っていただきたいと言う気持ちでございます。
カジノ誘致「白紙状態」なら、民意を受け止め山下ふ頭再開発計画の撤回を
古谷議員:今回の市長選挙では、林市長はカジノについて一切語りませんでした。間違いなく今回の市長選では、大きな争点となり、カジノについての世論調査も行われました。神奈川新聞社が投票日に出口調査をした結果、IRの誘致について、「誘致すべきでない」が61.5%、「誘致すべき」の16.3%を大きく上回りました。林市長に投票した方の中でさえ42.3%が誘致すべきでないと答え、誘致すべきの26.9%を大きく上回っています。そこで伺います。市長は、市民のカジノに対する民意についてどう受け止めたのか伺います。私たちは今までカジノについて様々な負のリスクはもちろんのこと、そもそも経済効果も明らかでなく、やめるべきであると主張してきました。
市長も先日の毎日新聞の三期目インタビューでIRについて「白紙状態。経済効果があるのか、まだ確認できていない。この段階で早急に判断することは危険」だとおっしゃっています。この言葉通りであれば、その立場を堅持して横浜へのカジノ誘致と誘致に関連する山下ふ頭の再開発の現行計画は、白紙に戻すべきと思いますが見解を伺います。
林市長:選挙を通じたカジノに対する民意についての受け止めでございますが、IRにつては、様々なご意見がございます。ギャンブル依存症や地域環境の悪化があってはならないことございまして、選挙戦で、色々な市民の方のご意見を伺いました。大変心配されてる方にも、多くお目にかかりましたし、全く私も同じ思いでございます。IRについてでございますけれども、国において検討が進められているわけですけども、いまだ全体像が明らかになっていないと私は感じております。ですから、この状況の中で、まったくもって私自身は白紙でございます。以前も申し上げましたけども、横浜市民の皆様のため、それから横浜市民の経済成長とか、若者たちに将来を託していかなきゃいけないんですが、きちんと持続可能な都市でなくてはなりません。そういうところにとって、いろんな角度から必要であるかと言うこと、1つは、大きくは経済効果でございますけど、そこがまだ、私自身には、全く確認取れません。それから、また現実的には、賛成の方もいらっしゃるのも事実でございます。ただ、私の気持ちは、全く今は、白紙と言うことでございます。ですから、引き続きまして、これは国の選択を、採択していく、選んでいくということでもありますので、国の動向も見極めながら、市民のみなさまや、市会のみなさまと、さらに議論して、ご意見を踏まえ、検討してまいります。
それから、山下ふ頭再開発の現行計画でございますけれども、この計画は、成長エンジンとなる都心臨海部の新たな賑わい拠点としての、ハーバーリゾートの形成を目指しておりますので、引き続き、これにもとづき、事業は進めてまいります。
第二質問
古谷議員:カジノについて伺います。市長は、カジノは白紙だと言いながら、その一方で、その誘致が有力視されている山下ふ頭の再開発事業については、粛々と進めるということを答えられました。多くのカジノの誘致に反対する市民を騙してることになりませんか。見解伺います。
林市長:山下ふ頭のお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたハーバーリゾートの開発という点で、これはずっと続いている計画でございますので、決して市民の方に間違った言い方をしてるとは思っておりません。
ヒバクシャ国際署名に応じ、国に核兵器禁止条約を批准を求めよ
古谷議員:今回の市長選挙の中で、横浜市の原爆被災者の会等から、各市長候補に対してとったアンケート結果が公表され、その際、林市長はヒバクシャ国際署名について賛同もせず「国の動向を見て対応を判断してまいります」と全く主体性のない回答をされています。市長はもちろんご存知だと思いますが、ヒバクシャ署名とは「被爆者は、すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求めます」というもので、市長はこの趣旨になぜ賛同できないのか、まず伺います。市長は、平和首長会議の一員であり、先月開催された平和首長会議でも「核兵器禁止条約への参加を全加盟都市から自国の政府に働きかけていく。特に、核保有国と核の傘の下にいる国々の政府には、強く働きかけていく」と決議されています。
