かわじ議員:おはようございます。かわじ民夫です。今日はトップバッターです。よろしくお願いします。委員長、スライドの使用許可、お願いします。
市内事業者の99%を占める中小企業の支援が横浜経済活性化のカギ
かわじ議員:最初は、横浜経済のあり方についてです。この間、アベノミクスにより大企業が潤っているものの、国民の暮らしは大変です。中小企業者数が圧倒的多数を占める横浜経済も、そこで働く労働者の暮らしも厳しさを増しています。
そこで、この間の市内経済の景況感について、局長の見解を伺います。
林経済局長:よろしくお願いいたします。
本年9月に実施しました景況・経営動向調査によりますと、景況感を示す指標である自社業況BSIは、英国のEU離脱決定や円高の進行等の懸念材料もありましたが、前回調査の6月と比べて1.2ポイントの改善となっております。ただしかし、海外経済の不透明感や個人消費の伸び悩みなど不安要素は依然あるということでございまして、中小企業のBSIは大企業と比べては低くなっているという部分もございますので、引き続き注意深くみていく必要があるというふうに認識しております。
かわじ議員:スライド(スライド1)をご覧ください。
先ほど局長にも話してもらった内容です。9月に発表された「平成27年度横浜市中小企業振興基本条例に基づく取り組み状況報告書」の中にある市内中小企業の状況です。囲みは「27年度の景況感は当初緩やかな上昇傾向にありましたが、平成28年3月調査では低下しました。直近の28年6月の景況感はわずかに上昇しました」とあります。しかしグラフの太線にあるように、自社状況のBSI、これは「良い」から「悪い」を引いた企業が感じる景気の強弱感の数字です。10年間プラスになったことはありません。下の表は大企業より一層厳しい中小企業の状況が分かります。
中小企業振興基本条例では、「中小企業は、それぞれの業種・職種において市内経済を根幹から支え、地域のまちづくりや雇用、災害時の助け合いなど、地域社会へ貢献するとともに横浜市の発展に大きく寄与してきた」とあります。まさに地域内経済の循環を謳っているものだと思います。
そこで、衰退状況にある市内経済の振興策として、就業を含めた市民の豊かさを目指し、付加価値があらゆる段階で地元に帰属するよう、地域産業連関・循環を意図的に図ることが重要だと思います。
事業者数の99%を占める中小企業・町工場や商店街など、地域内経済循環を担う内発的な産業振興施策を一層重視すべきと思いますが、局長の見解を伺います。
林経済局長:今後、市内の高齢化が加速し、人口減小に伴う内需の減少が見込まれる中で、地域に根ざした生産や消費活動は持続可能な社会の実現において大切であるというふうには考えております。また一方で、市外や海外などの成長の取り込みも中小企業の活性化のためには重要であるというふうに考えております。このため地域の身近な小規模事業者を含む中小企業や商店街の振興はもとより、地域社会の課題解決を目指す事業者の育成などに引き続き取り組んでまいります。あわせて、企業誘致や海外展開など域外需要の取り込みも行う施策についても取り組んでまいりたいというふうに考えております。
かわじ議員:中小企業が果たす役割として、地域内循環経済という立場からみたら、どうでしょうか。
林経済局長:先ほど申し上げたとおり、地域に密着した生産消費活動というのは、高齢化の中で持続可能な社会をつくるということでは重要であるという認識は持っております。そういう意味で、商店街やそういった地域密着した活動も支援していくということは基本的に続けていきたいというふうに考えております。
かわじ議員:中期4か年計画の経済施策にある計画上の見込み額では、融資を除いた中小企業関連は29.1億円です。誘致や特区が主な経済成長分野は184億円、グローバル化は10.1億円、海外進出は5.2億円、観光MICEは86.4億円、文化創造都市では91億円です。
融資関連は中小企業関連にも活用されますので金額だけでは単純には比較できませんが、事業所数の99%を占める中小企業関連はあまりにも少ないものです。経済成長分野やグローバル化、海外進出などの分野を否定はしませんが、大企業の課題に応えるものです。
この予算配分は、事業所の99%を擁する中小・小規模企業・町工場や商店街等を中心とした地域内経済循環を担う産業分野の位置付けが弱いことを表していると思うが、どうでしょうか。伺います。
