(実際には、質問と市長答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。なお、第2質問とそれに対する答弁については最後に記載しました。)
自公政権の大敗は中田市政運営にもノーの審判
大貫議員:私は、日本共産党を代表して、中田市長に質問します。
まずはじめに、市長の政治姿勢についてです。
安倍首相の突然の辞任は、政局の大きな混乱を引き起こしておりますが、今回の辞任劇のおおもとには、先に行われた参院選の結果があります。
私は、多くのマスコミが指摘しているように、貧困と格差を広げた小泉・安倍内閣による構造改革政治が、自公連立政権の大敗した最大の原因だと考えています。
構造改革政治のもとで、地方から都市へ、弱者から強者へと、規制緩和、さらには財政の選択と集中が行われてきました。本市でも同様に、余儀なき改革として市民の福祉や教育の予算が削られ、その財源をみなとみらい21地区への集客や、大企業誘致にまわし、同時に、株式会社横浜市の株価を上げるために、必要以上に急激な財政再建を進めるとして、予算の選択と集中が行われてきました。今回の参院選の結果は、この本市の市政運営そのものにも、ノーという審判が下ったと考えますが、この点で市長の見解を伺います。
中田市長:ご質問をいただきました。
まず、参議院選挙の結果と構造改革について見解についてということでございますが、端的にいって関係ない。しかしあの、大貫議員のお話を伺っていると、僕はいつもいろんな考え方があるのだなあと、大変勉強になります。想像もつかない発想だなあということを本当に感心をします。ちなみに今回の選挙では、連立与党も負けましたけれども、日本共産党も議席を減らしたのでありまして、ここらへんからの分析も、またぜひそうした分析もお聞きをしたいと思います。
住民税減税制度をわかりやすく市民に知らせよ
大貫議員:今後、新たな首相が決まっても、自・公連立政権の政治によって構造改革政治が継続される形勢です。その悪政に対して住民生活を守る立場から、市政上の焦眉の問題について、質問および提案をいたします。
その第1は住民税増税対策等についてです。
定率減税廃止等による住民税増税から市民生活を守るために、実効ある住民税減免制度や激変緩和措置が求められています。その点で、現在実施されている個人住民税の減免規定の中にも、大変有効なものがあります。たとえば、1か月以上失職等により所得がない人や、合計所得金額が前年度の10分の3、10分の5、10分の7以下に減少した人などが減免の対象になっています。しかし、納税通知書には「災害を受けた場合」と「生活保護を受けている場合またはこれに準ずる場合」としか明記されていません。具体的ではありません。その結果、2006年度、失職や所得の減少などで減免を受けた人は、わずか228人です。この減免規定について、納税通知書への記載や納税者への郵送など、具体的に、わかりやすい表現で丁寧に周知することを提案しますが、市長の見解を伺います。
条例第39条では、住民税の減免について、いくつかの項目が掲げられています。そのひとつ「生活保護世帯に準じた公私の扶助を受けているもの」については、川崎市と同様に減免の基準を数字で示す必要があると考えますが、いかがでしょうか。
また、介護認定を受けている高齢者で、寝たきりの方や障害者に準ずる方は、各区の福祉保健センター長の認定を受ければ、障害者控除となり、所得税や住民税の控除が受けられます。本市の要介護認定者数は、2006年8月現在、介護度4と5だけでも2万3,508人、全体でいえば8万4,462人です。そのうち障害者認定を受けているのは462人、0.55%に過ぎません。この状態を改善させるためには、同制度についても、要介護認定者すべてに案内と申請書を発送し、その周知徹底をする必要がある考えますが、合わせて伺います。
この間の住民税増税は、住民税額によって算出される国民健康保険料などの負担を雪だるま式に増やす結果になっています。本市においては、税制改定等に対する激変緩和措置が国保料など14項目にわたって実施されていますが、いずれも2年から3年の時限措置になっています。大企業の好景気をよそに、依然として不景気に苦しむ多くの市民のために、これまで実施してきた激変緩和措置を今後も継続する必要がありますが、この点についての見解を伺います。
特に、国保料の激変緩和措置の延長および恒久化について、市長の見解を求めます。
中田市長:次に住民税の減免について、ご質問をいただきました。