また、広島市長・長崎市長の連名で、ヒバクシャ署名への協力の手紙が届いているにもかかわらず放置しています。市長はそもそも国連での核兵器禁止条約が議論された場を欠席した日本政府の態度を市長はどう感じたのか伺います。
核兵器をめぐる議論が大きく進み始めている今、平和首長会議の一員でもある本市はどういう立場に立つのかが問われます。平和首長会議で決議されたことに応えて、国に対しても核兵器禁止条約を批准するように求めるべきと思うが、どうか伺います。
林市長:国際署名について質問いただきました。今年7月に国連で採択された核兵器禁止条約の発効をめぐる今後の動向を見守って参りたいと思います。今後も、横浜市はピースメッセンジャー都市として、核実験を行ったあらゆる国に抗議してまいりますし、国際平和をテーマとしたイベントや、核兵器廃絶に向けた市民活動の支援など取り組みを進めてまいります。
核兵器禁止条約をめぐる日本政府の態度への見解でございますが、条約については、核兵器保有国と非保有国との意見の違いも見られるなかで、国において判断されたものだと思っております。国に対しても、核兵器禁止条約を批准するように求めるべきと言うご意見でございますが、条約については、今後の動向を見守ってまいりますが、現時点で国に対して、求めることは考えておりません。
ハマ弁の値段を下げれば、喫食率はあがるのか
古谷議員:次にハマ弁と中学校給食実現について伺います。今回の市長選でカジノと並んで中学校給食も大きな話題となり、全国的にもいまだ横浜市が中学校給食を実施していないことへの驚きの声が聞かれました。今回の市長選挙を通じて私たちは多くの中学校給食を実施してほしいという市民の皆さんの声を聞きました。これは林市長にも届いたと思います。市長は給食実施をしてほしいという市民のみなさんの声、どう受け止めたのか伺います。
市長は選挙公約の中でハマ弁の値下げについて、給食並みに値段を引き下げると述べられました。しかし市長、ハマ弁の喫食率が上がらない原因をどう考えているのでしょうか、値段を下げればハマ弁が選ばれ目指していた2割の喫食率に届くと考えているのかどうか、伺います。
林市長:ハマ弁について、質問いただきました。選挙を通じて届いた給食実施をして欲しいと言う市民の声についての見解でございます。給食実施を求める声は、本当にお聞きいたしました。以前から社会状況の変化などによりまして、昼食の準備が難しい家庭が増えてることは、もうこれは本当に私も認識しておりまして、その対策として、いまハマ弁を推進して行こうとしてるわけです。今後、給食実施を希望する保護者の方にもご理解いただけるように、本市の中学校昼食は、ご家庭のライフスタイルや、日々のご都合に合わせて、ハマ弁、家庭弁当、業者弁当を組み合わせてご利用いただく、選択制であるということを、丁寧に周知していきたいと言うに思っています。ハマ弁の値下げと喫食率の問題でございますが、保護者のご負担を減らすために価格の見直しは、本当に必要だと思います。これは、喫食率の向上に効果的であると私は思います。まだまだ、ハマ弁の仕組みや、お弁当の内容が伝わってないと言うことが、これはハマ弁の喫食率が上がっていない原因だと思いますので、これからしっかりとですね、やってまいります。私自身も、このことは選挙の中でも、本当に色々な方に申し上げておりますし、ハマ弁に対する期待の気持ちもたくさんの方に伺いました。それから、もちろん学校給食のご希望を伺ったわけでございますので、選んでいただくと言う意味で、ハマ弁の良さをしっかりと私も責任をもって、広報に努めてまいりたいと思います。
なぜ横浜の中学生には『給食』という選択肢を示さないのか
