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2026年2月12日

NEW!大和市立引地台中学校分教室を視察して~不登校特例校の訪問を通じて見えてきたこと

2025年11月7日、大和市立引地台中学校分教室を訪問し、視察内容を報告します。

大和市からは、大和市青少年相談室・室長 服部 剛さんから報告を受けました。

1.不登校特例校の主な概要

 大和市の不登校特例校の引地台中学校分教室は、2022年4月に開校し、市内在住の中1~中3の生徒を対象に、定員30名(各学年10名)転入学を通じて通級・他校からの受け入れを行っている。

 制服・校則を設けず、生徒目身が「つくる・決める・決めつけない学校」をコンセプトに掲げ、「学校らしくない学校」つくりに挑戦している。登校時間も通常の学校とは異なり、午前3単位、午後1~2単位を基本とし、教育課程を980時間に設定。授業参加は本人の判断に任せるなど、柔軟な運営が特徴。生徒発案で、棚を製作する活動も展開され、体験的・実践的な学びが教科横断的に行われている。

2.設置目的

 不登校特例校として、「苦しいときに、苦しいと言えること」を重視し、設置目的として、下記の4点を挙げている。

  • 長期化・固定化する不登校児童生徒支援
  • 一人ひとりの児童生徒の社会的自立を目指す
  • より多様な学び場としての選択肢の一つ
  • 登校支援センター的機能

3.設置に至るまでの経過

・2020年に市長からのトップダウンの計画に基づき、分教室の設置に取り組む。

2021年1月~2月に至って、文科省との打ち合わせを行い、県教育委員会との相談をもとに準備を始める。

・2021年5月、市長、副市長への概要説明を行う。

2021年7月、コンセプト等の方向性を確立するために、90日以上の子どもたちと保護者を対象にアンケートを実施した。(アンケート回収は、約20%の約80名)

・2021年8月、校長会及び文科省に実施計画書を提出。

2021年10月、教育委員への報告

・2021年11月、記者発表

・2022年1月、近隣学校・地域への説明、入学希望説明会の実施。

・2022年3月、文科省認可

・2022年4月、開校

4.運営にかかる人員体制

 常駐教員として、総括教諭1名、教諭3名、計4名。兼務する職員として、校長、教頭、養護教諭、事務職員、不足の教科指導の教諭。他には、SC、SSW各1名(半日・週2日程度)

 常駐の教員保有免許は、数学、社会、国語とし、他に、1年間の許可免許として、家庭、技術、美術、理科を認め、一人2教科を担当する。

5.生徒の変化

【1年目】高い出席率となり、意欲的な活動とそのエネルギーの回復を実感。特に、インクルーシブコミュニテイー(多様性の尊重、相互尊重と共生、全員参加型社会、合理的配慮の理念)を重視し、「初めての友達」の関係を築く。

【2年目】各人の(登校・学習)ペースの確立を目指し、自分で選択することを重視。

 生徒の出席は取っていない。面談で「イジメられていた」ことなど、生徒自身から意思表示をするようになる。

【3年目】自分から意味のある活動を選び、「学ぶ楽しさ」と、学校外への発信を通じての「人と関わる楽しさ」。

【4年目】強要はせずに、将来へと向き合うようになり、しっかりと不安を抱えるようになる。

6.教員の変化

 <服部氏の分析(口頭)>

生徒の自由と個性を尊重することが最も重要であり、学校教育そのものが問われている。教員と学校が変われば、7割の子どもたちが変わる。通常の中学校での校則では、生徒は疲れ、無気力となる。子どもたちは、学校外に居場所が欲しいと言っている。イジメの対応について、イジメを受けた子のケアはあるが、イジメを行った子の支援がない実態がある」など。

報告では、生徒の変化・成長とともに、教員の変化が伺える。基本的な方向性として、次の3点を挙げている。

  • 「つくる・きめる・決めつけない、学校らしくない学校つくり」
  • 大人の都合や用意されたものでは子どもは動かない。「学び」は「あちらこちらに転がっている」。校則ゼロで、子どもを主体とする。
  • 生徒の経験・体験(校外学習)の重要性

 これらを通じて、現在、実践的に検討している視点は、①生徒と一人の人間として(ゆっくり・じっくり)向き合う、②生徒との距離感を重視し、良い加減に放っておく、③職員や保護者の大人が楽しむことなど。

これらのとりくみの中で、生徒と一緒にいるだけでも価値観が変わり、教員が変わっていくことが報告されている。

7.運営して分かった問題点(課題)

 子ども(生徒)の意欲を大切にし、人と関わることを大事にする中で、3つの課題がある。

1)分教室であること

  • 教員(県費)の配置と学習保障について
  • 「本校との共有は基本的な考え方」について
  • (教育内容にかかわって)突発的に使いたい現金について、予算がないため、不便さがある。

 2)登校支援センター的機能の難しさ(学校との溝)

 3)入退室としてのコンセプトと選考基準について

8.他の不登校施策と比べたメリットとデメリット

1)メリット

 ①一人ひとりに寄り添った柔軟な教育活動

 ②(卒業後も含めて)当該生徒・保護者へのフォロー

 ・不登校支援員やカウンセラーを含めて、一人ひとりの生徒に対して、専属の担任をつける必要性がある。

2)デメリット

 ① 開室時の費用対効果

  • 昼食等の保護者負担
  • 定員

8.この視察を通じて見えてきたこと

横浜市においても「学校に行きづらい」「集団生活が難しい」と感じる生徒が安心して学べる場の必要性を再認識しました。生徒一人ひとりのペースや居場所を尊重しながら、社会へつながる力を育む教育を、横浜でも進めていくことが求められていると思います。

 また、生徒の「ありのままを受け止め、自己決定と尊重する」不登校特例校の実践として受け止めることができました。

不登校特例校の取り組みを通じて、学校教育の課題を分析し、改善すべき点を明らかにする研究が必要となっています。


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