議会での質問・討論(詳細)
2016年3月2日

■建築局(岩崎ひろし)

岩崎議員: まず、スライドの使用をしますので、お願いします。それではよろしくお願いします。

横浜で次々と建築工事の不祥事

岩崎議員:まず、都筑区マンション基礎杭不正施工から伺っていきます。
 免震装置データ偽装が2014年2月に発覚しました。その後、横浜では、西区マンションの傾き、港南区区役所基礎杭コンクリート充填不足、都筑区マンションで2~3センチのズレ、そして2月28日には西区の同じマンションで基礎の鉄筋切断報道など、市民の命と財産をおびやかす事態、建築工事に係わる不祥事が相次いでいます。
報道によれば、住民からは、「次から次へ問題が出てくる。許せない」「建替えれば済む問題ではない。施工に瑕疵があるとすれば大問題だ」等々、厳しい声が上がっています。当然のことだと思います。
 私は、この背景に1997年頃から行われている、安全をないがしろにした規制緩和があると思っています。確認・検査業務の民間検査機関への丸投げ、新技術や新部材の検査を省略できるとする国交大臣認定制度などです。横浜だけではなく、全国の大問題だと思います。建築関係法令や制度に問題があるからだと思います。
わが党は、本件発覚直後の10月21日、事態を繰り返さないために必要な法改正等について国に強く働きかけることを、市長に申し入れました。
 再発防止には、直接的原因とその背景を徹底究明することが不可欠です。この間、建築局が、いろいろ制約のある中で、10Fエキスパンションずれ床建築基準法第12条5項に基づいて、原因究明に取り組んでいることを評価するものです。その上で、伺っていきたいと思います。
 このスライド(スライド1,2)は、都筑区マンションの異変の現場です。これを見れば、この建物に重大な問題があることは誰でも分かります。住民が異変に気付いた2014年11月から1年3か月経ちます。ずれの真の原因及び違反事項の特定はできたのでしょうか、伺います。建築局スライドスライド(10階エキスパンションずれ手すり)

坂和建築局長:建築基準法に定められました大地震時の建物の倒壊・崩壊については、最優先で調査するよう指導した結果、昨年11月24日に報告を受け、住民のみなさまの一時的な退避等の必要はないことを確認いたしました。また、その他の違反事項を特定するため、建築基準法で規定されている中地震時に建物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じないことなどについて、事業主および工事施工者に対し、今年の5月31日を期限として報告を求めております。
 現在、事業主などが地盤調査や根固め部分の調査などを実施しています。これらの調査結果をふまえ、構造計算による検証、並びに第三者機関の評価を受けることとしています。その報告をもとに、横浜市が違反の有無の特定を行ってまいります。

岩崎議員:ご報告ありがとうございます。
 ただ、結論的にまだ特定できてないと、原因や違反事項の特定はできてないってことでしょ。その点、どうですか。

坂和建築局長:違反特定には、私どもやはり、地盤調査や根固め部分の調査などを今やってるんですが、その結果報告をふまえて、さらに、施工者がやってますもので、第三者機関の評価、そういうのも経た上で、特定していきたいと考えております。

欠陥車だったら直ちにリコール

岩崎議員:いまだに特定できてないということですが、問題は、先に述べた一連の建築不正施工等も、また全国の同種の事態も、どれもきっちり決着ついてないわけですよ。ずるずるしているわけです。
 本件は、住民の立場で見れば、欠陥マンションを知らずに購入してしまった問題です、これは。欠陥車だったら、メーカーの責任で直ちにリコールになります。これは、車の安全第一の法や制度が機能しているから、そういう措置がとられるわけです。
 なぜ、建物・マンションでは、原因解明も責任の所在もあいまいなまま、長期にわたってずるずるしていくのか。ここが問題なんですよ。これは、関係法令が機能していないから、こういうことになるんだと私は思います。法や制度の厳正な見直しが絶対必要だと思うんです。
 そこで伺います。市長は昨年10月28日、国交省に緊急要請を行い、関係法令のさらなる検証を求めています。さらなる検証は、法改正等を国に強く働きかけることを求めたわが党の立場と一致しています。市長が、国に要請した関係法令のさらなる検証とは具体的に何なのか、これをお答えください。

坂和建築局長:10月28日に林市長が国交大臣の方に要請した内容は3点ございまして、その1つに建築業法ならびに建築基準法令のさらなる検証というのを要請したものでございます。現在、国交省におきましては、基礎杭工事の適正な施工体制の構築や、あるいは元請け・下請けの役割および責任の明確化など建設業法に関連する課題とともに、基礎杭工事における建築士のチェック方法など建築手法に関連する課題について、法令の検証が進められております。引き続き、再発防止に向け、国交省と協議していきたいと考えております。

岩崎議員:聞いていることをちゃんと答えてもらいたいと思うんですけどもね。市長がわざわざ国に対して、関係法令のさらなる検証を求めているわけですよ。さらなるという以上は、今がこうで、それではだめで、ここまで検証してくれっていうことでしょう。言葉としても。その具体的な中味を言ってくれないとだめじゃないですか。どういうことを検証してもらおうとしているんですか。