古谷議員:中学校での給食実施について伺います。学校給食は、法にもとづいていますが、自治体によって実施の内容は様々です。つまり、全員喫食の自校調理の完全給食の本市小学校のような給食から、「補食給食」「ミルク給食」にとどまったり、全員ではなく選択式のところまで、様々な実践が行われております。私達は自校調理の全員喫食の給食があるべき姿だと考えます。
学校給食に比べて、ハマ弁は何の利点があるのでしょうか。学校給食であれば法にもとづき実施基準が示され、それに従い、国産食材の使用促進が進められ、食育を進めるための栄養教諭も、現在74名が配置されます。それに対して、法にもとづかないハマ弁では、横浜産の地元食材を使うどころか、外国産食材が多くを占めています。ハマ弁を使っての食育も、この低い喫食率では、とうてい推進できません。
さらに、お弁当を持ってこられない生徒に、ハマ弁を無償提供すると市長は言われていますが、給食であれば何も特別なことをしないでも、就学援助を受けている家庭は、無条件で無料になるうえ、ハマ弁の無償提供の範囲よりも、圧倒的に広い範囲が対象になります。市長は中学校給食を望む多くの声を聞いていたにもかかわらず、給食という選択肢のない「ハマ弁・業者弁当・家庭弁当」の選択制がいいんだと言われていますが、なぜなんでしょうか。市民がそのことを望んでいるという根拠はあるのでしょうか。伺います。
林市長:選択制の根拠でございますけれども、生徒や保護者の皆さんが望んでいるのは、基本的には、昼食の充実だと私は考えております。それを実現する方法は、様々あると思いますけども、横浜市としては、学校現場の状況や財政負担などを総合的に考えまして、早期に全校実施できる方法として、民間事業者と協力したハマ弁に取り組むこととしたわけです。繰り返し申し上げますけども、ご家庭のライフスタイルや日々のご都合に合わせて、ハマ弁、家庭弁当、業者弁当を組み合わせでご利用いただける選択制を進めることで、中学生の昼食を充実させていきたいと思います。
第二質問
古谷議員:給食について伺います。給食を実施する気がないということは、答弁の中で分かりましたが、市長選挙の際に、わざわざ「ハマ弁給食」と表現されたのはなぜでしょうか。給食を望む多くの市民が、それを見て林市長は市長になれば、給食をやってくれるのかもしれないと誤解した人がいたかもしれません。なぜ、給食をやる気もないのに給食という言葉を使ったのか伺います。ハマ弁に比べて、給食は何が劣っていると考えられるのか伺います。
林市長:ハマ弁でございますが、ハマ弁給食とは表現した理由でございますけれども、ハマ弁は栄養バランスや調理配送の衛生管理について給食と同等の配慮していると言うこと、それから、価格を給食並みとすると言うことで、ハマ弁の良さを活用しながら中学生の昼食をより充実したいという思いで、分かりやすくお伝えするために、ハマ弁給食としました。それから、先生がいまおっしゃった、どこが給食が悪いんですかと言うことは、何も悪いというふうに思っておりません。ですから選択制にしていただくということで、幅を広げてるっていう事でございますね。それが一番のご心配が、お弁当持って来られなかった方、給食であれば自動的に、お弁当が得られるじゃないかと、申請することもないというお話だったと思いますけれども、それについても、そういう給食のご説明に、お弁当持って来れない方にとって、ハマ弁は問題だよねっていうお話を市民の方から伺うこともありましたので、そうじゃなくて、そういう方にもきちっとお届けできるんですよってご説明のなかでさせていただきました。以上、ご答弁申し上げました。
特養ホーム倍増は一刻も早く実現を
古谷議員:次に市長が選挙で公約された「特養ホーム倍増設置」について伺います。特別養護老人ホームの増設は、私たち日本共産党横浜市会議員団も一貫して求めてきましたので、今回の公約には歓迎しますし、一刻も早く実現しいただきたいと思います。
そこで伺います。市長は特別養護老人ホームを倍増設置をしようと思い至ったのはいつごろのことで、どんな事態認識のもと、設置数を増やそうと思ったのか伺います。