林経済局長:中小企業の振興というのは今、全庁的に取り組んでおりますので、中期計画の中で、先生がピックアップしていただいたもの以外にも様々関わっていうものがあるというふうに考えておりますが、中小企業振興については中期4か年計画に掲げた事業を着実に推進するだけではなくて、局としても景気動向や社会状況の変化に対応して、予算ですとか取り組みを充実させております。
また、企業誘致や観光MICE推進、または成長産業の育成についても横浜経済の一層の活性化を目的として実施しているものであり、市民の雇用の増大、事業機会の拡大を背景に市内中小企業振興にもつながるものというふうに考えております。
かわじ議員:地域内循環経済っていう立場からすると、この割合は弱いのではないかと私は訴えたんですけども、どうでしょうか。
林経済局長:地域内のもちろん取り組みは、先ほど申し上げましたとおり中小企業の基礎支援、さらには商店街振興というものもございますけど、経済局の考え方としましては中小企業の、小規模事業者も含めて、様々なネットワークの中で企業は日々経営をしておりますので、当然ながら市外の発展要素、海外も含めて取り組みながら発展を期すという部分もあわせてやっていくということが基本的な考え方でございます。
かわじ議員:地域内の循環経済の重視ということをもっと重視すべきだと思うんですね。それで基本的なことですので、副市長にもこの見解、伺います。
渡辺副市長:例えば大企業の企業誘致などの場合には非常に投資額の大きいと。中小企業が、例えば新たな技術開発を行うとか、あるいは環境関連などの設備投資を行うというような場合に比べますと、自ずからその投資額の規模が違いがございます。従いまして、大企業に、非常に中途半端と言いますかね、そういう支援をしてもそれは大きな効果にならないと。そういう点はぜひご理解をいただきたいと思います。
私どもとしては、言うまでもなく99%を占める中小企業が横浜経済の主役であると思っておりますので、中小企業がその企業経営を活性化させ、そして市内経済にその果実を循環していただくような、そこにこそ力を入れて行っております。大企業への支援も、それに連関をする市内中小企業の取り引きの活性化というところ、そして市内の雇用の活性化に伴う市内中小企業の需要の増大、そこにこそ目的を見出して展開をしておりますので、その点はぜひご理解をいただきたいと思います。
かわじ議員:私は求められるものは、地域経済の循環と再投資、地域の持続的な発展と雇用の安定化をどこまで踏み込むかだと思います。
中期計画では、「地域に根差して活動する企業の支援や、地域・社会の課題解決を目指す事業者の創出、地域コミュニティの核となる商店街の活性化を図る必要がある。横浜経済を活性化するためには、多くの市民の就労を促進することが必要です」と課題を述べています。こうしたことを具体化するためには、商店街など地域経済に身近な区が政策的な主体となることが不可欠です。そうしてこそ、区と連携した経済政策などの推進・支援体制が整備されるものだと思いますが、伺います。
林経済局長:地域に密着した区役所の役割というのは重要であると考えておりますが、市内経済の活性化策の推進には、専門的な知識や人材を持ち、市全体の施策を進める局と、地域の状況をきめ細かく把握している区が連携して取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。
区役所では商店街、地元企業との連携強化を進めておりまして、たとえば港北区、都筑区、戸塚区、金沢区など多くの製造業が集積する区では工場見学ツアーや庁舎での製品展示会など、また大学と企業の交流会など様々な取り組みを行っております。これに経済局も応援しまして、引き続き区局連携を深めて横浜経済の活性化に向けて取り組んでまいりたいと思います。
かわじ議員:さらに強化を求めるものです。
中小企業振興基本条例では、「市が行う工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、市内中小業者の参入機会の増大に努めること」とあります。2015年度の本市の中小企業の官公需契約実績では、物件契約で95%、金額で84%です。
しかし、私たちは良しはしていませんが、小学校給食調理業務の民間委託は168校ですが市外業者がほとんどです。7月から始まったハマ弁は株式会社JMCが統括事業者に選定され、実施事業者4社のうち市内業者は1社です。さらに保育園の民間移管ではこの5年間で14園ありますが、市内法人は5園のみです。明らかに中小企業振興基本条例の精神から大きく外れています。
こうした分野でも中小企業振興基本条例の立場で進めていくことが市内経済の発展に寄与するものだと思いますが、これは副市長に伺います。
