議会での質問・討論(詳細)
2009年9月10日

【2009年第3回定例会】「議案関連質問」 白井正子議員(09.09.10)

実際には、質問と市長・教育長の答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

白井議員:私は、日本共産党を代表して質問します。

新設のあかね台中学校になぜプールを設置しないのか

 はじめに、市第44号議案は、青葉区の田奈中学校、奈良中学校の過大規模解消のため、第2方面校として2011年4月に開校予定のあかね台中学校の新築工事請負契約を締結するというものです。
 問題は、建設コスト削減のためプールを設置しないことです。設置しない場合の縮減効果を約1億6000万円としています。本市の財政状況により、教育予算が厳しい場合基本的に不要不急の事業を見直すことになりますが、しわ寄せが生徒に行くことに繋がる予算削減は極力回避すべきです。学校建設にあたり、なぜプールを不要不急のものと判断したのか、教育長に伺います。

田村教育長:市第44号議案について、ご質問をいただきました。
 あかね台中学校のプールの設置につきましては、整備に係る費用、運用・保守に係る経費、稼働状況、水泳授業を行う施設の代替可能性と様々な視点から検討した結果、平成23年4月の学校開設時には、これを整備しないこととしたものであります。
 教育委員会といたしましては、多くの学校施設があるなかでも、学校間で施設を共同利用するなど、様々な工夫をしていく必要があると考えております。また、今後は、このように節減した経費を、老朽化が進む他の学校施設の営繕費に当てるなど、全体の予算のなかでこれを活用していくことも必要と考えております。

学校プールの教育上の位置づけは?

白井議員:法令による設置義務はありませんが、これまで市内の全小中学校にはプールが設置されてきました。横浜版学習指導要領では、体育の水泳はクロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライなど泳法を身につけるようにするとされており、水泳授業ができる環境整備は重要です。現状では小中学校の授業だけでは泳げない子が増えており、スイミングスクール通いの子とそうでない子で、泳げる・泳げないの2極化という指摘もあります。学校の授業で最低限泳げることは、教育目的として当然のことです。そこで、学校プールの教育上の位置づけは、本市ではどのようになっているのでしょうか。教育長に伺います。

田村教育長:これまでプールを設置してきたことについての教育上の位置づけでございますけれども、プールについてはこれまでも学習指導要領において水泳が指導内容として定められていることから、水泳授業を実施するために設置してまいりました。

教育委員会主導で学校間格差をつくるのか

白井議員:あかね台中学校では、民間プールや近隣校のプールで代用すると聞いています。現在、市内全小中学校にプールが設置されている中で、あかね台中学校だけプールを設置しないことは、教育委員会が主導してプールの有無という学校間格差を作ることになります。川崎市では、諸事情により中学校51校のうち8校でプールがありませんが、そのうち改築予定の2校については改築を契機にプールを設置するとして、設備面での格差解消の努力をしています。一方、あかね台中学校で学校間格差が生じることがわかっていながら、プールを設置しないことは、公平公正な公教育を担う教育委員会が主導するべきものではありません。教育長の見解を伺います。

田村教育長:プールの有無による学校間格差についてですが、ご質問にもございましたけれども、国が定める学校設置基準においては、プールの設置については定められておらず、必置施設とはされておりません。学校施設は、建設年度、敷地条件等により、施設内容は一様ではありませんが、学校ごとに施設の利用方法を工夫し、より教育効果が上るよう今後とも取り組んでまいりたいと考えています。

市長の公約は質の高い教育の提供

白井議員:林市長は、選挙公約に、子どもに質の高い教育を提供することは日本の未来に対する不可欠の投資ですと、教育への支援を掲げておられました。それならば、コスト削減のためのプール設置見送りではなく、教育予算をカットせず、予算を追加してでもプールを設置すべきと考えます。建設用地がないわけではなく、工期が長期にわたるものでもありません。プールなしを最終決定とせず、設置の方向で検討すべきと考えますが、市長の見解を伺います。

林市長:ただいまのご質問について、お答え申し上げます。市第44号議案について、ご質問をいただきました。
 あかね台中学校へのプールの設置についてですが、学校施設についても施設の有効利用が可能なものについては、学校間でこれを共同利用するなど、これまでにない新しい発想で取り組んでいくことが必要と考えております。いずれにいたしましても、厳しい財政状況であればこそ、選択と集中の考え方に立って、様々な事業についても創意工夫をしていくことが求められていると考えております。このプール等の施設については、民間等々ももう少し話し合いながら、その1校につくるということより視野を広げてまた検討していきたいと考えております。

緊急雇用創出事業の執行率が低いのはなぜか

白井議員:次に、市第46号議案 平成21年度横浜市一般会計補正予算の緊急雇用創出事業についてです。国の経済危機対策として設置された県の基金に、国から追加された交付金を活用して、厳しい雇用情勢のもと行政の側から雇用機会を創出するために、本予算による40事業902人雇用の当初計画に追加して、短期雇用を44事業で348人生み出すとしています。事業は民間に委託する方式です。
 本予算では、開国博Y150イベント会場での案内業務や各区の放置自転車対策などの40事業を民間委託することになっていました。今年度末までに、実施予定の40事業のうち実施できたのは8月末現在までに25事業と聞いています。15事業は未実施です。当初から実施開始時期がこれからとされていた事業が5事業あるので、予定通り進んでいないのが10事業ということになります。失業者が次の仕事に就くまでのつなぎとしての緊急雇用を生み出すことが目的で実施される事業ですから、実施には緊急性と確実性が求められていますが、現時点で予定どおり事業が進んでいないのはどのような理由からでしょうか。

