実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
白井議員:私は、日本共産党横浜市議団を代表して、今議会に提出された議案のうち、いくつかの議案について、質問いたします。
市民税の年金からの天引きについての見解、市長答えず
最初に、市第5号議案についてです。この議案は、今国会で成立し、4月30日に公布された地方税法の一部改正に伴う横浜市市税条例の一部改正についてです。これにより、65歳以上で老齢基礎年金が年額18万円以上の場合は、年金に係る市民税が年金からの特別徴収、つまり天引きされることになります。本市では、65歳以上の年金受給者66万人のうち、該当する人は約19万人ときいています。
今年4月から始まった後期高齢者医療制度は、年金からの保険料の天引きや75歳以上を医療内容で差別するなど、制度自体に大きな問題があるとして、北海道、東京など全国で、保険料徴収や一方的な同制度への加入取り消しを求めて集団不服審査請求が出されています。国民の大きな反対の声に押されて政府は制度を見直す検討に入り、国会には野党4党が廃止法案を提出しているところです。
納税者が定められた期限までに税金を自主的に納付するのが、納税の本来の姿です。
また年金は、保険料として自らが納めてきたものを老後に受け取るもので、個人の財産であり、本人の意向を踏まえないで年金から税金を天引きすることに対して、国民から怒りが広がるのは当然だと考えます。政府は、年金からの天引きのメリットについて便宜性や事務の効率化などをあげていますが、市長も同様のお考えでしょうか。市民税の年金からの天引きについての市長の見解をうかがいます。
私たち日本共産党は、年金からの市民税天引きに反対ではありますが、仮に天引きすることになった場合、減免措置を申請し、認められたら直ちに年金からの天引きが停止されるのか、申請が遅れてしまった場合はいままでのように減免の対象になる状況に陥った時点にさかのぼって減免されるのか、うかがいます。
我が党は、減免制度の周知徹底についてこれまでもたびたび指摘し、改善を要求してきました。いま、市民に送付されている市県民税の納付書には、減免措置が受けられる事例が一部具体的に書かれており、昨年よりもわかりやすくなりました。しかし、横浜市が5月に発行した「税の知識 平成20年度版」には減免制度についてごく簡単に書かれているだけで、納付書に書かれている「前年の所得が一定額以下で、1か月以上失職等により所得がない場合」に減免措置が受けられるということすら書かれていません。前年度所得が何割減額の場合にどのくらい減免されるのかという具体的な減免の内容を、納付書送付時にお知らせとして添付し、「税の知識」にも書き加えるなど、減免措置制度についてさらなる周知徹底を図るべきと思いますが、どうかうかがいます。
中田市長:お答え申し上げます。
まず、市第5号議案についてのご質問をいただきました。
住民税の公的年金からの特別徴収に対する認識ということでありますけれども、今回の特別徴収制度でありますけれども、本年4月の地方税法改正ということによって導入をされるものであります。この改正は、納税者の方々が納期の都度自ら金融機関などで納付していただくという、そうした手間を省き、納税の利便性を向上させるとともに、徴収事務の効率化を図るという趣旨で行われたものというふうに承知をいたしております。
減免の適用については、現在21年の10月からの導入に向けて、減免の対応を含めて、特別徴収義務者となる社会保険庁等との手続きなど、具合的な事務の取り扱いについて、検討が進められているところであります。
いずれにしましても、減免申請が認められる場合には、速やかに特別徴収を停止するということになるものと考えております。また、事情によって減免申請が遅れた場合には、従来どおりさかのぼって減免を適応をいたしてまいります。
減免制度の周知徹底についてということですが、減免制度についてはこれまで「広報よこはま」などの広報紙への掲載をしてきたほか、区役所窓口でのご案内、納税の通知書での説明などを通じで周知に努めてまいりました。また、21年10月からの特別徴収制度の導入に向けて、事前に全対象者にお送りする税額通知書に、減免手続きに関する記載を盛り込むなど、引き続きいっそうの周知拡大に努めてまいります。
第2質問
白井議員:第5号議案の質問ですけれども、市民税の年金からの天引きについての市長の見解をうかがいましたけれども、市長は答えていません。再度、市民税の年金からの天引きについての市長の見解はどうなのか、うかがいます。お答えください。
中田市長:お答え申し上げます。これは先ほども答弁をしたとおりでありますけれども、これ国の法改正によってですね、今回私どもも特別徴収を行っていくということになったわけであります。納税者の方々が、その都度金融機関などで納付していただく、そうした手間を省いていく、納税の利便性を向上させていく、そして徴収事務の効率化を図っていく、こうした趣旨を国から説明を受けているわけでありまして、そうした理解をいたしているわけであります。
地域ケアプラザではデイサービスの実施を
白井議員:次に、市第9および20号議案についてです。これは、栄区に野七里地域ケアプラザを設置するためのものです。
小規模特別養護老人ホームの運営を行う事業者が建てる建物の一部を、横浜市が取得し、ケアプラザを設置しようとするものです。従来は、地域ケアプラザには介護が必要な高齢者などが日中、食事や入浴をして過ごすデイサービス機能をつけていましたが、今回設置する野七里地域ケアプラザは、デイサービス機能をつけないタイプの初めての地域ケアプラザとなります。
地域ケアプラザは、1991年に相談調整、地域交流、居宅支援、デイサービスの4つの機能を担う横浜市独自の福祉施設としてスタートしましたが、2006年度から相談調整を担う地域包括支援センターと地域交流を強化し、デイサービスは行わないこととなりました。
そこでうかがいますが、今回新たに設置する野七里をはじめ、地域ごとのデイサービスの利用状況を、横浜市はどのように調査し、どのように認識しているのか、うかがいます。
