古谷議員:日本共産党、古谷やすひこです。 わが党は昨年の予算議会で、二期目の林市長が編成した予算案について財政難を理由で市民サービス充足に背を向けて、市債発行削減路線を放棄してまで大型開発に惜しげもなくどんどん予算を注ぎ込んでいるのだのだと指摘をしてきました。その転換を求めました。しかし、今回の決算では、私たちが指摘をした通り財源が消費され、カジノ誘致あるいは大型開発などアベノミクスの忠実な地方での執行者となっています。
改めて市民生活を立て直す立場で、順次市長に質問をしてまいります。
圧倒的に足りない災害時の広報手段、防災行政無線の設置を
古谷議員:まずはじめに、今年9月の台風18号の土砂災害警戒情報の発令に伴う避難勧告の対応についてです。
近年、毎年のように起こっている豪雨災害、またスーパー台風や、あるいは大地震など本市で大災害が起こった場合の備えについての市長の考え、また茨城県の被害などを見ての所感、伺います。
林市長:豪雨災害にかかわらず、地震を含めた大災害に対する備えにつきましては、行政としてハード、ソフトさまざまな対策を進めておりますが、こうした公助に加えて、自助・共助の意識や取り組みが大変重要であると考えております。
今回の被害を見ましても、自然の脅威に対してはハード対策だけでは限界があり、適切な避難行動など命を守るための行動を、市民お一人おひとりが、あるいは地域で助けあって迅速に行うことが大切だと改めて痛感いたしました。
古谷議員:今回、台風18号の土砂災害警報発令に伴う避難勧告についてですが、そもそもこの避難勧告というのは、どういう指示内容なのか、伺います。
山隈総務局長:各区で発令をした避難勧告は崖崩れなどの土砂災害に備えて発令したものでございまして、具体的に一例を申しますと、磯子区では広報車によりまして「こちらは磯子区役所です。13時8分に避難勧告を発令しました。岡村小学校を避難場所として開設しています。土砂崩れの恐れがありますので、安全な場所への避難を開始してください」といったような放送を行いました。このように、安全な場所への避難など市民のみなさまに土砂災害から身を守るための行動を直ちにとっていただくように呼びかけたものでございます。
古谷議員:今回、どのくらいの対象の方に避難勧告をされて、そしてどのくらいの方が実際避難されたのでしょうか。 山隈総務局長:今回は10区で54か所、計1,809世帯、4,106人に対して避難勧告を発令しました。地域防災拠点などの避難場所に実際に避難された方は、7区で合計20人でございました。
古谷議員:非常に少ないなという実感を持っています。局長、避難勧告というのは、避難してもしなくてもいいものなのかどうか、伺います。
山隈総務局長:避難勧告自体には強制力はないというふうにされております。あくまでも避難するかしないかは、個々人の判断ということになっています。
古谷議員:しかし、発令した避難勧告が対象住民に届いているか届いていないか、これは非常に重要な問題だというふうに思っています。今回の対象者に対して本市の避難勧告の情報が、先ほど車の例、出されましたけど、どのくらいの方が受け取ったというふうに認識しておられますか。
山隈総務局長:土砂災害警戒情報の発表とともに、避難勧告を発令する対象の世帯の方に対しましては、予めポスティング等によりその旨をお知らせしてございます。その上で、当日は広報車や個別訪問に加え、Lアラートや防災情報eメール、ツイッターなどできる限りの手段で、土砂災害警戒情報が出ていること、それから避難勧告が発令したことを周知しました。また、テレビやラジオなどでも繰り返し放送しておりました。これらの情報も加えますと、対象地域のうちの多くの方に情報は伝わっていたのではないかというふうに考えております。
古谷議員:本市が、災害対策基本法の第60条に基づいて避難勧告を発令して、勧告をした対象者の住民にいかに知らせるのかという手段については、本市の「風水害対策マニュアル」というものに具体的なフローがあります。先ほど局長が言われたような事例で動いたところもあります。その第一番目には「車両による対象区域の巡回広報」というふうに書かれてあります。車両がたくさん出動したところもあれば全く一台も出されなかったところもあるというふうに聞いています。一台も出さなかったところは出さなくてもいいと、出さなくても住民への広報が十分だったという認識なんでしょうか。
