2008年10月21日
日本共産党横浜市会議員団 団長 大貫 憲夫
横浜市はこのほど、緑の保全・創造に向けた新たな税制、いわゆる「緑新税」を提案しました。「緑新税」検討案は、横浜みどりアップ計画(新規・拡充施策)を着実に推進し、緑豊かな環境を次世代に継承していくために、個人に対して年間1,100円、法人に対して年間5500円から33万円(現行均等割額の11%相当額)の市民税均等割超過課税を新設して、年間約32億円の財源を確保し、実施期間を2009年度から5年間としています。
横浜市は、緑の環境をつくり育てる条例をはじめとした様々な緑の制度、今年第3回定例会で制定された緑化地域に関する条例などで、緑の保全・創造を推進しようとしています。さらに、みどりアップ計画(新規・拡充施策)では、現行の緑地保全地区の拡大など、有効な施策が含まれています。
問題は、みどりアップ計画等により、今後、樹林地・農地保全の推進や「緑をつくる」施策に市民の協力や協働で取り組もうとするなかで、これら施策の有効性を検証もせずに「新税ありき」では、あまりにも拙速すぎることです。高速道路建設による緑破壊、樹林地・斜面地でのマンション建設等による乱開発、「開発調整条例」逃れの分割開発などを放置したままで、市民に新たな税負担を求めることは、とうてい市民の理解を得られません。また、横浜市税制研究会の最終報告では、開発業者への課税には法律上様々な課題があるとしましたが、これを鵜呑みにして開発業者への課税を検討もせず、市民税均等割超過課税方式としたことも問題です。
まして、原油や穀物をはじめとする諸物価高騰とアメリカ発の金融危機による影響で、市民のくらしや経営が大変になっているいま、新たに税を課すことは、住民の福祉を増進すべき市がやるべきことではありません。
緑の保全・創造のための財源は「新税ありき」ではなく、みなとみらい21関連事業への税金のばらまき、南本牧埋め立てや上大岡駅西口再開発事業への赤字補てんの見直し、高速横浜環状道路建設事業等の不要不急の大型公共事業の凍結・中止等により、確保すべきです。
また、この緑新税の検討案が議会担当常任委員会に17日に初めて提示され、議会で批判が続出しているにもかかわらず、翌18日から「広報よこはま」の配布や市民意見の募集を開始することは、議会軽視そのものであり、こういうやり方も拙速すぎます。さらに、市民意見の実施期間が23日間しかなく、「広報よこはま」の配布枚数がわずか10万枚というのも、市民の意見をないがしろにするものです。横浜市税制研究会の最終報告にもあるように、市民に十分納得のいく説明をしたうえで、十分な期間をかけて、より多くの市民の意見を聞くべきです。