現在、デイサービスはすべて民間事業者が行っています。2005、2006年度の市内全域の地域ケアプラザでのデイサービスの稼働率は60%台です。それに対して民間を含む市内全域のデイサービスの稼働率は50%台となっており、市民が地域ケアプラザのデイサービスを多く利用していることがわかります。
横浜市は、地域ケアプラザでデイサービスを行わないことになりますが、それにより整備費は約35億円削減になります。地域ケアプラザでデイサービスを行わないのは、まさにコスト削減のためだと言わざるを得ません。
住民の健康と生活を守る責務をもつ自治体の役割として、横浜市が責任をもって市内のデイサービスの需要と供給を調査し、デイサービスの供給に市が責任をもつべきではないかと考えます。自己都合でいつでも撤退できる民間事業者に、デイサービスをすべてまかせるべきではありません。民間に範を示す意味でも、地域ケアプラザのデイサービスは必要です。また、デイサービス施設は厨房施設と入浴施設を有しており、地震などの災害時に大変有益になります。
このことからも、市がデイサービスに責任を持つために、すべての地域ケアプラザでデイサービスを行うべきと考えますが、どうでしょうか、うかがいます。
中田市長:次に、市第9号議案および市第20号議案についてのご質問をいただきました。
地域ごとのデイサービスの現状について、どのように認識しているのかということでありますけれども、地域ケアプラザは概ね中学校区ごとの整備ということにしておりますけれども、今後整備していく地域については、その地域で利用可能なデイサービス事業所の利用状況を調べまして、十分な供給体制が整っているということを確認しながら進めているところでございます。
今後整備する地域ケアプラザにもデイサービスの機能をつけるべきではないかということでありますけれども、民間事業者のデイサービスへの参入が進みまして、供給過剰という状況にあることから、平成18年度に策定をした中期計画のなかでも、今後は地域ケアプラザにデイサービスを整備しない方針といたしております。
慶応に売却予定の土地価格は安すぎる
白井議員:最後に、市第21号議案についてです。これは、市内の学校建設予定地のうち、青葉区あざみ野南三丁目と荏田北一丁目の3か所、合計約5ヘクタールを、学校法人慶応義塾に約54億円で売却するものです。
現地に行ってみましたが、東急田園都市線の江田駅から徒歩10分ほどの整然と区画整理された高台で、近くに公園もあり、交通量もそれほど多くなく、学校用地として、とてもよいところだと感じました。
横浜市が学校建設予定地として所有している土地は市内で26か所、そのうち青葉区には今回の3か所を含めて15か所あります。青葉区は、市内でも人口が急増している地域であり、特に子どもの数が多く、平均年齢が若い地域です。横浜市としても、開発により子どもの数が増えることを予測して、15か所もの学校建設用地を確保したものと思われますが、今後安易にこれらの用地を売却しては困ります。横浜市には、小中学生の人数の変動をしっかり把握し、計画的に小中学校を整備することが求められます。
今回の案件は、市内の学校建設予定地のうち、不要と判断して売却する初めてのケースで、学校用途に限定して公募しました。
売却金額については、財産評価審議会での審議により価格が設定され、さらに用途を学校と限ったことから減額することが必要と判断され、外部の2名の不動産鑑定士の意見を踏まえて32.5%の減額を決定し、約54億円となったとうかがっています。これは、1平方メートルあたり10万8000円です。
この金額の妥当性を判断するにあたり、周辺の不動産2社に土地価格相場を聞いたところ、これら周辺の土地は平方メートルあたり約40万円から48万円ということでした。この価格から32.5%減額してみると、平方メートルあたり約27万円から32万円で、5ヘクタールでは約135億円から162億円となります。これと比較すると、土地整備費などを考慮しても、議案の約54億円という売却金額はあまりにも低すぎます。財産評価審議会では、どのようにこの土地を評価して、この価格を設定したのか、うかがいます。
今回売却予定の土地周辺では、昨年黒須田小学校が新設され、ある程度のマンモス校の解消は行われましたが、現在近隣では、児童生徒の増加により教室が足りなくなり、プレハブ校舎でしのいでいるなど、児童生徒にがまんを強いている小中学校もあります。保護者の皆さんは、これまでこの土地に公立小中学校が設置されることによって、プレハブ校舎を解消できると期待していました。今回、この土地に公立小中学校が設置されないことが確定したことにより、問題のプレハブ校舎の解消が遅れることが心配されます。売却予定の土地は、もともと横浜市の小中学校建設用地として、地元地権者などから提供されたものです。プレハブ校舎をなくしてほしいという地元の人たちの要望を実現する計画はどうなっているのかうかがって、質問を終了します。
中田市長:最後に、市第21号議案についてのご質問をいただきました。
私には、財産評価審議会における答申価格の評価の考え方ということでありますけれども、財産評価審議会では、複数のこれは不動産鑑定評価書、そして過去の審議会における類似の事例というものを参考といたしまして、7名の不動産鑑定士からなる審議会委員の審議によって、答申価格を決定をいたしております。
今回売却をする土地は、敷地面積が非常に大きいということから宅地造成を行うことを想定をした評価を行っているというふうにきいております。
残余の質問につきましては、教育長より答弁を申し上げます。
田村教育長:プレハブ校舎の解消策について、ご質問をいただきました。
今回の土地売却は、学校の新設分離が必要ないと判断したものであり、近隣校のプレハブ校舎については順次増築等を行ってまいりますので、解消が遅れることはありません。また、プレハブ校舎につきましては、各学校ごとの児童生徒数の推移など、さまざまな個別的状況を見極めながら、その解消を進めてまいります。