山隈総務局長:災害時の広報につきましては、仮に重複があったとしましても、広報車や戸別訪問、ホームページ、ツイッター、ファックスなど、活用可能なあらゆる手段を用いて広報すべきだというふうに考えています。そのような点からしまして、先生の今のご指摘の件については、関係局で検証を行い、改善すべきは改善をして、今後の対応に活かしてまいりたいというふうに考えます。
古谷議員:また、そのマニュアルの中で、「町内会長への個別の電話連絡」とあります。知らせることは非常に結構だというふうに思うんですが、その先の対象住民への本市からの直接のお知らせがないということからしたら、もし被害が起きた場合に、町内会長などに責任を負わされるということになりませんか。
山隈総務局長:避難勧告を発令した場合、行政として、先ほどから申しておりますように、さまざまな手段を用いて対象地域のみなさまに伝達をいたします。その中で、自治会町内会長などのお力もお借りをして、伝達をお願いすることもあります。しかし、これはあくまでも本市が行うべき対象世帯への伝達を補完するものでございますので、仮にそれ以降伝わらなかったとしても自治会町内会長様が責任を負うというものではないというふうに考えております。
古谷議員:それが、本当に対象の住民に直接伝えないで、しかも町内会長にだけ電話をするとフローになっているんです、今。ですから、そこが問題だと思っています。結局、対象区域の住民全体に対して、知らせる手段が今は広報車の巡回しかありません。やっぱり広報手段が圧倒的に不足しているというふうに思います。その辺の認識、いかがでしょうか。
山隈総務局長:繰り返しになりますけども、本市では広報車に加えて、戸別訪問、それからLアラート、防災情報eメール、ツイッター、ホームページなど、さまざまな方法で情報を伝えております。今後もこれらのさまざまな情報のより効果的な運用を図るとともに、自然災害の多様化、大規模化を踏まえ、伝達手段の拡充、こういったことも、これは常に点検をしていかなきゃいけないというふうには思っております。
古谷議員:ぜひ、伝達手段を拡充していただきたいと思うんです。
私たちは前々から、防災行政無線つけるべきであると主張しています。これは内閣府の「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」という作成ガイドラインなんですよ。その中には、避難勧告等の伝達手段として、「市町村の防災行政無線など、情報の受け手側の能動的な操作を伴わず、必要な情報が自動的に配信されるタイプの伝達手段であるPUSH型の伝達手段を活用する」のだとあります。その第一に、防災行政無線が掲げられています。同時に個別受信機などの方法も組み合わせると書いてあります。本市では、そのどちらも配備されていません。また「都市部では人口が多く、全世帯への個別受信機の配備は困難であり、屋外拡声器で対応せざるを得ない場合が多い」と、都市部のことも指摘をしています。
先ほどの答弁では、河川地域を中心に防災行政無線については検討していくんだとありましたが、それにとどまらず、土砂災害も大きな問題になっているわけですから、広く同報型の防災行政無線の設置、始める時だと思いますが、市長の決意、伺います。
林市長:昨年度の検討によりまして、屋外スピーカーは河川周辺の広範な地域に、迅速に情報提供する必要がある洪水への対策としては大変有効であると結論を得ました。現在、整備する地域の検討を行っております。 また、先生からいろいろご指摘がありましたけども、繰り返しますが、自然災害の多様化、大規模化に踏まえて、伝達手段の拡充についても検討する必要があると考えております。
古谷議員:あらためて、全国の自治体で当たり前になっている、設置されている防災行政無線の設置、早期に設置を求めたいと思います。
お昼を食べないで我慢している生徒をなくすためにも中学校給食を
古谷議員:次に、子どもの貧困対策としての中学校給食について、伺います。