坂和建築局長:先ほど申し上げました緊急要請の中には、徹底した原因の究明、それから住民への丁寧な説明、それから先ほどの法改正、法の検証というのをいれています。徹底した原因究明と法のさらなる検証というのはかなりリンクしたものと考えています。そうした中で、国交省は専門の委員会を立ち上げて、今、議論している。中間報告も出ましたが、議論している中で、先ほども申し上げましたように、建設業法に関連する課題、あるいは建築士法に関わる課題が今提起されているという状況でございます。

岩崎議員:スライドを見れば、もうはっきりしているんですよ、これは。素人が見たって、何か問題があるぞ、この建物は。欠陥だということはすぐわかるんです。車だったらすぐですよ。リコールされますよ。なんで建物はそうならないんですか。
 私、原因究明のためにいろいろ建築局に資料を求めましたよ。ボーリングデータの問題とか、何箇所ボーリングやったのかということを言いました。でも、出せないじゃないですか。こんな基礎的なものがなんで当局持ってないんですか。こういうことが問題なんじゃないですか。どうです。

坂和建築局長:まず、大地震における建物崩壊その他についての検証をまずは最初にやっていただいたと。それで、緊急避難は必要がなくなったと。その次には、建築基準法の規定にある中規模地震についての構造上耐力上主要な部分に損傷が生じないことについて検証するようにという12条5項に基づいてやっているわけです。それを検証するには、セメントミルクが不十分だったり、あるいは杭が未到達だったり、そういう要素が実態を把握した上で、建築基準法の必要な構造耐力が得られているかどうかの検証をし、第三者機関の評価を受けた上で、それをもとに違反なのか違反じゃないかというのを私どもは特定しようとしています。
 それと、その違反の状況と、今の瑕疵の問題ですね、建物の瑕疵の問題、それはリンクしているところもございますが、必ずしもリンクしていない、ここの件で一般的にはリンクしてないこともございますので、私どもは事実やボーリングデータ、そういうものに基づいて、しっかり検証していきたいと思います。なお、ボーリングデータにございましては、所有、私ども資料としてございますが、開示できない状況となってましたので、お出しはしておりません。

建設関連法の検証を国に強く求めよ

岩崎議員:横浜市が検証している内容をいろいろ聞いているんじゃないんです。そういう検証そのものが、何か月かかっても結果が出ないというような問題とか、全国でそういう問題発生しているとかっていう、そのことを言っているんですよ。そういう問題意識はぜんぜんないんですか。もう一回、聞きますよ。そういうことでいいというんならそれでいいんですけど、当局が関係法令はさらなる検証を必要とする問題点、課題があると、関係法令はね、そういうふうに思ってるのかどうかなんです。どうなんですか。

坂和建築局長:私どもの方は、私ども法律を司るというか、所管している国交省の方に検証を求めております。その検証は10月28日に要請しておりますが、問題が発覚して、さまざまなことが言われてる中で、建設業法、ようは施工の問題、それから建築基準法の問題が、そこに原因究明とともに明らかになるならば、しっかり検証、法律を司る国交省が検証していただきまして、改正なりあるいは運用基準の改定をしていただきたいという思いで、緊急要請をしたものであって、それについて私どもが全く認識ないということは全く当てはまらないと考えております。

岩崎議員:とても大事なところなんで、ちょっともっと念を押しますけど、国交省に検証してほしいと言っているのは、法を検証してほしいと言っているんですよね。それでいいですよね。どうですか。

坂和建築局長:私ども、3つのうちの1つとして、さらなる検証ということで緊急要請をしております。

岩崎議員:当局が関係法令にいろいろまだ問題があると、だから検証してくれというふうに言っているというふうに確認をします。
 それで、副市長にちょっと聞きます。問題の現場をいくつも抱えている横浜市が、関係法令のさらなる検証を求めたということは、国の建築行政に大きく影響を与える非常に大事なことだと思うんですよ。大都市横浜が言っているわけだから。とても大事なことだったと思うんです、申し入れは。それで、要請して終わりではないんです、これは。こうした不祥事を繰り返さないように、きちんと止まるようにするまでがんばらないとだめなんですよ。引き続き、国に対して、法の検証を強く強く働きかけてほしいんです。
 それで、国の対応をみていると、誰に気兼ねしているのか知りませんけど、全く腰が引けてるわけですよ。原因究明に全然熱心じゃないですよ。国にちゃんとやってくれっていうことを言うのはお金かかりませんから。私、副市長に、問題解決に向けた本市の姿勢を示す上でも、何回でも国に行って、ちゃんとやってくれということを言ってほしいんですよ。言ってくれますか。

鈴木副市長:要請後、国の方でいろいろ検討する中でも、われわれの方にいろいろ相談を受けたりという部分もございます。まさに今、横浜市のいろんなノウハウも国の方にお伝えをしながら、一緒になって議論をさせていただいているというように思っておりますので、この問題についてはこれからも私どもとしては引き続き、やはり必要なことは国の方にも申し上げなければいけないと思いますし、同じスタンスの中で議論させていただきたいというふうに思っております。

岩崎議員:ぜひ、副市長、元建築局長でもあるから、事情をよーくご存知だと思うんですよ。これ、国のおしり叩いてでもやんなきゃいけない大仕事だと思います。全国に横浜の建築行政の誇りをかけてやってもらいたいと思うんですよ。このことを要請しておきます。
 私の持ち時間、ここまでなんで、これで終わります。


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