(「答えていないんじゃないか」というヤジ)
先ほどございましたよね、全く関係ないっていう。次に住民税について。あのぉ、よく人の話、聞いておいてくださいね。そうじゃないとまた答えてないとか言う話になりますので、くれぐれも人の話は聞いていただきたいとおもいます。くれぐれも人の話をよく聞くようにお願いしたいと思います。
市税の減免制度についてのご質問でありますが、これまでも広報横浜、税務特別号のほか、納税通知書への掲載や区役所窓口でのご案内などを通じて、周知に努めてまいりました。引き続き、より詳細な内容についてもホームページや案内チラシなどによる周知に努めていきたいと思っております。
市税の減免制度の運用でありますけれども、市民税法では貧困により生活のため公私の扶助を受ける場合に市民税を減免することができると、こうなっております。扶助を受けることができないような収入や貯金、あるいは不動産があるという場合などには、減免の対象外となっております。従って、事情を斟酌せずに一定の所得金額に定めて一律に減免を行うということは適切ではないと考えております。
高齢者の障がい者控除制度の周知方法でありますけれども、要介護認定を受けた高齢者の方でも、障がい者控除の対象とならないという場合があります。しかし、対象となる方の周知は、これは重要でありますから、介護保険制度案内のパンフレットや要介護認定結果通知の同封ということと合わせて、ケアマネージャーに情報提供していただくなど、きめ細かな対応を図ってまいります。
これまで実施をしている14項目の激変緩和措置継続でありますけれども、税制改正という制度改正に伴う経過措置として負担を軽減をしているものでありまして、特段の緩和措置の延長等については考えておりません。
また、国民健康保険料の激変緩和措置の延長等についてでありますけれども、これはもともと国の緩和策に基づいて実施をしているものであり、平成18年19年度の2年間の経過措置であること、高齢者の負担緩和分を65歳未満の被保険者が負担する方式となっており、措置の延長はこの負担を継続させてしまうことなどから、延長は困難と考えております。
横浜から障がい者施策の改革を
大貫議員:次は障がい者福祉についてです。
昨年12月の第61回国連総会は、障がい者に障がいのない人と同等の権利を保障し、社会参加を促進する努力を盛り込んだ「障害者権利条約」を全会一致で採択しました。同条約は、「誰に対してであれ、障がいを理由にした差別は個人の尊厳と価値を侵害する」とし、「障がい者が生存権を等しく享受できることを保障する」と定め、「あらゆるしかるべき行政、立法、その他の措置」を講ずることを求めています。そして、実効ある措置として条約の実施状況を監視する機構を締結国が国内に設置するとともに、国連に条約の実施状況を報告する義務を負うという画期的なものです。この条約は20か国が批准した時点で発効します。
この条約のわが国での批准を早めるために、全国最大の政令指定都市である横浜市の果たす役割は決定的です。その役割とは横浜市が同条約の早期批准を国に求めることであり、国に先駆けて「障害者差別禁止条例」の制定をすることだと考えます。横浜から日本を変えるとおっしゃっている中田市長です。障がい者の問題でも、ぜひ横浜から日本を変えていただきたいと思います。市長の積極的な見解を求めます。
2006年から施行された障害者自立支援法により、福祉サービスや自立支援医療に原則1割の応益負担が導入されました。障がいが重い人ほど負担が重くなり、負担に耐えられない障がい者はサービスを受けられなくなるという事態を引き起こしています。障がい者が人間としてあたりまえの生活をするために必要な支援を「益」とみなして負担を課すという応益負担は、憲法や福祉の理念に反すると思います。市長の見解を伺うと同時に、政府に対して応益負担の中止を求めるべきと考えますが、市長の答弁を求めます。
本市は、障害者自立支援法施行にあたって、いち早く応益負担について激変緩和措置を発表し、実施してきました。これは全国的にも優れた施策として、わが党も評価しています。この激減緩和措置を3年間で終わらせずに継続する考えはないのか、さらに激変緩和措置を自立支援医療制度にも拡大して、充実させることを提案しますが、この点での見解を伺います。
中田市長:続いて、障がい者福祉についてご質問いただきました。
障がい者権利条約批准を政府に要望するということについてでありますけれども、本市としても障がいのある人の権利擁護や差別防止は、これは重要な課題であると認識をしております。条約批准については、現在国においてこれは検討されているところでありまして、当面その動向を見守ってまいりたいと考えております。
