2026年第二回定例会は、5月15日から開催され、20日の議案関連質問に白井まさ子議員、22日の会派代表一般質問に宇佐美さやか議員、26日の中期計画を集中審議する基本計画特別委員会に古谷やすひこ議員が登壇。最終日の6月5日にみわ智恵美議員・白井まさ子議員が討論に立ちました。採決の結果、市長提出議案21件、請願5件、議員提出議案4件、人事議案3件はいずれも賛成多数で可決されました。日本共産党は「中期計画」や市営バスの値上げ、水道料金の値上げにつながる審議会の設置、公園が民間事業者の利益最優先となる「パークPFI」事業など11議案に反対しました。
◆「中期計画」への反対理由と各分野への提言について
今回の山中竹春市長がまとめた市中期計画2026~2029については、「人権の尊重」や、子どもの医療費18歳まで無料化、敬老パスの維持・拡充、「お出かけシャトル」の運行など地域交通の充実、地震防災戦略の見直しなどは市民の要望に応えたものとして高く評価。一方で、市長のパワハラ疑惑に対する第三者調査が続く中での採決は早計であると指摘しました。また計画の以下の方向性については賛同することはできません。見直しと抜本的な拡充を求めました。
1. デリバリー方式に固執する中学校給食
みんなが食べられる給食(全員喫食)の実現は、「愛情弁当論」が幅を利かせている時代から半世紀近く実施を求めてきた党として歓迎します。しかし、現行のデリバリー方式(給食製造工場での調理し弁当に詰めて運ぶ。汁ものは食缶)には、避けられない異物混入や配送トラブルの問題、おかずの冷たさ、残食検査の不十分さなどの課題があります。実施前からこれらの問題を指摘してきましたが、実際に4月から始まった中学校給食は、16日間で、70件(約半数は学校由来と発表)ともいわれる異物混入事案が発生。配送のトラブルもありました。これまで指摘してきた問題が顕在化しています。教育としての学校給食の目標を十分に達成するためには、小学校と同様に子どもたちの声を日々把握できる学校調理方式への見直しを進めることが必要だと主張しました。
2. まちづくりの方向性と公の役割
タワービルやタワーマンションなど民間利益を最優先する事業への公金投入や、パークPFI、上下水道の民営化につながるウォーターPPPなど、「公の役割を減じる方向」のまちづくりを批判。上瀬谷再開発のような局所的開発ではなく、緑地(樹幹被覆率)の拡大やベンチ・トイレの整備など、街全体を心地よくする施策を求めました。
3. 社会保障・福祉・教育
国民健康保険料・介護保険料・実質賃金が上がらない中で国保料が引き上がっており、生活を圧迫しているとして、高すぎる保険料の引き下げを急務と訴えました。
また、外国人住民が増加する中、誰もが安心して暮らせる環境づくりを評価しつつも、「民族による子どもへの差別」をなくすため、朝鮮学校への支援再開を強く求めました。
不登校・保育対策についても、1万人を超える不登校児童生徒に対し、学校のあり方そのものを見直すべきだと指摘。また、40年間変わっていない保育士の配置基準の拡充や処遇改善が必要不可欠であると訴えました。
4. 公共交通・環境・産業
市営バスの減便が続く現状を問題視し、中小・小規模事業者への経営支援や気候危機に対応した再エネの促進を要望。みどり税を徴収しながら宅地開発の規制が緩く緑が減り続けている現状の転換を求めました。
【その他条例改正案(公園・水道・バスなど)への反対理由】
市第7号議案(公園条例の一部改正): 舞岡八幡山しぜん公園のスケートボード場について、受益者負担を理由に「子どもからも料金を徴収すること」に強く反対し、無料のスケボー場を市内に増やすべきだと主張しました。
水第1号議案(水道・工業用水事業条例の一部改正): 水道料金値上げの結論を引き出すために審議会を設置し、局が市民からの批判を回避するための「盾」にしているとして、審議会の設置に反対しました。
交第1号議案(乗合自動車料条例の一部改正): 物価高が続く中での市営バス運賃の値上げに反対。公営交通は市民の移動を支える公共サービスとしての維持を優先すべきだと指摘しました。
市第14号議案(特定公園施設の取得): 大通り公園リニューアルに関し、パークPFI手法によって市民の憩いの場である公園が「民間企業の利益を生み出す場」とされることに反対しました。
最終日の討論では最後に、横浜市政が市民のために働く自治体として「公の役割」を大いに発揮することを強く願い、討論を締めくくりました。
【会派代表一般質問 市政の重大問題を追及】
5月22日、会派代表一般質問に宇佐美さやか議員が登壇。物価高騰に直面する市内事業者への支援や、中学校給食の見直し、自衛官募集への個人情報提供の中止、横浜ノース・ドックなど市内米軍施設の早期全面返還、議員による国保逃れ問題について質問しました。
1.市内中小企業・小規模事業者への支援
中東情勢に伴いナフサ不足と物価高騰が市内の小規模事業者を直撃しているとして、「医療現場では歯科医が患者用エプロンを半分に切って使う」「手袋の在庫を常に気にする事態に陥っている」、建設業者からは「合板用ののりが入らず仕事にならない」、水道業者からは「塩ビ管が手に入らない」、塗装業者からは「材料不足で47日間も休業状態」と、党議員団や宇佐美議員に寄せられている切実な実態を告発しました。
その上で、相談窓口で待っているだけでは実態はつかめないとして、市が直接実態調査を行い、その結果を持って国へ補正予算を要望すること、融資ではなく家賃や人件費などの固定費を賄うための市独自の補助金を支給することなどを求めました。