今まで何度も、本市で実施していない全国では当たり前の制度である中学校給食について実施を求めてまいりました。今回は、子どもの貧困問題を解消するという観点から、順次伺ってまいります。 子どもの貧困に社会的に対処するために、国は子どもの貧困対策法という法律まで制定して、それに基づいて国は大綱を発表し、本市も実態調査に入っています。今の横浜の子どもの貧困の状況について、市長はどういう認識なのか、伺います。
林市長:本市の子どもの貧困に関する現状でございますが、たとえば生活保護を受給している20歳未満の人数は、16年の約7,300人に対し、26年は約1万400人と増加傾向にあります。厳しくなっていると認識をしています。経済的困窮が原因となりまして、子どもの養育環境への格差が生まれ、就学の機会や就労の選択枝が狭まることで、貧困の連鎖に繋がる状況がございます。子どもの貧困は、国や自治体が連携して取り組むべき課題であると考えております。
古谷議員:市長は、2014年の9月11日の定例記者会見の中で、「我々から見てもお弁当を持ってこられないお子さんなど、私たちは承知しています」と、記者に対してお答えになっています。市長は、お弁当を持ってこられない中学生のお子さんの状況について、どう承知されているのか、伺います。
林市長:教育現場の実情については、学校を支援してくださる市民のみなさまからご意見を伺ったり、教育委員会事務局から報告を受けるなどして、承知をしております。そうした中で、ご家庭の事情によりまして、昼食が持参できない生徒がいるということは承知しています。28年度中に全中学校において実施予定の栄養バランスのとれた温もりのある昼食、いわゆる横浜型配達弁当の提供に際して、家庭環境等により昼食を用意することが困難な生徒に対してどのような支援をしていくのか、現在、教育委員会を中心に関係局を含めて検討を進めております。
古谷議員:教育長に伺います。何らかの事情でお弁当を持ってこられない中学生について、教育委員会としてはどう承知されていますか。
岡田教育長:所管から学校ヒアリングをした内容についてはしっかり報告を受けておりますし、私自身も学校への訪問などの際、学校長から直接お話を伺っております。
古谷議員:ぜひ現場見ていただきたいと思うんです。これ、教育委員会さんから、そちらの方から伺った資料では、「親が食事を作らず、兄が弟に朝食に与えたパンの残りを持参するなど、家庭の課題が昼食に直結している」こういった事例も実際に挙げられています。こういった事例つかんでいるんであれば、ぜひ対応する必要があるというふうに思うんですが、教育長、いかがでしょうか。
岡田教育長:これまでは業者弁当の活用を含め、学校が個別に対応をしてまいりました。今後は、横浜型配達弁当の仕組みの中で、昼食が用意できない生徒に対して、個々の状況に応じた支援を行えるよう、現在、関係局も含めて検討しているところです。
古谷議員:お弁当を持ってこれない子どもたちの状況っていうのは、実態調査、把握されていますか、教育長。
岡田教育長:先ほど先生の方からご紹介いただきましたように、それぞれ学校の現場からは報告を受けております。
古谷議員:実態調査されてないんですよ。今回、子どもの貧困対策法に基づいて実態調査されてるんですが、昼食に関するアンケートはありません。ですから、実際、今の現状、今日の中学生が食べてない、食べている、そういう状況については確認をされていません。市長は、ぜひ、横浜のこれからを担う中学生が、今日もお昼も食べないで我慢している人がいるかもしれない。そういう状況の時に、その状況をよしとするんでしょうか。何らかの対応、必要じゃないでしょうか。
林市長:そういう状況、たとえばですね、たとえばって言ったら失礼ですけど、そのお食事をしていない子どもがいるっていうことは、絶対にあってはなりません。現在準備を進めている横浜型の配達弁当導入にあわせて、しっかりとご支援していきたいと思います。
古谷議員:教育長、いままでのように、先ほど言われたように現場の先生たちに対応を押し付けるのではなくて、本市として実態をつかんだ上で対応策ぜひ検討すべきだと思うんです。そこで、まずは至急市教委として、市内の中学生が昼食をどうとっているかの実態把握、これは任意のアンケートではなく、調査をすべきというふうに思いますが、いかがでしょうか。