林市長:特別養護老人ホームの倍増設置について質問いただきました。倍増設置しようと思った時期及び事態の認識と言うところでございますけれども、2025年問題と言うことは、ずっと言われておりました。もちろん要介護認定者が引き続き増えてきております。これからも急速でございます。私としては、300床づつと言うのは、多少と言うかですね、一年強、お待ちいただいてる状況の中では、これは申し訳ないことだという気持ちをずっと持っておりましたし、そして本当に、繰り返しになりますが、2025年が迫ってきている中で、一人暮らしの高齢者の増加、そして認知症の人が増加する中で、ニーズの高い特別養護老人ホームの整備は、これはもう、急務だということで今回、選挙選の中でも、これを訴えいたしまして、第7期高齢者保健福祉計画介護保険事業計画策定の中で、設置数を倍増して、必要な方が入所できる環境づくりを進めたいと考えているところでございます。
高齢者の住まいの問題全般の改善を
古谷議員:老後の住まいの問題について、特養の増設だけでは、問題は解決できません。いま国による介護保険改悪によって、要介護1・2の方は、特養に入る資格が奪われてしまったため、老後の住まい問題は、より一層深刻な事態となり、特養の増設だけではカバーしきれていません。これからの介護保険7期計画策定にあたっては、老後の住まいのあり方を充実させなければならず、高い自己負担金を支払える人しか入れないような、サービス付き高齢者向け住宅を設置ばかり推進するのでなくて、養護老人ホームの増設や、高齢者向け市営住宅等、低所得の方でも安心して入居できるような公的施設の拡充も、合わせてはかるべきだと考えますが、市長の認識を伺います。
また、高齢者の住まいの問題について、現在国ですすめられようとしている「新たな住宅セーフティーネット制度」について、住宅確保要配慮者のための専用住宅の整備を図るためにも、本市として、その仕組みを早急に整えるべきだと思いますが、見解を伺います。
林市長:低所得者の方が入居できる公的施設の拡充でございますけれども、養護老人ホームは現在、老朽化した公立ホームの再整備を進めておりまして、入居できる人数を増やします。また、市営住宅は、バリアフリー化を進めるとともに、増加する単身高齢者も申し込み可能な募集枠を増やしています。現在。これを進めていきます。さらに第7期計画の中では、福祉施策と住宅施策の連携を図りながら、低所得者のための施策を検討いたします。
新たな住宅セーフティネット制度について、横浜市としてシステムを整えるべきとのお話しございますが、不動産や福祉の関係団体と連携して、高齢者や子育て世帯等の民間賃貸住宅への入居支援とともに、相談や見守りなどの居住支援や効果的な家賃補助などの仕組みを検討してまいります。
小児医療費助成は一部負担金をなくせ
古谷議員:次に、今回の市長選での林市長公約「小児医療費助成 中三まで」について伺います。小児医療費助成の中学三年生までの拡充については、私たちも求めてきたもので歓迎します。その一方で、前回導入された病気の子どもにまで応益負担を求めて受診抑制にもつながる一部負担金は、この機会になくすべきだと考えますが、市長の考えを伺います。そして、その際の財源確保策について、「適正化」などという名目で市民に切実なサービスの値上げにつながらないような検討をすべきと思いますが、考えを伺います。
林市長:小児医療費助成制度について、質問いただきました。一部負担金をなくすべきについてございます。本年4月に対象年齢を拡大するにあたっては、将来にわたって持続可能な制度となるように、自己負担分は全額助成するのではなく、一定のご負担をお願いすることにいたしました。今後、更なる拡充するためには、財政状況などを踏まえた検討が必要だと考えております。市民サービスの値上げに繋がらない財政確保でございますけれども、制度の拡充を実現し、市民の皆様の期待に応えるためには、それを支える財源を確保し、持続可能な制度としていくことが、大変重要だと思います。厳しい財政状況でありますので、様々な工夫をしながら、中学三年までの拡大を実現してまいります。
少なすぎる図書館の増設を
