日本共産党の大和田あきおです。党を代表し、以下の議案に反対の立場から討論を行います。
横浜市教育振興基本計画には同意できない
まず、市第108号議案「第5期横浜市教育振興基本計画の策定」についてです。
この計画は、横浜の教育が目指すべき姿を描いた「横浜教育ビジョン2030」のアクションプランとして、2026年度から2029年度までの期間、どんなことを大事にするのか、目標や方向性、主な取組や指針を定めるものです
私達が賛同できない点のひとつは、1万人を超えしまった不登校の児童生徒の向き合い方です。
NPO法人 多様な学びプロジェクトが行った「不登校の子どもの育ちと学びを支える当事者実態ニーズ全国調査」では、子どもたちが「学校に行きづらいと思い始めたきっかけ」の上位は、いずれも学校に関係する要因でした。少なくない子どもが「学校が嫌い」と答え、約4割の子どもと7割の保護者が「学校が変わってほしい」と要望しています。
不登校への向き合い方で、最も大事なのは、変わるべきは学校の方で、子どもたちではないという視点です。また、「対処療法」的な取り組みは、すでに限界を迎えています。根本原因を調査し明らかにし、取り除いていくことをやらなければ事態を好転させることはできません。
また賛同できないもう一点は、教員の多忙化を解消するための踏み込んだ手立てが示されていないことです。
文科省「公立学校教職員の人事行政状況調査」 では、精神疾患を理由に病気休職した公立の小中高校、特別支援学校などの教職員数は、過去最多にのぼっており、教職員は深刻な状況にあります。
第5期では、これまで取り組んできた残業80時間超教職員割合ゼロの目標の記述がありません。学校を子どもたちにとって居心地の良い場所にしていくためにも、教職員の多忙化解消は欠かせません。長時間労働と多忙化解消のため、教員1人当たりの授業コマ数を減らすこと、正規教員の定数増と採用枠拡大を行うことが最も必要な施策であると考えます。
茨城県は2月13日までに、教員の産休・育休などで欠員が生じた場合に代替で雇う臨時的任用教員について、9割以上にあたる約1600人を2032年度までに段階的に正規化する方針を決めました。こういった先進的な事例に学んで、横浜に教育現場でも思い切った改革が必要だと考えます。
また、計画では、今期の「組織的解体」をして出直すことが求められた、教職員による性暴力事件、児童生徒のイジメ自死の対応問題、教員が被告になった裁判の傍聴妨害の問題などを根絶することが掲げられていないことは重大だと考えます。
また、パブリックコメントには、「はま弁」について「もっと温かく、美味しい味のものにしてほしい」などと改善を求める意見が300件以上も寄せられているとの指摘が委員会の場で示されました。その声に答えて、小学校のような学校調理方式を軸にした中学校給食を方向転換していくことが必要だと考えます。
「こども誰でも通園制度」は、施設基準などの緩和になり反対
次に、市第109号議案「横浜市特定乳児等通園支援事業の運営の基準に関する条例の指定」及び市第112号議案「横浜市乳児等通園支援事業の設備、運営等の基準に関する条例の一部改正」についてです。
この条例は、いわゆる「こども誰でも通園制度」についてです。本市では、2025年度から既に実施されていますが、今回の議案は、全国で実施となること、法律に基づく新たな給付制度になることから条例の一部改正として議案となりました。
私たちは、この「こども誰でも通園制度」について、子どもの立場に立てば、人員基準や面積基準の緩和であり賛成できません。もちろん、孤立する育児の解消などの積極面を否定するものではありません。しかし現在の仕組みでは保育現場のさらなる悪化を招くものと考えます。以下、党市議団として、危惧している点を3つ述べます。
一つ目は、市町村が設備運営基準を条例化するにあたり、こども家庭庁が定めた設備運営基準に規定された人員配置や施設・面積の基準について、専門家から「そもそも国が定めた基準では不十分」との指摘がされています。認可施設を活用する「余裕活用型」は、既存の保育体制の中での保育士のやりくりで事業をまわすことで、保育士の増員はしなくても良いとなっていますが、実際に毎日通っている園児と誰通の子どもを同室で保育をすれば、1時間毎に発生する子どもの入れ替わりのために保育士等の手が取られることになります。やはり、保育士の増員は不可欠だと考えます。
さらに、二つ目には、既存の認可施設ではない、「保育室」等で事業を実施する「一般型」では、事業を利用する乳幼児が3人以下なら、従事する職員が1人でも良いとされる特例が設けられています。乳幼児の安全体制を考えるならば、少なくとも、この特例を許さないよう基準条例に明記する必要があり、設備運営基準について本市の判断で国基準に上乗せすべきと考えます。
今1つは、様々な業種から広く事業者を募集することになれば、保育事業に初めて参入する事業者も申請するかもしれません。そうなれば、様々な問題が起きることも懸念されます。そういった問題のある事業者を排除できるような監査体制を強化すべきです。
三つ目は、報酬体系の拡充です。現在の報酬単価は、安定した運営体制を確保するためには低すぎます。時間ごとに入れ替わることを考えると通常の保育と比べて、準備にも相当時間がかかり、負担が重くなることは、明らかです。安定した運営体制を確保するための報酬体系にするよう国に求めるべきと考えます。
