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■討論 大和田あきお議員 2025.9.25

日本共産党の大和田あきおです。党を代表して討論いたします。

この議案は、瀬谷区総合庁舎の駐車場に指定管理者制度を導入するものです。私たちが問題にしているのは、この指定管理者制度そのものです。そもそも、国が推進してきた指定管理者制度は、期間の定めがあるため、現場で働く方々は、どうしても不安定な非正規雇用が主流となり、利益確保のため人件費を抑えることになれば低賃金を招きます。日本共産党としては、制度そのものの在り方の検討が必要となっていると繰り返し問題提起をしてきました。本市が指定管理の対象施設を加えることに賛成することはできません。

議案は、鶴見区に市内で5つ目となる火葬場の横浜市東部斎場を設置するものです。

横浜市においても、高齢化の進行とともに、斎場の利用の必要性は今後ますます高まることから、東部斎場の設置は必要で賛成します。

しかし、横浜市東部斎場の利用料金は、川崎市の斎場と比べ、火葬料金が5,250円高く、50人用のホールの料金についても、12,500円高く設定されています。今後も、市民の負担を軽減する努力が必要であり、利用料金を引き下げることなど要望します。

新本牧ふ頭建設は、国際コンテナ戦略港湾として、世界の貨物量の増加とコンテナ船の大型化に対応して港を整備する、港を整備すれば船は来るものという考えで進められていますが、コンテナ貨物量が今後増える見通しは明らかになっていません。また、リニア中央新幹線整備の建設発生土を受け入れます。

リニア新幹線建設事業は品川-名古屋間のうち8割がトンネルという今世紀最大の超巨大開発と言われる事業です。超電導で走行するリニアは新幹線の約3倍から4倍の電力を消費すると言われ、気候危機対策にも逆行するものです。

現在、進められているリニア新幹線建設工事の膨大な残土を受け入れることが前提で進められている新本牧ふ頭工事は認められません。

4.次に、市第38号議案 令和7年度横浜市一般会計補正予算(第2号)について、賛成の立場から述べます。

長引く原油・原材料価格の高騰、人手不足・賃金上昇に加え、米国関税措置等により、企業経営や資金繰りへの不安が高まる中で、市として、「中小企業融資事業」に新たな3つの融資制度を創設し、信用保証料を助成するものです。その中の「賃上げおうえん資金」は、市の独自施策として、賃上げに取り組んでいる中小企業が資金調達できるためとした融資制度です。市政が賃上げおうえんという立場で施策を進めることは賛成です。

2024年12月実施の第131回横浜市景況・経営動向調査では、2024年4月から2025年3月までの賃上げ実施状況について、全産業で実施したのは71.1%ですが、中小企業では、69.8%であり、そのうち、小規模企業は59.2%です。小規模事業者はより困難な状況となっています。

また、中小企業家同友会全国協議会が2024年10月から12月に行った経営実態アンケートによれば、「賃金引き上げに必要な支援策」で最も多かったのは、「社会保険料事業(ぬし)負担の軽減」でした。小規模事業者の方からは、「賃上げしたいが、社会保険料の事業(ぬし)負担や人件費を価格に転嫁することは取引先が認めない」と賃上げに対する厳しさが報告されています。

今回の融資制度による効果も期待できますが、小規模事業者への賃上げ支援としては、融資だけでは不十分です。全国の自治体では賃上げへの直接支援がすすめられています。

平塚市では、2025年度から従業員数と基本給の賃上げ率の要件を緩和し、交付対象を従業員数が5人以上の小規模事業者で基本給を1.5%以上増加していることとし、従業員数に応じて、10万円から30万円まで奨励金を交付しています。

北九州市では、中小企業の生産性向上と最低賃金引上げを応援するために、国の業務改善助成金の交付額確定を受けた事業所に対して、業務改善に要する設備投資等にかかる補助対象経費の10分の1の上乗せ補助を行っています。

私たちは、平塚市や北九州市の例を上げ、直接支援となる補助金制度を求めましたが、市長の答弁は「中小企業の稼ぐ力を強化する」というものでした。苦境にあえぐ小規模事業者の営業や生業の実態をもっと踏まえていただきたいと思います。融資だけではなく賃上げのための直接支援としての補助金制度の創設の検討を要望します。