岡田教育長:個々の状況につきましては、プライバシーに十分配慮をした上で、学校を通してしっかりと把握していきたいと考えています。
古谷議員:状況もつかまずに対応をすることはできるんでしょうか。
岡田教育長:状況はきちんと把握して対応してまいります。
古谷議員:中学生でも小学生でも食育の話をよくされます。小学生では栄養摂取状況の調査なんかもよくやられています。残渣の問題も出てきます。中学生にはなぜそういうことを調査、やらないのですか。
岡田教育長:なぜやらないのかというお話ですけれども、やはり生徒ひとりずつをきちんと見て対応をしていきたいと考えておりまして、今現在でも担任や生徒指導の専任が毎日生徒を見ております。昼食を用意できないことは把握をしておりますし、生徒の心情も踏まえまして、ていねいな対応していきたいと考えております。
古谷議員:そんなこと当たり前なんですよ。教育長、ぜひ伺いたいんですが、今回の市教委の施策で、昼食が食べられないで我慢する生徒、これはなくなりますか。どうか伺います。
岡田教育長:今回の中学生の昼食の充実の中で、しっかりと考えていきたいと思います。 古谷議員:答えてません。なくなるんでしょうか。どうでしょうか。
岡田教育長:なくなるようにちゃんと対応をしていきます。
古谷議員:なくなったという評価をするためにも、今の現状を調査する必要があるんです、これは。教育長、子どもの貧困対策法では、この対策の一番のプラットホーム、貧困の問題の対策のプラットホームが学校であるべきなんだというふうに書かれてあります。そして、弁当を持ってこれないというのは、子どもたちから見れば最大のSOSを発しているというふうに思います。そういう状況をなくすというのが、ぜひ目指していただきたいというふうに思うんです。いかがでしょうか。
岡田教育長:ですから、そういう状況は学校だけでは把握できないこともありますので、きちんと福祉とも連携をして対応をしてまいります。
古谷議員:プラットホームが学校だと言っているんです。私は、今までさまざまな観点から中学校給食の実施を求めてきました、今までも。しかし、横浜市が給食を実施していないことで、横浜市の中学生は就学援助の給食費補助が受けられなくなっています。その代案も出さないでいます。このことで、結果、今も昼食を食べないで我慢している子どもたちに不利益を被らせているということについて、市長の見解、伺います。
林市長:中学校の昼食については、生活環境により昼食の用意が困難な生徒に対する支援の方法を、教育委員会を中心に担当局を含めて検討しているところでございまして、昼食が食べられないお子さんをなくすということは重要なことだというふうに思います。
古谷議員:非常に口ごもっていましたが。
他都市ではこんな問題起こらないんですよ。それは、中学校給食をやっているからです。弁当が定着しているんだと、あるいはそれが横浜のやり方なんだというふうに誇っておっしゃるのであれば、お昼を我慢して食べないで我慢しているという生徒をぜひなくすことを、ぜひやっていただきたいというふうに思うんです。そういう点からも、あらためて学校給食法に基づいた中学校給食の実施、ぜひ求めてまいります。
高齢者向け住宅支援で生活保護に頼らない老後を
古谷議員:続いて、高齢者の住まいのあり方について、特に低所得の高齢者が安心して住み続けられる横浜になるように、いくつかの提案をしていきたいと思います。特に、公営住宅の設置の重要性について主張していきます。
単身の方が今、高齢になって、働けなくなって、年金をもらう生活になったと。しかし、国民年金では今1か月最高でも6万5,000円しか支給されません。それでは、私はとてもじゃないですけど暮らせないというふうな感想を持ちますが、市長の所感、伺います。
林市長:国民年金は、現役時代に構築した生活基盤や老後の備えとあわせた生活を支えるものとされており、今お話があったように、現在満額で一人あたり月6万5,000円を支給されております。長年、自営業や農業を営んだ方などは国民年金を受給することになりますが、年金の支給水準は本人が支払った保険料や国庫負担、物価等のバランスを図りながら国が判断するものでございます。横浜市としても、他の指定都市とともに国民年金の支給額について国に対して要望を行っております。
