北谷議員:おはようございます。日本共産党の北谷まりです。党を代表して順次、質問してまいります。
巨額を投じて新たなMICE施設整備が必要か
北谷議員:まず、MICEについてです。新たな、MICE施設の整備は、成算に疑問が生じる闘いを、他都市、特に東京としているように見えます。このビッグプロジェクトで市財政を圧迫し、市内経済にも寄与しないとなれば、何のための施設整備なのかということになり、この観点からいくつか伺ってまいります。
日本政府観光局の発表資料によると、2014年の国際会議協会、国際会議統計では、日本の都市を世界の順位で見ると、22位の東京がトップで、次いで54位の京都、125位の札幌、そして134位の横浜となっています。アジア中東地域での順位は、東京6位、京都13位、札幌26位、横浜30位となっています。
日本政府観光局の国際会議選定基準による2014年度都市別開催件数は、1位東京23区、2位福岡市、3位京都市、4位横浜市であり、これらのことから、横浜が競合相手として意識しなければならないのはシンガポール、北京など海外の都市ばかりではなく、東京、京都だと思いますが、局長の見解を伺います。
中山文化観光局長:よろしくお願いいたします。シンガポールというのは先進的なMICE都市でございまして、ベンチマーク先であって、決して施設規模で競うことは考えておりません。横浜は、医学系会議、そういった大規模な国際会議の開催実績が評価されておりますし、また、オールインワンで使いやすいMICE施設であるということも評価されております。パシフィコの力は非常に大きいです。こういったような強みを生かしまして、質の高いMICEを誘致してまいりたいと思っております。
北谷議員:東京では、国家戦略特区を活用した巨大再開発計画が目白押しで、大手町、六本木、有楽町に、三井不動産、森ビル、東京都などによるMICE拠点整備の計画があり、今後MICE供給能力は格段に拡大され、競争はますます激化していくことは必至です。8月31日、20街区、MICE施設整備事業の落札PFI業者と、落札額約378億円の発表がありましたが、民間事業者のホテルは国際的に名のある誰もが認識できる、例えば、ヒルトン、コンラッド、マンダリンなどというところは、結局どこも手をあげませんでした。それは、彼らにとってマーケットとして魅力がないからだと考えます。
東京という強力なライバルを前に、20街区の新たな施設が、経済波及効果の高い中・大型の会議という本来の目的に沿って使われるという担保はどこにあるのか、伺います。
中山文化観光局長:これまでも中・大型の国際会議を中心に誘致をしてまいりました。今回新たに20街区MICE施設を整備することにより会議場や展示面積が拡大するまで、今までやむなくお断りしてきた中・大型国際会議を積極的に誘致していけるものと思っております。
北谷議員:本市が調査委託した2014年3月の報告書では、「単に多くのホテルの部屋数を持ち、コンベンションセンターの面積が広く、コンベンション施設のクオリティが高いというだけでは、国際会議を引き付けるのには十分ではない」と述べています。また、「2020年にかけて獲得できている国際会議は18件しかない」ことを、横浜固有の脅威としてあげています。
東京オリンピックを前にして事業費が高騰するのは容易に想像でき、建設工事に対するインフレ条項が適用されて、この額で収まるはずはありません。また、この事業の入札には1グループしか応じておらず、競争性が働かなかった点、PFI事業審査委員会の評価点も100点満点のうち52.93点であり、これで問題ないのか疑問です。さらに、山下ふ頭の大規模集客施設、ホテルなど同地と競合する大型開発も計画されております。
新たなMICE施設は、一歩間違えば無駄なハコものになる危険性があり、そのツケは結局市民が払わされることを改めて考える必要があるのではないでしょうか。そんな状況で約378億円の新たな施設整備が進められていますが、長期にわたる市の財政負担について、市民にどのように説明していくのか、伺います。
中山文化観光局長:これまでも市会をはじめ市民のみなさまへご説明してまいりましたが、20街区の整備にあたっては、本市の厳しい財政状況をふまえ、民間事業者のノウハウによる採算性の確保とともに、本市の財政負担の平準化を図ることができるPFI事業が最もふさわしい手法であると選択をいたしました。