古谷議員:次に教育施策の改善について伺います。
はじめに、今回の市長選挙の中でも話題になりました。本市のあまりにも少なすぎる図書館の設置数について伺います。横浜市では、一区一館しか図書館は、整備されていません。いま学校司書の配置により、学校現場では図書にふれ合う機会が増えました。しかし、地域に住む普通の横浜市民は、アクセスよく図書館に行ける環境にはありません。一区一館しかない本市の図書館では、あまりにも少なすぎます。人口当たりの図書館設置数は、政令市の中で最下位です。浜松市や新潟市は、本市の4~5倍図書館が設置されています。抜本的に図書館そのものを増やして、もっと市民がアクセスよく図書館に行くことができるようにすべきと思いますが、市長の考えを伺います。今まで二期市長を務めてこられて、この図書館増設については、一切手を付けてこられなかった問題ですが、市長にとっては、政策実現順位は低いということなのかどうか、伺います。
林市長:教育政策の改善について質問いただきました。図書館を増やして、もっとアクセスよく行くことができるようにとのことでございますが、図書館については、一区一館制、一区一館体制を基本に、18の図書館全体の蔵書を、全ての図書館とサービスポイントで貸出返却できるようにサービスを提供しております。さらに、今年3月からですね、川崎市、鎌倉市、藤沢市、大和市の4市の図書館と相互利用を始めるなどによって、より便利に図書館を利用できるように努めております。
図書館施策に対する私の考え方でありますが、私はもう本当に小さい頃から読書をする習慣をつけることはとても大事です。読書と言うのは、本当に子どもの情操を育みますし、色々な困難な問題に突き当たった時も、読書によって、その課題を解決したりですね、心の傷を癒したりと、色んな効果があるわけで、本当に大事なものだと考えて、図書館というのはその核になるものですね。政策の中では。ですから、本当に、古谷先生のお話になってらっしゃることも私は理解をしております。ただ、やはり財政的な問題とか、まさにプライオリティの問題もあるんです。ただ私は、図書館は大事だと思いますので、今、これちょっとズレてしまうかもしれませんけども、学校にですね、学校の図書館司書を置いたりとかいう努力もして、読書量を増やすようにしてまいりました。今後もですね、中央図書館を中核といたしまして、できるだけ皆さんに多くの本を読んでいだけるように各区の図書館ネットワークによるサービスの充実図ってまいりたいというふうに思います。
中学校の昼食時間が15分しかないのは問題
古谷議員:次に市長選挙でも、これもまた話題になった中学校の「昼食時間が15分しかない問題」について伺います。
市長が先日の定例記者会見で「横浜の中学生の昼食のあり方は、ハマ弁・従来の業者弁当・家庭弁当からの選択できることが基本」だと述べておられました。そうであるならば、今まで家庭弁当が基本とされていて、その前提で移動時間などが考慮のないお昼休み時間でしたが、ハマ弁や業者弁当を取りに行く時間も、きちんと確保するためにお昼休み時間を延ばすように、改善をはかるべきと思うがどうか伺います。
また現在中学校の昼食時間についても、多少現場で融通は利かせているにしても、そもそも昼食を15分で食べるというのは、あまりにも短すぎると思いますが、これで食育をはかるにも、健康面でも十分な食事時間だという認識なのかどうか、伺います。
岡田教育長:教育政策の改善について質問いただきました。昼休み時間を延ばすよう、改善を図るべきとのことですが、各学校は、状況に応じて時間の配分をしておりますが、ほとんどの学校において、昼休み時間は45分程度となっています。その中を、昼食の準備に5分、昼食時間として15分から20分、その後15分から20分の休憩時間としています。ゆっくり食事をとる生徒もおりますが、ほとんどの生徒は、昼食後の休憩時間を様々な活動に利用していると聞いています。昼休み時間を伸ばすためには、決められた授業時数や勤務時間をもとに、終業時間を早める、就業時間を遅くする、あるいは、夏休みを短縮するなどの調整が必要になります。