古谷議員:今、市長、おっしゃられなかったですけど、国に対して要望しているということは、低いということを認識されているんだろうと思います。
今まで日本は、私が考えるに、持ち家に特化した施策に比重を置いてきたんじゃないかなというふうに思います。その証拠に、国民年金の水準が6万円程度ということでは、住まいにお金がかからないことが前提での制度設計としか、私、思えません。これでは、これから若者の非正規化が進む中で貧困になって、そして現役の働く世代がリタイアをした親の面倒をみることがますますできなくなります。そうすると、国民年金しか収入源のない持ち家でない人は、他に制度がなくて、生活保護に至るというケースが多くなるのもみています。その証拠に、生活保護受給者の受給理由のトップが「高齢になったため」ということです。
そこで、提案するんですが、生活保護とは別体系で、住居に対しての支援をぜひやるべきだというふうに考えます。そうすれば、結果的に、保護を受給している方でも、住居が安定的に確保されることで保護を受給しなくても何とか生活ができるという方も出てきます。結果、保護受給者も減らすことができると、総体として救える人も多くなるというふうに考えます。そういった住居への補助制度、こういうものとともに、住宅施策の要である低所得者向けの市営住宅の供給について増やす必要があると思いますが、どうか伺います。
坂和建築局長:低所得者の高齢者向け世帯に向けて、民間賃貸住宅を活用し、整備費用や家賃の一部を補助する高齢者向け優良賃貸住宅を供給するとともに、国の補助を活用したサービス付き高齢者向け住宅の登録事業にも引き続き取り組んでまいります。 また、市営住宅の今後の役割と供給につきましては、高齢者向け住宅等のあり方とともに、現在、住宅政策審議会においてご審議いただいております。
古谷議員:ぜひ、市営住宅、ぜひ増やしていただきたいと思っています。
低所得の高齢者の住まいのあり方について、我が党として常々主張している特別養護老人ホームの増設について、対象の高齢者が増え、待機者もたくさんいるにもかかわらず、建設戸数のペースは増やしていません。結果、行き場を失った方が藁にもすがる思いで行った先が無届けの有料老人ホームだったという事態にもなっていると聞いています。
そこで、今の本市の無届け有料老人ホームが22施設200人以上の方がいらっしゃると聞いていますが、その実態について、健康福祉局・建築局・消防局それぞれから、査察の実態や法令順守のためにどう指導しているのか、伺います。
鯉渕健康福祉局長:老人福祉法に基づく届け出を行わずに運営しております未届け有料老人ホームは、27年6月末時点で22施設となっております。この中で最も早く把握した施設は23年11月のものとなっております。これらの施設には立ち入り調査などにより状況を把握するとともに、法に基づく届け出を求めております。なお、届け出に際しましては十分協議を行い、介護などの入居者への処遇、ナースコールや手すりなどの設置、運営等について指導しております。 9月28日時点では2施設が届け出を行い、6施設と届け出に向け協議を開始しております。残りの施設についても、立ち入り調査などを行いつつ、引き続き届け出を提出するよう、粘り強く働きかけてまいります。
坂和建築局長:建築基準法に基づく防火避難に関する規定への適合状況について、6施設の調査を実施し、3施設に違反事項を確認いたしました。その内容は、廊下等の避難経路を照らす非常用照明が未設置であるものが2件、廊下等の避難経路の確保が不十分であるものが3件で、すでに是正指導を行っています。
また、残りの施設につきましては、所有者等とのこれまでの調整を踏まえ、来月11月までに立入検査を実施する予定となっております。
久保田消防局長:22施設のうち15施設についてはすでに消防の立入検査を実施しました。そのうち9施設に不備がありました。9施設のうち、4施設は是正され、2施設は市外への移転を予定しており、残りの3施設は消防計画の未作成、消防用設備等の点検未実施などの違反事項があり、早期の是正を進めます。