北谷議員:国立大ホール、会議センター、展示場を管理・運営する通称「パシフィコ横浜」は、民間のノウハウを活用して独立採算で行うことを目指して設立されたものの、市が支援をして成り立っているのが現状です。これまでのパシフィコ横浜に対する市の財政負担は、2013年度末現在、出資は41億円、長期貸付金残高160億円、損失補償残高36.8億円、地代減額累計額171.3億円などです。新たなMICE施設は、パシフィコ横浜が指定管理者として運営にかかわることが見込まれますが、これまでの財政負担とこれからの財政負担について、また管理運営能力について、市民にどのように説明していくのか、伺います。
中山文化観光局長:パシフィコへは過去に出資や補助金などの支援をしてまいりましたが、順次見直してまいりました。現在は160億円の直接融資、25%の土地の減額貸付、損失保障の設定を行っております。新たなMICE施設は、パシフィコに隣接した施設となり、一体的に管理運営することが望ましいと考えております。
北谷議員:パシフィコ横浜の営業努力の賜物だと思いますが、5月13日から15日の3日間、国内初の武器商談会が開催されました。この商談会について、NHKは「防衛装備品を紹介する展示会、輸出認める新3原則の導入を受け、横浜」、神奈川新聞は、「熱帯びる武器輸出、横浜で国内初商談会、40か国3,300人参加」との見出しで報道しています。横浜市会は、これまで平和都市に関する2種類の決議を行っています。そして、本市はピース・メッセンジャー都市であり、国際平和啓発事業を行っています。武器商談会を横浜で開催するのは本市の基本姿勢に反するのではないかと考えますが、副市長に見解を伺います。
渡辺副市長:まず、パシフィコ横浜は、施設の利用条件等について施設利用規則を定めておりますけれども、その中で申し込みの内容が公序良俗を害する恐れがある時や、暴力的違法行為や反社会的行為を行う勢力があるものであるときなどは、利用承諾をしないということとしております。ご指摘のフェアにつきましては、英国の団体が主催者で、わが国の防衛省、外務省、経産省も後援をし、防衛大臣や各国大使も出席をする展示会も合わせて開催をする国際会議でありまして、主催者からの利用申し込みを受けて、施設を運営するパシフィコは、先に述べました規則に基づいて、そうしたものについてはもちろん該当しないと判断をして、利用申し込みを受け入れたものと認識をしております。防衛につきましては、国の専管事項ではございますけれども、このフェアと横浜市のピース・メッセンジャー都市としての姿勢と直接には関係がないものというふうに考えております。
北谷議員:20街区について、市道である湾岸2号線を廃道にし、周辺住民の住環境悪化を招いても、事業者の提案だからと事業敷地を拡張し、巨額の投資を行うことに、どうしても疑問を感じざるをえません。
保土ヶ谷区にも区民文化センターを
北谷議員:次に、区民文化センターについてです。
今年の予算委員会で、わが党の古谷議員の質疑の中で、区民文化センターの指定管理者について、当局が主導して定期的に会議を開催するとのことを言われましたが、実際の会議は何回開かれ、何を話し合っているのか、伺います。
冨士田文化芸術創造都市推進部長:文化観光局の来年度事業計画や各施設における取り組みなどの情報共有を目的として、来年2月頃に開催する予定です。
北谷議員:局が主導して開催すると言われておられますので、ぜひ実行し、よりよい運営となるようお願いいたします。
未整備区についてですけれども、再開発などまちづくりの機会にあわせて、区内にある文化施設や他の公共施設の機能をふまえ、区の特性にあわせて必要な機能を整備するとのことですが、具体的な計画はどのようになっているのか、伺います。
中山文化観光局長:瀬谷区と港北区において、整備に向けた調整を進めております。他の未整備区につきましても、再開発等のまちづくりの機会にあわせて、区内にある文化施設や他の公共施設の機能をふまえ、区の特性にあわえて必要な機能を整備してまいります。
北谷議員:保土ヶ谷区については、どのような機能が必要だと考えておられるのか、伺います。
中山文化観光局長:保土ヶ谷区で、具体的に検討を進める際にも、再開発等まちづくりの機会にあわせて、区内にある文化施設や他の公共施設の機能のほか、区民のみなさまのご意見をふまえ、区の特性にあわえて整備すべき機能を検討してまいりたいと考えております。
