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■討論 10月23日 宇佐美さやか

宇佐美議員:日本共産党を代表し、討論します。

2024年度の予算は、子育て支援や地域交通の充実の方向性を示されたいわゆる「山中カラー」が出た予算でした。評価できる事業も多くあります。保育園の保護者の負担軽減。放課後キッズクラブ・放課後児童クラブでの長期休業期間の昼食提供。子どもの通学路交通安全対策。医療的ケア児・者、重症心身障害児・者等への支援の充実。総合的ながん対策の推進。地域交通の維持・充実などは、市民要望を前進させる方向であり、今後も一層前に進めていただきたいと要望します。

党市議団は、昨年の予算の討論で、歓迎できる方向性はあるが、看過できない問題点もあり、抜本的な見直しや改善を求めました。昨年度、毎回の議会でも問題点を指摘し改善を求めてきました、残念ながら改善が見られないことから、決算市第1号 令和6年度横浜市一般会計歳入歳出決算に反対します。

反対理由の一つが、脱炭素GREEN✖EXPO推進局の半年間で有料入場者数1000万人という過大な入場者目標を引き下げずに突き進む国際園芸博覧会関連です。無理な計画を進めようとしているため輸送計画では、バス車両の確保、バス運転手の確保、4つの駅周辺の安全対策、会場周辺の環境への配慮などの課題が解消されず市民の不安を招いています。これを良しとする訳にはいきません。

さらに、危惧しているのは、大阪・関西万博でパビリオン建設に関わった元受けによる建設費不払いが問題となっているなかで、その元受けが、園芸博では、パビリオン建設のサプライヤーとして選定されているのは、問題だと考えます。大阪万博で起きた不払いの様な問題が本市で起きることが無いよう、協会任せにすることなく、本市でもしっかりと対応していただきたいと要望します。もう一つ危惧しているのは、市長が先日、「大屋根リングを活用したい」と述べていましたが、リングを再現する様な活用は、莫大な輸送費や解体費となることから、やめていただきたいと要望します。

反対理由の二つ目は、2026年度から全員制となる中学校給食の実施方法である「デリバリー方式」についてです。現在の選択式ですら残食率が多い。主食の白米は小学校で8%・中学校では15%、副菜のイモ類は、小学校6%・中学校34%となっています。新聞で、調理中の異物混入は小学校の10倍超と報道されました。こういった状況のままで全員制となるのは不安材料しかありません。さらに、このまま開始された場合、長距離を運ぶため、運搬中の事故により安定的な運搬ができないなどのリスクも高まります。工場から急冷したお弁当を運ぶデリバリー方式ではなく、小学校のような自校調理方式や近隣の学校の調理室を活用する親子方式などを軸にした計画に見直すべきです。物理的にどうしても自校方式や親子方式で実施できない学校には、給食法で定められた「2時間以内に配送する」と指針を守った体制で実施することを求めます。

さらに、給食の無償化まで進んでいる自治体も多くなってきました。本市は、大分周回遅れでスタートするのですから、最新で最善のものを子どもたちに食べさせてあげたいと思います。

他にも、各局の決算で認めることができない事業を述べます。

都市整備局及び市第11号 横浜市市街地開発事業費会計決算では、今年度明らかになった300億円という公金が投入される関内駅前再開発のタワービル建設や東高島地区のタワーマンション建設など大型開発偏重のまちづくりが進められています。公共性が薄いこと、さらにこの再開発補助金は、できる規定で、必ず出さなければならないものではありません。そもそも資金力のある企業が自らの利益の増大のために建設するのですから、なおこと市民の税金を使う必要はないと考えます。

多くの市民が求めているのは、身近なところにある市民利用施設の改修や増設、生活道路の安全性確保、年を重ねても障害を持っていても安心して歩けるまちや、緑と環境を大切にしたまちづくりです。このような市民の要望に沿ったまちづくりに方向転換をすることを強く要望いたします。

にぎわいスポーツ文化局では、障害者団体の反対の声を無視し、国際プールのメインプールを廃止する方針を出しました。これも認めることはできません。

国際プールのメインプールは優れたバリアフリー構造があり、障害者の水泳の「聖地」と呼ばれていたところです。なぜこういう場を守ってあげられないのでしょうか。

横浜市スポーツ推進計画の3つの目標は『スポーツを通じた健康増進』 『スポーツを通じた共生社会の実現』 『スポーツによる賑わいづくり』です。このどれにも当てはまるのが、障害者スポーツです。あらためて、計画の再考を求めます。

経済局では、企業立地促進条例の決算は認められません。この事業が、大企業へ多額の助成金等を出し続けている大元です。

日産自動車は、企業立地促進条例の助成金を受取り、本社を置きました。本市は、横浜駅に直結するデッキまで造り、優遇してきたにもかかわらず、この間、様々な要因で業績悪化となり、その度に大規模なリストラを繰り返しています。懸命に働いて居る方々を大切にしない一方で、役員報酬は、社長・副社長クラスで億単位と公表されています。使い道のない内部留保は、3.4兆円です。本市は、今後まだ24億円もの助成金を日産に拠出しようとしていますが、市民の税金で、こんな身勝手を繰り返す企業を補助するのは、やめるべきです。