また、障がい者差別禁止条例の制定についてですが、障がいのある人の権利擁護の取り組みは国において障がい者基本法などの法令整備を進めているところでありまして、現時点において市独自の条例を制定するという考えはございません。
障がい者自立支援法の応益負担についてですけれども、障がい者自立支援法における利用者負担は、1割の定率負担となっておりますが、福祉的配慮として所得階層別の上限額設定や、減税の適用などの軽減措置が図られております。
さらに本市においては、利用者負担で必要なサービスが受けられない、そうした事態にはならないようにしたいと考えまして、独自の負担軽減策を講じたわけであります。
利用者負担のあり方、これにつきましては本市のみの課題では当然ないわけでありまして、国としての対応を図るということがこれは基本であるというふうに考えておりますが、これまでも低所得者に対する負担軽減策の拡充について機会を捉えて要望をしてきたところであります。
本市独自の負担助成の継続についてということですけれども、大都市における低所得者の負担を考慮して、本市が独自に助成制度を創設した趣旨を踏まえて、法施行後3年を目途に行われる国の見通しの内容を見極めながら、検討をしてまいります。
また、自立支援医療への拡大については、他の障がい者施策と合わせて総合的に検討いたしてまいります。
新市庁舎建設計画は市民合意を得たのか
大貫議員:最後に、新市庁舎整備問題について質問します。
1995年に出された市庁舎整備審議会の答申を最後に、塩漬け状態になっていた新市庁舎整備事業計画が、今年度、突然浮上してきました。まず、なぜ今年度、同計画の検討をスタートさせたのか伺います。
同審議会ではその必要性を答申をしましたけれども、新市庁舎建設の市民合意はされていません。市民合意を得ようともせずに、既成事実を積み上げることは許されません。何よりもまず新市庁舎整備について、市民合意の形成を図る必要があると思いますが、市長の改めての答弁を求めます。
今年度、新市庁舎整備の調査検討費が計上され、8月には建設予定地のひとつで、UR都市再生機構が再開発を進めている北仲通り南地区の土地1.3ヘクタールを、市庁舎整備基金を取り崩して購入するとの発表がありました。
説明によれば、北仲通りの当該の土地は、新市庁舎建設地として決定しているわけではないということです。そうであるならば、市庁舎整備基金で当該地を購入することは、基金条例に違反するのではないか、あえて購入することによって事実上のGOサインを出したことにはならないか、あわせてお聞きします。
市長は、財政状況が厳しいとして新市庁舎整備基金の積み立てを2003年に中止した経緯があります。また、中期5か年計画で1,610億円の財政不足が生じるとしています。巨額な財政不足を宣伝しながら、一方で審議会の答申で言えば述べ床面積17万から19万平方メートルという巨大な新市庁舎を建設するということは、あまりにも矛盾があります。この点を説明して下さい。
いずれにせよ、新市庁舎建設の財政的余裕があるならば、これまで余儀なき改革として削ってきた市民サービスを復活すべきと考えますが、市長のお考えを伺って、第1回目の質問を終わります。
中田市長:最後に新市庁舎整備についてご質問いただきました。
新市庁舎整備の検討を始めた理由ということでありますけれども、コスト削減に向けた様々な取り組みを行うなかで、市庁舎の管理コストの縮減が未着手であること、分散化により業務の非効率化や行政サービスの低下などを招いていること、平成7年の答申から10年以上が経過をして市庁舎周辺の状況が大きく変化をしてきていること、現在の市庁舎が建設後約50年を経過し、施設・設備が老朽化をしていること、長期的な観点から市庁舎の防災・災害対策の強化を図る必要があることなどから、検討に着手をしているところであります。
市民の合意形成についてですけれども、今年度は新市庁舎整備構想に関するアンケートや提案も行いまして、市民のご意見を聞きながら進めてまいりました。今後もこれは変わらずに様々な広報・調査活動・見解を通じることによって、市民のご理解を得られるようにしていきたいと思いますし、さまざまなご意見を受けながら、進めてまいりたいというふうに考えております。