また、立入検査を行っていない施設につきましては、早期に実施するとともに、今後もこれらの施設に対して適切な指導を進めてまいります。
古谷議員:最後の消防局の説明が一番分かりやすかったかなと思うんですが、先ほど報告された建築局の方は、適合は22施設のうち1か所と。健康福祉局の方は22施設のうち2か所しかありません。ですから、そういう意味では監査体制が非常に厳しい中でやられているんだろうなというふうに想像します。
市長、先日の川崎市の事件でもあるように、また先ほどの未届け施設の問題でもあるように、高齢施設への監査体制、非常に現状では足りないというふうに認識しますが、見直すべきではないでしょうか。
林市長:古谷先生、ご指摘のとおりだと思います。施設に入居される高齢者の方々の安心安全の確保について、十分に配慮しなくてはならないと考えています。他都市での事故や不祥事などを教訓といたしまして、施設運営等の指導、監査体制の見直しを行います。情報共有化など関係部局間の連携をいっそう進めて、高齢者施設への指導の強化を図ってまいります。
マイナス面の数値的言及がない(カジノと一体の)IR報告書は政策判断を誤らせる
古谷議員:次に、本市のIRという名のカジノの誘致の問題について、伺います。
史上最長に延長された先の国会でも、カジノ議案は1回も議論されることなく終わりました。そんな中で、本市は昨年も1,000万円、今年も1,000万円の予算を計上して、カジノ誘致に向けての調査を行っています。そこで、昨年本市が依頼して「IR等新たな戦略都市づくり・検討調査報告書」について、順次伺っていきます。
私たちは、この報告書を専門家に依頼して分析をしてまいりましたが、一言で言って、結論の出し方が恣意的で、数字の当てはめ方も非常に乱暴だと感じています。
まず、カジノ導入についての影響評価ですが、プラスの影響だけではなく、マイナスの影響も含めて論じなければ、正確な影響評価はできないと思います。たとえば、アメリカのニューハンプシャー州のカジノ導入の際の報告書では、ギャンブル依存症対策の公的負担やギャンブル依存症者の増大による社会的コストの推計を行った上で、自治体にとって財政的にプラスなのかマイナスなのか、総合的な評価をしています。今回の報告書には一切そういったマイナス効果についての数字的言及がありません。
市長、これはカジノ誘致による経済効果を願う立場の方から見ても、政策判断を誤るような内容的に非常に不十分な報告書だと思いますが、見解、伺います。
林市長:昨年度実施した委託検討調査でございますが、IRの基礎的な内容を把握するために実施いたしました。具体的には、IRの概要や諸外国における導入の効果のほか、カジノにより懸念される事柄とその対策などを整理したほか、産業連関分析により一般的な経済効果の算出などを取りまとめたということでございます。
古谷議員:プラスの効果は無理やり数字を出しているんです。マイナス効果は、述べただけで、数字的には言及していません。これは間違いありません。
たとえば、横浜のIRカジノへの訪問客数567万人来ると推定されています。前提となっている博報堂の調査、これは「全国20の都市にカジノができるという前提で、あなたはカジノに行きたいと思いますか」という質問です。これを、横浜の報告書では、東日本でIRに行きたい人ということは、全て横浜に行きたい人というふうに読み替えさせています。こんな、あまりにもひどい推計だというふうに思っています。
市長は、このIR誘致に向けてこの間積極的な発言をされています。9月5日付けの神奈川新聞では、「すごく有力な手段で、これからの横浜の経済成長には非常に重要なこと」だと、横浜の商工会議所の佐々木会頭との懇談でお話ししていると出ています。なぜそこまで前のめりで、市長はIRを導入すれば経済効果があがると信じておられるのか、その根拠は何か、伺います。
林市長:IRは、今年6月国が成長戦略として閣議決定した日本再興戦略においても、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待されるとして位置づけられております。