食育及び健康面で昼食時間が十分な食事時間かどうかについての認識ですが、食育や健康面において、昼食時間が大切だと言う事は十分認識しています。昼食は15分から20分は、全員が教室で席について、時間をしっかり使って食べることを指導しておりますが、行事前の時期や、学級の状況によって指導が難しいこともあると聞いております。引き続き、しっかり食べることを指導していきます。
教職員の休憩時間の実質10分は労働基準法違反
古谷議員:教職員にとってのお昼休み時間について、2013年に教職員の実態調査をした際に、休憩時間がどのくらい取れていますかという問いに、10分程度という回答でしたが、その後休憩時間が法定通りとらせていないことに対して、何らかの改善策を講じられたのかどうか伺います。もし、講じられていないとすれば、労働基準法第34条「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならない。」これに明確に、労働基準法違反をしていると思いますが、教育長の認識はどうか、伺います。
岡田教育長:休憩時間が取れていないことへの改善ですが、教職員の負担を少しでも減らすことが、休憩時間の確保や、長時間勤務の縮減につながりますので、業務改善の支援や、人事配置の充実等の取組を実施してきました。しかしながら、休憩時間取得に対する具体的な改善策には至っておりません。中学校の教職員の休憩時間についてですが、休憩のための時間設定はしているものの、実態的には、多くの教員が様々な事情で確保できていない状況にあると認識しています。教職員が休憩時間を取れるよう、教育委員会としても教職員の働き方を見直していく中で、改善していきたいと考えています。
教職員の200時間を超える残業時間の改善を
古谷議員:教職員の長時間勤務の改善について、教育現場への庶務事務システムの導入結果について伺います。現状はまだまだ入力を全員が正確に行われていないという、不十分なシステム活用状況ですが、その中でもすでに残業時間が200時間という、とんでもない過労死ラインを大きく超えている教職員が、明らかになっています。新国立競技場建設現場で、現場監督の自殺背景に長時間労働があるのは周知の事実ですが、横浜の教育現場でも、今日明日でも過労自殺が出るような非常事態だと認識すべきです。教育長は、その改善の意思、あるのかないのか伺います。
岡田教育長:教職員の長時間勤務についてですが、教職員が健康でモチベーションを高く持って教育活動ができる環境づくりは、横浜の教育の質をより一層高めていく上で必要不可欠であり、長時間労働については、大きな課題だと考えています。本市では、教職員の勤務実態に関するアンケート調査を行い、勤務実態を公表して負担軽減に向けた取り組みを開始いたしました。夏休み中の学校閉庁期間の設定など、できるところから改善に取組んでいますが、抜本的な改善には至っていないと考えています。今年度導入した庶務事務システムを活用し、勤務時間の把握に努め、健康状況の確認や産業医による面談等も開始をいたしました。勤務実態の改善に向け、一層努力してまいります。
傍聴希望する市民全員が入れる透明で開かれた教科書採択を
古谷議員:次に、市民に開かれていない横浜の教科書採択の実施方法の異常さについて伺います。8月の道徳の教科書採択について、市民の関心の強い教科書採択の際には、川崎市でも相模原市でも、別会場をとって通常の委員会の定員からは、大幅に増やして多数の傍聴希望者を受け入れています。しかし、本市の教育委員会では、通常の傍聴者数から増やしていません。今回の8月の採択の際も、210名の傍聴希望の方が集まりましたが、24名しか直接傍聴できませんでした。残りの方は、離れた場所で、音声のみしか流れないという、前近代的なやり方の場所での傍聴にとどまっています。市教委自らが定めた「教科書採択の基本方針」に出されている、「開かれた採択の実施」にも反している状況だと思いますが、なぜ、直接傍聴者数を増やさないのか、伺います。