5.次に、請願第22号 小児医療費助成制度の拡充について賛成し、委員会の不採択に反対します。

この請願は、小児医療費助成制度の助成対象を、2026年4月から18歳年度末まで拡充を求めるものです。

物価高騰が続くなかで、暮らしの厳しさは一層深刻です。現在の医療保険制度は、子育て世代にとって決して軽い負担ではありません。さらに高校生になると学費だけでなく通学にも交通費がかかり、放課後の部活動や学習塾など、様々な費用が各段に必要となります。お金の心配することなく子育てできる環境をつくることは、住民の福祉の増進を本旨とする自治体の役割です。

9月17日の健康福祉・医療委員会の請願審査における各党の意見表明では、自民党は「対象者の拡大に伴う財源は、これから議会で議論すべきとして、不採択」、公明党は「一般質問で市長に開始時期を伺い、来年度中との答弁もいただいたことから、不採択」、立憲民主党は「小児医療費の18歳拡充にあたっては財源の問題を含めて議会でしっかり議論が重要であるとして、不採択」、日本維新の会は、「財源問題もあり、不採択」などと反対多数で、来年の4月から開始という18歳までの小児医療費助成制度の請願は不採択となりました。

市長は市長選挙を通じて、小児医療費助成制度を18歳まで拡充する方向を示し、本会議でも「来年度実施」を明言しました。各党も実施を要望しています。そうであるならば、一刻も早く実施することが、厳しい状況の中で子育てしている市民の要望に応える道ではないでしょうか。

日本共産党は、1973年から小児医療費無料化を要望し、それ以来一貫して対象年齢の引き上げと一部負担金の撤廃を求めてきました。市民から出された請願に対して、会派としては日本共産党しか賛成しないということも長く続きました。そんな中で、18歳までの医療費無償化について、来年度実施の方向性が示されたことは歓迎したいと思います。

現在、神奈川県内33の自治体のうち、18歳までの小児医療費助成制度は、川崎市と横浜市以外の31の自治体で実施しています。すでに取り組みが遅れている横浜市は早急に実施すべきです。

小児医療費助成制度・拡充の方向性に賛意を示しているのであれば、来年4月からの実施を求める「小児医療費助成制度の拡充を求める」請願の採択をすべての議員に呼びかけます。

6.次に、請願第24号 消費税の5%への引下げ等を求める意見書の提出方について賛成し、委員会の不・採択に反対します。

 請願は、消費税は所得の少ない人ほど重くなる不公平な税制であり、政府は公立公的医療機関の病床を削減しようとしており、消費税が社会保障の財源である大義名分は通用しないことから、消費税率を5%に引き下げ、インボイス制度を廃止することを求めています。

 今年7月の参議院選挙では、消費税減税を訴えていた政党は多数を占めました。7月の「産経」とFNNの調査では、消費税について減税や廃止を求める市民の回答が合わせて75%となり、消費税減税を求める世論が多数を占めています。また、当選した議員の多くの方が消費税減税を何らかの形で主張していました。

 世界では、110の国と地域で、経済対策として消費税やそれと同様の付加価値税の減税が行われています。そもそも、消費税は、所得が低い人ほど負担が大きくなり、生活に与える影響が大きくなることは避けられません。

 また、参議院選挙では、インボイス制度の廃止を訴えた政党の得票数と議席もインボイス存続の立場の政党を上回りました。

インボイス導入の理由は「食料品などの軽減税率」で8%と10%の複数税率になり、正確な控除額算出のために必要だというものです。インボイス導入によって、小規模事業者やフリーランス、自営業者の方に新たな税負担、複雑な制度による膨大な事務などがのしかかっています。消費税率を一律5%に引き下げれば、インボイスを廃止することができます。市内99%を占める小規模事業者の苦境に市会として心を寄せて、負担軽減を国に求めることが今必要だと思います。

しかし、政策経営・総務・財政委員会では、自民党は、「国政レベルでの議論が必要。本請願は、不採択」。公明党は、「国での議論が必要であり、不採択」。立憲民主党は、「国の動向を見ながら、独自に検討していくことが大切。本請願は不採択」。日本維新の会は、「不採択」としました。

本来、様々な市民の要望や意見を反映させることが市会における請願の趣旨であり、国政に対する要望を取り上げることも重要です。日本共産党は、消費税率5%への引下げとインボイス制度廃止を国に求める請願の採択をすべての議員に呼びかけ、討論を終わります。