私が前のめりっていう言い方、今、先生おっしゃったんですが、別の機会にも話をしておりますが、東京都の隣におりまして、法人税が1兆3,000億でしたか、それ近く入る東京都と、372万人もいながら法人税が640億程度というこの横浜市。なんとあっても、私も先生と同じで、福祉とか医療とか子育て支援、そういうことが本当に大事だと思いますが、いかんせん税収がなければやりきれないところでございます。ですから、そういう意味で、これだけの上場企業の格差がある950に対して53しか上場企業がないっていうことで、税収で非常に苦しんでおりますから、そういう意味で有力な手段のひとつだというふうに考えております。
ただ、懸念される事柄というのは、すごっくあるわけですよね。そういうことについても、国もすごく検討しておりますし、調査していくことは大事なことでございますので、引き続きマイナスの影響も含めて、検討してまいります。
古谷議員:今回の本市の報告書の中で、犯罪の増大なんかについても触れてあります。しかし、これについては、カジノが犯罪を増加させるための十分なデータはないというような記述になっています。しかし、私たちは、報告書の検討を依頼した静岡大学の鳥畑教授によれば、これは意図的な歪曲であるというふうに指摘をしています。米国の報告書の原文のその部分を読めば、カジノがギャンブル依存症を増大させること、ギャンブル依存症の犯罪発生率が高いことを示しながら、しかしながらカジノと犯罪率の増大を定量的に結論付けるだけのデータが不足しているということで、今後の研究が必要であると結論を留保したにすぎません。カジノが犯罪を増大させないと結論づけたものではありません。さらに、その後に報告されているニューハンプシャー州報告書では、その後の研究成果を踏まえてカジノが犯罪を増大させることについては研究者の見解が一致していると、逆にこちらでは結論付けています。そして、議論はなぜカジノが犯罪を増大させるのかに移っています。
横浜市ならびに首都圏という人口密集地でカジノをつくることの弊害がこれから顕在化するのであり、大量のギャンブル依存症者やギャンブル被害者が生まれることになります。それに伴う自治体の費用増大や社会的コストの増大が、報告書に示されている60億円という税収増に見合うものになるのか疑問ですが、見解を伺います。
林市長:カジノに対してはさまざまなご意見があると思います。そして、先ほども申し上げました最初の委託の検討調査というのはIRの基礎的な内容を把握するために実施したものでございますから,これが全部ベースになって、私どもが絶対IRへの導入の中のカジノがいいというふうに申し上げるものではございませんので、これから十分に調査検討を進めていかなくてはなりませんし、また国の方も法案が通っておりませんので、これも国の動向を見ていかなくてはならないというふうに私は思います。
もちろん先生ご懸念の犯罪の問題とか、いろいろな各国に事例もあるでしょうし、また逆にいい例もあると。先ほども何度も申し上げておりますけど、税収が厳しい、なかなか都市に一極集中していく隣で厳しい思いをしている中での有力なひとつの手段ではないかと、私、今現在考えているところでございますので、市民のみなさまにも先生のご懸念にもきちっとご説明ができるようにしてまいりたいと思います。まだ、そこまで行っている段階ではございませんけれども、そういうのを覚悟して、今厳重に調査もし、ご理解、納得していただいて、たとえばやるとすればできることであるかというふうに考えております。
古谷議員:団として、この8月に韓国を訪れて、カジノとギャンブル依存症の関係について調査を行ってまいりました。韓国では、韓国人が入れるカンウォンランドを訪れる方は年間約300万人。その0.3%が依存症のリスクが高いといわれています。そのため、カンウォンランドカジノの真向かいには依存症対策センターが設置されており、入場制限を行うとともに、一定日数以上の入場者にはカウンセリングが義務付けられています。さらに、首都ソウルには、ギャンブル問題管理センターがあり、カジノだけではなく、公営ギャンブルである競輪・競馬を始め、違法のインターネットギャンブルなどの依存症などについて、予防、治療などを、今も行っています。