さらに、市内で宿泊する観光客が少ないと、ホテルを誘致し「市内雇用が増えている」と、効果の一面を誇っていますが、ホテル業界は、正社員はほんの一握りで、ほとんどが派遣やアルバイトです。非正規雇用ばかりを生み出す産業です。さらにホテルを誘致しても宿泊者数が増えていません。市内経済に貢献しているとは思えないことから助成金を出す必要はないと考えます。

本市は、市内経済を地域で支える小規模事業者の声をもっと近くで聞いていただきたい。社会保険料の負担が重すぎます。さらに、インボイス制度により借金して消費税を払う所まで追い詰められ、疲弊し、従業員の賃上げをしたくても、できずにいる小規模事業者こそ、しっかり支えていただきたいと要望します。

教育委員会は、問題が山積しています。教員未配置問題は、アシスタントを増やすのではなく、教員そのものの採用を増やすことでしか解決しません。いじめ問題では、そもそも、子どもの声と保護者の声を聞くことなく長年放置したのは問題です。教員が起こした事案についての裁判の傍聴権を侵害する事件も起こり、教育委員会の隠蔽の姿が露わになりました。子どもたちの手本とならなければいけないはずの教育委員会でのこの対応は、子どもたちにも不信感を招いたと思います。なぜ、間違った対応をしてきたのか。徹底した原因の調査を行うことを要望します。

市第2号の国民健康保険料も市第3号の介護保険料、市第4号の後期高齢者保険料も全て値上げと、物価高で苦しむ市民に対して、とても冷たい対応です。国保料は、9月時点で、全国の自治体のうち3分の2は、物価高に苦しむ市民生活を鑑み、国保料の引き上げを行っていません。本市は、決算年度で45億円、累計で164億円も積み増ししています。保険料を取り過ぎているのですから、引き下げることができるはずです。引き下げを要望します。

市第15号 横浜市みどり保全創造事業費会計決算については、緑地を増やせないみどり税を認めることはできません。あらためて、廃止を求めます。本市は、市県民税とは別に、1人あたり年間900円を徴収していますが、緑はずっと減り続けています。これでは、みどり税が「何に使われているのかわからない」と云われてしまうのも無理はありません。他自治体では、一般財源で緑地の保全創出を実施しています。本市も別途徴収するみどり税ではなく、一般財源での緑創出の予算を増やす。予算の使い方の優先順位を上げていくことに対して、市民は納得すると思います。都心部での緑の創出にも力を入れて、みなとみらいに広い野原をあえて残すなどの思い切った取組みをしてはいかがでしょうか。そして、公園のまちヨコハマを謳うのでしたら、まだ整備できていない195か所の公園整備にも力を入れていただきたいと要望します。

市民局では、国の事務を代わりに行う「法定受託事務」だとして、22歳の若者の個人情報を自衛隊にタックシールとして渡しています。これも認めることはできません。あくまでも国からのお願いに過ぎず法的拘束力はありません。そもそも、自治体が別の目的で収集した個人情報を、なぜ本人の承諾なしで別組織に渡すのか、疑問です。この事態を憂いている市民と、我が党の追及で、本人から‶除外申請″があった場合は、情報提供を行わないとする対応に変えましたが、そもそも、このようなことは、自治体のやるべき仕事ではありません。

米軍基地横浜ノース・ドックで初めて、陸・海・空の自衛隊が揃っての訓練が17日から31日まで行われています。その訓練の内容には、弾道ミサイルを迎撃する兵器を扱うものも含まれています。米軍基地を守る訓練をなぜ自衛隊がやるのでしょうか。アメリカの起こす戦争に日本を巻き込む、まさに戦争できる国づくりそのものです。

市として早期全面返還を求めているこの基地は、横浜を代表する観光地として賑わうみなとみらいの目と鼻の先に在ります。このような大規模な軍事訓練など、とんでもないことです。

さらに、自衛隊の任務は、安保法制が強行されて以来、これまでの専守防衛ではなくなりました。未来ある横浜の若者をこのような自衛隊に就職させる手助けをするような名簿の提供をしないことを強く要望します。

本市は、厳しい財政状況と常に枕詞で言われますが、税金の使い方をあらため、昨年よりも今年が、今年よりも来年が一人ひとりの市民の福祉の増進がはかられることこそが、健全な財政運営に繋がるのではないでしょうか。そこにこそ力を尽くしていただきたいと、要望します。

党市議団は、引き続き、文字通りの是々非々の立場でチェック機能を果たしていくことを表明し討論を終わります。