渡辺副市長:中小企業振興基本条例は市会の先生方にご提案いただき、そして制定していただいたものでございまして、大変重要な条例であると認識をいたしております。条例を制定を機といたしまして、全ての副市長や区長、局長などで構成する横浜市中小企業振興推進会議を設置するなど全庁的な体制も強化しております。そして横浜市からの発注にあたりましては、先生少しご指摘されました、どうしても一部実施可能な事業者が少ない分野など、市内中小企業の発注が難しいものも一部はございますけれども、それ以外は透明かつ公正な競争および契約の適正な履行の確保などに留意しながら、可能な限り市内中小企業が受注できるよう、これまでも全区局をあげて取り組んでまいりましたが、今後もさらに最大、最大限、努力をしてまいります。
私ども横浜市役所の職員の最大の使命の1つは、市民のみなさまや市内事業者の方々からお預かりした税金を、いかにどれだけ多く市内経済に還流させていくかということにあるんだということを全職員が自覚をして、しっかりと取り組んでまいります。
かわじ議員:引き続き条例の立場で進めていただきたいと思います。
高崎市を見習って個店のリニューアルに支援を
かわじ議員:次は、商店街の個店への振興についてです。商店街は地域住民の生活に欠かせません。その商店街が歯抜けやシャッター通りのようになっていることを憂えています。経済局は商店街活性化や空き店舗にならないよう努力されているわけですが、27年度の第2創業支援事業はどのようなものか。空き店舗活用事業からどのように発展したのか、伺います。
林経済局長:第2創業支援事業は、事業承継や業態、業種変更等、商店街の個店の活力を回復する新たな取り組みの支援により、商店街の活性化と市民生活の向上に資することを目的とした事業でございます。個店への支援としまして、20年度から空き店舗を活用し新たに開業する方への支援を進めてきましたが、27年度新たに既存の個店を空き店舗にしないための取り組みとして第2創業支援事業をスタートいたしました。
かわじ議員:この第2創業支援事業の評価、実績と評価はどうだったのか、伺います。
林経済局長:27年度は親から子への事業承継に伴う新たなコンセプトにあわせた店舗の改装、顧客のニーズにあわせた業種変更、未活用スペースを使った新たな事業の実施など4件について補助をいたしました。制度を活用した店舗の方々からは、新たな事業を始める後押しとなった、お店の将来を考える良い機会となったなどの声をいただいており、個店の魅力向上と事業証券につながり、商店街の活性化にも寄与したと考えております。
かわじ議員:4件しかなかったわけですか。予算との関連ではどうだったのか、伺います。
林経済局長:27年度は4件という実績でございました。制度の新設ということもございまして、そういった周知等も含めて改善しておりますけど、実績としてはそういうことでございます。
かわじ議員:予算額があまりにも少なくて4件で頭打ちっていうふうに、私は実感しました。
今、商店街では様々な悩みがあるわけですが、個店の努力や意欲への支援も大事です。この事業を今年度はさらに発展させたと聞いていますが、どのように発展させたのか、また現在の応募状況はどうか、伺います。
林経済局長:28年度は個店の活力向上事業と変更しまして、業態業種変更に加え、バリアフリー化など個店のニーズに応じた課題解決につながる取り組みを幅広く支援できるようにいたしました。7月から9月にかけて応募を受付け、昨年度を上回る17件の申請をいただいております。現在その選考を行っているところでございます。
かわじ議員:私たち党市議団は昨年(今年の間違い)、高崎市・前橋市・新潟市の商店街リニューアル助成事業の視察に行ってきました。報告書をつくり経済局にもお持ちし、局長とも懇談させていただいたわけですが、その一つ、高崎市の事業を紹介します。
高崎市の商店リニューアル事業は、商業の活性化を目的に、商売を営む人も、また営もうとする人が、店舗などの改装や使用する備品購入に対し、その費用の2分の1、最大100万円を補助するというものです。2013年4月に創設され、受け付け初日だけで108件の申し込みがあり、当初予算の1億円は3週間で突破。2回の補助予算で4億4,000万円になり最終的に申請数は738件に達し、年度途中で受付を終了。現年度は543件9億8,000万円の実績。制度を利用した人は「店がきれいになってよかった」との声もあり、担当者は活力ある商店街に期待しているとのことでした。