事業廃止は、公の介護の役割を後退させるもの
次に、市第114号議案「横浜市老人福祉施設条例の一部改正」についてです。
この議案は、泉区に在る養護老人ホーム・特別養護老人ホームである「新橋ホーム」で実施している通所介護と居宅介護支援事業を廃止するというものです。その引き金となったのは、主任ケアマネージャーを雇えなかった事です。この地域で廃止することは公の介護の役割を後退させるもので認められません。
2021年の4月にコロナ禍で通所介護を閉鎖し、通所介護を利用していた人は、近隣の民間の事業所へ移転しましたが、コロナ5類移行後も、通所介護を閉鎖しています。民間の事業所はコロナ禍でも受け入れを続けていました。
居宅介護支援については、2024年にケアマネージャーや介護職の賃金を上げる介護報酬改定が行われましたが、ケアマネを採用することが難しくなり、事業所全体で確保できず休止しました。ケアマネジャー(介護支援専門員)の処遇改善は、これまで主に介護職員を対象としてきた「処遇改善加算」の枠組みから外れていたため、大きな課題となっています。現在、どの施設でもケアマネージャーの採用が困難です。しかし、民間では、処遇を改善して事業を継続しています。
民間任せではなく、本市が公的な責任を果たすべきであると考えます。
横浜市は、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の施策において、「介護サービスを必要としている人が質の高いサービスを受けられるよう、適正な事務の実施や事業所の評価、指導・監査体制の強化を図ります」としています。
横浜市は、高齢者福祉保健計画に基づき、公的責任として、通所介護と居宅介護支援を継続すべきです。
借り上げ市営住宅減になる。新たな市営住宅の建設を
次に、市第116号議案「横浜市市営住宅条例の一部改正」についてです。
この議案は、神奈川区のこまどり、及びサン・三ツ沢を廃止するという議案です。それぞれ借り上げ型の高齢者向け市営住宅でしたが、期間満了などとなることから、オーナーが代わる、オーナーが売却するなどの理由で廃止するというものです。
2018年に示された『市営住宅の再生に関する基本的な考え方』のなかで「重層的な住宅セーフティーネットを構築する中で、その核となる市営住宅に対するニーズは減少しないと見込まれるため、今後20年程度は、住宅確保が困難な高齢者世帯を中心に対応しながら、現在の戸数を維持します」とされているにもかかわらず、合計33戸分の戸数が減らされることになります。賛同はできません。なお私たちは、市営住宅の新規建設が必要であると考えます。
更新費用の仕組みが不透明で、市民の負担増につながる
次に、市第127号議案「首都高速道路株式会社が高速道路事業の許可事項を変更することについての同意」についてです。
これは、首都高速道路の料金を1割値上げする議案です。新たな負担増です。
首都高速道路株式会社と言えば、2014年に高速道路料金の徴収期間の終了の日を変更する特別措置法を国に制定させて、無料化どころか、料金の値上げと更なる道路建設を繰り返してきました。国から、高速道路を建設して債務を増加させることは認められない中で、横浜環状北線・北西線を無理やり建設し、近隣住民に地盤沈下の被害まで出しました。横浜市は、北線の本線建設事業に出資金として約373億円、岸谷生麦線などの関連街路事業に約524億円を投じて市民に負担をかけてきました。今回、道路の維持管理コストの増加などを理由に、通行料金を1割値上げすると言います。市民や中小事業者にだけ負担が押し付けられるもので、本市として同意するべきではないことを申し上げます。
市営住宅建て替えは、市が直接やるべき
次に、市第130号議案「市営野庭住宅(I街区)建替事業契約の締結」についてです。
議案は、市営住宅の建替えをPFI事業で行おうとするものです。私たちは、建替えについては賛成ですが、横浜市のように技術者もしっかりと存在している中で、民間活力で行うPFIでは賛同できません。
市営住宅の建替えには大勢の住民の2回もの転居が伴うため、市職員の住民への懸命な対応がされています。それでも、転居による体調不良等困難も想定されますが、そこに寄り添えるよう、市がしっかりと責任をもって、直接建替え事業をすすめるべきと考えます。
新交通、新インターチェンジ建設を含む補正予算に反対
最後に、市第137号議案令和7年度一般会計補正予算(第7号)のうち「交通輸送対策事業」についてです。
「交通輸送対策事業」のうち、国際園芸博後に、誘致・整備する予定の巨大テーマパークと物流拠点が最も恩恵を受ける、瀬谷駅から自動運転バスを半分地下道で直通させる「新たな交通」と、東名高速に新たなインターチェンジの整備費を繰越明許費として補正するとしています。
この事業は、日本共産党としては、今年度予算の時に反対しました。この新たな交通と新たなインターチェンジの整備費として総額800億円を上回る事業費が見込まれるもので、インターチェンジも新たな交通も最大の利益を得るのは地区内に誘致する物流事業者と巨大テーマパーク事業者です。この事業は市民の納めた税金を充ててまで進めて良いものではありません。以上で討論を終わります。