北谷議員:保土ヶ谷区でも区民文化センターをつくってほしいという要望があり、現在、相鉄線高架などさまざま工事が行われており、区文センター整備の検討はされてもいいのではと思いますが、いかがでしょうか。
中山文化観光局長:本当に繰り返しになり、大変恐縮ではございますが、保土ヶ谷区におきましても、再開発等まちづくりの機会にあわせて、区内にある文化施設や他の公共施設の機能をふまえ、関係区局と連携し、区の特性にあわえて必要な機能を整備してまいりたいと考えております。
北谷議員:ぜひ、保土ヶ谷区での整備を検討していただくよう、お願いします。
市民ギャラリーへの送迎バス運行を改善せよ
北谷議員:続いて、市民ギャラリーについて伺います。
関内駅前という1等地から西区の宮崎町に移転して1年が過ぎますが、利用者が減っていると聞いています。利用者アンケートには、駅から施設までの道案内が不十分、道案内の標識がないという声もあります。利用者を増やすには改善が必要だと考えますが、どのような取り組みをしていくのか、伺います。
冨士田文化芸術創造都市推進部長:26年度に実施しました利用者アンケートで、施設の場所がわかりにくいとの意見があり、最寄り駅から市民ギャラリーまでの間に案内看板を5か所設置いたしました。また、周辺の文化施設と相互にチラシを配架する等、施設や事業の周知に努めてまいります。
北谷議員:また、駅から遠いとのことで桜木町駅からの送迎車がありますが、利用者は来館者の7%です。アンケートでは、座席数が少ない、本数を増やしてほしいとの意見があり、改善の余地があると思います。今後、どのように改善していくのか、伺います。
中山文化観光局長:送迎車の認知を高めるため、車をラッピングしてわかりやすくし、館内に時刻表を掲示するとともに、送迎車の案内チラシを配架いたしました。また、混雑時には必要に応じてピストン運行を実施して対応しています。今後も送迎車の周知を図るとともに、より使い勝手がよくなるよう努めてまいりたいと思っております。
北谷議員:市民の文化芸術活動のための重要な施設なので、多くの市民に利用され、愛されるよう、しっかり対策を講じていただきますようお願いいたします。
かなフィルでの不当労働行為を正せ
北谷議員:最後は、芸術文化支援事業についてです。
昨年の決算審査で、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の楽団員2名の不当解雇問題をわが党のあらき議員が取り上げ、補助金を交付する立場から、解雇取り消しと現職復帰などの救済命令を出した県労働委員会の決定に沿うよう、かなフィルに要望すべきと求めました。局長は、運営はかなフィルの問題、解雇の件は係争中であり、推移を見守るしかできないとの答弁でした。かなフィルへの補助金を事業費へと切り替えたとのことですが、昨年度のかなフィルへの事業補助額と補助理由、今年度の計上した予算額を伺います。
冨士田文化芸術創造都市推進部長:26年度の補助金交付額は3,000万円です。交付内容は、横浜みなとみらいホールでの定期演奏会、横浜ポップスオーケストラ、特別支援学校への出張コンサートに対する事業費補助です。27年度の予算額は2,850万円です。
北谷議員:不正常な労使関係にあることを承知していながら、従来どおり補助金を出したことは、結果として、かなフィル理事者側の経営方針を容認したことにもなります。局長には、猛省を求めておきたいと思います。
かなフィルには、運営にあたる理事会のほかに、評議員会が設置されています。現在13人で、局長もその1人です。評議員会には、理事の選任または解任の権限が付与されています。
この裁判の判決日は11月26日です。この判決を受けて、中央労働委員会も裁決を下します。事態は緊迫しています。
評議員は、理事長に評議員会の招集を請求できます。評議員会を開催し、理事の選任解任権を活用して、理事者側に対して責任を追及し、県労委の救済命令に沿って問題解決にあたるよう、求めることができます。請求権行使についての局長の見解を伺います。
中山文化観光局長:現在、神奈川フィルが中央労働委員会に対して再審査を申し立てておりますので、引き続き推移を見守ってまいりたいと考えております。
北谷議員:無法状態を傍観し放置するのではなく、法と人権を守ることを求めるのは公の責任です。再度、局長にはその責務を果たされるよう要望し、終わります。