林市長:市第46号議案について、ご質問いただきました。
 緊急雇用創出事業が予定通り進んでいない理由についてですが、総事業費にしめる人件費割合が7割以上かつ新規雇用失業者数が全労働者数の4分の3以上など、本事業に必要な要件を満たすための調整に時間を要したことなどによるものでございます。

何人雇用されたか把握するのは行政の最低限の責任

白井議員:さらに問題なのは、この事業で実際何人雇用されたか担当局が全体を掌握できていないことです。これではこの事業が目的を果たしているかどうかチェックできません。短期とはいえ、一人でも多くの方が次の安定就労への準備期間としての雇用ですから、何人雇用されているかを把握することがこの事業の要です。早急に実態を調べ、この事業の効果効用など検証すべきです。税の運用をゆだねられた行政の最低限の責任です。市長の見解を伺います。

林市長:事業の実態把握と検証についてですが、緊急雇用創出事業では、事業所管課に対し、四半期ごとに事業報告を義務付けております。当初予算に計上した事業については、この報告により実施状況、雇用者のニーズ等を把握し、事業の進捗状況の検証を行っているところです。

事業の目標達成のため、職員体制の強化を

白井議員:事業の目標達成のためには、事業の位置づけを高め、目的を明確にしたうえで、職員体制を拡充することが不可欠と考えます。7月の完全失業率が5.7と過去最悪の記録をし、ハローワークでの有効求人倍率が0.42と雇用情勢は悪化の一途です。失業者が次の安定就労までに短期の仕事に就ければ、求職活動も進めやすくなります。事業の進捗状況の遅れをみれば、この事業の位置づけ・目的を本気で認識しているように思えません。また、この事業を所管する経済観光局雇用創出課において、今年度3名の職員の加配があったと聞いていますが、位置づけ・目的にふさわしい緊急対応を図るためには、特別な職員体制をとってでも事業の促進をはかるべきですが、見解を伺います。

林市長:職員体制の拡充についてですが、緊急雇用創出事業については事業の推進にあたり現行の人員体制のなかで各区・局・事業本部を連携させて、円滑に業務を進めてまいります。

次の安定就労に向けた支援として何を実施しているのか

白井議員:本予算では、通常の市嘱託員採用に加え、緊急雇用対策としての嘱託員採用も行われています。緊急雇用創出事業に従事した失業者や緊急雇用で採用された本市嘱託員に対し、次の安定就労に向けた支援等を行うとしています。今回、補正予算が組まれ、緊急雇用創出事業が追加実施されるにあたっては、安定就労に向けた本市の支援も拡充されなくてはなりません。つなぎ雇用された方が、次の安定就労に繋がるためには、職業訓練や就労先斡旋などが欠かせません。今までどのようなことが実施されているのか伺います。

林市長:緊急雇用創出事業や緊急雇用対策による被雇用者に対する安定就労に向けた支援についてですが、本市の無料職業紹介事業であるジョブマッチング横浜や、合同就職面接会、公共職業訓練などを積極的に紹介し、安定就労に向けた支援を行ってまいります。

職業紹介・個別相談窓口を緊急に増やせ

白井議員:横浜駅そばのスカイビル上層階にある『ジョブマッチングよこはま』は、ハローワークの横浜市版ともいえ、40歳までの人に無料で職業紹介・個別相談を行う窓口です。増える相談者に対応するため、週3日だった相談日を7月から6日に増やしました。相談件数は、前年度の四半期に比べ今年度は1.4倍に増えており、求職者に大変役立っている施設です。企業立地促進条例で誘致した企業には『ジョブマッチングよこはま』での求人登録を義務付けるなど、求人登録する企業を増やして、求職者が確実に就職決定に繋がるよう機能強化することが必要です。また、運営事業者を増やすなどして、窓口を市内にせめてもう一か所緊急に増やして、求職者の利用チャンスを拡大することが必要と考えますが、見解を伺います。

林市長:ジョブマッチング横浜の拡充についてですが、本年7月より個別相談日を週3日から6日に増やすとともに、窓口相談員と求人企業開拓員を増員し、事業の充実に努めているところであり、当面こうした体制で求職者や求人企業の登録者数を増やし、就職決定者の増加に努めてまいります。

中央職業訓練校の科目・定員数の増加で、スキルアップ支援を

白井議員:安定就労に向けたスキルアップ支援も重要です。5月補正では、横浜市中央職業訓練校で一般離職者にも枠が拡大され、3科目増え10月からスタートします。その内容は、3カ月コースの介護総合科、ITビジネス科、IT・Webプログラミング科で、150人の募集です。今まで行われてきた母子家庭・生活保護受給者を対象とした科目での修了者の就職率は2007年度実績で82%と高く、役立っている施設です。スキルアップの受け皿となるよう、少ない費用負担で受講できる職業訓練校で、本市独自でも求人の高い業種の技術が習得できる科目を増やし、定員については希望者全員が入れるよう、柔軟に対応すべきと考えます。市長の見解を伺って、質問を終わります。

林市長:中央職業訓練校の科目や定員の増についてですが、今年度の5月補正予算において雇用のミスマッチが生じている介護とITに関する科目を新設し、訓練科目を4科目から7科目に増やしたところです。また、定員についても220人から370人へと150人の増を行ったところです。このように拡充した訓練を着実に実施し、就労につなげてまいります。
 残りの質問につきましては、教育長よりご答弁申し上げます。以上、お答え申し上げました。


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