山中市長は市内企業の声を把握し、ニーズに応じて本市が取り得る支援策を柔軟かつ迅速に実施していくと答弁しました。また、市としての補助の実施については、経営相談や専門家の派遣により事業者の抱える課題を明らかにしながら、「稼ぐ力を強化していく」などと答え直接支援には背を向けました。
2.中学校給食(デリバリー方式)の異物混入と残食問題
今年4月から導入されたデリバリー給食において異物混入や残食が大きな課題になっています。宇佐美議員は、わずか40食程度の残食調査では生徒の正確な栄養摂取状況を把握できないとし、1人1台端末を活用した全校生徒へのアンケート実施や、市民が望む「学校調理方式(自校方式)」への転換を強く求めました。
下田教育長は、アンケート実施や実態把握の必要性について、生徒の声を聞きながら対応する旨の答弁に留まりました。
3.自衛隊への個人情報(名簿タックシール)提供の問題
若者の個人情報を自衛隊へ本人の同意もなく提供することは、違憲訴訟も続いている人権にかかわる問題であり、提供を即時中止すべきだと主張。
山中市長は、名簿提供については、法令に基づき適切に事務を進めていく。なお、情報提供を望まない方から除外希望の申し出があった場合には提供をしていない。
4.市議の「国保逃れ」問題
国保料を毎年、引き上げることに関わってきた本市の議員(自民党議員で報道後に離団し離党)が、4年に渡り一般社団法人の代表理事に就くことで社会保険に加入し、国民健康保険料の支払いを回避していた、いわるゆる『国保逃れ』が報道されました。国民健康保険の保険者たる横浜市として、国保逃れに関する認識をただしました。
山中市長は、健康保険制度における社会保険適用の判断は国の所管事項であり、適正に運用されるべきものであると考えていると述べました。
【基本計画特別委員会】
5月26日に開催された中期計画を集中審議する基本計画特別委員会に古谷やすひこ議員が登壇。国民健康保険料の値上げ、GREEN×EXPO 2027、教員の休憩時間未取得問題、山中市長のパワハラ疑惑について市長の姿勢をただしました。
1.高すぎる国民健康保険料の値上げについて
実質賃金が上がらない中で本市の国保料は上がり続けており、現役世代の生活を圧迫しておよそ手取りの6分の1が消える深刻な事態になっていると告発。市民生活を追い詰めている自覚があるのかと市長の認識を問いました。山中市長は、国民健康保険制度は、加入者の皆様で支え合う仕組みとなっていると制度の意義を述べるに留まりました。
2.GREEN×EXPO 2027(国際園芸博覧会)への懸念
中東情勢の緊迫化による物価高騰がある中で、これ以上の整備費の再々引き上げはないと言明されているが、経済効果やまちづくりのビジョンが曖昧であると指摘しました。 山中市長は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に代表される新しい成長産業をつくり、上瀬谷を起点とした郊外部の新たなまちづくりを行う。環境と経済の両面から持続可能なグリーン社会の実現につながる万博となるよう取り組むと述べました。
3.教員の昼休み休憩未取得問題
ある学校で、教員が実質的に昼休みの休憩時間を全く取れていない実態を個人の記録に基づき告発。形式的に休憩時間を設定していても実質的に取れておらず、かつ振替休憩の記録や把握をする仕組みもないのは「構造的な問題だ」として、徹底調査と記録の義務付けを提案しました。下田教育長と松浦副市長は、組織の中で休憩を取ることは(使用者の)義務である。改善する必要があると答弁し実質的に取れていない構造的な課題があることを認めました。
4.山中市長のパワハラ疑惑と人権認識について
1月に可決された市長のパワハラ疑惑について「真相究明決議」に基づく第三者調査が続いていることを念頭に「パワハラは人権侵害だと思うがどうか」と市長の認識を正面からただしました。山中市長は、「個人の尊厳や人格を傷つけるもので労働環境や生活環境を悪化させる行為であると考えている」と答弁。一方で「当事者の関係性が個別にあるものと認識している」と述べました。
【「皇位継承に関する意見書案」への反対討論】
6月5日の最終日、総務常任委員会から「皇室の伝統を踏まえた安定的な皇位継承の確保に向けた国会論議の促進を求める意見書」が出されました。白井議員が反対討論を行いました。白井議員は、この意見書が「男系男子による継承」を前提とした国会審議を後押しするものである点を問題視し、男女平等の原則や憲法尊重の立場から「女性天皇・女系天皇という重要な選択肢を事実上排除したまま結論を急ぐべきではない。広く議論に含めるべきだ」と訴えました。
【トピックス】
ハラスメント防止や政務活動費の透明性高める議会改革を横浜市会議長に申し入れ
6月15日、渡邊忠則議長に対し、議会運営と市政の重要課題に関する申し入れを行いました。
申し入れでは、全議員の決議により実施された市長のハラスメント問題に関する第三者調査を巡り、報告質疑の場として全議員が協議できる「全員協議会」の設置を要求。調査を行った弁護士や市長に対し、十分な審議時間を確保して質疑を行うよう求めたほか、議員自身の姿勢を示すため「横浜市会議員ハラスメント防止条例(仮称)」の迅速な策定も盛り込みました。
さらに、全国屈指の高水準とされる政務活動費について、チラシなどの成果物や領収書明細を市会ホームページ上で全面公開するよう提案。
また、議員の「国保逃れ」疑惑を払拭するため、資産等報告書などへ健康保険の加入区分を明記することを義務付けるよう求めており、議長がリーダーシップを発揮して透明性向上と議会改革を主導するよう強く要請しました。
渡邊議長は、「提案はしかるべき場所でしっかり検討する。議員のハラスメントを防止する条例などは、様々な予定を早めてでも進めたいと思っている」と応えました。