人口37万人、一般会計1,700億円の高崎市、本市は高崎市の10倍、人口372万人、一般予会計1兆5,000億円です。単純に一般会計予算の割合でみれば、本市の2015年度の商業振興費2億1,000万円は、高崎市の商店リニューアル事業費9億8,000の40分の1です。商店振興予算を増やし、商店街の活力、商店の、個店の活力向上事業を抜本的に拡充すべきと思いますが、いかがでしょうか。
林経済局長:高崎市さんの事業はかなり主旨、目的をそれほど問わずに幅広く助成しているということでございますけども、こちらの今の事業は個店の抱える課題を解決して魅力ある店舗となることで商店街の活性化につなげていこうということを主旨としております。やはり店舗の抱える課題の解決や魅力アップにつなげていくという主旨で今回取り組んでおりますので、これは商店街全体の活性化にもつなげていけるという主旨で進めてございます。
かわじ議員:様々なメニューがあると思うんですけども、いずれにしても額そのものがすごく小さい。このことがやっぱりここに商店街に対する姿勢が表れているのではないかと思います。もっともっと大きく増やしてください。
希望者全員が職業訓練を受けられるように職業訓練校の拡充を
かわじ議員:次は、職業訓練事業についてです。経済状況が厳しい中で雇用の支援も重要な事業です。中央職業訓練校における27年度の事業内容とその結果および評価について説明してください。
林経済局長:27年度はパソコン基礎科、OA経理科、介護医療事務OA科、キャド製図科、ITビジネス科、IT・WEB・プログラミング科、介護総合科、医療調剤事務OA科の8科目の訓練を実施いたしました。各科目の応募倍率はOA経理科が2.9倍と最も高く、次いでパソコン基礎科が2.5倍、ITビジネス科2.4倍で、最も倍率が低かったのが介護総合科の1.1倍となっております。いずれの科目も多くの方から応募をいただいており、ニーズに対応した職業訓練を提供できていると評価しております。
かわじ議員:応募倍率が高いのは求められる事業だからだというふうに私も思いますし、逆に言えば応募倍率そのものが低く、応募倍率が高いというのは事業そのものの規模が小さいからではないかというふうに思います。時代とともに訓練ニーズも変化していると思いますし、訓練校設立後、訓練科目などどのように変化し、また訓練生はどのような感想を持たれているのか、伺います。
林経済局長:昭和33年度の開設当初は、洋裁科、タイピスト科、測量科、塗装科など11科目ございました。昭和45年度には事務科、機械製図科、医療事務科など6科目。昭和57年度にはOA事務科、キャド製図課、医療事務科など6科目。平成18年度にはパソコン事務科、介護事務基礎科など4科目。平成21年度には介護総合科やITビジネス科など3科目を加えて7科目。平成25年度には医療調剤事務OA科を追加して8科目というように時代の要請にあわせて変更しております。
かわじ議員:訓練生の感想はいかがでしたか。
林経済局長:みなさん、非常に真剣に取り組んでいただきまして、必死に勉強したのは受験勉強以来でしたとか、そういったお声もいただいております。
かわじ議員:ところで、この事業の財源はなんでしょうか。
林経済局長:ほぼ全額国費によって賄われております。
かわじ議員:雇用支援する大事な事業だと思います。大都市の横浜で国費を有効、積極的に活用し、市内方面別に訓練校を設置することや、せめて希望者全員が訓練を受けることができるように拡充すべきと思いますが、どうでしょうか。
林経済局長:平成23年度には定員が385人であったのを、27年度には600人に拡大するなど、順次拡大してまいりました。また、訓練終了後も3か月間は就職支援を継続し、就業支援の強化にも努めてまいったところです。今後も引き続き、より多くの訓練生が就職し自立の道を歩みだすことができるよう、効果的な支援について検討してまいります。
かわじ議員:広い横浜に1箇所っていうのはやっぱり少ないんじゃないか、もっと事業を大きくしていくべきじゃないか、それがこの不況の今の状況の中で雇用の支援をしていくことに大きくつながるのではないかというふうに思っていますが、いかがでしょうか。
林経済局長:横浜市中央職業訓練校は、基礎自治体で全国唯一の職業訓練校として、本市の施策の特徴的な部分でございます。これまでも時代の変化や社会経済情勢に応じて訓練科目や定員数を改善してまいりました。今後とも雇用情勢や訓練ニーズに応じた職業訓練事業となるよう検討してまいります。
かわじ議員:積極的に引き続き、求めます。終わります。