市庁舎整備基金を北仲通り南地区土地購入にあてるということについてでありますけれども、北中通り南地区については取得の申し入れを行った段階でありまして、用地取得の財源については市庁舎整備基金の活用も含めて検討をしてまいります。なお、市庁舎整備基金は条例の設置目的に沿った形で活用してまいりますけれども、いずれにしましてもこれも議会でまたご議論をいただいてお図りをしたうえで、進めてまいりたいと思います。
新市庁舎整備を北仲通り南地区で進めるのではないかというご質問でありますけれども、新市庁舎の整備は関内地区などのまちづくりと一体で行うということが重要だと思いますので、関内地区には市庁舎だけでなく、老朽化した施設等もあるわけでありまして、そうした意味において関内地区全体を活性化するという観点から市庁舎も含めて検討するということが肝心だと思っているわけです。そのためには、借り移転先など様々に活用できる土地、これが必要であります。そのために、取得を申し入れたわけであります。候補地や事業手法、こういったことについては、これからも充分な検討が加えられる必要があるわけでありまして、それには市民のみなさんからのご意見いただかなければなりませんし、また民間には今様々な事業手法といったものがありますから こういった事業手法のノウハウというものも取り入れながら、申し上げたとおり関内地区の活性化と合わせて抜本的に検討していく、こういうことが必要だと思います。
これまで行ってきた市民サービスの見直しについてということでありますけれども、社会的公正公平という視点や、時代の変化などを踏まえて、必要性があると判断できる内容について、これはいままでも行ってきたわけであります。また、防犯・防災・福祉・子育てなど、市民生活に必要不可欠なサービスについては、厳しい財政状況のもとであっても、できるだけ市民に提供できる、これまでも必要な予算を確保してまいりました。大貫議員がおっしゃるような一般施策というものも、これは市にとって重要でありますし、一方では老朽化した市庁舎をどうしていくのか、あるいは関内地区をどうしていくのか、こういったことも当然必要なことであって、そういったことをまさに一方的ではなくて総合的に考えるというのが私に科せられた責任でもありまして、また議会のみなさんで議論して進めていくことで、そうした観点からの議論をお願いをしたいというふうに思います。
以上、答弁申し上げました。
(第2質問)
大貫議員:ありがとうございました。
今回の参議院選挙の結果をですね、他山の石と、教訓も引き出せない中田市長の限界を見たように思います。
第2の質問として、1か月以上の失職等の所得が少ない人、これも減免の対象になるんですね。今、お持ちしましたけどね、納税通知書には欄があるんです。ところがその欄があるのに書いてない、ここに書いてくださいという単純なお願いします。要求です。これ、あとでお願いします。
さらには、市庁舎整備の問題については、中田市長はすでにもうどんどん既成事実を積み重ねていますが、市庁舎整備審議会でもこれは必要性はあるといっていますけれども、なにも作れとはいっていない。それ以外のことは書いていません。どこでだれが、新市庁舎を作ることを決定したのか、議会に対してそれをどうやって審議をするのか、審議をするような状況を作っていくのか、これを明らかにしていただきたいというふうに思います。以上です。
中田市長:市税の減免制度についての第2質問ですけれども。今後も、様々な形で周知に努めていくことはいたしてまいりたいと思いますので、ぜひまた私としてもお伺いしてまいりたいと思います。
市庁舎建設について、だれが決定したのか、また今後の議会での議論ということについてのご質問でありますが、だれが決定したのかということについては、それこそ私が市長になる前から議会において議論がなされて、そしてその時点で市庁舎についての様々なご意見を含めてまとめてきた、こういうふうに私は承知をしているところであります。
また前回の質問の中にもありましたように、中断ということを言ったのですけれどね、私、中断ということをしたということは一度もありませんが、これまでやはり市政の中で優先すべき事項ということを対応してきたわけでありまして、先ほども申し上げたとおり、市庁舎のこれからの50年100年というそうした時間をにらんで計画していくことであり、もとよりこれは横浜市にとっても必要なことであって、私のやり方でなんらかの形で進めていく必要があると思います。必要な議論ということでは、市会での議論ということでありまして、これは市会の方でやってもらわなければならないことで、私どももお図りをしてまいりたいと思います。