ひるがえって見れば、今の現状の横浜市でも、さまざまな公営ギャンブルの場外売り場があり、諸外国では完全にギャンブルであるパチンコ・パチスロはあちこちにある状況。昨年度で言えば、パチンコ屋内などでの刑法犯罪は警察庁の報告では2万人を超えています。そんな状況ですから、今でも依存症の対策、この横浜でも必要だと思いますが、市長の見解、伺います。
林市長:現状では各区役所では心の健康相談センターにおいて、アルコールなどの依存症全般に係る相談の中で、いろいろそういうギャンブル依存症対策等々やっているわけでございます。具体的には相談の内容に応じて、専門の医療機関の受診や回復に向けた施設利用を促すなどの取り組みを行っております。ギャンブル依存症を含めた依存症への対策は、市民のみなさまの心の健康の保持・増進の観点から必要だと考えておりまして、今後とも専門の医療機関などの関係機関と連携をしながら、本人や家族への支援や職員の人材育成について引き続き取り組んでまいります。
古谷議員:いろいろ言われたんですが、実際はほとんどやられてません。
あらためて、あらゆる点から見て、IR誘致はぜひやめるべきであるというふうに思いますし、いますぐにもギャンブル依存症の対策、これ横浜にも必要だというふうに主張しておきます。
子宮頸がん予防ワクチン接種の副作用患者にさらに積極的支援を
古谷議員:最後に、子宮頸がんワクチンの副反応の問題について。
子宮頸がんワクチンの予防接種が事実上ストップしてから2年以上経っています。本市は、他都市に先駆けて、因果関係は明確でない中、医療費援助などに取り組まれたことは、本当に評価したいというふうに思っています。その一方で、苦しまれている患者さんやそのご家族の方が、認定もされずに、またあちこちの医療機関を放浪しているということもよく伺います。今回、県で医療支援を行うことになったわけですから、本市では窓口機能は引き続き持つというだけではなく、さらに積極的に支援策を打ち出せば、さらに今もなお苦しんでいる患者さんやそのご家族の方の願いに寄り添うことになるというふうに思いますが、市長の見解、伺います。
林市長:子宮頸がん予防ワクチン接種後に症状を訴える方への救済につきましては、お話の通り、先日国の審議会が開催されて健康被害救済のための速やかな審査の再開、学校生活を含めた生活面での支援の強化、原因究明に向けた調査・研究の推進など、今後の方針として示されたわけです。
横浜市といたしましては、これまで築いてきた患者やご家族の方との信頼に基づいて、引き続き相談を通じて、健康状態の把握に努め、医療面のみならず生活面の支援についても検討してまいります。
古谷議員:名古屋市では、市内に住む7万人を対象にして、副反応の影響調査を実施すると発表して、これ全国でも最大規模の調査です。脱力感や歩行困難などの代表的な症例の有無や、接種していない人との差を調べるということです。名古屋市長は、「名古屋だけではなく、日本全体のワクチン行政にとってプラスになる」と話しています。調査対象を大規模にすればするほど、疫学的にも有効な調査になります。本当に、患者さんを励ますことなる上に、有効な啓発にもつながります。日本一の人口をかかえる政令都市の横浜が実施に踏み切る意味は大きいと思いますが、市長の見解、伺います。
林市長:国は専門家を中心とした研究班を設置して、ワクチンと接種後に生じた症状との因果関係を研究するため、全国規模で調査を行う方針を示しております。国が調査を行うにあたっては疫学的にも有効な調査となり、接種後の症状で苦しむ市民のみなさまの救済につながるよう、横浜市も全面的に協力してまいります。横浜市は基礎自治体として引き続き患者や保護者からの多様な相談を通じて、接種後の症状やその後の体調の変化、通学状況等の経過を確認し、きめ細かく健康状態の把握に努めてまいります。
古谷議員:今もなお、子宮頸がんワクチンの副反応で苦しんでいられる患者さんというのにぜひ思いを馳せて、対策をぜひリーディング都市として進めるように要望して、質問を終了します。