妻などの家族労働を認めない所得税法56条は人権侵害
横浜市議会では25日、議案に対する討論と採決が行われました。日本共産党からは白井まさ子議員が代表して討論を行いました。
青少年交流センター(西区)は、青少年の憩いの場、サークル活動の場などとして、年間延べ約15万人の市民に利用されています。 今回、耐震性がないことを理由に同センターを廃止し、7~10階に競馬・競輪・オートレースの場外券売り場がある民間ビルの「ぴおシティー」(桜木町駅前)の6階フロア―を借り上げて機能を大幅に縮小した上で、代替スペースを確保する予定です。
白井議員は、建て替えには約10億円かかると聞いているが、「費用抑制ありきで施設そのものを廃止することは、あまりにも乱暴」だと批判。さらに、場外馬券売り場などのあるビルの中に、あえて青少年の活動場所を設けようとする市長の神経は理解できないとのべました。
その上で、「新市庁舎建設など大型開発優先を改めれば、青少年交流センター建て替え建設費の捻出は容易」だとして、現在の場所に建て替えることを求めました。
所得税法56条は、個人事業主が家族経営で事業を行っている場合、事業主が妻など家族や親族に働き分相当の金額を支払っても必要経費と認められず、すべて事業主の所得に合算されるというものです。事業主の所得から控除される働き分は配偶者が68万円、それ以外の家族は50万円で、実際の労働単価に対し極めて低額に抑えられています。これらに対して、国連の女性差別撤廃委員会からは、「労働の対価が税法で事業主の所得とされるのは人権侵害ではないか」と取り上げられ、異議が出ています。
白井議員は、所得税法56条は「まさに憲法が保障する人権の侵害」であると指摘。「国で、男女共同参画の観点から政策として前進し、市長策定の横浜市中期計画で『日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市の実現』を掲げているときに、また、全国の地方議会が人権問題ととらえて意見書を上げているときに、横浜市議会が不採択では、あまりにも不見識」と、採択を求めました。
採択の結果、市長提案議案48件と教育水準を下げない取り組みを求める請願2件、ヘイトスピーチの根絶対策を求める意見書提出の議員提案議案1件が賛成多数で可決、安保関連法案の廃止を求める意見書提出を求めるなどの請願5件が賛成少数で否決されました。
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