岡田教育長:教科書採択の実施方法について質問いただきました。傍聴者を増やさない理由ですが、教科書採択は、教育委員会の権限と責任において実施することが法律で決められております。教科書採択が行われる教育委員会会議の運営につきましては、文部科学省から外部からのあらゆる働きかけに左右されることなく、静謐(せいしつ)な採択環境を確保することが通知されています。本市においては、通常、教育委員会会議を開催している会議室を使いまして、静謐(せいしつ)な環境を確保することに努めています。傍聴者の人数につきましては、教科書採択は、市民の皆様の関心が高いことから、会場に入れなかった傍聴希望者に対しまして、他の会場にて音声中継をさせていただくなど、なるべく多くの市民の皆様に、審議の様子をお聞きいただけるよう工夫しております。
教科書採択の手続きは、「記名式」などに改善を
古谷議員:教科書採択について、いまのやり方は、どの委員が、どんな理由で、どの教科書を推薦するのかが、全く分からない教科書採択の委員会運営になされているのは、問題です。無記名で行われ、また、採択終了後の情報公開でも、この点については明らかになっていません。これでは、教科書採択が「公正でかつ適正な手続き」で、採択が行われたかどうか後から検証することすらできません。教科書採択は、記名式に変えると同時に、どの教科書を、誰がどんな理由で選択したかを明らかにするような運営に改善をはかるべきと思いますが、どうか伺います。
岡田教育長:教科書採択の採決方法ですけれども、採決の方法は、横浜市教育委員会会議規則において、挙手、記名投票、無記名投票の中から教育委員会で決定することとしています。教科書採択については、外部からのあらゆる働きかけに左右されることなく、公正な採択が確保できるよう採択の方法についても、その都度、教育委員会で決定しています。また、教科書の採択理由の説明についてですが、議論の中で各委員が、教科書を採択する上で大事にしている観点や考え方を発言しています。会議終了後には、横浜市教科書取扱審議会の答申や、教育委員会会議の会議録などを公表させていただくなど、会議の透明性を確保しています。以上ご答弁申し上げました。
高速道路工事の地盤沈下問題は、市民の財産を守る立場で取り組め
古谷議員:最後に、横浜環状北線馬場出入り口での地盤沈下での住民被害について伺います。最大で13.7㎝が地盤沈下して、現在分かっているだけでも30戸が被害を受けている問題ですが、先日の首都高速が行った住民説明会では、被害の全貌どころか、どこに被害が起こったのかも全く明らかにしませんでした。質問に立った住民の方の大部分が「説明が不十分。回数も足りない」と述べても、「個別に対応します」と言って、一切それらには答えませんでした。せめて被害が起こっている地域全体の方全員を網羅するようなお知らせを行い、補償の基準なども明らかにすることは必要です。そのために、特に本市は、発注者(同様)としての立場と、市民の生命財産を守る立場で、合わせて、被害住民救済のために全面に立って対応すべきです。
地盤沈下が起きている地域については、もれなくその情報が行きわたるように、首都高に対して、対応を求めることと同時に、首都高がやらないとすれば、発注者としても、市も当該の地域住民に、情報が行きわたるようにしたうえで、救済できるまで市としても責任を持って対応すべきと思うがどうか伺います。
林市長:最後に、横浜環状北線馬場出入口周辺の工事に伴う地盤沈下について、ご質問いただきました。お答えいたします。地盤沈下に関する情報提供と、責任を持った対応でございますけれども、今後、被害を受けたみなさまには、おっしゃっていただきました首都高速道路株式会社により、適切な補償がされることになります。これに先立って、相談窓口の設置や、説明会が実施されました。今の話だと、ちょっとまだまだ、市民の、被害に遭われた住民の方のご不満があると言うことでございますので、横浜市としても、ご不満やご心配が解消されるように、高速道路株式会社と協議をいたしまして、連携いたしまして、ご心配がないように取り組んでまいりたいと思います。